モーリー・ロバートソン『新潮45』休刊と命の序列思想を語る

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モーリー・ロバートソンさんがAbemaTV『けやきヒルズ』で雑誌『新潮45』休刊についてトーク。安倍政権が杉田水脈議員を間接的に擁護することによって将来的に発生する「命の序列」思想やそのリスクについて話していました。

(徳永有美)休刊を発表した時の新潮社のコメントは「新潮45はここ数年、部数の低迷に直面した」ということでお話があったんですけど、実際にここ10年の推移を見てみたいと思います。このようになっているんですが。2008年は42833部、印刷部数があったんですけれども。ピーク時は2002年に10万部まで行ったこともあるそうです。それがどんどんどんどん下がって、最新では16800部ほどが印刷部数ということなってるんですけれども。

(モーリー)売上はこれに✕0.6ぐらいですかね?

(徳永有美)それぐらいですね。で、この新潮45なんですが過激な特集を最近は組んでいたということなんですね。たとえば「『反安倍』病につける薬」。それから「非常識国家・韓国」。そして「日本を不幸にする朝日新聞」などなど、本当に過激な特集を組んでも組んでも、部数がどんどんどんどん下がっていくというような状況はあったみたいなんですけどもね。まずはこの新潮45の流れいうのはどのようにお考えですか?

(モーリー)そうですね。過激な特集を組んで固定ファンを喜ばせるんですけども、固定ファンがそれでもじわじわ減っていくわけですよね。ということは、刺激がもっと強くないと、1回慣れてしまった状態でひたすら朝日新聞を仮想敵にして、より朝日の危機を……毎月「もっと怖い朝日新聞」っていう虚像を作らないと売れなくなっちゃって。その中でこれ、出てきたという過激な演出だったんじゃないかと思うんですよね。

(徳永有美)そうですよね。それから今回、その新潮45の特集に対して、そこを支持する一部の人がいる。それから全く支持できないという人がいる。もう分かれましたよね。

(モーリー)これは実はアメリカのトランプ現象でも見られることなんですけれども。真っ二つの世界観に分かれてしまう。まるでパラレル・ユニバースが二つ、同一の現実について見解が真逆から見ている状態。たとえば、いまこの新潮45の休刊を「不当だ! 言論の抑圧だ。きっとこれは大きな力が働いたに違いない」と執筆した当事者たちもいま、ネット上の記事で反論している状態なんですね。

(徳永有美)そうですね。

(モーリー)そして、その支持者というのは「やはりこれは左の勢力、ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)というものが言論を封殺していく過程の悪しき事例だ。今後恣意的に都合の悪い言動はいろんな圧力団体が出版社やメディアに押しかけて封じることができるから恐ろしい時代だ。これこそ言論ファシズムだ!」というのが擁護する側の見方なんですよ。つまり、(自分たちは)迫害をされている。そしてその中で、ここで執筆をされた小川榮太郎さんのような方は、いわば「迫害された受難者」。キリスト教的に言うと「殉教者」ということになっていくんですね。

(徳永有美)はい。

(モーリー)そして外から見てる人たちは、その同一の小川さんの論文を「もう読むのもおぞましい」と。そして杉田さんの論文も改めてあちこちで紹介されていますけども。「断片だけを読んでもおぞましいから、本編なんか手にとって読むものか!」ってなるわけですよ。そうすると、その隙間に擁護する人は「ほら! 全文を読んでいない。小川さんの論文もちゃんと読めばわかるはずなのに、読んでいない。曲解をしている」という風に、あくまでも平行線に行ってしまう。この現象がございます。

(徳永有美)まったくもってひとつの物語でひとつの事実なのに相反する受け取り方、受け止め方、展開の仕方になっていくということですよね。

(モーリー)そうですね。そしていわゆる「差別をほのめかす」という手法を杉田さんも他の執筆陣も使ってると思うんですけども。直接的な用語は使わないんだけども、「生産性」というメタファーを持ち込むことによって、「生産性=出産=普通の家庭」。それ以外の人がシングルマザーとか子を産まない女性も含めて、生産性が少ないから、国への貢献度が低い。国への負担だ。国家という大きなアイデンティティーにとって毀損する存在であるということを、ほのめかすわけですよ。だから詭弁なんですよね。

(徳永有美)うんうん。

(モーリー)ところが直接、「この人たちは国外追放した方がいい」とかそういう言い方はしていないでしょう? そしてそれをいわゆるリベラル側というか、反対する人たちはそれがほのめかされているということを突くわけですよね。そこで「言った」「いや、言わない」っていう風になって永遠に……そして、この議論は騒げば騒ぐほど、紛糾すればするほど、実は瞬間的に新潮45は売れていたんです。お店から消えていったりとか。

(徳永有美)そうですね。

(モーリー)だからやっぱり憎しみというものは短期的には商売になってしまうという事例を図らずもこの両者の対立が作ってしまったんです。

(徳永有美)それから、今回の杉田水脈議員に対して自民党の安倍総理ですとか二階(俊博)さんの反応っていうのもありましたよね。

(モーリー)そうですね。それが非常に生ぬるくて。安倍総理は「(杉田議員は)まだ若いのだから、これから諭していきたい」といった路線でいる。そして二階さんとしては彼女の言論を同等に……いわゆる「どっちもどっちじゃないか」といったニュアンスを醸し出しているわけですよ。これがちょうどアメリカのトランプ大統領が去年、白人至上主義者とカウンターのデモが衝突して人が1人死んだ時に、主に白人至上主義の側、KKKの側が暴力を振っていてたのにもかからず、トランプさんはどっちもどっち論を出したんですね。「どっちにも暴力があった。だからこれは簡単に白人至上主義を攻撃・非難できるものではない」という。だからそういう身内への甘さなんですね。

(徳永有美)うんうん。

(モーリー)トランプさんの場合は露骨に自分の支持基盤にそういう人が多いからなんですけども。安倍政権において、杉田さんをこういう風に直接的、間接的に擁護することのリスクを私、考えてみました。

(徳永有美)どこにあるんですか?

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「生産性」発言から生じる「命の序列」

(モーリー)どこにあるかというと、杉田さんが提唱していた世界観というのは「生産性」という言葉を使います。ということは、「国というものが個人よりも重要な、大事なものである」という世界観は多分、支持者もそこは共有してるところですね。そしてその日本という国、大きな存在の中で、それに貢献するのは「異性婚」。いわゆるヘテロで伝統的な結婚をして、2人以上出産する人は国に貢献をする。それはそういう(生まれて育てられた)人たちが将来税金を払うかいいことだ。

そして同性愛者とかシングルマザー、あるいは子供を産まない女性というのはなんか邪魔をして将来的に社会保障に圧迫をかける。これは「生産性が低い」ということなんですね。ところがそれを突き詰めていくと「功利主義」といいまして、1人1人の市民の命に序列をつけるんですよ。国への貢献度で。それは会社で社員を査定する時の経営者目線なんですね。あなたはこの企業に貢献してるから出世します。貢献していないから左遷です。それを国民の命、尊厳に対して「あなたは子を産まない人で同性愛者だから、子を生む異性愛者の人よりもあなたの尊厳はちょっと目減り」みたいに、どこかで誰かが査定をしている。

そしてね、私は思ったの。これと加憲を足した時の、その化合物。このカクテル=火薬(ガンパウダー)っていう風に思ったの。どういうことか?っていうと、いまは安倍総理は非常にマイルドな改憲である「加憲」ですよね。「自衛隊を憲法に明記する」って言っていますけども。それの扉がちょっと開くと、将来の次の国民投票で最終的にはアメリカも信用できないし、いまのトランプのああいうこともあるから日本が本当に自分で自分を自主独立で守らなくちゃいけないという時は、何らかの形で徴兵制が必要になってくるんですよ。

(徳永有美)戦争にかかわる時代がもしかすると来るかもしれない。

(モーリー)そう。戦争という現実を直視せずに、いままでの私から見ると「お花畑」の憲法9条理論があったわけ。それを超えた時、これがこのまま残っていると命の序列がそこにかかわってくる。つまり、徴兵をする……日本人が全員、一律ある年齢の達したら24ヶ月、あるは18ヶ月、兵役に付きましょう。それは非常にマイルドな事務的な手続きもあるけど、兵役は兵役。それで有事が起きた時、誰を最初に前線に送るのかを決めなきゃいけない。その時、命の序列で、「ええと、ゲイの人は貢献していないから、先に地雷のあるところにちょっと行ってもらって。そして貢献している人は二番目に行って。そしてお金持ちや政治家ややんごとなき人の家族はなにがあっても戦争にいかない」なんていう序列はどうでしょうか?っていうことなわけですよ。

(徳永有美)そんな怖い種がここにあるんですか?

(モーリー)うっすらと、その種の像(イメージ)みたいなものが私には見えてまして。ここで有耶無耶に杉田議員の発言を安倍政権が擁護したまま加憲という、「これも痛くないから。これもちょっとマイルドだから……でも、憲法改正っていうことだよね?」って言って。「はい、お口あーん! 甘いよ、甘いよ!」って飲み込んだ後にポイズン(毒)がブワーッと。ポイズンピルです。だからこれがプラスした時のカクテルが将来のなんの道を開けるのか?っていうと、命の序列。プラス徴兵制。有事の時に「あ、どうなるかわかってるよね?」みたいな。それを私は透視してしまって昨日、ちょっと興奮して寝られませんでした。

(徳永有美)でもいま、その二つの流れというか、大きな流れが完全に相反して、双方が受け入れようとに全くしていないじゃないですか。どんどんどんどん凝り固まっていく。

(モーリー)そうですね。なので、私が言ったこともこれは「リベラルに最近転向したモーリーの妄言である」という風に擁護する方は、じゃあそうすると新潮45がなくなったということは、プラットフォームが縮まります。具体的に言うと月刊Hanada、WiLL、そしてDHCの虎ノ門ニュースですよね。そういうプラットフォームへと右派論客がどんどん凝縮していく。そして凝縮して固まった時になにが起きるか?っていうと結局、収入面でみなさんプロですから仕事が必要だよと。そうすると、より小さくなった縮みゆくパイをより多くの人数が参入して奪い合うことになるので、その中で目立つためにはより過激に。

(徳永有美)もっと過激にね。

(モーリー)今回の新潮45以上に過激な発言をネットでしなくてはならなくなり。そこにお金が固定客で発生し、そしてそれをサポートする人たちもその物語の中へと……いわゆる立てこもりバリケード状態になるんですよ。ところがそれを一般社会がちょっと涼しく「なるほどね」って見ているんだったらいいんですけど、そこにあまりにも興奮してしまって。「こんなものがあってはいけない。この本をみんな集めて燃やせ!」っていうぐらいに自分なりの正義でリベラルの人が言っちゃうと、これもカルト化するんです。

(徳永有美)ねえ。こっちで同じエネルギーで対抗すると、そういうことになるということですね。

(モーリー)だから目の前に出された情緒的な正義のお饅頭を食べない。目の前にあるけど、じっとそれを見つめるっていう……私、タバコを吸ったことはないんですけどタバコを禁煙する時にはあるテクニックとして、1本我慢するっていうのがあるらしいんですよ。1本吸わないでおこうって思うと、次の1本が楽になるそうなんですよね。

(徳永有美)じゃあまずはその動こうとする、なにかを言おうとする一歩をちょっとこらえてみる。

(モーリー)そうですね。もっと生々しい言い方をすると、多少の言論の麻薬と気持ちよさに中毒になっている人がどうやって減薬をしていくのか?っていうのはやっぱりステップがあって。少しずつ少しずつ自分と相談しながら。そして自分がそういう右であれ左であれ、杉田議員をけしからんと思うのであれ、守ろうと思うのであれ、情緒的な脊髄反射をしているその自分をまず見つめてほしいと思いますね。

(徳永有美)わかりました。はい。

<書き起こしおわり>

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