渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でグッチのブラックフェイスセーターをめぐり、T.I.がフロイド・メイウェザーをディスする曲を発表したことについて話していました。
(渡辺志保)というわけで、2曲目に移りたいと思うんですけれども。あのT.I.が新曲を出しました。ただの新曲ではなくて、これはあのフロイド・メイウェザーに向けたディス曲ということになってるんですけれども。なぜディス曲をリリースするに至ったかというのをちょっとここで簡単に説明したいと思います。まあ誰もが知る高級ブランド・グッチがありますよね。グッチっていうのはご存知の通り、もともとすごいヒップホップコミュニティーからも愛されている高級ブランドということで。グッチ・メインもいれば、『Gucci Gang』というヒット曲があるぐらいですし。去年はハーレムのデザイナーのダッパー・ダンをフィーチャーしてコレクションを発表したりもしてました。
で、そのグッチがちょっとコントロバーシャルなセーターを発売しまして。それがまあ、みなさんもうネットのニュースとかで見てると思うけど。タートルネックを引き上げて、口元のところが真っ赤な口紅を塗ったような大きい口が模されておりまして。まあ、そういうちょっと黒地に赤い口紅をフィーチャーしたデザインのスウェット、セーターを発売したという。
で、「これがブラックフェイスなのではないか?」ということで非常に議論を呼びまして。グッチは謝罪をして、そのハーレムのデザイナのダッパー・ダンともミーティングを開いて、長期的な音プランを作って「今後、多様性をより追求していきます」ということを発表した。で、何がいけないのか?っていうことなんですけれども、日本でもコメディアンの方が黒塗りをして、それがいけないということでニュースになったこともありますが。
もともと、1800年代からかアメリカではミンストレル・ショーというショーがあった。それってどんなショーかと言うと、白人の人たちが炭で自分の顔を黒く塗って、真っ赤な口紅をすごいオーバーな感じで唇を書いて。で、黒人の方の真似をするショーなんですよ。しかもただ真似するんだけじゃなくって、すごい揶揄をするっていうか。わざとすごく間抜けな人であるかのように振る舞ったり、怠け者な人であるかのように振る舞うような。それがミンストレル・ショーだったのね。
なので、アメリカでわざと顔を黒塗りにして黒人っぽく見せるようなことは全て、バカにするとか揶揄する対象としてのカリカチュアであるというか。そういうところに帰結するという。そういった歴史的背景があるので、いけないことですよという風になっている。で、かついまは2月だから。2月ってブラックヒストリー・マンスという風に言われておりまして。そういう機運がより高まるシーズンでもあるんですね。
グッチ 黒のセーターが黒人差別と指摘され販売中止 https://t.co/JfH57zGsDO
— みやーんZZ (@miyearnzz) 2019年2月19日
まあ、それもあってね、スパイク・リーとかT.I.とか50セント。あと、これはまあ乗っかりだろ?っていう感じがするんだけど、ソウルジャ・ボーイとかが「グッチをボイコットする」という風に発表した経緯がある。その一方で、世界的ボクシング王者のフロイド・メイウェザーは「そんなの関係ない。俺はグッチを買い続けるぜ」というところで。話しているとなんかよくわかんなくなってきちゃったけど。「俺そんなこと関係ねえ。グッチをこれからも買い続けるぜ!」っていうことでT.I.が「それはちょっといかがなものだろうか? お前すげえ金稼いでいるのは知ってるけど、その金を人のために使ったことあるのか?」という風にはこの曲の中では言ってまして。
で、T.I.は『INSIDE OUT』でも何度か言ってきましたけれど、最近はすごく「意識高い系」って言ったら失礼ですけども、すごく公民権運動のことをラップで話したりとか。よりコミュニティーのために良いことをしていこうというような活動を非常に盛んにしておりまして。そのT.I.からしてみれば、「フロイド・メイウェザーはこんだけ多額の金を稼いでるのに、お前は自分のコミュニティーにどんだけ返してるんだ? 何もしてないじゃないか」というようなことをこの曲の中で歌っているという。
ちなみにコダック・ブラックはグッチ肯定派みたいですね。で、フロイド・メイウェザーが反論するインスタグラムをアップしてて「なるほど」と思ったんだけど。こういうトピックっていうのはセレブリティーがちょっと乗っかりたいがために……「トレンドに乗っかりたいがためにああだこうだ言うだけであって、その本心で本当にボイコットをしたくてやっているのどうかはわからない」みたいなことをメイウェザーもポストしておりまして。まあ、それも一理あるなと思ったのが私の意見でもございます。というわけでちょっとここでコントラバーシャルな1曲を聞いてください。T.I.で『F*ck N**ga』。
T.I.『F*ck N**ga』
はい。いまお届けしましたのはT.I.の新曲。これ、本当にアメリカのラジオ局はどうやって紹介するんだろう?って思うんだけど。Fワードの後にNワードが続いているという曲のタイトルでございまして。まあぜひぜひ、そのグッチとラッパーたちとのニュースっていうのは日本語でもいろいろと報道されておりますので、興味のある方はチェックしてもらいたいなと思います。
Twitterでも、「白人がアジア人を揶揄した場合ももう少し声高に叫んだ方がいいんですかね?」っていうことで。ちょっと前にリル・パンプがちょっとアジア人のことを、それこそなんか面白おかしくするような動画をインスタにアップして。で、Miyachiくんがね、結構自分のご自身のインスタグラム上で発表してましたしね。なんか、いいことだと私は思いましたね。別に白人がじゃなくても、やっぱりとかくアジア人は結構ね、アジア人だからという理由でね、笑いものにされるようなこともありますからね。
<書き起こしおわり>