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モーリー・ロバートソン トランプ大統領「日米安保破棄」発言のその先を語る

モーリー・ロバートソン トランプ大統領「日米安保破棄」発言のその先を語る 水曜日のニュース・ロバートソン
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プチ鹿島さんとモーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でドナルド・トランプ大統領の「日米安保破棄」発言についてトーク。その発言の先に見えてくるものを話し合っていました。

(プチ鹿島)さあ、モーリーさん、行きましょう。

(モーリー)やっぱり「本気か? 『日米安保破棄』発言」ね。でね、あれからしばらく時間が経っているじゃないですか。だからもう少し日本のニュースで掘り下げるのか?って思ったんだけど、やっぱり大きな象すぎてみんな触れないんだよね。

(プチ鹿島)だから本当にあれ、面白かったのはベタ記事で何事もなかったのように報じていた新聞もありましたよ。一面で書いてる新聞もあれば。

(モーリー)だからこそこういう日本の大手ニュースやメディアがベタで逃げちゃった時、『水ロバ』の役割ってこういう時に発揮されるというか。いつもやっている当たり前がこういう時、誰もやらなかったことの差分で急に輝くんだなっていうことを予告しておきます。

(プチ鹿島)でもこの件は本当に面白かった。

(モーリー)まあ発端になったのがブルームバーグが出した記事だったんですね。後にも先にもブルームバーグしか報じていないので、ブルームバーグが正しいことを報じたのか次第なんですけども。まあ、英語でツイートだけ読んでみますね。

(モーリー)「too one-sided」で「片務的」。最後の「sources say」は「と、情報源」という。つまり、その情報源が嘘をついていたら記事は崩れるんですよ。

(プチ鹿島)まあ「情報通によると」みたいな。

(モーリー)だけどどうもこれは側近なのね。側近が聞いたとしか思えない話なんですよ。それで、そのツイートの日本語訳です。「トランプ大統領は戦後の日米安保が一方的、片務的なものだと見ている。なぜなら、日本が攻撃をされたらアメリカは援助をすることを約束しながらも、日本の自衛隊はアメリカを守ろうとしないからだと情報筋が語った」ということなんですね。

今回の記事で注目すべきことなんですが、安保破棄発言というのがあった。で、その後、日本にやってきて「日米は大丈夫だよ」とかっていうリップサービスはするけども、事前にそれを言うことで日本からなんらかの追加の思いやり予算なり、自動車輸出の自主規制なり、アメリカの農産物の輸入規制を緩めるなりということを引き出すための揺さぶり。

(プチ鹿島)まあ、仕掛けてきたのかな?っていう。

(モーリー)いつも仕掛けるからね。殴っておいて握手をする人だから。

(プチ鹿島)来日直前にこういうことを言うわけですね。

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G20の来日前に言う

(モーリー)だから来日直前にそれを言って本人もそれを強く火消ししないっていうことは、やっぱり日本に対してメッセージを放っているということなんですけども。せいぜいそのへんだったの。日本のいろんな外交の専門家がこれについていろんな記事を書きました。でも、だいたいのコンセンサスは「これは案ずるに及ばない。トランプさんはこういうことを言う人なんだ」みたいな感じなわけ。ところが、ここからが非常に興味深いんですけども、あまり日本のメディアがリレーしなかった部分があるんですよ。

(プチ鹿島)おおっ?

(モーリー)これはどういうことかっていうと、日本語記事で割愛された部分があるの。日本語版記事と英語版記事をバイリンガルに読み比べると、翻訳されていない部分が結構あるわけ。その差分とは、「普天間基地移転に金銭的保証などを求めるないようがあった」ということなんですね。で、その部分をちょっとここに書き出しました。英語があります。つまり、ソースがあることを示した上で日本語訳を言いますね。「トランプ大統領は沖縄の米軍基地を移転させる日本の取組みについて『土地の収奪だ(land-grab)』と……」という。

(プチ鹿島)はいはい。

(モーリー)「land-grab」っていう言い方をしているんですが、それは不動産業で「乗っ取り屋(立ち退き屋)がやってきた」とか。だいたい暴力団系の人たちがビルの中が立ち退いてくれないから1億円とか2億円とか払ってやっと立ち退いてくれるとかっていう場合に、そういう土地を乗っ取る。そういうニュアンスで「land-grab」という言葉を使うんですけども。その言葉をトランプさんが発したらしい。「……土地の収奪(乗っ取り)だと考えており、米軍移転について金銭的な補償を求める考えにも言及した」という。

(プチ鹿島)そうか!

(モーリー)つまり、「日本に普天間基地……世界でいちばん危険な発着場だということで地元に人が住んでいるし、米兵がいろんな問題も起こしているから『すいません』とお返しをする」というようなことをアメリカ政府は沈黙し続けて、日本政府がそれを代弁してきたわけ。それってすごいおかしいのが、中国政府がなにも言わないで、香港行政府が中国政府の意図を香港人に理解ができるよう、あるいは反発が起きないように丸めて話のと似ているんですよ。

モーリー・ロバートソン 香港抗議デモと中国政府の戦略を語る
モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で香港の逃亡犯条例に抗議するデモについて、中国政府の思惑や戦略も含めて話していました。

(モーリー)日本政府が沖縄の人たち、普天間の地元の人たちに「ああ、アメリカと話しておきますから。アメリカだって悪いようにするとは言っていないんで、うちらを信じてください」って言っていたんだけど、トランプさんはそれをひっくり返しているわけ。「いやいや、あれはアメリカの土地だろう? それを日本側はなんだかんだと……なに? 地元の人たちが『危険だ! 米兵が事件を起こした』だって? そんなのは見せかけだろう。あれはみんなグルになって俺たちの土地である普天間を奪おうとしているんだ!」というパラノイアなトランプさんの放言がリレーされている。

(プチ鹿島)放言ね。

(モーリー)さらなる放言。「2013年、安倍首相は代替となる施設(辺野古基地)の建設が完了すれば、2022年までに基地を沖縄から県外に移転することにオバマ大統領と合意した。しかし関係者らによればトランプ大統領は当該基地のある土地(普天間の跡地)には開発の余地があると考えており、100億ドル(1兆円)相当の不動産価値があると話した」という。

(プチ鹿島)うんうん。

(モーリー)つまり、トランプさんの中では「ここにトランプホテルを建てたいんだ!」みたいな本音が見えているわけ。だから「基地の返還とか、そういう外交用語で丸めるんじゃない! お前らの意図を俺はわかってんだぞ!」っていうことを身内に向かって気持ちよくしゃべっているわけ。

(プチ鹿島)気持ちよくね、しゃべっちゃった。

(モーリー)で、ここが翻訳をされなかったのはたぶん、日本の支局が多少配慮したのかなっていうか。G20の直前に普天間の人たちに対するある種侮辱的な言い方なわけですよね。「ナメとるんか?」みたいなね。

(プチ鹿島)「土地の収奪」って……。

(モーリー)えっ、誰が収奪をしているの? 普天間の人たちが収奪しているの? 沖縄県? それとも日本政府が普天間の人たちを「ほら、かわいそうに」って焚き付けておとりにして、本当の意図は沖縄の人たちを撹乱させて自分はちゃっかりその土地をアメリカからせしめて、そこにホテルかなんかを作って利益を得たいのでアメリカを追い出している? みたいな。かなり一方的な見方をトランプさんはしているわけね。で、菅官房長官はこれを打ち消しましたよね。「ほぼ事実無根だ」って否定したわけですけど、ところがその後でトランプさんはまたFOXに出て……。

(プチ鹿島)またご丁寧にFOXでしゃべっちゃったんですね。しゃべっちゃったというか、しゃべりに行ったというか。

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FOXでも再び発言

(モーリー)そうそう。なので、結局ね、これでなにが見えるかっていうと、これが番組冒頭で申しました「大きな象」っていうことなんですが。いろいろとあるじゃない? 安保って本当に安保なのか? 戦争が起きないようにそこに米軍のプレゼンスがあると、中国にしろかつてのソ連にしろ、攻めてくる気にはならない。北朝鮮も進軍をしたくない。だからそこにいることが大事なんだっていう考えなんだけども、いざコトが起きた時に米兵は本当に戦ってくれるんですか?っていうのを日本の右の人も左の人もずーっとクエスチョンしてきたわけですよ。

で、それをトランプさんが「いやいや、お前らが俺たちを助けてくれない以上、なんで俺たちが助けるんだ? つまりうちは警備保障会社でしかないから、その都度こっちの言い値で金を払えよ? 場合によっては値段を上げるぞ!」みたいな風に、完全に安保というものをビジネスの取引に落としてしまっているわけね。

(プチ鹿島)いままでは「世界の警察官たらんとする理想というか、ボランティア精神というか。わかりやすく言うとですよ。だけどもういまはモーリーさんがおっしゃったように「それなりの対価はもらうよ」っていう。そういうことを言い出した。

(モーリー)だからこれに対してたぶんまだ沖縄の地元メディアもまだあんまり強めに……つまり、強めに1回反応をし始めるとね、終わりのない戦いがそこから始まっちゃうので。たぶんみんな様子見をしているんですよね。つまり、トランプさんは北朝鮮もいろいろとやっているし、もしかしたらトランプ流で、トランプにしか達成できない平和が訪れるんだったらこの議論は避けて通れて。相変わらず目の前にいる平和憲法だとか9条だとか米軍基地とか、そういうことを避けて通れるようにってみんな逃亡中なんですよ。

で、仮にじゃあこのままトランプさんが大統領選挙のシーズンに突入して、「在韓米軍も在日米軍もお金をもらえないんなら引き上げろ!」ってはっきりと公約として言っちゃったとしますよね? まあ、言うという保証はないんだけど、仮にそこまで彼がこれを……いまはうっかり漏らした本音だという風になっているけど、これが「うっかり」ではなくて「正式な」本音にだんだんなっていく。というのは「NATOなどヨーロッパとの集団的な自衛権からはもう撤退をしたい」というようなことを言っているわけね。

「それならむしろ、ロシアと仲良くしてしまった方がそもそもの問題がなくなるから」というような同じ返す刀で「アメリカと中国が仲良くしてしまえば、東アジアの問題は解決するんじゃね?」みたいな方向にトランプさんが持っていったとする。そうすると、私の予想なんですけども、まず第一段階。沖縄の人たちが動揺をすると思います。「いままではなんだったんだ?」っていうことになりますよね。加えて、アメリカの基地がだんだんとアメリカの方針転換でなくなってくれる。

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米軍が撤退した空白を埋めるのは誰か?

ということは、たとえば普天間の地元の人たちは基地が縮小されることになるのでたぶん歓迎。沖縄タイムスも琉球新報もそれを歓迎すると思います。日本共産党も。ところがなにが起きるか?っていうと、「やるのかい、やらんのかい?」なんですけども。仮にトランプさんが口走ったとしても、「継続的に米軍が撤退したいんだ」っていう風になると、それはつまり中国から見た時に「あれ? テストし甲斐があるな?」っていうことになりますよね。そこに空白が生じるから、その空白を埋めてみるテストをする。潜水艦や軍艦とか、領空侵犯をしてみるテストをどこでやるのか? たぶん八重山諸島や尖閣。石垣の近くをサーッと頻繁に通るようになってしまう。

そうするとなにが起きるのか? 八重山地方の人たちは「ヤバい! 目の前で中国の海軍とか空軍がこんなになっている!」っていう。で、「アメリカが帰るからいいんだろ?」っていう風になってやってきているということは、その人たちにとってはアメリカは出ていってほしくないわけですよ。本当に前にも増して中国軍の存在感が出てきたから、非常にヤバいというような意識を持つに至る。ところが、普天間の地元の人たちは「普天間は困っている」という目先のことで被害者意識があるじゃないですか。だから本島の被害者意識と石垣島あたりの被害者意識がぶつかり始めて、沖縄の分断。

そしてそこに当然、こういう風に最近は保守系がソーシャルメディアとかいかがわしい出自のわからないサイト、ニュースサイトなどがそこに乗り込みますよね。そうすると、日本の極右的な政治言論っていうのは「八重山を守れ!」になるわけですよ。そして守ってもらってうれしい石垣の人たちはそっちに付くしかないよね。ということで、反沖縄タイムスが起きちゃうわけよ。その沖縄の分断が第一ステージ。第二ステージは本当にアメリカがいよいよもって撤退の準備をしていますというような雰囲気になった時、中国、北朝鮮、ロシアの脅威からアメリカは守ってくれないということで、改憲しかなくなる……。つまり、本州の分断が起きる。

(プチ鹿島)そう。だから今回の日米安保のトランプさんの発言も興味深かったですけど、あれを最初に聞いた時に僕は選挙前の安倍さんへのパスなのかな?って思ったんですよ。

(モーリー)ええとね、赤旗は最新の記事でそういう風に言っている。「つるんでいるんじゃないか?」って。

(プチ鹿島)そう。だから僕は直感で思ったんですよ。そしたら安倍さんとか菅さんはなにもなかったことにしているじゃないですか。だって、そうでしょう? アメリカが「日本は自分でやれ」ってなったら、「じゃあやっぱり憲法の改正が必要じゃないですか?」っていうお膳立てがものすごくできる。

(モーリー)一見、表面的には自民党の改憲派にとっての棚ぼたのように見えると思うんです。ところが、ひとつ大きな問題があって。もともと「自主制定憲法」というのが目標であって、でもこれは「自主」ではないよね? 「外圧による改憲」だよね。「他主制定・外圧改憲」。「憲法は変えるけど、自主的な独立国ではありません」って認めているような。それこそ真右の人も左の人も言ってきた「対米従属・属国」?

(プチ鹿島)つまり「憲法を変えて」というよりは「アメリカが離れていくのが嫌だ」っていう、そういうことでしょう?

(モーリー)アメリカが離れていくのが怖いから、仕方なしに憲法を変えただけで。じゃあ、本当にアメリカが撤退した場合……つまり、すぐに起きるとは考えられないですけど、仮にいろいろとあってアメリカ軍が本当に在日米軍、在韓米軍ともに……沖縄から少しずつ。あるいは「もう中国、いいよ。中国のものでいいよ」って投げちゃった場合。そうすると、空白が生じる。その空白が1ミリ生じたら、1ミリ中国が近くに来るんですよ。そうすると、日本の自衛隊改め国防軍? かなにか、改憲後の日本の新しい軍隊がそれを迎え撃たなくてはいけない。抑止。ところが、人員が足りなくなるのね。その時、どうするの? 徴兵する? ええと、アメリカ式で貧しい人や学歴の低い人から先に徴兵しようか……とか。

(プチ鹿島)だからたとえば「改憲をしよう」っていうそういう考えはあったとしても、その究極って「じゃあ自分の国は自分たちだけで守る」っていう……。

(モーリー)その時、血を流す順番はどうするの? とか。

(プチ鹿島)だから「重武装・中立」っていちばんわかりやすいじゃないですか。でも、そこまでは当然、行きたくないよっていう、そういうことでしょう?

(モーリー)中国ともアメリカとも等距離を置くような、主にリベラル系の人たちが言ってきた非武装ではない中立っていうことになると、かなりの重武装をやらないとアメリカも中国も同様に潜在的な仮想敵とみなしているわけだから。それはすごいね、国民へのGDPの負担もなにもかもが重くて。予備役、徴兵……。

(プチ鹿島)それはリスクが高すぎるから、アメリカさん。お金を払うのでなんとか……っていう。

(モーリー)そう。だからお金を払っていわばアメリカの……もちろん地元には過度に負荷がかかっていてそこにねじれがあるんだけど。一応、国家単位で言うとアメリカの傭兵部隊をそこに置いてるようなものなわけよ。まあ、警備保障会社にお金を払って重武装した警備保障会社にいてもらっている感じですよね。じゃあ、その重武装を自分たちが肩代わりして、本来自分たちがやらなきゃいけないという認識に改めちゃった場合、これは日本のいままでの戦後考えてこなかった空白がなんで埋まっちゃうんだろう?っていうことで、その先の改憲後の日本社会が果たして冷静でいられるのかが私は大いに「?」。むしろ、アイドル2ショットとかハッシュタグで外交軍事を決める日本社会に変わってしまうおそれがあるんですよ。改憲後に。

(プチ鹿島)改憲後。

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改憲後の日本と移民問題

(モーリー)なんですよね。それでたとえば、これも長期的な問題を避けてきた「移民」という言葉は使わない。外国人労働者だったり研修生だったりする。これを改憲したから「日本の国民が少なすぎる。兵隊になる人、いないか? あ、日本の軍隊に入ることで市民権を得ませんか? フィリピンの人たち、インドネシアの人たち……」って。ベトナム系、中国系……中国系だとどうなんだろうね? 仮想敵が中国だから、「中国から日本に移民をしたいです」って入ってきて。それを果たして日本の軍人にしていいのか?っていう問題もあるけど。

(プチ鹿島)まあ、野球チームに入る外国人選手みたいな感じですかね?

(モーリー)助っ人外国人兵士。

(プチ鹿島)フフフ、助っ人外国人兵士。

(モーリー)ということを、日本人がやりたくないから誰かそれを請け負ってくれるならいいよっていう、アメリカはそういうシステムがあるわけですよ。ところが、それをやった時にそれって思いの外、血を流す覚悟で日本人になった人たちの意見を尊重しなきゃいけなくなるのが民主主義で。外国人や移民した人たちの参政権その他は当たり前。その人たちの子々孫々にちゃんとした日本語教育を与える予算もちゃんと作らなくちゃならなくなるなど、日本があれよあれよという間に多様な多民族国家になるっていう道なのね。

(プチ鹿島)だからモーリーさん、今日のオープニングトークでもそうでしたけど、建前というか、大きな嘘がどんどんと……たとえば今回のトランプさんもそうですけど。崩れ始めているというか、大きな象を見せつけられているじゃないですか。外国人労働者もそうですよね。前にもゲストの方にいらしていただきましたが、もう表玄関ではずっと見て見ぬふりをして、裏口からどんどんどんどん「早く早く……」って。でもそれがいい加減、「それ、どうするの?」っていうのを突きつけられているっていうことでしょう?

(モーリー)そうなんですよ。だから改憲もする、多民族国家も既成事実でしかも傭兵だから……っていうことでどんどんどんどんと雪だるま式で世の中が変わっていった時、政治は混乱する。社会も混乱する。そしてなにが起きるのかっていうと、ここで私が先ほど自民党の中の誰かに向けて放ったメッセージなんですけども。これから自民党は究極に弱くなる危険性があるというのは、イギリスのブレグジット騒動を見ていると、強行ブレグジット派の声だけが与党の保守党の中で大きくなってしまった結果、穏健な人たちは黙るしかなくなっちゃった。

(プチ鹿島)はいはい。

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イギリスの保守党やアメリカの共和党の前例

(モーリー)アメリカの共和党ももともとは大同団結した保守だったものが強硬派・ティーパーティー、トランプの人たちだけが言わば巨大な保守党である共和党を乗っ取ってしまって。マケインさんのような穏健派はだんだんと口をつぐむしかなくなるんですよ。そして日本で政治混乱が起こって改憲が起こったり……これから改憲騒動が日本で火がついていくと、「とにかく改憲しろ!」っていう人たちの声はとても自民党の中で大きくなる。それと維新をはじめとしたもっと真右。さらなる真右……NHKから国民を守る会の人たちとかが参戦するかもしれないですよ。

それとか、「日本を日本人に取り戻す」みたいな党とかが出てきたりするとする。それがみんなで自民党右派と結託して改憲を押し進めた時、自民党の真ん中はだんだんとブレグジット騒動の保守党。あるいはトランプ騒動の共和党のように、自民党の真ん中が崩れていく。しかも、いちばん大事なのはこれは「いままでの政治が嘘をついてきた」っていうことで国民の不満と怒りが噴出した結果でもあるので、エスタブリッシュメントであることそのものが攻撃をされる。つまり、エスタブリッシュメントであり続けてきた自民党が攻撃される。自民党の中から、タコが自分の手足を食べるように、自民党が内部崩壊していくっていうシナリオなんですよ、これは。

(プチ鹿島)でも、いままさにいまの時点でも自民党の中で昔はあらゆる派閥というか価値観があって。宏池会とか、いわゆる保守本流。ハト派とか言われるような。でも、いまはみーんなシュンとして何も言えないじゃないですか。で、総裁選にだってたとえば安倍さんと真逆の野田聖子さんみたいな人はまず出ることすらできないっていう。もう、始まっていますよね?

(モーリー)そうですね。安倍さんはエスタブリッシュメントの中の自身のレガシーに非常に拘っている右だっていう風に私は見ているんですよ。ただ、安倍さんはポピュリズムのやり方に手を出している。SNSを使ったりして。だけどね、心底はポピュリストじゃないと思うんだよね。

(プチ鹿島)それで言うと面白いのが、さっきも楽屋でチラッとお話しましたけども。百田尚樹現象っていうのがニューズウィークで書かれて。一方で僕はそれと密接に、逆だけどその対極にいるのが今回の山本太郎現象みたいなものだと思うんですよ。

(モーリー)だから山本太郎さんの現象と百田尚樹さんの現象は本当に鏡合わせなんですよ。どちらもエスタブリッシュメントが嫌いな。なので、そういう政党ばっかりになっていき、エスタブリッシュメントの真ん中が崩れるという現象が百田さんの大人気。山本太郎さんの急成長する注目……。

(プチ鹿島)なんだったら、山本太郎的人気は自民党を支持している層をも掘り起こしちゃっている。だから「いまの自民党、どうなんだ?」っていうので。なんか両極で……。

(モーリー)そう。それでね、結局ここに象が50年以上いた。みんな左も右も、そしてメディアもその象そのもののことはあまり言わずに「耳がどうだ」「しっぽがどうだ」って言うことで逃げ続けてきた。国民も不都合な議論をわざわざするんじゃなくて、経済も成長してるんだしいいじゃないかっていう風にみんなでつるんで逃亡していた。それがいきなりトランプさんという大きな象がやってきて、象が踏んでも壊れないはずだった筆箱を踏み潰した。俺、いいこと言ったな、いま。いやー、最高!

(プチ鹿島)いやー、大きな象の実態はみんな見て見ぬふりをして。本当に端っこ同士で大騒ぎをしているって、本当にあらゆるジャンルでいま起きていることだと思うんですよ。闇営業の話だってそうだと思いますよ。みんな端っこで大騒ぎをしている。

(モーリー)「なんで闇営業をしなきゃいけなかったのか?」っていうと、そもそも芸人の給料が平均的に低すぎて、人道的な水準を下回っていて。それがザ・芸能界だっていうことで。それを書く芸能メディアもほとんどそこに切り込むことはないわけですよね。

(プチ鹿島)で、皮肉なことにもともと芸能ってそういう社会の外にいた分野だったのに、それがいまメディアに出ることによっていちばんちゃんとしなくちゃいけないっていう。

(モーリー)あのね、「ア・ピース・オブ・警句」っていうコラムを小田嶋隆さんが書いていて。まあ私は小田嶋さんとはある程度、彼の理想主義的なところとは距離感を持っているんだけども。今回の闇営業騒動、吉本に関しては本当に切り込んだ記事を書いているのは検索をしても出てくるのは小田嶋さんだけなんですよ。だからもし興味がある人はぜひ読んでほしいんだけども。問題の本質からいかに芸能メディアが逃亡をしているかということを指摘している。

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「ア・ピース・オブ・警句」

(プチ鹿島)うんうん。本当にそう。つまり、今回の話をちゃんとするのであれば、「芸能ってなんなの?」っていう話になるはずなのに……。

(モーリー)でね、ここが日本式ねじれなんだけども。問題は一切あってはいけない。ピエール瀧さんがコカインや大麻に手を出してもいけないし、恋愛をしたら坊主になってお詫びをするAKBのメンバーとか、そういうことばかりが大きくなって潔癖なのよ。本質を語らずに妙なところだけ、「この象の足の爪が汚い!」って言っているんですよ。

(プチ鹿島)つまり一億総菅官房長官説かもしれないですね。

(モーリー)うまい!

(プチ鹿島)「そのようなことはない! はい、次!」「そのような事実はない!」って。

(モーリー)そういうことですよ。でね、そういうことをやると結局、エスタブリッシュメントが自らを崩壊させる方向に行き、エスタブリッシュメントがずっと見させないようにしてきた、あるいは存在を認めてこなかったこと……たとえば私生児がいるのに「そんな子はいません。隠し子はいません」って言っていて、その子がとうとう大学を出てしまいました、みたいな感じ。

(プチ鹿島)「外国人労働者はいない! 移民はない!」。

(モーリー)「改憲はない!」って。ところが、あるのよ。そうなった時にやっぱりエスタブリッシュメントが弱くなり、山本太郎さんの側につく興奮した人。百田尚樹さんの側につく興奮した人がいて。いまんところヨーロッパやアメリカの事例を見ていると、左右で分断した時になにが起きるか?っていうと、弱者に対する思いやりをみんな余裕がなくなって、みんな弱者に対して右も左もより冷たく当たり、そして最後は右が勝つんですよ。決まって右が勝つんです。こういう時って。

(プチ鹿島)そうですか……。

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前例通りなら右が勝つ

(モーリー)だから日本も自民党が崩れて真右政党。「自民党」という名前はついているけども、中身は全部真右。NHKの会長さんもみんな真右みたいな状況が訪れる前夜祭のようにいま、感じているのね。

(プチ鹿島)うんうん。全部軸が右にずれ始めているっていう。

(モーリー)そうなんですよ。で、一方では表面的にマイノリティーに対する、たとえば男女平等にしましょうとか、LGBTの人たちにパートナーシップ証明書を出しましょうとか、きれいごとの飾り窓はあるんだけども、心の奥底にある偏見だとか、その偏見の奥底にあるのは「自分の現状を変えたくない」っていう不安に基づいた人たちの保守性なわけだ。

(プチ鹿島)だから本当に自分よりも弱いものを叩くっていう……それこそブルーハーツが昔歌っていましたけども。ああいう世界がもう来ちゃったんですけども。その一方で、もしかしたら自分も弱者かもしれないんだけど、その実態を見たくないから強い人について。それで満足をしちゃうっていう……。

(モーリー)私、地上波のワイドショーに出演しているわけですけども。それを見ている限り、悪いことをしたやつをひたすら公にかわってメディアは叩きまくる。「こいつ、叩いていいです! こいつ、ひどいことをしました!」ってやる。でも、その子供を指差して「あなたも覚醒剤漬けになるかもしれない」っていう風には言わないんだよね。それは溜飲を下げないから。その後味の悪い虚像が日本の政治も崩すけど、下手すると日本のメディアもエスタブリッシュメントということで地位が失墜し、そこでじゃあ仮に「ネットの真実」が出てくるか?っていうと、それは先ほど申しましたようにとんでもないことが真実の顔になってしまうわけだよね。

(プチ鹿島)いやー、だからそういうのがあると、先回りして土下座して謝る人も出てきちゃいますよね。先回り、先回りでね。

(モーリー)で、「土下座すればいいんでしょう?」っていうことで。ただ、その土下座をしても現状は変わらないから。現状についてみんなが見つめざるをえない。で、やっぱりその時にいまプチさんがおっしゃったように自分のこととして引き受ける。自分だってその嘘でいい思いをしてきたんだから、これから弱者に寄り添う。自分が弱者になった場合を想定して包括的に考えること。これを果たしていまの日本社会ができるのか?っていうと、私は少しマイナス寄りの「?」です。

(プチ鹿島)なるほどね。

(モーリー)暗いね。最高!

(プチ鹿島)いやー、これは参院選前の番組にもってこいだね! 毎日これ、流しましょう。

(モーリー)毎日こういう暗い話をしましょう。「投票に行ってもなにも変わらない。今回の選挙で大躍進をするのはポピュリストだけ。ああ、終わった……」って言い続けてみんなでスカッとして。それで投票にいってほしいね。

(プチ鹿島)僕とモーリーさんは新しく「NHKを見守る会」っていうのを立ち上げますので。裏番組でやり始めましたから(笑)。

(モーリー)よろしくお願いします(笑)。

<書き起こしおわり>

プチ鹿島とモーリー・ロバートソン「政治家の闇営業」を語る
プチ鹿島さんとモーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で「政治家の闇営業」問題や自民党の広報戦略、そして参議院選挙前に自民党内で配布された冊子『フェイク情報が蝕むニッポン』などについて話していました。
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