モーリー・ロバートソン SNS中毒を生む仕組みを語る

モーリー・ロバートソン SNS中毒を生む仕組みを語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でSNS中毒を生む、SNSのシステム自体に埋め込まれたからくりについて話していました。

(モーリー)この前はカナダ政府の大麻解禁に関するツイートを紹介して。本当に日本のメディアでやっていいのか?っていうタブーギリギリをどんどんやっていましたけども。

モーリー・ロバートソン カナダの娯楽目的の大麻使用解禁を語る
モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』に出演。カナダで娯楽目的の大麻使用解禁が正式に決定した件について話していました。

(プチ鹿島)いやー、盛り上がりましたよ。

(モーリー)今回は結構オーソドックス、エスタブリッシュメント。イギリスのBBCが誇るドキュメンタリープログラムで長い間続いている『Panorama』という番組があるんですけど。『Panorama』の公式ツイートを紹介してみたいと思います。どうぞ!

(モーリー)これを日本語で言うと……「ソーシャルメディア会社は一般に金銭的な利益のために意図的にユーザーを中毒にしているぞ」という告発ドキュメンタリーなの。あとで(LINE株式会社執行役員の)葉村(真樹)さんの反論も当然聞きます。でもその前にさんざんやりこめたい。BBCの『Panorama』っていう番組なんですけど、まあすごいですよ。BBCでもっとも歴史のある看板ドキュメンタリー番組で世界の知られざる事象に鋭く切り込むスタイルで。もうこんなことをやったら後味悪いだろ?っていう切り込みもいっぱいやって訴訟も辞さないガチンコの本物のドキュメンタリーなんですよ。で、テーマは「SNSを見続けてしまうからくり」という回を流しました。

で、それが結局こういう感じ。そのからくりなんですけど、要は内部告発の形式を取っていて。シリコンバレーの関係者とかFacebookの「いいね」ボタンを共同開発した人。だから「私が作ったいいねボタンを懺悔します」みたいに出てくるわけ。で、ソーシャルメディア各社が収益をさらに上げるために意図的にユーザーを中毒状態にしようとしていると告発するシリコンバレーの人。あるいは多くの人がFacebookにハマった理由はいいねの数に自尊心が依存するようになったからと言っているんですね。

で、「僕がいいねを作った時にはこんな風に使われるとは思っていなかった!」みたいな感じなのよ。で、この「自尊心」という言葉に僕もちょっと食いついたんですけども。最近、日本のネットを語る時に「承認欲求」という言葉が出てきますよね。もう定番化・定着した言葉ですけども。その自尊心にいいねの数でつながるというのはまさに承認欲求で。大きなイベントがあった時……たとえば2011年の3.11の災害があった時、原発事故もあった。その時にもう、ものすごい反原発運動が渦巻き、東電がいちばんの悪魔になったわけ。そしてその時にTwitter内の反原発有名人っていうのがいっぱい出たんですよ。もうライターの人とか活動家の人、音楽家の人……「ずっと嘘だったんだ」って歌った人とか、いろいろ出ているわけよね。

で、Twitter内有名人がいま、あれから7年たってあの3.11で大騒ぎしていた、神輿に乗っていた人のうちの何人が残って……じゃあそれを仮にお金儲け目当てでやっていたなら今頃、会社かなんか作っていたらそれなりに僕、「悪いやつよのう」ってリスペクトするわけ。だけど、本当にいま見ると3.11で自尊心や承認欲求を満たしていた人たちって消えているんですよね。本当になんだったのか? 社会の正義のために「おおーっ!」って叫んでいるんだけども。で、「東電は悪い! 東電は悪い!」「東電の記者会見を実況しています!」とかやっているわけよ。でも、結局なにが残ったか?って言ったら非常にハテナで。

本人たちの承認欲求とそれをRTする人たちの「我こそは正義」っていう欲望がお金を介さない形で、ある種の「仮想通貨」――これは揶揄して言ってるのよ――ある種の「仮想通貨」になっていたんじゃないかと。そしてもうひとつ言いたいのは、じゃあTwitterのスクロールが無限にできるという、ソーシャルメディアでは一般に「Infinite Scroll」っていうのがあって。ずーっとクリックせずに見続けられるようになっている。Pinterstもそれをやっているかな。その仕組みを作った人が「まるで画面中にコカインが散りばめられているようなもので、脳が認識をまとめられる前に次から次に新しい情報が出てくるから、サルのようにスクロールし続ける。そんなようなものを僕は作るつもりじゃなかったのに……」ってこの『Panorama』の中で懺悔をしているんですよ。

しかるに、東電を糾弾するためにTwitterが日本人と140文字という相性がよかった。そしてその時に日本人にパニックが広がった。だからTwitterで怒りをぶつけたり、反原発運動を呼びかけるのにTwitterは最善のプラットフォームで最適化されていたわけよ。ところが、ここで告発されているのは東電は東電だったけど、Twitterも東電じゃん? なぜかというと、東電は原発というものが社会に便益をもたらす……「社会にエネルギーの安定性をもたらす。問題はない。津波なんて想定外。1000年に一度の津波なんかいちいち考えて作らないよ。うちのコンプライアンスはそこまで止まり。設計の中に問題はない。だからOK」って言って作ったわけですよね。で、地元もそれで説得をしたわけ。

だけど、万が一が起きた時とかこのエネルギーに社会が依存した時に東電は何が来るのか?っていうのを考えていなかったわけですよ。「うちは会社としてそこまでコンプライアンスとか社会倫理を考えなくていい」っていう企業風土の中で東電は巨大化して既得権益化したわけだよね。政治にも影響を持つし。ところがじゃあ、Twitterはどうなのか?っていうと東電を糾弾するプラットフォームとして、まるでTwitterが正義の味方のように思っていた人もいるんだけど、「Twitterそのものが脳にコカインをずっと出し続けてただのTwitter依存を作るモンスターだったんじゃないの?」っていう疑いが出た時、「Twitterが善玉でそのTwitterで東電を攻撃しているお前らはなんなんだ? 結局Twitterが東電じゃん?」って思っちゃったわけですよ。

で、我々は基本的にモンスターを作り始めて、そのおもちゃについていけないまま自分で自分をハイにしているっていう人間の性みたいなものを見ちゃったんだよな。というところなんですけど。

(プチ鹿島)いやー、でもそれは本当僕は感じましたね。要は非日常で……ああいう3.11。この間も地震とか豪雨みたいなのがありましたけど。人って高ぶるじゃないですか。で、もちろんその高ぶりによって悪だくみをする人もいるけど、もっとタチが悪いのは「正義だからその高ぶりでなんでもぶつけていいんだ」っていう。そこの……。

非日常で高ぶる人々

(モーリー)そうそう。それで要はその高ぶりの中で、僕は1回目を検査する時に「C」の字を見ますよね。で、「隙間はどっちを向いているか?」っていうのがあるじゃないですか。人間の認識ってCの隙間がある時に高ぶると、それを勝手に閉じちゃうんですよ。短絡的に。だから「たとえばこれからは放射能で東京は住めなくなる。そしてかつてのベラルーシとかウクライナのチェルノブイリみたいになって東日本と西日本に国が割れてしまう」って言ったアジテーターがいたら、それをみんな喜々としてRTしていたのね。「そうだそうだ! もう東日本は住めなくなるんだ!」みたいな。

(プチ鹿島)だから中毒っていう言葉で言うと、強い言葉であればあるほど中毒になったわけですね。

(モーリー)で、強い感情がそこに。で、トランプさんはそれを操っているわけだからね。だからこれは別に左翼とか右翼っていう問題じゃなくて。

(プチ鹿島)どっちの側もそうですよ。

(モーリー)そう。でも、それを悪意のある人やそういう一発屋が仕掛けているって僕は思っていたわけ。

(プチ鹿島)それだったらまだわかりやすいんだけど……。

(モーリー)だけど、設計そのものの中に仕掛けやすくしてあるよっていうことを開発者が内部告発しているわけよ。ヤバくね?

(プチ鹿島)どうですか、葉村さん?

(葉村真樹)まあ、Twitterの擁護をするならば……ですけども。まず、ベースとしてメディアビジネスっていうのは全て「より多くの人のより多くの時間を取る」っていうのがビジネスなんです。それがサブスクリプション契約でやっているにしろ、広告でやっているにしろ、より多くのアイボールを取るっていうのが重要なんで。やっぱり中毒化させるというのはテレビもそうなんです。中毒化させて……「○○ロス」とか言うじゃないですか。あれは完全に中毒になっているわけです。で、結局その時になにを見るか? やっぱり感情を高めて脳を気持ちよくしたくてメディアを見るわけですね。で、脳を気持ちよくするためにいろんな仕掛けがある。Twitterの場合はどっちかっていうとタイムラインっていうのはリアルタイムで全部流れていってしまって、実はすごくいいねが付きにくい。

で、Facebookに結構実はその手の人たちって移ってきているんですよ。Facebookっていうのはアルゴリズムがあって。「エッジランク」っていうのがあって。見ている人がよくいいねをしたり、よくリンク先に行くやつしか表示されなくなっているんです。それは「フィルターバブル」っていうんですけども。要は自分が見たいものしか画面、タイムラインに流れてこなくなってくる。要するに、人間って確証バイアスっていうのがあって。自分が信じているものを否定されたくないし、信じていることをサポートされることが大好きなんですよ。だからみんな似たような人たちがみんな集まってくる。

(モーリー)で、360度世の中は自分と同じ人が99%だっていう幻想に陥る。

(葉村真樹)幻想に陥ってしまう。で、要はトランプ現象っていうのもまさにそういうのが起こっているという。Twitter以上に実はFacebookですごいそれが起こっていたりして。

(モーリー)へー!

(プチ鹿島)でもモーリーさん、葉村さん、高橋さんは実はこの若さでSNSをやっていないんですよ。

(高橋茉莉)そうなんです。Twitterもインスタもやってなくて。LINEは唯一やっているんですけども。

(プチ鹿島)それ、やらない理由っていうのは?

(高橋茉莉)私、ミスコンに出ていた時にフル稼働でTwitterもインスタもやっていて。毎日何かしら写真を載せていたんですけど。なんかこう自分が背伸びをしていることに疲れてしまう瞬間があって。あと、写真を撮りにその場所に行くっていうパラドックスが起きて。

(プチ鹿島)そっちが中心になっちゃってね。もうそれ、気づいちゃった?

(高橋茉莉)そう。気づいちゃったんです(笑)。

(プチ鹿島)よく抜け出したねー。

(葉村真輝)じゃあ、めちゃくちゃ使っていたんですね。たぶん(笑)。

(高橋茉莉)「私は本当はカフェじゃなくて松屋に行きたいのにな」っていう性格なので。「私は向いていないんだ。そうやってよく見せるのは……」って。

(プチ鹿島)牛丼、食いたいよね。だけどそれは女子のインスタには合わないよね。

(高橋茉莉)そうなんです。だから近況がいま、わかりにくいんですよね。

(プチ鹿島)だったらいまはボクシングをやった方がいいってこと?

(高橋茉莉)そうですね。ひたすら体が大きくなっていくっていう(笑)。

(モーリー)だけどこのからくり、信憑性は見て判断するしかないと思うけど、これにある程度の真実があるとすると、結局自分の時間をひたすら抜き取られている。ここにヒルを置いて「健康にいいですよ」って言われて高いお金を払ってヒルに血を吸わせているようなもんなわけよ。自分の時間を。その時間をボクシングとか自分のトレーニングとか。それこそ静かな自分のためのこととか……。

(プチ鹿島)モーリーさんみたいにパンケーキを食べるとかね。

(モーリー)モーリーさんはカプリチョーザとかパンケーキとか大好きですよ!

(プチ鹿島)その方が実益になるっていう。

(モーリー)最近、だからこれを見ちゃった後で1日、僕のツイートが激減しているんだよね(笑)。「コールドターキー」っていう言葉を調べてください。コールドターキーっていうのは中毒になっていたものを一気にやめて脂汗を流して体から抜くっていう。それをやろうかなっていう。Twitterコールドターキーが近づいてますよ。電源を落としちゃう。

(高橋茉莉)ではではモーリーさん、鹿島さん、葉村さん、ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました