小袋成彬とDJ Takaki ロンドン・ドラムンベースシーンのエコシステムを語る

小袋成彬とDJ Takaki ロンドン・ドラムンベースシーンを語る MUSIC HUB

(小袋成彬)先週に引き続き、DJ Takakiさんをお迎えしております。だいぶ、ドラムンベースについてわかってきました。

(DJ Takaki)そうですか。ありがとうございます。

(小袋成彬)すごい面白いです。やっぱり。ベニューというか、人前で鳴らす。大きな箱で鳴らすっていうのが前提にある音楽ってやっぱりかっこいいなって思います。これはすげえかっこいいっすね。それで僕、すごい気になっていたんですけど、これはもう僕の質問ですね。Benny Lの『Low Blow』、出たのがちょうど2年前くらいですかね? で、SpotifyとかAppleMusicでも聞けたんですけど、再生回数を見るとね、こっちでめちゃくちゃ盛り上がってる感じと実際のその数字が全然かけ離れているんですよ。

(DJ Takaki)うんうん。

(小袋成彬)普通、逆ってあるんですよ。すごいSNSとか、あとSpotifyで再生回数ないしはもう数字として何ミリオンって再生されているのに、実際にまだ現場ではあんまり人気がないとかっていうのはよくある話なんですけど。これ、全く逆なことが起きてるじゃないですか。これがすごいなと思ったんですよ。

(DJ Takaki)そうですね。そのドラムンベースのシーンとかに関して言うと、たぶんそのSpotifyとかに関しては、やっぱり最近入ってきたプロモーションの要素なのかなと思っていて。というのは、ドラムンベースはそのプロデューサーをたとえばレーベルが発掘して、レーベルがその自分たちのレーベルナイトでスポットを当てていたりとか。あとはYouTube上に大きなドラムンベースを紹介するチャンネルがあったりとか。

(小袋成彬)なるほど!

(DJ Takaki)あとは、ドラムンベースのポータルサイト。『Drum&BassArena』っていうウェブサイトがあるんですけども。まあそういうところが新譜を紹介していたりとか。で、そのドラムンベースを好きな人たちはそのYouTubeのチャンネルだったとか、そういうウェブサイトをチェックして新譜をチェックしているっていう感じなので。まあいままではそのSpotifyっていう要素はそこにはなかったんですね。

(DJ Takaki)だけど最近、もちろんSpotifyが世界でこれだけ注目されていて、レーベルプロフィールをきちんと開設しているレーベルも大手のレーベル……Criticalもそうですし、RAM、Hospitalとかはすでにレーベルプロフィールを開設していて。だけどやっぱり大手、かつ現在現役で進行形のレーベルのみ、やっぱり有効に使い始めているのかなっていう感じ。だけどそのアーティスト……各アーティストとか各プロデューサーはやっぱり自分の曲をそこで発信していくっていうことをもうすでにやってる人たちも結構たくさんいるような印象ですね。

(小袋成彬)なるほど。昔といまとを比べて、そのビジネスモデルは変わったことに対する影響ってあります? あんまりないですか? なんか、なさそうなイメージなんですけども。

(DJ Takaki)うーん。まあ、まだこれからなんでしょうね。たぶん。いま、まだみんなちょっとSpotifyをどう、これから活用していこうかっていう。レーベルの代表が。

(小袋成彬)そもそもイヤホンで聞く音楽じゃないですもんね。

(DJ Takaki)そうですよね。なかなか、街中でじゃあこれをBGMで聞くかとか、どこかのレストランとかカフェでBGMとして流すか?っていうと、そうでもなくて。やっぱり好きな人がこの音楽ジャンルを追っていたりとか、あとはクラブでっていう環境下のもとで有効に作用する音楽かなって思うんで。そういう面で考えてもね、これからSpotifyがどういう風にこのシーンに入り込んでいったりするのかっていうのはやっぱり注目ですよね。

(小袋成彬)やっぱり、DJとしてではなく、プロデューサーとして何か作品を残すということが、この界隈において成り上がっていく重要な要素なんですかね?

(DJ Takaki)そうですね。やっぱりDJだけで有名になるっていうことは基本的には結構難しくて。基本的にはやっぱり自分の曲を作って、どれだけ大きいレーベルとサインするかとか。どれだけこの影響力のあるものを作れるか。そういう部分で自分の名前を知ってもらうというのが一般的な流れなので。

(小袋成彬)なるほど。でもヨーロッパ自体が市場になりますもんね。だって本当に1時間ぐらいでアムステルダムとかね、行けちゃうじゃないですか。だからそれがすごいなって本当に思いますね。

(DJ Takaki):一応なんかアメリカにもそのドラムンベースのシーンみたいなのあるみたいなんですけども。でも、やっぱりちょっと毛色が変わってきたりとか。

(小袋成彬)アメリカっぽくなるんですか?

(DJ Takaki)そう。アメリカっぽくなってきたりとか。やっぱりそのロンドンとかヨーロッパのそれとはまたちょっと違うような感じになってきたりとか。あと、やっぱりシーンの大きさで考えると、ロンドンとかの方が圧倒的に大きかったり。

(小袋成彬)シーンは広がっていますか? それこそ、アメリカ、アジアには?

(DJ Takaki)ドラムンベースの有名なDJが東京にギグをしに来たりとか、あとは中国とか韓国にギグをしに行くっていうのはもちろん全然、いままででもあるんですけども。だけど、じゃあそこのアジアの日本とか韓国とか中国に、そのシーンとしてビジネスが成り立つレベルで成り立っているのかっていうと、イベント単体とかで見ていくともちろん、それはあり得るのかもしれないですけども。まだ大きい目で見た時には、少しそこに追いついてないところがあるのかなっていう印象はありますね。

(小袋成彬)実感としてはどうですか? 広がっている感じとか、ありますか?

(DJ Takaki)たとえば今回、『Critical Sound』を日本で開催させてもらった時に、ちょっと考えてたこととしては、ドラムンベースを好きな人に響かすのはもちろんなんですけど、ちょっとそこから離れた、そこから外に出た人たち。いわゆるクラブミュージックが好きで、クラブに遊びに来る人たち。で、ドラムンベースとかをあんまり通ってこなかった人たちにも響くようなイベント作りをしたいなと思って。今回Criticalの代表のKasraっていうアーティストに来日をしてもらって。僕も一緒にパフォーマンスをしたんですけども。他の出演者としてDJ Krushさんという非常に有名な日本人DJの方がいて。Krushさんにご出演をしていただいたりとか。

(小袋成彬)うんうん。

(DJ Takaki)いわゆる音楽が好きな人たち。ドラムンベースは通ってなかったけど、そういう感じの音楽が好きな人たちにも届くようなラインナップを考えて。結果、すこし手応えを感じれるような一夜にはできたかなっていう感じはしてるので。

(小袋成彬)なるほどな。じゃあ最後にもう1曲かけていただいてもいいですか?

(DJ Takaki)じゃあ最後にこれも新しいプロデューサーでAlix Perezというアーティストで『The Raven』。

Alix Perez『The Raven』

(小袋成彬)ありがとうございます。本当、テクノに寄ってきたというか、垣根がなくなってきてますよね。

(DJ Takaki)そうですね。まあテクノに近い雰囲気が結構あって。自分も割とその部類なんですけど、結構昔もっと勢いのある曲。ドラムンベースの曲だったりだとか、もうちょっとわかりやすい感じのものが好きだったんですけども。やっぱりずっとそこに浸ってきて、まあ30代ぐらいに入ってきて、もうちょっと落ち着いたような感じのDJセットがしたいなとか、そういう風になってきた時に、やっぱりいまかけたような楽曲とかCriticalが持っているような楽曲ていうのは結構、そういう人たちにも好まれるような音ですね。

(小袋成彬)わかります。さっきも話しましたけど、ちょっとねニーナ・クラヴィッツがかけそうな感じの……まあ、垣根なんてそもそもないですけど。でも、この洗練された感じとか、すごいわかるなー。かっこいいなと僕、思っちゃいますね。まあ正直言ってね、僕はRAMとかいっぱい聞いたんですけど、お腹いっぱいで。やっぱりちょっと年齢が若いんすよ。僕も今年、28になるから。「いや、ちょっと聞けないな」って感じなんですよね。

(DJ Takaki)そうなんですよね。僕も一緒で(笑)。

(小袋成彬)なんなんでしょうね?

(DJ Takaki)まあ、ちょっと疲れちゃう感じは若干、たまにありますよね。

(小袋成彬)本当、なんなんだろう?って思いますけど。でも僕も疲れちゃうなってすごい思いました。いや、でもじゃあトレンドというか、だんだん市場が成熟しつつある中で、どう差別化を図って新しいものを出していくか?っていく風になった時に、こういう帯域が制御されたちょっとおしゃれで少し間があるようなものっていうのが……まあ、これは揺り戻しなのか、トレンドなのかはわからないですけど、なんか流行っているっていうのは間違いないでしょうね。

(DJ Takaki)そうですね。

(小袋成彬)なるほど。いやー、こういうの、作ってみたい! 趣味で作ろう(笑)。

(DJ Takaki)フフフ(笑)。

(小袋成彬)勝手に公開しちゃおう(笑)。いやー、知れました。結構、知れました(笑)。お伝え忘れたこととかないですか? 大丈夫ですか?

(DJ Takaki)そうですね。僕はこれからも引き続きロンドンに住んでいて。日本では1年に1回くらい、2月にやったような形でこっちのレーベルとか、こっちの旬なアーティストとかと一緒にツアーみたいなことをやれたらいいなと思っていて。それ以外は基本的にロンドンで活動していますので。なんか僕の活動していることだったとか、こっちでの活動というのは僕のInstagramとかTwitter、Facebookで「DJ Takaki」で検索していただければ出てきますので。

(小袋成彬)フォローすれば最新のロンドンの事情もよくわかるわけですから。

(DJ Takaki)そうですね。ストーリーとかに頻繁にロンドンの模様とか上げているので。ぜひぜひ。

(小袋成彬)じゃあぜひフォローしてください。まだしばらく、ロンドンにいますよね?

(DJ Takaki)そうですね。まだまだ全然。

(小袋成彬)じゃあ、また遊びましょう(笑)。

(DJ Takaki)ぜひぜひ。

(小袋成彬)よろしくお願いします。ありがとうございました。

(DJ Takaki)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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