星野源『灯台』の歌詞「無理やり既に持たされた 夢を入れる箱」を語る

星野源『灯台』の歌詞「無理やり既に持たされた 夢を入れる箱」を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2023年9月26日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でEP『LIGHTHOUSE』の収録曲『灯台』についてトーク。歌詞の「灯台 誰も救おうと思うな ただ光ってろ」や「無理やり既に持たされた 夢を入れる箱を 急いで入れなくちゃ 何にも 何もない」について話していました。

(星野源)さあ、ここでですね、別コーナーといいますか。また曲をかけるんですけれども。僕、星野源のEP『LIGHTHOUSE』から1曲、毎週かけて。ちょっとその話をしたりとかしていこうと思いますけれども。今日はまず1曲目の『灯台』から。で、このEPはですね、Netflixで大好評配信中。オードリー若林さんと僕の2人で話す番組。そこで悩みをただ話しあって、それを笑い合うという、そういう番組ですけれども。そこで毎回、僕がエンディング曲を書き下ろすという十字架を勝手に背負い、作った曲が5曲、ございます。その中の1曲目で。

で、1曲目って割と、その番組を最初に見る人に……やっぱり、番組って1話目が一番、見る人が多いんですよね。だからやっぱり、その番組を象徴する曲みたいになりたいなと思ったんですよね。なので2人の会話からインスパイアを広げた部分もありますけれども。あとは町の悩みの声っていうところももちろんありますし。あとは僕の表明ですね。「僕はこういう気持ちでいます」という、そういう表明の曲でもあるという感じです。

感想が届いております。三重県の方。「『灯台』。特に歌詞の『灯台 誰も救おうと思うな ただ光ってろ』という歌詞が刺さって抜けません。私は21歳と16歳の息子を持つ母親です。2人は明るい未来を夢見ている感じではなく、私と同様、不透明で不安を抱える未来にどう向かっていけばいいのかわからないけれど、なんとか進んでいかなければと感じているようです。特別な人生経験もなく、彼らに何かを教えてあげられることも、与えてあげることもできませんが、自分が源さんを見て、聞いて、読んで、日々を楽しく過ごしていくことで『灯台』の真似事みたいに、少し先に広がる未来を少しでも明るくできればいいなと思いました」。ありがとうございます。49歳の方。ありがたい。嬉しいですね。

「灯台 誰も救おうと思うな ただ光ってろ」

(星野源)なんか……そうですね。まさにこの「灯台 誰も救おうと思うな ただ光ってろ」っていうのは自分の表明みたいな気持ちですね。なんかやっぱりああいうような「悩みを話す」っていうのだと、答えを求められそうだなと思ったんですよね。で、なんであの企画ができたかっていうと『あちこちオードリー』に僕が出た回で若林さんとたくさんハモる部分があったりとか。それをね、番組を作っていた佐久間さんが見てくれて。あとは僕の番組、このラジオに若林さんが来てくれた時に、2人でいろいろ話して。それでワーッと盛り上がって。その後にサプライズで『Pop Virus』を2人でやるっていう回も、そういう回だったんですよね。なんか答えがあるんじゃなくて、ただ悩みだったり、「ちょっとこれ、どうかと思うよ?」っていうことを話して。その話し方だったりとかで笑いあったりとか、しんみりしたりとか。それが何か、あるものがあったんだと思うんですよね。

だからなので、やっぱこういう部分が、番組ってなるとなんか気負っちゃうし。なんか「ちゃんと答えを出さねば!」みたいな気持ちになりそうだなと思ったんですけど。なんか……やっぱり人って救おうと思って救えるもんじゃないと思うんですよね。やっぱりなんか、たとえば「救われました」とか言ってくれる人、たくさんいてすごい嬉しいし。僕の曲をね、聞いてくださって「支えられました」ってすごい言ってくる人も多いけども。やっぱり「人を救おう」とか「誰かのために」みたいなことを考えるとね、すごいよこしまな気持ちな感じがするんですよね。なんかね、いやらしいというかね。

だから、そういうのがない状態でやっぱり「自分のために」だったりとか、「自分として面白い表現を」とか、あとは自分の素直な気持ちをただ、なるべく素直に残すとか、あとは歌詞にするとかっていうことをしていくと、それでたまたま救われてくれる方がいて……っていうのが一番理想的だなと思うんで。それを表明したかった。でも、そこに響いてくれたり、刺さってくれたっていうのは非常に嬉しいですね。

そうなんだよね。やっぱり子供……自分もそうだったけど、やっぱり親とか周りの人を見て育ったりするし。それこそね、反面教師にしたりもしますから。いや、でも本当にさ、マジで未来ってわかんないよね。不安じゃない? この世の中。本当に。「やばいよね」って思うわ。本当に。でも、きっともっと訳わかんない時代っていっぱいあったとは思うんですけどね。でもなんか、いろいろ情報がありすぎるから、なんかその「情報がありすぎるからこそ、困惑する」みたいな感じはあるよね。むちゃくちゃだけど、前はそのむちゃくちゃな情報っていうものをそんなに摂取しないで……それを自分から取りに行こうと思わないと取りに行けなかったみたいな時代もあっただろうし。いや、だからでも、「渦中にいる」っていう感じなんだろうなと思いますよね。

大阪の方。「『無理やり既に持たされた 夢を入れる箱を 急いで入れなくちゃ 何にも 何もない』。『灯台』のこの歌詞が今、中学3年生の長男そのもので。そろそろ卒業後のことを決めなくてはいけない時期なのですが、将来の希望や、やりたいこと、夢中になれることがまだ見つかっていないようです。『自分に興味がない』や、『死んだ方が楽なのかな』と毎日、言っています。嫌々ながらも学校へは行っています。歌詞の通り、『急いで入れなくちゃ』状態で、まだ15年しか生きていないのに、こんな不安な世の中で将来に繋がるかもしれない一歩を決めないといけないとは、本当に大変なことだなと思います。親としてできることは少ないですが、ちゃんと見守っていきたいなと思いました。本当に素敵な番組と歌をありがとうございました」という。ありがとうございます。

「無理やり既に持たされた 夢を入れる箱」

(星野源)そうですね。いや、中3なんてもう、まさにっていうタイミングだよね。なんかその、夢中になれることとかやりたいこととか、見つからないっすよね(笑)。いや、でもやっぱり「夢がないと」みたいな感じって、あるじゃん? それは別に言葉じゃなくても、なんかCMとか。CMがやっぱりすげえデカい気がするな。テレビCM。テレビCMってやっぱりなんか、希望を謳うとかっていうものがすげえ多いから。あと「何かを見つけよう」みたいなのを言葉にしなくても、そういう……特にね、学生服を着たCMみたいなのが多いんで。

なんか、やっぱり圧迫感みたいな、持たされる感じがあるんだよね。なんか「夢」って書いてある箱みたいなのを。「ここに早めに入れてください」みたいな。「そうしないと、社会的な恩恵も受けられません」みたいな。なんか、そんな感じがあって。いや、でもさ……「でもさ」っていうか。やっぱり情報がありすぎるのが問題だと思うけどさ。それこそ超大昔の人はさ、夕日を見てさ3時間とか過ごしてたわけじゃない? なんて言えばいいの? その、とりあえず狩りが終わって、「今日は1頭、なにかを狩れて食料ができた」とか、「今日は何もとれなかった。すまん……」みたいなのとか、なんかそういうのから、夜になって。「危ないから寝なきゃ」とかっていう時間がある中で夕日の時間とか、とりあえずただ夕日を見てるとか。とりあえず星を見てるとかさ。

でも、そこには「こうなりたい」なんて、ないわけじゃん? その中には。とりあえず、生きていたわけじゃない? やんなきゃいけないことをやりながらさ。だから本当は夢って、別に決めなくていいと思うんだけど。なんかその「タイパ」とかも言われるしさ。今、その「早くしないと!」みたいな……なんか「損ですよ! 早くしないと!」みたいな。「うるせえ!」みたいになるんですけど(笑)。「いや、俺は損みたいな時間、山ほどあったわ!」って思って。その、10代の時も20代の時も。なんかね、だからそれは本当に苦しいと思いますよね。そういうところにもちょっと、曲が響いてくださってると思うと、ありがたいです。それでは、ちょっと聞いてください。EP『LIGHTHOUSE』の中、から1曲目に入っています。『灯台』、どうぞ。

星野源『灯台』

(中略)

(星野源)ちょっと1個だけ、これ読みたいね。神奈川県18歳「奈落」。「『既に無理やり持たされた 夢を入れる箱』という『灯台』の歌詞。高校3年の今の私に刺さり、泣いてしまいます。周りは徐々に方向を決め、進学先が決まった子もいるのですが、私は夢がずっとなく、悩み続けていて最近やっと方向が定まりました。ですが、受験も迫っているにも関わらず、『これで本当にいいのか?』と、まだ迷う自分につらさを感じます。私の憧れの人は源さんなので、その源さんがこの歌詞を書いてくださったことで『悩んでいるけど源さんと一緒ならいいかもしれない』と思いました。つらいですが、何とか乗り越えようと思います。ありがとうございます」という。ありがとうございます。

そうか。そうだね。やりたいこと……まあ、ないよね。でも、その「奈落」というラジオネームは非常になんかセンスがありますよね。素敵。あの、ここでは本名も見れるんですけども。本名との関係もね、なんか素敵なんですよ。だからたぶんね、奈落はね、センスがあるから大丈夫だよ。センスがあれば何とかなるから。人間は(笑)。はい。そんな感じですかね。

<書き起こしおわり>

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