モーリー・ロバートソン アメリカ政府閉鎖長期化の影響を語る

モーリー・ロバートソン アメリカ政府閉鎖長期化の影響を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でアメリカ連邦政府の一部閉鎖の長期化の影響について話していました。

(モーリー)今日はCNNの1月20日のツイートをご覧ください。こちらになります。
アメリカの政府閉鎖に対するCNNのツイートです。「The federal government has been partially shut down for almost a month now — the longest stretch in US history. Here are some answers to commonly asked questions about what’s beginning to feel like a never-ending shutdown. 」。

日本語でちょっと翻訳を見てみましょうか。「連邦政府はアメリカ史上もっとも長い間(ほぼ1ヶ月間)、部分的に閉鎖されている。終わりがない閉鎖のように感じられつつあることについて、よく寄せられる質問とその回答を紹介する」というものなんですね。

この政府閉鎖、どういうことなのか?っていうあらましを説明しますと、もともとトランプさんは自分の支持層に移民嫌いが多い。白人高齢者男性の支持層がいちばんのガチで、メキシコなどから不法に入ってきている人たちが自分たちの仕事を奪っているという風に考える移民嫌い。「これ以上、移民を入れるな!」っていう。そしてメキシコがいちばん長さが長い国境で、そこから不法移民も入ってくるっていうことで、そこに思い切って本物のコンクリートの壁を作るって言ったんですよ。

国境沿いにずーっと、いったい何百キロなんだ?っていう。で、それをね、トランプさんが選挙期間中に口走っちゃったの。「本物の美しい壁だ!」って言っちゃったんですよ。いわゆる「もっとチェックを厳しくします」とか「国境警備をもうちょっと厳格化します」とか、あるいは「指紋で認証します」とか「目で生体認証します」とか、いろいろとあるでしょう? そういうんじゃない。ダメ。「本物のコンクリートの壁じゃないとダメだ!」ってトランプさんががんばり始めちゃった。

そうしたら、それって明らかに差別をしているんですよね。貧しい隣のメキシコの人たちや、そこを通ってくる人たちを壁で追い返すのって、そんなのは人道的じゃないということで、野党の民主党が「絶対阻止!」って言って。その結果、ケンカをしているうちに予算が決まらなくなり……野党が予算案を通さないから。で、予算が決まらないから政府が閉鎖する自体に及んだ。この政府の部分閉鎖っていうのはおよそ4年ぶり。オバマの時にもあったんですね。で、今回でアメリカ政府としては19回目になります。

共和党が上下両院で多数を占めているにもかかわらずこうした自体が起きたのははじめてですね。中間選挙の結果を受けて、2019年1月からは下院は民主党が多数派になり、ねじれています。そんな中、CNNが今回の政府機関の一部閉鎖に関する特設サイトをオープンさせて、寄せられる質問に回答をしています。それがこちら。

「政府はいつ再開するのか?」「知らん」

「When will the government reopen?(政府はいつ再開するのか?)」。それに対する答え。「¯\_(ツ)_/¯」。これ、絵文字ですね。「知らん」って。日本語の「ツ」だよね。でも顔が斜めに引きつった感じ……。やっぱりインターネットの時代だなっていうか。インターネット以前の時代はこんな外国語の文字を顔文字にするなんて、向こうの写植は作れませんでしたから。だから非常に今風だなって。で、「私たちの推理とあなたの推理は互角です」って書いてある。つまり「誰もわからない」っていう意味ね。ということが書いてあって、これからこの閉鎖が続いた場合、どうなるんだろう?っていうことが推測で書かれていたりする。だからこの絵文字は「お手上げです」っていうことなんですね。

で、このページが出た後にトランプ大統領はホワイトハウスで演説して、譲歩案を提案したんですね。で、そういう譲歩案をトランプさんが出したのか?っていうと、いちばんの問題を先に言うと、壁は絶対に譲っていないんですよ。「コンクリートの壁を作れ!」って言い続けていて、「それ以外のことで取引をするから、なんとか予算を通せ。政府を再開しろ!」って言っているわけ。

ところが、壁は絶対に譲らないから、どういう小ネタで勝負しようとしているかっていうと、子供の頃。幼少期に親と不法入国した若者……たとえば赤ちゃんでお母さんと一緒に不法入国して、そのまま10代になった子とかはアメリカにいっぱいいるんですよ。その人たちを親と引き離して強制送還するのはかわいそうだからやめましょうっていう制度があるんですね。ところが、それも「親と引き離してもいいから。不法は不法だ!」って言っていたのを「それはあと3年は目をつぶってやる。これでどうだ?」とか。

あとはね、内戦や災害など、人道的な危機から逃れてきたアフリカや中東の特定の国の出身者の一時滞在を認める制度(TPS)。これを潰すって言っていたのを存続させるとか。要するに、「俺は大盤振る舞いしてるぞ!」ってトランプさんは言っているけど、そもそもあったものを自分で勝手に「潰す!」って言っていたんですよ。「潰すというのをやめてやるから」って言っているんですよ。

それ、ちょっとどっちかって言うと、さっきの商標登録の乗っ取り屋にも近いんだけども。たとえば、ビルを取り壊す時にちょっとヤカラが部屋を借りたまま……占拠屋っていうのかな? それでお金を要求するっていう立ち退きビジネスに近いことをトランプが言っているわけ。だから、まだまだ先が見えなくなって。以前も話しましたけど、この政府閉鎖に伴い、国立公園にゴミがあふれている。おトイレが詰まったら誰も直しに来ない。そして悪臭が漂うのはもう普通になっている。

モーリー・ロバートソン アメリカ政府部分閉鎖の影響を語る
モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でドナルド・トランプ大統領が求めるメキシコ国境に建設する壁の予算を巡る対立のため発生したアメリカ政府部分閉鎖の影響について話していました。 Factbox: D...

あとは、FBI。これが政府機関閉鎖の影響で資金不足に陥って、捜査が鈍っている。先日、他ならぬホワイトハウス。トランプさんがいるホワイトハウスの襲撃を画策していた男が逮捕される案件があったんですけど、それを摘発したFBIの捜査官は無給でおとり捜査を行っていた。つまり、自分の身を危険にさらして、おとり捜査で犯人に近づいていたんだけど、無給でやっているんですよ。で、政府が再開したら何ヶ月分かいきなりそこで「お待たせしました」って給料が入るっていう。だから、これどうなの? 警察が無給になったりFBIが無給になると……。

(プチ鹿島)無給はグラビアアイドルだけじゃないんですね。

(倉持由香)アハハハハハハッ!

(モーリー)あのね、いまなにかとてつもなく大きな座布団をあげたくなった(笑)。素晴らしい!

(プチ鹿島)週プレの表紙だけじゃないんですね。

(モーリー)素晴らしい! 本当にすごいと思う。

(プチ鹿島)意外な人たちが無給だってことを僕、今日わかりました。

(モーリー)それで結局、この状況をなんとかしようということで、今回の閉鎖の影響を受けた政府の職員の救済キャンペーンがクラウドファンディングでスタートしたんですよ。で、一般の人が、かわいそう。郵便局の人とか、かわいそうじゃない。給料をもらえないで。で、アメリカって週ごとに小切手をもらう給料のもらい方もあって。結局、みんなの家計は1週間単位で決めるんですよ。日本みたいに1ヶ月先じゃなくて。それでさ、「払え!」って言われて「払わなければ、延滞だ!」って言われたら困るから、そういう気の毒な人に払いましょうっていう運動が起きている。

そして全国おむつバンクネットワーク(National Diaper Bank Network)やワシントンDCで連邦政府の職員に食事を振る舞っている、直接する非営利団体に提供される。

たとえば、アメリカの政府のあるワシントンDCの近くでは、「政府職員の方はサンドイッチ無料です」とか、「ピザをタダで出します」っていうぐらい気の毒な状況になっちゃっているのね。で、結局だからこれがどんどん続くと最終的にはトランプさん、オウンゴールになって。彼は壁を譲りたくないからみんなを困らせているんだけど。立ち退き屋みたいに。ところが、立ち退き屋トランプで熱が冷めてしまうと、最終的に彼が壁にこだわったためにみんなが迷惑したっていうことで、支持層が離れたまま、もう上がってこない。

いままで燃え尽くしていたトランプさんの炎上商法が急に湿ったマッチになって燃えなくなるっていう危険性があるから、トランプさんはいま、とても危険な賭けをしていると思います。で、最後に一言いいたいのが、これを観測したニューヨークに住んでいた日本人の女性のウォッチャーがいるんですね。Twitterで非常に激しくトランプ批判や安倍批判も書いている人なんですけども。その方がこれを名付けて「バカの壁」。それにも私、座布団を送りました。

(プチ鹿島)フフフ、ねえ。大ヒットしたベストセラーですね。

(モーリー)そうなんですよ。だから本当に日本人にとってこのトランプの大騒動っていうのは最終的にバカの壁っていう一言に集約するおそれがあるという。いま、ここに来ています。

(プチ鹿島)上手い!

<書き起こしおわり>

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