DJ TakakiさんがJ-WAVE『MUSIC HUB』に出演。小袋成彬さんとロンドン・ドラムンベースシーンのエコシステムなどについて話していました。
日本でのツアー全行程を終えロンドンに帰英していますが、今夜はJ-Wave @jwave813fmにて、昨年 宇多田ヒカルさんプロデュースで鮮烈なメジャーデビューを果した、ご存知 小袋成彬さん(@nariaki0296)の番組Music Hubにゲスト出演させて頂きます。日本時間、本日22日、29日、2週に渡り25:30よりOn Air!! pic.twitter.com/wM8iTg4NQN
— Takahiko.Dj Takaki – UK, (@DJTAKAKI) 2019年3月22日
(小袋成彬)今日はですね、先週に引き続き、DJ Takakiさんをお迎えしております。よろしくお願いします。先週は「そもそもドラムンベースとはなんぞや?」と。実際に3曲聞いてみて、多分興味を持った方も……僕も含めてですけど、いっぱいいらっしゃるかと思うんですが。今日はもう少し込み入った話を聞いてみたいなと思います。
(DJ Takaki)はい。
(小袋成彬)この前に来日した時はCritical?
(DJ Takaki)そうですね。Criticalというドラムンベースのレーベルがありまして。
(小袋成彬)他にレーベルってあったりするんですか?
(DJ Takaki)はい。RAM Recordsっていうレーベルがドラムンベースの中でトップレーベルみたいな立ち位置だったんですけども。Andy Cっていうドラムンベースの大物DJがいて、そのAndy Cが主催しているのがRAM Recordsっていうレーベルで。レーベル自体も非常に大きくて、現在進行系でずっと影響力のあるリリースを続けているようなレーベルなんですけども。かつ、そのRAM Recordsのレーベルナイトもロンドンとヨーロッパ各国で開催されているような感じで。
(小袋成彬)はい。
(DJ Takaki)まあ、このレーベルは結構そのEDMっぽい感じというか、いまっぽいきれいな質感。かつ、もちろん低音域もしっかり特徴的で。歌物だったりだとか、結構すごいサイバーな感じの雰囲気で。
(小袋成彬)サイバーな感じ?
(DJ Takaki)なんかその大箱で映えるような、いわゆるEDMサウンドというか。
(小袋成彬)ふんふん。他にあります?
(DJ Takaki)あとはHospitalっていう、これももひとつ、重要なドラムンベースのレーベルでこのレーベルはそのもうちょっときれいなメロディアスなものだったりだとか、歌物だったりだとか。もちろん低音域もしっかりあるんですけども。そのきれいなメロディラインが特徴的なちょっと聞きやすい感じのドラムンベースのレーベルで。もちろんでも、このレーベルもそのレーベルナイトを開催していて。ちなみにこのHospitalのレーベルナイトは『Hospitality』っていうんですけども。
(小袋成彬)フフフ、いいですね(笑)。
(DJ Takaki)これ、結構6ステージぐらいを構える大きなフェスとしていま、開催していて。
(小袋成彬)ええっ? 年に何回やっているんですか?
(DJ Takaki)年にたぶん3回ぐらいやっていて。フィンズブリーパークっていうロンドンの大きな公園で『Hospitality In The Park』というフェスみたいな感じで。
(小袋成彬)へー! 夏にやっているですか?
(DJ Takaki)そうですね。シーズンにやっていますね。で、それに対して、そのCriticalっていうレーベルが……。
(小袋成彬)その二大レーベルの売り上げをついに?
(DJ Takaki)去年、2018年に売り上げを抜いて、いまいちばん旬なレーベルとなり。で、そのクリティカルの音楽性はRAMとHospitalとは一線を画していて。ドシッと重たいような感じの音で、アンダーグラウンドな雰囲気、音楽性に徹したレーベルで。なんだけど、非常にいま、支持をされていて。
(小袋成彬)聞いてみたいですね。
(DJ Takaki)じゃあ、Criticalからのリリースを1曲。Circuits『Berlin Outfit』です。
Circuits『Berlin Outfit』
(小袋成彬)ありがとうございます。いやー、かっこいいな!
(DJ Takaki)かっこいいですよね。非常にドスッと重たいような雰囲気で。これも非常に新しい曲で。こういう感じの曲がいま、結構トレンドとしては……そのRAMとHospitalが作ってきた流れの中で、新しい新興勢力みたいな形でどんどんと出てきていて。それのいちばん総本山的な部分がCritical Musicというレーベルになりますね。
(小袋成彬)どういうトレンドなんですか? なんか言語化が難しそうですけど。でも、BPMは170前後で変わらないんですね?
(DJ Takaki)BPMは他のドラムンベースの曲と一緒で。
(小袋成彬)どう差別化を図っていくのか。難しいですね。
(DJ Takaki)まあ言葉では非常にご説明しがたい音楽性なんですけども。まあ、アンダーグラウンドっていう言葉を使うのがいちばんわかりやすいのかなっていうのと、あとは結構低音域と、あと少しのパーカッションとか他の要素とか。たとえばじゃあRAMとかHospitalって低音域がドシッとある中で、その中に他の上物。中音域から高音域の歌だったりだとか。他の音の要素が結構強くて。その要素が印象的な曲が多いかなと思うんですけど、Criticalとかの音楽性ってもっと、基本的には低音と少しの他の要素で。基本的には低音が印象としてはすごく耳に残る曲が多いんじゃないかなって思いますね。
(小袋成彬)なんか僕の印象としてはその音域の住み分け。いわゆるEQの住み分けがすげえよくされているなって思っていて。まあEDM……RAMのを僕、何個か聞いたんですけど、割とパッツンパッツンで。
(DJ Takaki)そうなんですよね。
(小袋成彬)いわゆる「昆布」っぽい波形ですよね?
(DJ Takaki)昆布波形。もう詰め込んで詰め込んで音圧を強く、強くっていう感じの。
(小袋成彬)そうですよね。だから音自体はインパクトあるけれども、のっぺりとしていて。ずっと常に全部の帯域の音が鳴っているようなイメージだったんですけど。
(DJ Takaki)そうなんですよね。だからちょっと疲れちゃう人は疲れちゃうのかなっていう感じもたまにありますよね。
(小袋成彬)でもね、大箱とかそれこそフェスなんかでは映えるかもしれないですけどね。でも、こういういわゆるアンダーグランドっぽさって、こういう音域の住み分けがあって疲れない感じ?
(DJ Takaki)ずっと聞いていられて、あんまりドラムもハードではなくて。ちょっと程よいというか。長い間こういう音楽にずっと浸っていても結構疲れずに体を揺らしていられるっていうか。だけど低音域もしっかりあって盛り上がるべきところでは盛り上がるという。
(小袋成彬)だから本当にすごい、でもわかりやすい特徴だなと思います。レーベルがレーベルナイトを持っているんですね。それがやっぱりジャンルの特徴ですよね。
(DJ Takaki)そうですね。ドラムンベースに限らず、そのヨーロッパのダンスミュージックのシーンでは結構特徴ではあるんですけど。大きなレーベルがレーベルナイトとしてレーベルのイベントを開催していて、たとえば新人プロデューサーとかがレーベルから曲を出して、まだ新人なのでそんなにイベントも出れないってなった時、じゃあ自分たちのレーベルナイトですでにしっかり確立されているような大きな会場で、たくさんの人たちの前でこの新人にスポットを当てて。どんどん新人を底上げして、またシーンを活気づけていく。そういういい循環がありますね。
(小袋成彬)いいエコシステムがありますよね。だから感覚としてね、僕もメジャーにいるんでよく、全然違うなっていうのはやっぱりあって。もし新人としてデビューしたいってなったら、まあ自分で音源を作ったら、そのレーベルから出ることがすなわちギグで回すことにもなるし、ベニューで回すことにもなるし。コミュニティーの中で投下できるっていうのがあるんですね。
(DJ Takaki)そうですね。それで結構、このドラムンベースとかに限らず他のダンスミュージックが好きな人たちはレーベル単位で聞いてたりとか。レーベルのイベントだから行こうとか。そういう人たちが結構多いと思うんで。で、やっぱりそのレーベルに所属している人たちは似たような雰囲気とか似たような音楽性をみんな持っていて。その中でみんな、それぞれの個性を出していたりとかして。
(小袋成彬)そうですね。SNSのフォロワーとかも僕が想像する10倍ぐらい多いんですよ。Criticalの人、まだ拝見してないですけど、それこそHospitalとか僕フォローしたんですけど、50万人ぐらいいますよね?
(DJ Takaki)そうですよね。すごく、もうすで確立されているような大きなレーベルで。
(小袋成彬)だから全然知らない世界で、その規模の人間が動いている。音楽でですよ。僕、結構聞いてきたつもりだったのに、やっぱりまだまだ知らないところがいっぱいあるんだなって。本当にびっくりしちゃいました。
(DJ Takaki)あと、トレンドっていう点で言うと、小袋さんも結構気に入ってくれたみたいで。Benny Lっていうアーティストがいて。
(小袋成彬)ああ、Benny L。『Low Blow』!
(DJ Takaki)なんか先々週、かけられたっていう。
(小袋成彬)かけたんですよ。
(DJ Takaki)結構そのBenny Lっぽい流れでいまもう1人、Serum – っていう新しいプロデューサーもいて。彼もいま、トレンドを作っていて。
(小袋成彬)じゃあ、前半はこれをかけて終わりますか。
(DJ Takaki)Serum『Black Metal』です。