モーリー・ロバートソン 香港大規模デモを語る

モーリー・ロバートソン 香港大規模デモを語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で香港で行われている中国への引き渡し条例に反対する100万人規模の大規模デモについて話していました。

(モーリー)その香港の100万人に達した規模のデモなんですけども。何年か前には雨傘運動なんていうのがあったんですけど、それを大幅に上回っているんですね。で、その時の指導者だったいまは22歳の「民主の女神」と呼ばれた周庭(アグネス・チョウ)さん。現役の学生さんが日本に来て記者クラブで話をしたりしていました。

(プチ鹿島)会見をして。

(モーリー)で、その記者会見の記事を読んだんですが、やっぱり興味深いのは「これは日本人にもかかわってくる問題なんだ。香港というひとつのエリア限定の問題ではない」っていう。

(プチ鹿島)そういう風に言っていましたね。「日本人の方もあなたがもし気に入られてなければ香港に足を運んだ際に……」みたいなことをね。

(モーリー)いきなりね。だからこういう番組で好き勝手に「中国政府は民主化すべきだ」みたいなことを言っている人はどうなっちゃうんでしょうね?

(プチ鹿島)だからモーリーさんが香港に行ってもしにらまれたら……。

(モーリー)で、なにが起きるのか?っていうと、この新しい条例が通ってしまうと、私は香港で捕まって中国に連れて行かれて、そこで自白を強要され、動画かなんかででっち上げの罪を発信させられるみたいな羽目になっちゃうのね。で、実際にそういうことは過去に香港で中国政府を批判するタブロイド紙を置いている本屋さんの……。

(プチ鹿島)ありました! 品揃え豊富だと言われていた。だいたい中国では出せない情報とかが香港のタブロイド紙にたくさん載っているんですよね。

(モーリー)で、タブロイドになってくると結構ものの話のように怪しげな本がいっぱい出ているんですけども、その中にいくつかそういうクッションを付けて不都合な真実が紛れ込んでいるという。

(プチ鹿島)だから8割、9割はゴシップ、ガセなんだけど、あとから考えてみるとあれ? 本当のことを書いていたぞ?っていう。

(モーリー)ところがそれを流通させていた書店の店長さんがでっち上げで中国政府に捕まった。あとは場合によってはやはりそういう中国の体制を批判している人物がスウェーデン国籍を持っているにもかかわらず、捕まってしまっている。それを、たとえばスウェーデンの国の外務省の人がなんとかしてコンタクトを取りに行っても難しかったとか。いわゆる国籍ですら、中国政府は超えてしまうんですよ。

だからこれがひとつ怖いなっていう。つまり、超法規的であるということ。そして中国側が政府がある意味24時間、全ての国民。13億人を全て監視はしているわけですね。ところがその時、誰を優先的にしょっぴくのかは恣意的に決めるわけです。その時の情勢に応じて変わるわけですよ。

(プチ鹿島)はいはい。

(モーリー)去年までは「ここまでは言っても大丈夫」だった人が急に新しい条例でいきなり「適応だ」って言われて。まあ、言わば日本の昔の治安維持法みたいな、とにかく恣意的にどんなでっち上げでも捕まえることができる。そして1回、香港から中国本土に入ってしまうと、日常的に拷問が行われているので。もうそこではね、なにがなんだか有耶無耶になるわけですよね。だから法の支配では決してない状態になっている。で、これが図らずもある意味、興味深いバランスになっている気がします。

というのは、香港の人たちがここまで、今回のこれが最後のデモになるかもしれないということで、みなさん大挙してデモに出たわけで。そこにはゴム弾とか催涙ガスとか、そういうのをやっているんだけども。中国はあまりにも露骨に一国二制度を否定してしまうと、当然台湾にもその脅威が及びますよね。そうなった時、その中国がいまやろうとしている世界の舞台での一帯一路。いわゆるアメリカや欧米があまり手を出さないところに手を出していく。そこの隙間へと染み込んでいくというこの作戦が、どこかで……英語で「バックファイアー」って言うんですけども。

一帯一路への「バックファイアー」

暴発して中国政府の思い通りにならない可能性がある。つまり、民主主義というのは一見お金に換金できないから、それよりも中国人は現ナマをほしがるだろうという、そういう強気の姿勢で中国はずっと言論統制をしているわけですよね。ところが、たとえば日本に来る中国人の数はどんどんと増えているわけですよ。毎日のようにものすごい数が来ている。そうすると、やはり日本人はあまり肌身で感じていない、自覚的ではないかもしれないけど、日本は非常に風通しがよくて。たとえば、日刊ゲンダイが安倍さんのことを毎日罵ってもいい国なわけですよね。

(プチ鹿島)そうですよね。この間、北朝鮮が「図々しい安倍一味」って言っていたんですけど、僕は最初「これ、日刊ゲンダイが言ってるんじゃないかな?」って思ったんですよ。だから日刊ゲンダイって北朝鮮と論調が一緒なんですよね。

(モーリー)フフフ(笑)。というように、もうどんなこともある一定のマナーの内側では……。

(プチ鹿島)まあ、許されるよっていう。

(モーリー)その風通しのよさが結局、こういう細分化されたサービスや社会的な信頼としてね、やっぱり民主主義が根幹にあって日本のブランドの、たとえば「赤ちゃん用の粉ミルクの中にメラミンが混入していません」っていうような当たり前のことが、やはり民主主義がないと、誰かがやっちゃうんですよ。だから、それを中国人が大挙して日本に観光で訪れて、ヒリヒリと感じて持ち帰ると、やはりミツバチが花粉を持ち帰るように疑いが……。

(プチ鹿島)なるほどね。どんどんどんどん。

(モーリー)だから中国のやっていることはかならずしも永続性はないという印象ですね。

(プチ鹿島)なるほど。ありがとうございます。

<書き起こしおわり>

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