モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でアメリカの中間選挙前に歌手のテイラー・スウィフトさんが民主党支持宣言をしたことについて認識を述べた件について話していました。
(プチ鹿島)モーリーさん、気になったニュースは?
(モーリー)ああ、そうですね。いま、(ZOZO TOWN前澤社長の納税額)70億っていうのでガーッと固まっちゃったんですけど。やっぱりテイラー・スウィフトかな?
(プチ鹿島)ああ、いいですね。これ、詳しく行ってみましょう。
(モーリー)まあ大きいものにたゆまずフェチを持っている私としては、1億1200万人人だったかな? そのぐらいのフォロワーを持っているテイラー・スウィフトさんの音楽もまともの聞いたことがないし、ミュージックビデオもこれからちゃんと見に行くなんてそんなこともしない。知的怠慢の塊なんですけども「1億人」っていうのが好きなんですよ。
(プチ鹿島)はい。
(モーリー)それで、ちょっと調べたら彼女は南部出身のカントリーシンガーで、いまは大スターになっている方なんですけども、南部の女性が民主党支持をしたというところにちょっとポイントを感じております。というのは南部の女性、特に彼女が候補者支持を表明したしたテネシー州は保守的なので、やっぱり福音派のキリスト教の文化もあったりするし。それから、弱者をそう簡単に救済するものではないという共和党の独立独歩、自分でがんばろうというそういうベンチャースピリット、エンタープライズスピリット。そういうのが南部では根強いんですよ。
(プチ鹿島)はい。
(モーリー)そこの人が、いわゆる「赤い州(赤=共和党有利の州)」と言われるテネシーの紋切り型ではない若い女性の白人が民主党支持を唱えたというところにいままでの「テネシーは簡単に共和党」っていうのに対する地殻変動を感じる。どういうことか?っていうと、若い世代というのはよく考えたらトランプさんの政権や公約が唯一見落としているゾーンなんですよね。よく「女性に対して失礼な振る舞いをした」とか「マイノリティーに厳しい」とか「金持ちばかり優遇している」というようなことで、政治の世界ではトランプさんをアンチは叩くわけですが、トランプさんに不安を感じる若者層、ミレニアル世代。
トランプが唯一見落としているのが「若者たち」
たとえば環境。いま、この瞬間にフロリダにハリケーンが来ている。これは気温、海水温の上昇と関係しているけども、トランプさんは「地球温暖化など存在しない」ぐらいのことを言い切るわけです。その裏には、石油化学産業に媚を売っているっていうのがあって、これを怖いと感じている若者は多いですね。あとさらに、そういう倫理的な問題にもいろいろと、LGBTとか女性の地位とか。あとは最高裁判事がいま、カバノーさんという人がゴリ押しによって承認されたじゃないですか。あの人が入ることによって最高裁の判決が5:4で共和党寄りになって、人工中絶を違憲とみなすような形に将来なるかもしれないっていうことに女性全般で「ヤバい」と思っている人も党を超えて多い。
(プチ鹿島)うん。
(モーリー)で、やっぱり若者がいちばん気にしているのは「格差」なんですよね。若者がここのところずっと、オバマ大統領の時期も通じて大学のローンをもう一生の半分ぐらいかけて払い続けなきゃいけないというほどひどいことになっている。国民健康保険もまともにない。どうすればいいんだ?っていう若者がいま、見捨てられているという疎外感がとても強い。実はそういう人たちはヒラリーではなく、バーニー・サンダースという社会民主主義の人に大統領選の民主党の予備選で流れたという、そういう過去もあるんですね。ですから、その人たちが投票率が一気に上がると……4年前にオバマ政権二期目の中間選挙があったんですけど、そこで20代の投票率はえらい低かった。これがテイラー・スウィフトさんに続けとばかりにガッと上がってきた場合、いわゆる覚醒した若者の有権者。これでね、もしかするとトランプさんに対する大番狂わせがあるかもなって思いました。
(プチ鹿島)はー。あともうひとつ、最初にモーリーさんがおっしゃいましたけども。ある意味、トランプ支持者からすると、このテイラー・スウィフトさんっていうのはもしかしたら自分たちに親和性が高い人じゃないかと勝手に思っていた?
(モーリー)自分たちのファミリーの一部の人が声を上げているわけで。「あれっ?」っていう感じがあるわけですよ。
(プチ鹿島)だから有名人が「民主党支持」っていうのを……。
(モーリー)だからジョージ・クルーニーとかマイケル・ムーアとか、そういういつもの面々じゃないんですよ。ずっと沈黙を守っていて……だってそうじゃないと1億人なんてフォロワーはつかないわけですよ。政治を一切口にしないからこそ、大スターでお姫様であり続けて。歌姫であって。たとえば、安室奈美恵さんがいきなり「玉城デニーさんを支持します!」なんて言ったら、「ええっ!?」みたいな。まあ、そことは直接比較はできないけども、それぐらいの……。
(プチ鹿島)また日本は土壌が違うから。安室さんがたとえば翁長さんに対する追悼コメントを発表しただけでもうどちら側も「安室さんを政治利用するな!」「する!」とか、なんか勝手に……。
(モーリー)だから日本はエンターテイナーというのはいわゆる政治から身を引いたご隠居のような、隠遁した隠者である必要がある。ところが、やっぱり年々いろんな要因もあったんですけど。特に欧米ではU2のボノなんかもそうですけど。やっぱり南北格差、地球上の格差の問題を「これはなんとかしなきゃいけない」っていうことで声を上げて当たり前っていう風になっていったし、「#MeToo」もそれこそ大女優たちが声を上げてはじめてプッシュがかかったわけですよね。だからやっぱりそういう社会に影響力をおよぼすことができる人がなにか声を上げねば!っていう気持ちはソーシャルメディアとか若い層では広がっていると思います。
<書き起こしおわり>