モーリー・ロバートソン アメリカ銃規制問題 NRAと企業の対立を語る

モーリー・ロバートソン アメリカ銃規制問題 NRAと企業の対立を語る 文化放送

モーリー・ロバートソンさんが文化放送『The News Masters TOKYO』の中でフロリダ州の高校内での銃乱射事件をきっかけに、企業が全米ライフル協会会員に対する優遇制度を撤廃しているニュースについて話していました。

(西川文野)アメリカ・フロリダ州の高校で17人が死亡した銃乱射事件を受けてNRA(全米ライフル協会)に対する怒りの声がソーシャルメディア上で渦巻いています。この動きに敏感に反応してアメリカの大手企業の中にはNRAとの関係を断つことを表明する企業が相次いで現れています。

(タケ小山)さあ、始まりました。ある意味、少しずつですがムーブメントが起きているように感じます。

(モーリー・ロバートソン)そうですね。そしてこのムーブメントがどこまで行くのかでトランプ政権の今後の行く末も占えるので。ある種のリトマス試験紙になっていますので、銃規制の問題はちょっと注目していくといいと思います。ライフル協会なんですけど、500万人の会員がいるということで。そして、この人たちは非常に強い銃に対する思いがありますので、選挙の時にはがっちり動くんですね。浮動票にはならないということで、それがトランプさんの支持基盤のひとつの大きな軸になっているんですけども。

(タケ小山)はい。

(モーリー・ロバートソン)やはり高校で乱射事件が起きるなど、痛ましいことが相次いでいるので、この前にも紹介しましたけど、乱射事件で生存した高校生たちが中心になって銃規制のキャンペーンをネットで展開しています。

モーリー・ロバートソン アメリカ銃規制派学生と全米ライフル協会の対立を語る
モーリー・ロバートソンさんが文化放送『The News Masters TOKYO』の中でフロリダ州の高校内での銃乱射事件をきっかけに、若者たちが銃規制を訴えているニュースを紹介。全米ライフル協会(NRA)と銃規制派の若者たちの対立について...

(タケ小山)はい。

(モーリー・ロバートソン)それに対して、世論が高まっていますので、少なくともちょっとは……アサルトライフルとかそういうものは一般の人が持っていちゃダメだろうという。銃の撤廃ではないんですけど、まともなところまで規制しようよという声は強く上がっている。そして、このNRAが組織力を持っていて、長年に渡っていろんな企業がそこに媚びを売っていて。たとえば航空会社ならNRAメンバーへの運賃の割引制度など、いろんな企業が優遇措置を出しているんですね。

(タケ小山)どんなところがありますか?

企業によるNRA会員への優遇制度撤廃

(モーリー・ロバートソン)保険大手のメットライフとか、セキュリティーのシマンテック。あとはレンタカーのハーツ、航空会社だとデルタ、ユナイテッド。あと、金融のファーストナショナルバンク・オブ・オマハ。あとはフェデックスとUPS。

(タケ小山)じゃあ流通は全部ですね。

(モーリー・ロバートソン)まあ、だから州をまたぐと、かならず州の中にはNRAバリバリの地域もあったりしますので。いろいろと考えて、企業の論理で言うと好かれる方が嫌われるよりもいいだろうということで、いろんな提携をするわけですよ。ところが、そのNRA枠のNRAディスカウントをどれぐらいNRAの会員が使っているのか、実は怪しくて。つまり、企業として解消をしたところで、痛くもかゆくもないというか。「その枠、大して使ってなかったじゃん?」みたいなのがあって。

(タケ小山)ただこれ、発表されてしまうとNRAのイメージダウンですよね?

(モーリー・ロバートソン)そうなんですよ。それで、この中で図らずもいちばん派手な争点になってしまったのが、デルタ航空。ジョージア州に拠点を置く巨大な航空会社ですけども、そこがジョージア州にとっても大事な税金の資金源でもあるということで、収税を大幅に免除される措置を受けていたわけですよ。拠点をそこに置くからということで。

(タケ小山)もちろんですよね。

(モーリー・ロバートソン)ですよね。そうしないと。だって、そのためにアトランタ空港があるわけだから。

(タケ小山)アトランタのほとんどがデルタのマークですよ。あそこがハブだから。

(モーリー・ロバートソン)そうそう。だから「ありがとう、おつかれさん」ということで、収税を減免するというのは、当たり前ですよね?

(タケ小山)「うちに来てくれて、ありがとう」って。

(モーリー・ロバートソン)それはデルタを州がかわいがって、財源にしている。

(タケ小山)ただ、ジョージア州はこれが保守で……。

(モーリー・ロバートソン)そう。ジョージア州の州議会は共和党が強いんですけども。州議会の共和党が「なんだと? NRAとの関係を断つ? じゃあ、目にもの見せてくれる!」ってことで、デルタのジェット燃料に対する収税免除の条項を法案から削除するという報復を宣言したわけ。政治とNRAがあまりにも一体化して、そこに企業が巻き込まれて。企業は世論の高まりを受けてね、「我々はいまのNRAの方針には反対なので、提携を解除して、ディスカウント枠を撤廃します」って、「#metoo」したわけですよ。他の企業と一緒に。企業の「#metoo」だったわけよ。

(タケ小山)すごいな(笑)。

(モーリー・ロバートソン)ところが、共和党そのものが「コラァ! 制裁くらわすぞ!」って言っているわけですよ。

(タケ小山)ちょっと昔の日本にも、そんな雰囲気のものが……(笑)。

(モーリー・ロバートソン)ただ、たとえば自民党が特定の企業に対して「こんなものは不買です!」って議員が発表すると、それをやると政治の介入でちょっとマーケットがおかしくなるし。民主主義なの?っていうことですよね。ところが、共和党の場合はあまりにもNRA票に依存していて、そこに強くNRAを明言して支持しないと、次の選挙で同じ共和党内でNRA寄りの対立候補を立てられて負けちゃうんですよ。それぐらい、NRAの組織力が強いとされている。神通力が強すぎて。だから、人道よりもNRAの方が高い権力を持ってしまっている。ところが、これがまたアメリカっぽいんですけども……。

(タケ小山)来たっ!

(モーリー・ロバートソン)ジョージアでそのひと悶着がありました。デルタはかわいそうに。政治家でもないから、反論もせずに、ただボコられるまま黙っているしかないですよね? それによってニューヨーク州が「うちに来たらどう?」って。

(タケ小山)あらっ! ニューヨークは民主党寄りだからね。

デルタ航空にニューヨーク州がラブコール

(モーリー・ロバートソン)ラガーディア空港とかJFK空港があるから。「もう、うちに来ればいいんじゃない?」って。そういう風に、政治が商売にラブコール。ちゃっかり財源ももらえるし……みたいな。

(タケ小山)これ、ユナイテッド航空の方はなにも起きてないんですか?

(モーリー・ロバートソン)ユナイテッドはまだ恫喝されてないけど……これ、恫喝ですよ。政治による企業への恫喝なんだから。

(タケ小山)ユナイテッドはどちらかと言うとカリフォルニア、サンフランシスコがハブだったりとか。

(モーリー・ロバートソン)ああ、だったらあまり痛くもかゆくもないかも。だからジョージアにたまたまあったということで、「どうだ、お前? 痛みを感じるだろ? ほら、ほら!」っていう風にどやしつけられている状態。

(タケ小山)あとジョージアには結構いい企業が多くて。コカ・コーラなんかは?

(モーリー・ロバートソン)そうですね。ただ、コカ・コーラがNRAで声を上げるとは……よっぽどユーザーベースが変われば、だけど。あと、アップル、グーグル、アマゾンとかもビッグビジネスなんで。そう簡単に顧客との関係は……できれば、嵐が過ぎ去ってほしいと思っているんじゃないですか? アップルとかは。

(タケ小山)ただ、企業が手を上げてきたということは、いままでにはなかった動きですよね。

(モーリー・ロバートソン)そうなんです。ですから、これがどんどん広がっていって、若い人たち、企業、NRAやそれと結託した議員たちが「見苦しい」と世論に判断されてしまうと、これがまた中間選挙に向けて。

(タケ小山)そうか。

(モーリー・ロバートソン)だから2つ。アメリカの銃規制。そして北朝鮮と戦争を簡単にしない。この2つでトランプ政権を食い止めたいなと思っています。

(タケ小山)ありがとうございます。

<書き起こしおわり>

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