(DJ YANATAKE)アルバム・オブ・ジ・イヤーを最後に紹介するのって本当にいつまでなのかな?って思いながら毎年やってますけど。でもやっぱり重みがありますね。アルバム・オブ・ジ・イヤーっていうのはね。
(渡辺志保)私は特にやっぱりアルバム単位、アルバムを愛するリスナーですので。なのでまずUS部門、アルバム・オブ・ジ・イヤー。今年最も優れたアルバムだなと思ったのは、めっちゃ悩んだけど、21サヴェージ『I Am > I Was』にしました。
21 Savage『a lot ft. J. Cole』
(DJ YANATAKE)これも悩んだね!
(渡辺志保)クソ悩んだよ。だってなんで悩んだかっていうと、まずこのアルバム、正確に言うとさっきの『Higher』じゃないけどリリースされたのは2018年12月21日で去年なのよ。でも去年のさ……毎年、思うよ。本当にもう12月の下旬に差しかかったあたりでもうアーティストはアルバムを出すの、やめてくれないかな?ってマジで思う(笑)。
(DJ YANATAKE)だってね、仕事的にはさ……。
(渡辺志保)そう。ベスト◯◯っていうのがね。
(DJ YANATAKE)11月の終わりぐらいから来たりするからね。
(渡辺志保)だから今年もさ、ケイトラナダとかがギリギリに出すからさ。あんな素晴らしいアルバムがあまり語られなかった、語ることができなかったっていうのがちょっとフラストレーションなんですけど。
(DJ YANATAKE)Jin Doggも急に2枚、出さないでよっていう(笑)。
(渡辺志保)そうなのよ! 間に合わないからっていう(笑)。そんな中、悩んだのよ。タイラー・ザ・クリエイターとかももちろんね、素晴らしかったし。あとはブイブイな感じだとYGのアルバムとか2チェインズのアルバムも本当に良かったから。あとはマッドリブとフレディ・ギブスとかもそうだけど。すごいすごい悩んだけども、私の個人的な愛情も含めて『I Am > I Was』を選ばせていただきました。なぜかというと、いま後ろでかかっている『a lot』。ここでもこれまたJ・コールが参加をしているんだよね。本当にね。
(DJ YANATAKE)ああ、そうだ!
(渡辺志保)この『a lot』の完成度も非常に高かったし。私は繰り返すけど、やっぱりアルバムという単位が非常に好きなんですよね。で、21サヴェージの場合は『I Am > I Was』の前に自分のソロアルバム『Issa Album』っていうのが2017年に出てるんだけど。それと比べた時にそのラッパーとしての表現力というのがもう大違いに成長したなっていう風にこのアルバムで感じたんですね。
で、この『a lot』に関してもその自分のコミュニティであるとか同じ境遇のアフリカンアメリカの立場からラップをしている曲もあれば、その自分の生い立ちというかバックグランドである、すごいギャングスタな地名をゴリゴリに出しているっていうところもありまして。アルバム1枚としての完成度っていうのが非常に高かったし、グラミー賞でベストラップアルバムにノミネートされているわけですけれども。それも本当に本当に納得だなって思います。
(DJ YANATAKE)はい。いやー、本当におっしゃる通りです。じゃあ、最後の発表に行きましょうか。
(渡辺志保)というわけでアルバム・オブ・ジ・イヤー、US部門は21サヴェージ。そして日本部門はOZworld a.k.a R’kuma『OZWORLD』に決定です!
OZworld a.k.a. R’kuma『Peter Son feat. Maria & yvyv』
(DJ YANATAKE)やったー! これももちろん悩んだんですよ。
(渡辺志保)悩んだのよ。でもやっぱりアルバムリスナーの私からしてみれば、やっぱり自分の考えたコンセプトであるとか世界観というのをその1枚の作品に落としこむっていうのは本当に本当に難しいことだと思うの。でもOZworldくんのこの『OZWORLD』という作品は発売日までこだわってさ。やっぱり自分の世界観、自分がアルバムでラッパーとして今表現したいことっていうのを発売日にもこだわり、もちろんアルバムカバー、ジャケットにもこだわって作り上げたって感じがしますし。もちろん彼のラッパーとしてのスキルとかフロウの豊かさであるとか、そういったものはが出来上がっているというのは大前提として。素晴らしい聞き応えのあるアルバムを出してくれたなっていうのが本当に素直な感想です。で、それこそヤナさん的な立場から言うと、クラブバンガーもね。
(DJ YANATAKE)はい、ありました。僕も『Magarikado Trap』を超かけてます!
(渡辺志保)そうそう。だからそういった意味でも……。
(DJ YANATAKE)これもね、ちょっとその今日語ってきたTohjiとか¥ellow Bucksとか舐達麻とかとも全然種類が違うし。まあLEXとかもね、本当に最後いいアルバムを出してきたんですけども。なんて言うんだろうな? 「天才、現る!」みたいな。まあ、一昨年とか去年とかにニューカマー、フレッシュメンでOZworldくんを番組では選ばせていただいてるんですけど。やっぱり期待をしていたわけですけど、「ああ、こんなアルバムができちゃったんだ!」っていうのはやっぱりすごい最初、嬉しかったし。なんかね、ちょっとした縁もあってライナーノーツとか書かせていただいたので。本当に個人的にも今年一番、単純に一番聞いた日本語ラップのアルバムはこれだったなと。素晴らしい完成度でした。天才!
(渡辺志保)そうよ。¥ellow Bucksくんもそうだけど、今年はローカルのね。Jin DoggくんとYoung Cocoくんとかもそうだったけど。ローカルのパワーをすごい感じた1年だったし、その中でも沖縄がホットだっていうのは、唾奇とかAwichとかみんないますから。ご皆さんご存知だと思うけど、そこをまたOZworldくんがシーンを引っ張っているのかなっていう気もしました。
(DJ YANATAKE)はい。ありがとうございます。
(渡辺志保)というわけでお届けしてまいりました『INSIDE OUT AWARDS 2019』でしたが。いかがでしたでしょうか? ちょっと、何度も差し込んで言っていますがまあ語れないことも多いですし、取り上げきれなかった、取りこぼしたみたいなところもぶっちゃけ、我々としてもあるんで。続きは1月6日、2週間後の新年一発目の放送で「こんなこともあったよね」というところを改めて振り返ってお届けしたいなと思っております。
(DJ YANATAKE)ありがとうございます!
<書き起こしおわり>