モーリー・ロバートソン カナダの大麻全面解禁を解説する

モーリー・ロバートソン カナダの大麻全面解禁を解説する テレビ

モーリー・ロバートソンさんが日本テレビ『スッキリ』の中でカナダによる大麻の全面解禁について解説。解禁の背景や今後起きるであろうことなどについて話していました。

(水卜麻美)さあ、改めてカナダで大麻の使用などが全面解禁されたということなんですが。

(加藤浩次)これ、びっくりしたよね。全面!?っていう。一部じゃなくて全面なの?ってびっくりしましたけど。日本では当然、違法行為ということなんですけど、カナダでは全面合法化したと。その理由としてはなにがありますか?

(水卜麻美)まずあらためてここから見ていきましょうか。この「全面解禁」という言葉ではあるんですけど、もちろん購入には一定の規制がかかるというところもさらっていきたいと思います。まず、年齢制限があります。州によって異なりますけど18歳、あるいは19歳以上という風に定められています。こちら、ご覧いただきたいと思います。他にも認可を受けたお店のみで販売されています。所持できるのは1人30グラムまで。他にも栽培は1世帯で4株までという風に定められています。

(加藤浩次)自宅で栽培していいっていうことだよね。4株までは。

(水卜麻美)栽培してもいい。ただし制限があるということです。他にも未成年に大麻を販売したら懲役14年以下の罰則がある。こういう決まりがあります。

(加藤浩次)ここも、まあ未成年に販売すると懲役14年以下……これは相当厳しい罰になっていますね。

(モーリー)そうですね。ですから大人の個人所持という範囲では規制が緩和されたわけですけども、それを子供に渡すことはいけない。未成年が自分でなんとかして手に入れた場合は罰則はあるんですけどもどちらかというと微罪です。

(加藤浩次)そうなんだ。

(水卜麻美)未成年には罰金刑という風に決まっているようです。

(加藤浩次)じゃあカナダはなんでこれをやったのか? ここに踏み切ったのか。理由を聞いていきましょうか。

(水卜麻美)はい。モーリーさんに狙いは大きく2つあるということですが、ここを聞いていきたいんですが。ひとつ目は「犯罪組織の撲滅」。

(モーリー)はい。

(加藤浩次)なんか大麻が街に横行する、広がって蔓延してしまうと犯罪組織は増えるんじゃないか?って思うんだけど、撲滅される?

(モーリー)そうですね。実は大麻は事実上、蔓延はすでに何十年もカナダ、そしてアメリカではしていました。もう1970年代ぐらいからは一般の家庭でティーンエージャーになった思春期の子供が大麻は友達から渡されたりするとか、経験者は本当に過半数にものぼっています。

(加藤浩次)へー! 半分以上の方が大麻を経験している?

(モーリー)経験している。だって、アメリカだとオバマ元大統領は「高校生の時に日常的に常習していた」っていうことを自分の自叙伝で告白しているんですね。ですから、非常に……大統領になる人も含めて、普通にそこには中産階級のレベルである。いわゆる貧しいエリアやスラム街だけではないわけですね。一般に蔓延しています。ところが問題なのはこれにさらに、最近は毒性が高い……つまり依存性が高い薬物がそういう闇のマーケット、闇市場にどんどん蔓延して若い人たち、そしてお年寄りも蝕まれていっているという現実があるんですね。

(加藤浩次)ああ、大麻よりももっと強くて体に害のあるものが蔓延している?

(モーリー)はい。鎮痛作用のある薬物などが、場合によっては一部の医師が処方したものが横流しされる場合もあるんですけども。お年寄りも含めて鎮痛剤(オピオイド)が蔓延して、それによって死亡者数がもう何百、何千と出ている。これは北米全体のパターンです。そしてそれを動かしているのは麻薬カルテル、組織なんですね。そういう組織の収入源の末端でマリファナ、大麻を解禁することで、そこからまず収入を得て次の強い薬へと移すというような手口を麻薬組織は使いますので。もし若い人たち……主に若い人たちが大麻へ強く反応するんですけども、これがたとえば薬局のようなところで大麻が買えるようになって合法であるとすると、わざわざ危ない思いをしてそれ以上に麻薬に手を出すことはないだろうということで。

(加藤浩次)はー!

毒をもって毒を制す考え方

(モーリー)実は毒をもって毒を制す考え方なんですね。そこに緩衝材として大麻、ソフトドラッグを入れることで、ハードドラッグ。依存性が高いものに行く人たちが激減する。したがって組織の収入も激減する。

(加藤浩次)そうなのか。組織から買わなくなるし、国が管理することになるから組織の収入も激減する。ということは、犯罪組織を撲滅する方向に向かうという?

(モーリー)そうですね。完全な撲滅というのは、これは国際的な組織ですから無理なんですけども。少なくともカナダという社会に対する麻薬組織の影響力は大幅に減らすことができるということなんですね。

(加藤浩次)ひとつ目の狙いはこれ。さらにもうひとつ。

(水卜麻美)2つ目がこちらですね。「経済効果への期待」。

(モーリー)はい。事実上、非合法の状態でもすでに、去年の段階でカナダの人口の13%にあたる490万人が嗜好、医療あわせてそこで動いていたお金……推計でしかありません。非合法も含めますから。約4850億円分の大麻を購入しているんですね。ということは合法化されると、そこにたとえば10%、それ以上のたばこ税のように課税をした場合、国の税収源にもなります。そしてこれを合法化して新規ビジネスや雇用を創出することもできますし、さらにはいままで、医療が大麻の厳密な臨床データに基づいた研究すること自体が非合法だったんですね。それがカナダでは医療機関がきちんとそれを研究できる。もしかしたら日本の製薬会社が投資した研究所もそこで研究できるかもしれません。それによって酩酊作用の少ない新薬。鎮痛薬などが開発されることも望めるので……。

(加藤浩次)ああーっ、そういうことか!

(モーリー)リウマチや偏頭痛など、お年寄りの高齢者医療にも役立つという風に、かなり短期でいろんな臨床データや恩恵が期待できる。

(加藤浩次)ただ僕ね、ショッキングだったのは「解禁になりました!」っつって、こーんなぶっといのを吸ったり、踊ってウワーッ!ってやったりして。ボジョレー・ヌーヴォーの解禁じゃねえんだから。ええっ、あんなやっちゃうの?ってびっくりしちゃうんだけど。

(モーリー)これはですね、やっぱり北米はもともとキリスト教文化が強い。ほら、アメリカ合衆国やカナダが作られた時は植民地として白人のキリスト教徒、厳格なプロテスタントの人たちが最初に打ち立てた国家なので。両方とも。キリスト教道徳っていうのはそういうフラフラして働かないということに対して殊更に罪悪感が強いんですよ。だからそういう価値観、倫理観として禁止する。ダメなものはダメ!っていう厳格な社会の伝統があるんですね。だからカナダでもアメリカでも、「大麻を解禁するなんて自分の生涯に起きるわけがない」って子供の頃から思っていたのが、それが解禁された!っていう喜びがこういう風にして表現されているのかもしれないですね。

(加藤浩次)だってカナダの国旗を大麻の葉っぱにしちゃってるんだよ? これ、大変なことよ!

(モーリー)これにおける暗示は、これから観光収入がすごく期待できる。たとえば、国境沿いのアメリカの州、いくつもあります。ところがそこの大麻解禁は「医療だけ」とか「まだ解禁していない」っていうところがいっぱいあります。そこの人たち、バスに乗ってカナダの国境を超えた途端に国境の向こうにあるカフェみたいなところで大麻、できるから。そうすると観光収入が全部カナダに行っちゃうんですね。下手すると、何千億円クラスの観光立国になってしまうんじゃないか?っていうようなジョークがあのカナダの旗に大麻の葉を入れたというところにあると思います。

(加藤浩次)そういうことか。で、大麻解禁。これが加速していくんじゃないか?っていう。いまの話でお金や観光客が全部アメリカからカナダに流れていくっていうことですね。

(モーリー)そうですね。(カナダと国境を持つ)ここらへんの州(ワシントン、オレゴン、カリフォルニアなど)は解禁されているんですが、ここらへん(アイダホ、モンタナ、ワイオミング、ノースダコタ、ミネソタなど)の人たち。より保守的な州なんですよ。やっぱり遅れるんですね。様子を見ている状態。ところがここで、収入が結局こっち(カナダ)に全部流れていってしまうとなると、もともと財政に困っている州ばかりなので、やっぱりドミノ的に、将棋倒しのように。すでに全面解禁している州では税収もどんどん上がっていますから、財源確保ということで現実的に、「お金がほしい」ということで医療大麻、そして全面解禁へと向かう州は増えていくと思いますね。

(加藤浩次)そうか。

(水卜麻美)現在のアメリカの状況としては9の州とワシントンDCで全面解禁されていて、医療用の大麻は30の州とワシントンDCで認められている。そしてアメリカでは65%の人が全面解禁を容認しているというデータがあります。

(加藤浩次)半分以上が解禁を容認している。

(モーリー)アメリカは3億人いるんですけど、その65%(約2億人)ということは……日本が1.5個ぐらい入るのかな? 日本の総人口より多くの人が、「「日常的に大麻? うん、別にいいんじゃない?」って言っているわけですよ。

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