モーリー・ロバートソン 柴山文科相「教育勅語」発言を語る

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モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で内閣改造により入閣した柴山文部科学大臣が就任会見で教育勅語について認識を述べた件について話していました。

文部省の研究 「理想の日本人像」を求めた百五十年 (文春新書)

(モーリー)もうだんだん秋が訪れてきて。

(プチ鹿島)この番組、10月も無事改変を乗り越えまして。よろしくお願いします。

(モーリー)いやー、ありがとうございます。みなさまのおかげです。

(プチ鹿島)2週間ぶりの放送ですから、ちょっとリラックスした話題から行きましょうか。なにがいいですか?

(モーリー)とっても柔らかいところで……やっぱり教育勅語ですかね?(笑)。

(プチ鹿島)柔らかい! 柔らかいなー!(笑)。

(モーリー)あのさ、文部科学大臣が就任早々に教育勅語をなんとなく持ち出してきて。

(プチ鹿島)(森友学園の幼稚園児のように)教育勅語を暗唱したわけじゃないんでしょう?

(モーリー)暗唱したわけじゃないし、私も暗唱できるようにと思ってさっきね、声に出して日本語として読んでみた。そして「一旦緩急アレハ……」っていうのがひとつ、ポイントなんですよね。教育勅語の真ん中の方にあるんですけども。まあ、いわゆる「家族を敬いましょう」とか「お互いにいろいろと親切にしましょう」とかの後で、いちばんのクライマックスにあるのが「緩急」。つまり「国難、リスクが訪れた時にあなたは自分を差し出してこの国体を守りなさい」っていうようなニュアンスになっているわけですよ。

(プチ鹿島)はー!

(モーリー)「そして輝かしい皇室の系統を守りなさいね」っていう。ある種のね、江戸時代で言うと武士道。自分の命を差し出して殿に仕えるというものを主君が「殿」や「藩」ではなくて「大君(天皇陛下)」に変わっているっていう、そういう構造上の類似も感じましたね。

(プチ鹿島)だからこれ、教育勅語の亡霊って言ったらなんなんですけどもここ1、2年、なんかことあるごとにこれが出てきて。

(モーリー)あのさ、民主党の揺さぶりを受け、そして民主党がいろいろグダグダに自己崩壊してくれたおかげで、日本を取り戻したわけじゃない? 日本を取り戻して、また教育勅語を出してくるの?

(プチ鹿島)だから野党のツッコミよりも教育勅語の方がちょっと揺さぶっていますよね?

(モーリー)あの……これは誰に向けてやっているのか? つまり、たとえば総理が喜ぶと思って気を利かせてリップ・サービスをしたのか? それとも本当にうっすらと通底しているイデオロギーなのか?

(プチ鹿島)だから「あれはもう昔のことですから……」っていう完全否定はできず、「でもまあいいところもあるじゃないか」って言わざるをえないっていうことなんですか? あの方たちは。

(モーリー)「教育勅語」と「生産性」と「改憲」のこの三点セットがこの秋の自民党の一押しなのかな?

(プチ鹿島)それもまたヘビーですね。

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「教育勅語」「生産性」「改憲」の三点セット

(モーリー)それに対して立憲民主党の三点セットは……もっと怖いから見たくない、みたいなね。

(プチ鹿島)ただね、教育勅語に関しては去年、稲田朋美さんが読売新聞の社説に叱られていたんですよ。僕、それをよく覚えているんです。稲田朋美さんが「教育勅語の精神にはいいところがある」っていうのをおっしゃったんですよね。それに対して読売新聞が「歴史を学ぶ教材として、教育勅語を用いることは、何ら問題がないだろう。ただし、道徳などで教育勅語を規範とするような指導をすることは、厳に慎まねばならない。確かに、親孝行や夫婦愛など、現在にも通じる徳目を説いている面はある。しかし、教育勅語を引用しなくても、これらの大切さを教えることは十分に可能だ」っていう風に言っていて。

(モーリー)夫婦愛や道徳を理由に、流動食。ピューレに噛み砕いて。「一応これ、飲んでみ?」みたいな。それでその中でこれが発芽するわけだよね。そうすると改憲をしたい。国民投票を発議する。それが上手く行ったとする。その先に待っているゴール地点。ゴールラインの向こうに「待ってたよ~!」って教育勅語がそこにいるっていうこと?

(プチ鹿島)はー! だから読売は「別にいま、教育勅語にこだわる必要はない」って言っていて、僕はそれはすごくわかりやすかったんですけど。なんでじゃあ、こだわる人がいるんですかね?

(モーリー)つまり、なんていうか論理的に戦前までの道徳観、明治憲法の世界観を全部否定。いらない! だけどいまは物理的に、たとえば周りの周辺事態とかが変わってきている。アメリカのトランプ政権でグラグラしていて日米同盟も危うい。だからこれで改憲して自主防衛をするしかないですよね。っていう風に論理的に冷たく進めていけばいいところを、どこかで情緒的に「お父さん、お母さんを大切にしましょう!」って、昔CMで毎日やっていたけども。

(プチ鹿島)ああーっ、火の用心ね。

(モーリー)そうです。「戸締まり用心、火の用心! お父さんとお母さんを大切にしよう! 一日一善!」って言って。そこに教育勅語が回り込んできて。なぜか目の前に教育勅語がいるんですよ。

(プチ鹿島)もう「一日一善」でいいじゃないか?って。

(モーリー)いや、俺は一休さんでいいよ(笑)。

(プチ鹿島)アハハハハハッ! 『水曜日のニュース・ロバートソン』、スタートです!

(中略)

(モーリー)それでね、せっかくなんで教育勅語の気持ちよさをちょっと行ってみたいと思います。結局、最近『新潮45』の問題があったりして、そこで「多様性」っていうものが似非生物学的に「生産性」という言葉。あるいは功利主義的な経営者目線で「こういう人は社会に貢献する。こういう人は社会の負担」っていう風に、なんか経済原則なのか生物なのかよくわからない領域で暴論が独り歩きしていた。

(プチ鹿島)はい。

(モーリー)そしてそれに対して炎上をしてしまったために、まあ「逃げよう!」とばかりに新潮社がそれを閉じちゃったんですね。そういう一件があったこの文脈の流れで新しいものが投下されるわけですよ。教育勅語っていうのは新しい燃料だと思うんですけど。この新しい炎上の燃料っていうのはすでに燃えているものの中のコンテクストで理解をしないといけない。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)つまり、たとえばもう50年間、教育勅語の復活を呼びかけてきた議員たちとか議連がずっといるんですよ。宗教団体も。だけど、いまここで、『新潮45』のほとぼりがせっかく冷めたと思ったタイミングで、沖縄知事選で玉城デニーさんに自民党が負けた後で、今度は教育勅語ですか?っていう、この流れだよね。

(プチ鹿島)すごい流れですよね。

新潮45休刊・沖縄知事選後に教育勅語を出す意味

(モーリー)すごい流れなわけ。で、これは結局どこに向かっているのか?っていうのを私なりに占うと……『新潮45』でひとつ、大きな争点となったのが社会の多様性や包摂、寛容性というものをどこまで拡大すべきで、どこまで弱者やマイノリティー、少数者を社会は認めて、場合によっては保護すべきなのか?っていうこと。その「どこまで?」っていう議論の綱引きだったわけですよ。それを借りて保守と革新の流れの人たちがぶつかっていたわけ。ここで教育勅語というものを出してくるということは、要は「多様性 VS 新潮45」っていう戦いで多様性の勝利だったわけ。これで「1:0」。で、それに対して教育勅語を持ってきて「1:1」に持ち込みたいの?っていう感じですよね。

(プチ鹿島)うんうん。

(モーリー)つまり、いまのこのタイミングで、しかも文部科学大臣がそれを言っているっていうことは結局、教育の津々浦々に教育勅語をなんとなく染み込ませたい。下味、マリネにしたいっていう含みがある。ということは、結局はアンチ多様性と記号がイコールになってしまう。つまり、「多様性 VS 反多様性」っていう私から見ると完全に架空の戦いが起きているわけですよ。なんでこの2つが戦わなきゃいけない社会なの?っていう。そこに興味深いものを覚えますね。

(プチ鹿島)だから文部科学大臣が今年不祥事が続く一連のアマチュアスポーツ、どう立て直していくのか?っていうのが課題であったはずが、教育勅語になったじゃないですか。

(モーリー)ああ、つまり「ボクシング協会にしろなんにしろ、教育勅語で昔のように修身を勉強していれば、こういうことは起きなかったんじゃないか。パワハラを受けてもそれは耐えて忍んで和をもって尊しとなすというのが日本人だろう」なんてね。

(プチ鹿島)でも、こういうパワーワードが1年ぶりに燃えだすと、また今度も籠池夫妻とかが絡んできますよ。

(モーリー)だって教育勅語を小学校とかで暗唱していたんでしょう?

(プチ鹿島)そうそう。幼稚園とかね。

(モーリー)あれを見た時、僕はビジネスだと思った。完全にビジネス右翼だと思ったんだけど、それがあらぬ方に行って。場合によっては籠池さんは反安倍陣営にも彼は一種の傭兵として行ったり来たりする商売人なわけですよね。いや、興味深い。それでこういう中で教育勅語という言葉がすでにもう味がついてしまったので。純粋に教育勅語の文言だけを読んで「いいところもあれば悪いところもある」なんていう冷静な議論はこれからは成り立たないですよね。このままだと。というのが印象でございました。

<書き起こしおわり>

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