モーリー・ロバートソン キム・カーダシアン「KIMONO」問題と捕鯨を語る

モーリー・ロバートソン キム・カーダシアン「KIMONO」問題と捕鯨を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で日本文化の盗用だと批判されたキム・カーダシアンさんの下着ライン「KIMONO(キモノ)」問題について、日本の商業捕鯨再開問題と絡めて話していました。

(モーリー)商業捕鯨の話がありますよね。これを僕はキム・カーダシアンの「KIMONO(キモノ)」と結びつけて考えたんですよ。

(プチ鹿島)これ! これはこの番組ならではですね。どういう接点がありますか?

(モーリー)まず、キム・カーダシアンさんのKIMONO騒動から簡単に説明しますと、「KIMONO」っていう商標を登録しようとしたんですね。自分のいろんなラインの中に。ところがそれをやってしまうと日本の着物製品をアメリカで売る時に、全部カーダシアンさんを通さなくてはいけなくなるような危険性があるという。あとは日本の文化がそういう他国の商品に矮小化されていいのか?っていうこともあり。

最初はその文化盗用に対してアメリカで炎上が起きたんですけども、一拍置いてそれが日本で紹介されると日本の側で「これは由々しきことだ!」っていうことで最後は大臣や市長さんクラスの人たちがキム・カーダシアンさんにメッセージを出し始めたんですよ。それで、ほぼ外交問題に発展するんじゃないか?っていう一歩手前で、カーダシアンさんは最初は炎上上等で行っていたのがクルッとUターンをして。

「別の名前にします」ということで。「日本のみなさん、KIMONOという名前で怒らせてごめんなさい」とは言わず、どちらかと言うとアメリカ式火消し。それは相手を褒めることで……「着物は大好きです。着物をリスペクトしています」っていうことでUターンしているけど、要は「KIMONO」という商標登録からカーダシアンさんは手を離しちゃったということですね。

「KIMONO」商標から手を引いたキム・カーダシアン

(プチ鹿島)「商標登録」っていうことでこれだけいま、盛り上がっちゃった。

(モーリー)で、その日本側の一拍遅れた炎上はよくわかるんですよ。「よくわかっていないくせに我々の着物に踏み込むとはなにごとだ!」的なね。いつものお約束。ところがアメリカ側の、キム・カーダシアンさんを文化盗用としてアメリカ人で批判していた主なリベラルな人たち。これはいわゆる長いパターンがあるんですよ。

白人男性がその白人男性の価値観で非白人、あるいは旧植民地の文化を商業的にパクる、盗用する、自分の商品化するということに対するとても強いアレルギーがリベラルの中にあるんですね。で、たとえば数年前にボストン美術館がヨーロッパで描かれた印象派の絵で着物女性の絵があるんですよ。ヨーロピアン式に着物を着たなんちゃって白人女性の絵なんですけど。100年ぐらい前のもの。これを展示するにあたって、「キモノ・ウェンズデー」っていうイベントをやり、来場者がその絵の前で着物チックなコスプレで写真を撮れますっていうのをやった。

そしたら、これに対してアジア系アメリカ人女性団体なる団体が猛抗議をして。美術館の中でプラカードを掲げるに至った。で、その時の報道写真を見ると、東洋人はいないんですよ。中国系も日本系もいない。なんかスリランカ系とか、いろんなアジア全体を代表する怒れる若きミレニアル女性たちが「こういう白人文化による日本の文化盗用を許さない!」って代理戦争をしてくれているの。

(プチ鹿島)うんうん。

(モーリー)で、ボストン美術館はその時に平謝りしたわけですよ。でね、不思議なのはこういう風に白人VS非白人というリベラル系の社会的なジャスティス、社会正義のために戦う人は多い。ところが、同じリベラルが「日本の鯨は許すまじ!」っていう。一方で「日本の着物を守れ!」って言った同じ人たちが返す刀で「日本は鯨を食べるなんて……なんてかわいそうなことをする悪い国なんだ!」って言って。いわゆる「すんのかい、せんのかい!」っていうコントになるんですよ。「日本を守るんかい、守らんのかい?」っていう。

(プチ鹿島)あのよしもと新喜劇の。

(モーリー)乳首ドリルですね。

(プチ鹿島)はー。そうかそうか。言われてみるとそうですね。一方で日本の文化を守ってくれたと思いきや……。

「日本の文化を守るんかい、守らんのかい?」

(モーリー)うん。食文化とか、北海道で鯨に依存をしていまは捕鯨禁止で経済的にダウンして苦しんでいる人たちを助けようとか、そういう機運にはならない。むしろ「人間が鯨を食べるとは何事か? こんなことは必要ないし野蛮で悪いことで環境破壊にもなる」っていう感じ。「鯨を絶滅させていいのか?」みたいに。結構ね、「着物を守る」という感情もスイッチが入ってプチーン!ってなったんだけど、「鯨を守る」にもプチーン!ってなっていて。どっちもネゴシエーション不可なんですよ。だから逆にアメリカのリベラル層がよくある昔からの清濁併せ呑む大人の解決策って会ったじゃない?

(プチ鹿島)ああ、落とし所とかね。

(モーリー)落とし所とかがない人々が……特にオンラインではそういう声が発露しやすい。こういうアメリカの実情が実はこの2つをつなぐと見えてくるんじゃないかなと思いました。

(プチ鹿島)「清濁併せ呑む、落とし所」で思い出したのが二階幹事長なんですけども。二階幹事長の地元がまさに和歌山で鯨。

(モーリー)それね、ロイターが書いていたの! 山口県下関は安倍総理の地元じゃないですか。だから二階さんと安倍さんがお互いに政治的に媚を売ってやっている。しかも、商業捕鯨にすると本当にマーケットがなければ自然にマーケットの中で淘汰されていくので。政治の力なしで勝手に転んでくれるんですよ。自民党としては「やることはやった」っていう風にメンツは保てるし、有権者にも言い訳がきいて。「あとはみなさんの努力で……」って、いわゆる例の自己責任論。それで淘汰させてしまえばどうせ捕鯨は消えていくから問題も消えるという、あざとい戦略を狙っているのではないか?っていう風にロイターは書いているのね。

(プチ鹿島)なるほどね。そういえば二階さんがこの間、「選挙をがんばった地域には予算をつける」っていう、もうそのまんまの発言をしていましたけども。

(モーリー)フフフ、すごいトランプさんっぽい(笑)。

(プチ鹿島)その延長線上で言うと、「選挙がんばったうちの和歌山には鯨をつける」みたいな。そういことなのかな?って。

(モーリー)だけどその鯨もその後は「商業」なんだから自分たちでちゃんと売ってくださいねって。いろんな物産展とかでカニとかみたいにがんばるわけじゃない?

(プチ鹿島)そもそも鯨に対する需要があるのか?っていう。

(モーリー)そうそう。需要がそもそもないし。

(プチ鹿島)「あるのかい、ないのかい?」って(笑)。

「鯨の需要、あるのかい、ないのかい?」

(モーリー)そうなのよ! それで結局、最後は自民党が手を汚さずに済む。ツケは実際の弱った捕鯨業界とか、それこそ太地町のイルカ業者に「自分たちで自助努力してくださいね。どうぞ」って言ったら勝手に潰れるというね。

(プチ鹿島)だから「俺たちは動いたぞ。あとはみなさんで……」っていう。なるほどね!

(モーリー)いやー、さすが自民党! (裏番組でニュースをやっている)NHKでこんなこと言っている? 言ってないよね? だからこの番組、見て!(笑)。

(プチ鹿島)いやー、絶対に言わない! 岩田記者、お元気でしょうか?(笑)。

(モーリー)フハハハハハハッ!

<書き起こしおわり>

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