モーリー・ロバートソン 香港抗議デモと中国政府の戦略を語る

モーリー・ロバートソン 香港抗議デモと中国政府の戦略を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で香港の逃亡犯条例に抗議するデモについて、中国政府の思惑や戦略も含めて話していました。

(モーリー)香港のデモの話題、行ってみたいんですけども。要するに香港の行政府というのは中国に上目遣いでいなければいけない存在なんですよね。言わば、中国政府が徐々に香港の市民を手懐ける役割を担っている機関なわけですよ。ですから「デモクラシー、一国二制度を保つ」とは言いながらも次第次第に有耶無耶に中国の言い分が通って。「ここは中国だよね?」っていうようなことを説得する係なのね。

(プチ鹿島)既成事実にする感じ?

(モーリー)そう。なので、逃亡犯条例の無期限先送り……中国政府が香港にいる人であってもでっち上げの罪でもいいからしょっぴけるっていう法律の改正をしようとしたんだけども。「これはやめます」って言ったんだけども、「それでは足りない! 中国政府は露骨に香港市民の民主主義を制限して中国化を進めようとしていて、毅然と歯向かおうとしない、そんな行政府はそもそもおかしいだろう?」という風にまあ、反乱が起きているわけですよね。

で、香港の人たちってどっちかっていうとデモをやっても「はい、仕事、仕事……」って帰っちゃったりするんだけど、今回ばかりは脅威を感じているので非常に、多少暴徒化するとか、多少前よりも実力行動に出る人たちが増えてきているわけね。で、それに対して中国は逆に、ここで戦略的に「あ、殴ったな? じゃあ、うちが被害者ね!」って。

(プチ鹿島)ああーっ!

「あ、殴ったな? じゃあ、うちが被害者ね!」

(モーリー)あのね、これは都市伝説というか、デモをやる左系の日本の活動家で言い伝えられてきたものなんですけども。「転び公妨」っていう。転んで、「公務執行妨害だ!」って。

(プチ鹿島)「あっ、痛い痛い痛いっ!」みたいなね。

(モーリー)だからデモ隊と機動隊や警察が競り合った時に「あ、殴ったね? じゃあ、逮捕!」とか、警察官が自分で転ぶっていう。で、それが本当になされているのかどうかわからないけど、デモをする側はそれを警戒するわけ。で、これがまさにその転び公妨っぽくなっているわけよ。「そこまで暴力行為に訴えるんだったら、これはテロだから。それを治安維持で香港の地元の警察が鎮圧してもいいよね? 法律にそう書いてあるからね。公妨だからね?」みたいに中国政府もそれを後押ししているんですよ。だから、レトリックに過ぎないんですけども。もちろん中国は本当に自分の思い通りになるんだったら、中国の人民解放軍がそこに行って、もう普通に中国のデモを鎮圧するのと同じように超暴力的に。それで報道も許さないっていう風にやりたいわけじゃない? 本音では。

(プチ鹿島)はいはい。

(モーリー)ところがそれをクッションを入れなくちゃいけなくなったから相手の一部が暴徒化するのを待って、「ほら、これは暴動だ!」みたいに欧米に対するつばぜり合いを展開しているんですね。だからこれがこのままどうなるか?っていうことなんですけども。とにかく香港行政府は本当にただの中国の御用出先機関でしかなくて、市民の信頼を回復することはたぶんないんですよ。なのでそこを中国は果たして読めているのか?っていうことですね。ポイントは。

(プチ鹿島)なるほど。ありがとうございます。

<書き起こしおわり>

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