(星野源)いやー、もうすでに楽しいです。
(松重豊)いやいや、本当にお恥ずかしいです。
(星野源)そしてすでにとても時間が押しているんで。
(松重豊)あ、そうなんだ。ごめん!(笑)。
(星野源)いや、いいんです。いいんですっていうか、ありがとうございます。まだ大丈夫ですか? いていただいて。
(松重豊)全然大丈夫ですよ。
(星野源)京都の方。「変態松重さん、変態星野さん、こんばんは。フリクションもマイケル・キワヌーカも全く知らない世界でした。こうやってお互いの知っているものを伝えあって感想を言い合える関係っていいですね。そして松重さんと源くんの年齢の差を超えてつながる音楽って素晴らしいです」。ありがとうございます。
(松重豊)ありがとうございます。
(星野源)ねえ。なんかいいですよね。音楽って。
(松重豊)年齢を超えてね。本当にそういうものですよね。やっぱり若い人たちって、なんだろう? いま、AppleMusicとかなんでも、もうなんでも聞きあえるから。こうやって共有しあえるから。やっぱり僕らが聞いていた音楽の歴史みたいなものも瞬時にたどることができたりするじゃないですか。
(星野源)そうですね。すごく早いです。
(松重豊)特にYouTubeなんかでフリクションを探して『せなかのコード』とかってやったら出てくる可能性だってあるし。「ああ、こういうものか」ってそうやって全て共有されていくっていう、なんかその環境がいいなっていう感じですよね。
(星野源)いいですよね。僕の時代も、たとえば学生の時は全くYouTubeとかもちろんなかったし。なんで、たとえば演劇のこととかを調べるにしても、本を買わないといけなかったり。
(松重豊)演劇ぶっくを買ったりとかね。
(星野源)で、現地に行かないと学べないみたいな感じはあったんで。で、インディーズの音楽もそんなにやっぱり知れる場所ってすごく少なかったりするので。下北沢の中でしか売っていないフリーマガジンを買いに行って……みたいな。「最近の若手を知りたい!」みたいな。でもいまはね、もうなんでもすぐにね。すごいいいですよね。素晴らしい。
(松重豊)だから本当に23、4の若者のバンドマンの知識の量と、それと新しい音楽を作るエネルギーはすごいなって思うんですよね。
(星野源)すごいですよね。素晴らしいことだと思います。
(松重豊)素晴らしいことだと思いますよ。僕らこうやってガチャガチャガチャガチャレコードをね、シャッシャシャッシャやりながらね。中古レコード屋さんでさ。でも、クソLPに当たると本当にもう腹が立つしね。
(星野源)フハハハハハッ! 高い金を出して。わかるー!
(松重豊)高い金を出して。レコードの基本の値段はもう何十年も変わっていないですからね。
(星野源)そうなんですよね。CDもそうでした。高い金を出して買っているけど、ブックレットとかないとか腹が立つんですよ。もうちょっと……って。
(松重豊)だから若い子がこれから本当に面白い音楽をどんどんどんどん作ってくれれば、僕らは聞いて楽しむだけですから。っていうか、星野くんは作り手でもあるから。うっかりすると作り手であることを忘れてしまうからね。
(星野源)アハハハハハッ! 兵庫県のチェリーネームの方。「僕たちチェリーネームも松重さんの番組にメールを送ってもいいですか?」。
(松重豊)ああ、もちろん。チェリーは……。
(星野源)男性です。童貞です。
(松重豊)がんばって僕のところにも送ってください。チェリーくん。「チェリーくん」っていうのは言っていいのかどうかわからないけど。
(星野源)いいんです。喜ぶと思います。
(松重豊)「チェリーボーイ」とは言っていたよね?
(星野源)普通にいいます。チェリーボーイ。
(松重豊)チェリーネームっていうんだ。
(星野源)この番組では。ラジオネームのかわりに。
(松重豊)わかった。チェリーネームね。
(星野源)えー、ラジオの前のみんな、松重さんの番組に送りすぎないように。ひとまず、言っておきました。
(松重豊)まあ、大丈夫ですよ。
(星野源)いや、結構とんでもないことになるんで(笑)。意外ととんでもないことになるんで。
(松重豊)そうなの? とんでもないことになるって、僕はほら、星野くんとこうやって普通の友達だと思っているんですけど。よく考えたら普通の友達じゃないんだよ。なんかすさまじい影響力を持っているから。
(星野源)フハハハハハッ! いや、普通の友達でいいです。
(松重豊)うちの子供にも注意されたんだよ。「気をつけてね」って。
(星野源)アハハハハハッ!
(松重豊)「あなどっちゃいかんよ、星野くんの影響力を」って思ってさ。俺はただの音楽好きのおっさんだからさ。油断をしているとなんか、巻き込まれてしまうかもしれないから。俺はただの音楽好きのおっさんです。
(星野源)大丈夫ですよ。この番組は大丈夫です。ヤリーネームの方。「ヤリーネーム」はちなみにしたことがある人です。
(松重豊)「チェリー」と「ヤリー」でわけているのね。わかりました。
(星野源)「松重さんはいつも穏やかで物静かなイメージなのですが、松重さんがテンションが上がる瞬間ってどんな時ですか?」。やっぱり「セックス」っていう文字を見た時ですよね?
(松重豊)「ああ! セックスって書いちゃあぜ!」とかね。そういう意味ではテンション上がりますよね。そりゃあもう、男ですから。まあヤリーですけどね。
(星野源)だから物静かなイメージはこの番組でちょっと崩れたかもしれないですね。
(松重豊)「物静かなイメージ」っていうのはまあ、役のイメージとかですからね。僕は昔から殺人鬼とか、本当に危ない人ばかり。
(星野源)フフフ、『地獄の警備員』。
(松重豊)『地獄の警備員』。デビュー作が殺人鬼なんで。割とそういう物静かなっていうイメージをつけられがちですけども。
(星野源)本当に朗らかで素敵な。
(松重豊)普通はもう……テンションは上がりますけどね。
(星野源)最近はなにかテンションが上がったことなどありますか?
(松重豊)最近はテンションは上がってないかな? 割と平常で。
(星野源)ああ、素晴らしい。それはいいですよね。次、松重さんの曲を聞かせていただいてもいいですか?
(松重豊)なんかパンクからいきなり……僕は本当に大好きなエレクトロニカ。YMOから僕らの時代は聞いていて、テクノミュージックというか打ち込みの音楽っていうのはやっぱり好きなところがあって。その中でもこのレイ・ハラカミっていう人がなんかその当時でもそんなに音数っていうのが多くない、サンプラーっていうの? なんていうの? そういうので作られた曲なんだけど。とにかく、物語がものすごく深くて。本当に大好きで。本当に2011年に亡くなってしまったんですけど。
(星野源)そうですね。
(松重豊)本当に大好きで。その中でも、細野晴臣さんの『HOSONO HOUSE』というアルバムに入っている『終りの季節』というものを……レイ・ハラカミさんはほとんど歌わないという。まあ、いろんな方。UAさんとかの音楽は作られてはいるんですけど。実際に自分では歌われないんですけど、この曲では唯一歌われているという曲がありまして。
(星野源)これ、素敵ですよね。
(松重豊)これを聞くといまだに僕は涙ぐんでしまうんですけども。一度お会いしたかったなということで。
(星野源)僕もお会いしたかったです。
(松重豊)レイ・ハラカミさんで『終りの季節』。
レイ・ハラカミ『終りの季節』
(星野源)はい。松重さんの選曲でお送りしたのはレイ・ハラカミさんで『終りの季節』でした。
(松重豊)レイ・ハラカミさんはご存知だったんですよね、もちろん?
(星野源)ああ、僕ですか? お会いしたことはないんですけど、この曲も大好きで。もともと細野さんの『HOSONO HOUSE』というアルバムを僕は高校生の時にはじめて聞いて。で、毎日聞いていたので。それこそ本当に、思春期っていうのもあったしいろんな気持ちを抱えている時にそのアルバムを聞いて本当に救われていたんですよ。で、その曲をカバーした曲があるというので聞いて。なんて素敵なんだっていう。
(松重豊)なんかね、本当にこのレイさんの作られるメロディーとか。シンセサイザーの単純な音階なんですけど。それですごく救われる音で。ちょうど僕が30代後半から40代ぐらいのいちばんお芝居とかで結構行き詰まっていた時に割と聞いていたような気がしますね。
(星野源)そうですか。なんていうか、そっと心の中に入ってきてくれますよね。音も歌も。
(松重豊)そうそう。星野くんと僕、変態だなと思うのはある時に気づいて。「ああ、だからか!」って思ったのがお互いにAB型で一人っ子だっていうのがあって。
(星野源)アハハハハハッ! そうそう。「なんでこんなに気が合うんだろう? なんでこんなに一緒にいて苦じゃないんだろう?」っていう。
(松重豊)そう。AB型の一人っ子か。わかりやすいな!っていう。分裂して自己完結しているから。うん。
(星野源)アハハハハハッ! だからなんかね、全然普通なんですよね。
(松重豊)そうなんですよね。ラジオとかでも自分で完結しちゃうし。
(星野源)普通だったら大先輩なんで緊張すると思うんですけど松重さんだと、語弊があるかもしれないですけど、緊張しないんですよ。本当に普通に接することができるっていうか。
(松重豊)私もね、こんな年下のっていうかね、その人と会った日に飲みに行くなんてことがないと思っていたんだけど……これ、AB型の一人っ子っていうのはなかなかいないんですよね。だからそのキーワードで「ああ、わかった! このわかりやすい変態は仲間だな」って思って。まあ、そういう変態にも優しい時間がほしい時にレイ・ハラカミさんの音楽を聞いているという。
(星野源)フフフ(笑)。なんかね、自己完結できるけど寂しがりやだったりもするんで。
(松重豊)そうそう。でも1人になりたい時は徹底的に1人になりたくなるし。勝手なんですよ。
(星野源)フフフ、そうですね。
(松重豊)周りを振り回してばっかりで。お互い、僕ら同士はね、全然。「ああ、そっち向いている時はそっち向けばいいんだな」って思って。
(星野源)自然とね、なんのあれもないですよね。それに「あれっ?」ってなる人たちがいるっていう。普通にしているつもりなんですけどね。その都度その都度判断しているだけなんですよね。なんか。本人の気持ちとしては。
(松重豊)わかってください、みなさん。
(星野源)これをきっかけにAB型で一人っ子の魅力をぜひ知っていただければ(笑)。じゃあ、さっき「これいいね」ってなっていたやつ。これは僕、すごい好きで。それこそこれ、レコードで聞いたら絶対にいいんじゃないかと思って。
(松重豊)ねえ。俺はCDでしか聞いたことなかったから。これはレコードで聞くのははじめてですね。
(星野源)これね、ちょっとじゃあ……。
(松重豊)若い子ですよね。
(星野源)若い。23才。若いわー! これ、トム・ミッシュという若い男性アーティストですが。
(松重豊)イギリス。
(星野源)イギリスだっけ? もう忘れちゃった。このトム・ミッシュが出したアルバムの中から『Lost In Paris』という曲を……。
(松重豊)『Lost In Paris』! 名曲ですね。
(星野源)ねえ。これは松重さんも大好きという。これをレコードでかけたいと思います。
Tom Misch『Lost In Paris』
(星野源)トム・ミッシュで『Lost In Paris (feat. GoldLink)』でした。
(松重豊)かっこいい!
(星野源)かっこいい! この次の曲もかっこいいんですよ(笑)。
(松重豊)これもかっこいいんだよ! 『Disco Yes』とかも……。
(星野源)そう! それ!
(松重豊)あれ、星野くんでしょう?
(星野源)あれ、僕ですよね(笑)。
(松重豊)そうだよね?
(星野源)僕が好きなやつですよね。やっぱりわかってくれますか。さすがですね!(笑)。
(松重豊)『Disco Yes』はさ、これはロンドンの星野源だなっていう風に。
(星野源)おっ、うれしい。その言い方、かっこよくでいいです(笑)。
(松重豊)っていう風に思って聞いていたんですよ。本当に。
(星野源)みなさん、ぜひそれを各方面に拡散してください。トム・ミッシュ。
(松重豊)『Disco Yes』。検索して調べてください。
(星野源)「トム・ミッシュ『Disco Yes』はロンドンの星野源だ」って(笑)。ありがとうございます。
「トム・ミッシュ『Disco Yes』はロンドンの星野源だ」
(松重豊)ありがとうございます。
(星野源)そんな感じでお届けしました。じゃあ、そんな感じでいったんCMに行きましょう。どうぞ。