モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でドナルド・トランプ大統領が求めるメキシコ国境に建設する壁の予算を巡る対立のため発生したアメリカ政府部分閉鎖の影響について話していました。
Factbox: Departments hit by partial U.S. government shutdown https://t.co/C0mwr3OEWN pic.twitter.com/AMBQO6v1sD
— Reuters Top News (@Reuters) 2018年12月31日
(プチ鹿島)さあ、モーリーさん。気になるニュースから。
(モーリー)トランプ大統領の政府の部分閉鎖の中でスピーチをして、非常事態宣言をするのではないかと思われていたんですね。ホワイトハウスのオーバルルームからのスピーチで、要するに「アメリカは国家の安全が南側、メキシコから流入してくる不法移民とか犯罪者によって危機に瀕している。国家の一大事なんだ。だから非常事態宣言を出します」という風にトランプ大統領が宣言をした場合、その権限の中で米軍を使って壁の建設を始めることができるんですね。で、いまは壁の建設を民主党側が予算を完全に通さず、物別れに終わって一歩も譲らない。その結果、12月20日過ぎに政府の部分閉鎖が始まったわけです。
トランプさんはもちろん、ハッタリをかます人ですから「この閉鎖は何年でも続く」っていう発言もしているんだけど、すでにアメリカ中の国立公園がゴミだらけ。おトイレが詰まっても誰も職員が来ないのでトイレがあふれたままになっている。そして空港でみなさん、給料が遅配。与えられない状態で働いて、まあ後で支払われるんだけどね。閉鎖が終われば。でもいつ終わるかわからない不安な状態でタダ働きをし続けるのが嫌だからっていうので、抗議の病欠をしているんですよ。集団で。
It's day 12 of the government shutdown.
National parks continue to be impacted by overflowing garbage, human waste and vandalism as the parks remain understaffed and open to visitors. pic.twitter.com/cVhcqIHB7W
— AJ+ (@ajplus) 2019年1月3日
(プチ鹿島)ほう。
(モーリー)そうすると、空港の職員が電話で「今日は気分が悪いんで仕事に行けません」って言うと、代わりの人を入れますよね。そうすると仕事に慣れない人たちがいっぱいいるんで、空港ではあちこちで行列ができてしまう。ということで、アメリカのいろんな市民の生活がいろいろと不便になっている。そしてこれが1月中旬までさらに続くと、沿岸警備隊(コーストガード)。この人たちに対して給料の未払いがあちこちで発生することになります。一部の人たちは払われるらしいんですけど、だいぶ払われないことになるらしい。
国境を守る沿岸警備隊にも給料が支払われない
そうすると、沿岸警備隊っていうのはまさにメキシコを含めた国境の警備です。その国境警備をしている人たちの給料が支払われないってどういうことなんだ?っていう。で、それを「いや、君たちのために大統領はがんばっているんだ」とトランプが説得したところで、月末に家賃などを含めたいろんな生活費を払えないっていうことになってくると、みなさんの心が一気に支持層も含めて離れてしまう可能性がある。だからトランプさんは非常に危険な政治的ギャンブルをいまやチキンレースのように民主党としている状態です。
で、最後に言いたいのは、なぜここまでこじれてしまったのか? 普通、アメリカの大統領っていうのは野党とも妥協をするわけですよね。たとえば、壁もコンクリートではなくてワイヤーやフェンスでもいいじゃないか、みたいな。ところが、トランプさんは1回、それに折れかけた時にトランプさんをネット上で熱く支持している論客がいるんですよ。アレックス・ジョーンズなどの陰謀論者とか。その人たちが一斉に「トランプよ、公約を裏切るな!」ってキャンペーンを起こしちゃったんですよ。で、そこでトランプさんはひるんで、いま事実上アメリカの政治はそのアメリカの極右のごく一部のトランプファンによって決定されているという、まさにねじれた状態が起きている。
だからトランプさんも図らずも自分から政治的な罠に入り込んでしまって、コンクリートの壁を作らない限り、敗北してしまうというオール・オア・ナッシングに自らを追い込み、そしてアメリカの多くの市民はそれでいま、迷惑をしているというとんでもない状況になっているということですね。
(プチ鹿島)なるほど。
(モーリー)どうですか、黒井さん、こういうの?
(黒井文太郎)トランプさんのやり方っていうのは思いつきでバーンと言う。外交も安保もそうなんですけど。それに対して周りのスタッフがなんとか抑えようとする。そうすると、その彼の支持母体である先ほどもモーリーさんのおっしゃっていたようなオルト・ライトの人がけしかける。で、トランプはそのどこかの大きな声を聞いて、それに従っていくというその雰囲気で政治が動いちゃっているということですよね。
(プチ鹿島)周りの人はどんどんいなくなっちゃうし。
(モーリー)あのね、雰囲気で政治を動かすのは僕は2年か3年前、オバマの時代はフィリピンのドゥテルテだったんですよ。「ああ、この人は怖いな、雰囲気だな」って。ところがいま、アメリカっていう世界最大の国が雰囲気でやっているっていうね。
<書き起こしおわり>