モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でネット番組の生放送中に大麻を吸引したことが報じられたテスラ社CEOのイーロン・マスクさんについてトーク。そのニュースを報じたイギリス・ガーディアン紙なども含めて話していました。
(モーリー)今日はトランプさんではありません。でも、僕の好きなもうひとつのトピックは引っかかってきます。今回はガーディアン紙の9月7日のツイートです。ご覧ください! これはテスラ社のイーロン・マスクCEOなんですね。彼がどうしてこういう表情で、このモヤモヤはなんなの?っていうのも解説します。まずは英語です。
Support the "most insufferable newspaper on planet Earth". Make a contribution to the Guardian today: https://t.co/XgIgDfD6vg pic.twitter.com/HcMngjKuqN
— Guardian US (@GuardianUS) 2018年9月7日
で、ここで面白いのは「Support」っていうのは「支持する」っていう動詞なんですけど、それをそのままの形で使うと命令形になるんですよ。で、命令形っていうのは「サポートしよう、サポートしましょう」っていうような呼びかけにもなっていて。弱い命令形なんです。で、もうひとつある「make a contribution」っていうのもやっぱりこれも勧誘の命令形なんですね。で、なにをサポートしたいのか? 「地球という惑星でもっとも鬱陶しい新聞を支持しよう。そのためには今日からガーディアンを買い支えよう!」っていうガーディアン紙自身が「我々は地球でもっとも鬱陶しい新聞と呼ばれているけど、そんな素晴らしい我々を買い支えてね」っていうちょっとユーモアの入ったやつなんですね。
(プチ鹿島)はいはい。
(モーリー)そしてこの下にでっかく出ているのはイーロン・マスクさんのクオート、彼の発言です。イーロン・マスクはこう言った。「ガーディアン紙は地球(Planet Earth)でもっとも鬱陶しい新聞だ」と彼は言っているんですよ。さて、どうしてそれを言われたのか?っていうことなんですけども……はい。で、なにが起きたのか?っていうことなんですけども。どうしてイーロン・マスクはそこまでガーディアン紙を疎んでしまったのか?
(プチ鹿島)うん。
(モーリー)彼はWEBの生中継番組の最中、コメディアンが司会をしている番組だったんですけども。「もう何でもありだ。僕はここでいろいろとしゃべると問題が起きるからね」って言ったら司会者がそそのかしたんですよ。「いや、イーロン・マスクはイーロン・マスクのままじゃないと!」って。そしたら彼がどんどんいい気になって。コメディアンがその目の前でマリファナを吸っていたんですよ。で、カリフォルニアから中継をしているので、カリフォルニアではすでにマリファナは違法ではありません。それでイーロン・マスクは「それ、なに? 葉巻?」って聞いたら「ううん、マリファナ。吸ってみる?」って言って。そしたら「うん!」ってその場で吸ったんですね。
で、「俺はこういうの、あんまり吸わないんだけどさ。どうなんだろう?」っていう。マリファナを平然と吸ったわけですよ。するとそれをすかさずガーディアン紙がスクリーンショットをキャプチャーしてパッとニュースにしちゃった。だから彼はそこらへんは別にニュースにされてもいいと思っていたんだけども、実際にイーロン・マスクさん、どのぐらい影響力があるのか?っていうと、テスラ社のCEOなんだけども。日本で言うと、いちばんテレビで引っ張りだこだった時代の堀江貴文さん。
(プチ鹿島)なるほど!
(モーリー)いまはちょっと、逮捕歴もあったりしてなんかいまひとつエンジンの再始動が難しいのかなっていう。
(プチ鹿島)まあ、出始めの頃のホリエモンですね。
(モーリー)そう。出始めの頃。ライブドアの株が急騰する。そうするとその株を分割する。それでまた上がるみたいなすごい無限回路がありましたよね。
(プチ鹿島)風雲児みたいなね。
(モーリー)そう。堀江さんに近づくためにあそこの森タワーの中にJ-WAVEがあってそこで勤めていたんですけども。ちょっと違う階に行くと堀江さんが実際に行ったり来たりする中をポニーテールの怪しい投資家とかもいる中、「おおーっ!」みたいな状態でみんな大名行列になっていた。
(プチ鹿島)それぐらいの感じ?
問題行動連発のイーロン・マスク
(モーリー)それぐらいの勢いがある方なんですね。ところが彼は最近、いろいろと問題行動を報じられていて。たとえばタイの洞窟で遭難した少年たちをイギリス人のダイバーが助けに行った時、マスクさんが「自社の潜水艇を使ってくれ。寄付する」って言ったんですよ。そしたらそのダイバーは「いや、この狭さだとその潜水艇は役に立たない」って言ったら急にキレ始めて。「お前は子供を救うふりをして本当は小児性愛者なんだろ!」みたいな言いがかりをTwitterでみんなの前でつけたからそれがニュースになっちゃって。それがもちろん事実無根だっていう風になったんですけども。その後最近、またもう1回蒸し返して。「あいつは小児性愛者じゃない。あいつは子供のレイプ加害者だ!」みたいな。どんどん妄想の世界に入っているわけ。
(プチ鹿島)ああー。
(モーリー)加えて、いまテスラの株価が不安定になっている。労働組合を作ろうとしたら阻止されたとか、そういうことも報じられているんですけど、いろいろと会社は問題を抱えている。その中で株価が不安定なんで彼は「いっそのこと、株を非公開にしたいんだ」みたいな発言もして、それを社内の人が慌てて「いや、そんなことありません!」みたいに打ち消したり。ちょっと不規則発言が目立つんですね。で、そんな中でマリファナを堂々と吸っちゃったもんだから、これが報じられる。その直後の幹部2人、参謀2人がいきなり辞める。「今日を持って退社しました。自分の将来に不安を感じましたので……」みたいにして辞めた。そうすると、その日のうちに株価が6%下がった。という風にどんどんどんどん連鎖していったんですね。
その結果、「お前らガーディアンが俺のこの瞬間を報じなければよかったんだよ!」って逆ギレをしたのが、それをわざわざガーディアンが律儀に彼にメールを送って。「あなたのマリファナ吸引を報じますが、それについてコメントはありませんか?」って。週刊新潮とかもそうだよね。前の日のいきなりFAXを送るんだよね。「いまから報じますよ」って。一応コンプライアンスとしてやるんですよ。その時にメールで返ってきた「クソくらえ!」っていうのがこれ。で、それをガーディアンは「ああ、これを宣伝にしちゃおう」っていうことになって。マスクさんがまるごとネタを提供してくれているということなんですよ。
(プチ鹿島)はー!
(モーリー)で、ちなみにガーディアンはとってもレベルの高いジャーナリズムをずーっと貫いていて、イギリス政府が困る不都合なブレグジットにまつわるスキャンダルもどんどん報じている。BBCよりも切り込むのがガーディアン。なんだけど、さすがに新聞の時代じゃなくなってきて、お金がなくなってきちゃった。ということで、必死であらゆる方法で、あらゆるチャンス、タイミングで寄付を募る。ガーディアンのとってもいい記事を読んでいると下の方にピピピピッて出てくるんですよ。で、実際に私はお金を払いました。いまも毎月4000円ぐらいポンド建てで払っています。やっぱりいいっすよ。買い支えたくなる記事がある。
で、日本でも中身にかならずしも賛同はしないけど、朝日新聞にはお金を払っていますね。結構有料で。理解できないけど日経新聞、そして朝日は賛同しないけど。で、産経はタダだから別にいいや、みたいな。で、読売は「なに、この提灯記事?」みたいなのがあってちょっとまだ踏み切ってないね(笑)。
(プチ鹿島)フハハハハハッ!
(モーリー)ということでとにかく大事な情報に対してはお金を払うことを習慣化すると気持ちいいですよということが今日の結論です。イーロン・マスク、どうなるんでしょう? ところで安田さん、テスラとかイーロン・マスクはどうですか?
(安田洋祐)いやー、株価も精神状態も不安定で。「こんなんでイーロン?」っていう感じですけども。
(プチ鹿島)フハハハハハッ! 出ましたよ!
(モーリー)ああーっ! 一本取られた!
(プチ鹿島)油断していた時に来た!
(モーリー)すごいわ! 日本人はマリファナ吸わないのにこういうことができるのだっていうのをひとつの付加価値にすべきだよね!
(プチ鹿島)勤勉だわー!
(安田洋祐)で、僕が気になるのはテスラ、あれは電気自動車じゃないですか。あそこに載っている電池ですよね。それがパナソニック製なんですよ。で、パナソニック製の自動車の電池って非常に水準が高いのでテスラ車が売れればパナも儲かる。で、最先端の電気自動車に載っかるということでパナソニック自体の株価を上げているところもあったんですけど、最近なかなかこういったスキャンダルもあって売れない。だからこの先、やっぱりパナソニックの事業をちょっと心配していますよね。
<書き起こしおわり>