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宇多丸・高橋芳朗・渡辺志保 2010年代のヒップホップを語る

渡辺志保『今日は一日”RAP”三昧』スラング解説まとめ 今日は一日RAP三昧
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宇多丸さん、高橋芳朗さん、DJ YANATAKEさん、渡辺志保さんがNHK FM『今日は一日”RAP”三昧』の中でラップ・ヒップホップの歴史を振り返り。2010年代のラップ・ヒップホップのさらなる進化について話していました。

(宇多丸)さあ、現在に至るまでの現在進行系のヒップホップの話を聞きましょう。

(高橋芳朗)2008年から行きます。2008年というと、オバマ大統領が誕生したタイミングですね。あと、インターネットで音楽を聞く環境がもうばっちり整備されてきて。たとえばSoundCloudとかBandcampとか。あとSpotifyがヨーロッパで立ち上がったのが2008年です。

(宇多丸)ああ、そうなんだ!

(高橋芳朗)アメリカでサービスを開始したのは2011年ですけど、ヨーロッパではもう2008年から始まっていたという。

(宇多丸)なかなかね、インターネットでどうやって音楽を流通させるかとかね、そのあたりはちょっと揺れ動いた時期もあったけど、だいぶそのへんで固まってきたと。

(高橋芳朗)で、ここのセクションの頭、一発目でかけたいのは、カニエ・ウェスト。さっきも『Gold Digger』をかけましたけども。彼はね、どのアルバムでもひとつ山を作っているので。

(宇多丸)常にトレンドセッターですね。

(高橋芳朗)どのタイミングで紹介をしてもいいぐらいなんですけど、あえてここでカニエ・ウェストの『808s & Heartbreak』を。まあ、出た時はちょっとかなり問題作と……。

(渡辺志保)私は結構、「えっ? どこがいいのかちょっとわからない!」みたいな反応だったのを覚えています。

(高橋芳朗)全編、さっきも話しましたオートチューンがかかった声で、しかもほぼ歌ってるような。いま、後ろでね、『Love Lockdown』という曲がかかっていますけども。

(渡辺志保)ラップをしていないっていう。

(高橋芳朗)ただ、たしかにこのアルバムのどこに良さがあるのか? みたいにちょっと戸惑いもあったんですけど……いまから振り返ってみれば、間違いなくここ10年でいちばん影響力のあるアルバムだったと。

(宇多丸)たとえばオートチューンでラップと歌の境界線を行き交うようなボーカルスタイル。

(高橋芳朗)エモーショナルな。あと、内省的な歌詞世界。

(渡辺志保)これ、アルバムを作った動機が自分のお母さんの死。あと、自分がその時に付き合っていたフィアンセとの別れっていうのがきっかけになっているんですよ。なのでとにかく暗い。

(高橋芳朗)しみったれた感じね(笑)。

(渡辺志保)そう! しみったれた感じなんですけど、でもそれに影響されて、後々にキッド・カディとかね、出てきたりするわけなんで。ちょっとそういうエモっぽいラップの原型かもしれないですね。

(高橋芳朗)あと、酩酊感のあるトラック。ちょっとアンビエントっぽい感じとか。

(宇多丸)はいはい。アンビエントっぽい感じはもういまのね、まさにあれですしね。

(高橋芳朗)で、もうヒップホップに留まらず、以降のR&B。たとえばザ・ウィーケンドとかフランク・オーシャン、あとインディー・ロック。ボン・イヴェールとかジェイムス・ブレイクとか。

(渡辺志保)たしかにね、ボン・イヴェールもいち早くカニエが使っていましたからね。

(高橋芳朗)もうそのへんに強力な影響を与えた超問題作ですね。

(宇多丸)それでは、カニエ・ウェスト『808s & Heartbreak』から何を?

(高橋芳朗)アルバムのオープニング曲ですね。このビートの感じだと思います。カニエ・ウェスト『Say You Will』です。

Kanye West『Say You Will』

(宇多丸)はい。カニエ・ウェストの……。

(高橋芳朗)『Say You Will』。2008年。

(渡辺志保)暗い!っていう感じがしますね。

(宇多丸)暗いし、今日は一応『”RAP”三昧』なんだけど、もはやラップではないという。

(高橋芳朗)フハハハハッ! たしかに。

(渡辺志保)メロディーが全編についているという。

(宇多丸)ということなんですよね。でもやっぱり、いま聞くと、以降の音楽像のね。

(高橋芳朗)決定づけた感じがありますよね。

(宇多丸)「っぽい」。いろんなところが、「っぽい」。

(渡辺志保)2018年に聞いても「っぽい」っていうね。

(宇多丸)そういう感じがありますよね。さすがカニエというかね。

(高橋芳朗)で、この流れを組んで出てきた人がカナダ・トロントから来たドレイク。

(宇多丸)来ました! ドレイクは「ドレイク以降」っていうのがまた、ねえ。大きいですよね。ドレイクってどういう人ですか? もう1回、わかりやすく。

(高橋芳朗)カナダ・トロント出身なんですけども。もともと、子役かなんかで?

(渡辺志保)そうなんですよ。もともとは『Degrassi』っていう学園ドラマで、車椅子に乗っている男の子の役だったんですけど。もともと、なんでエンタメ業界にはいた人なんですよね。

(高橋芳朗)で、2009年に『So Far Gone』というミックステープ、ストリートアルバムで出てきたわけです。これが、いままでのミックステープっていうのは割とコンピレーションっぽいというか。新曲がバラバラと入っていたんだけど、この『So Far Gone』は非常にコンセプチュアルなミックステープで。

(宇多丸)もう作品として完成されていた。

(高橋芳朗)そう。トータル性がすごいあったんですね。ここから、『Best I Ever Had』という曲が大ヒットするんですけど。なにが衝撃だったかって、この『So Far Gone』というミックステープは当然、インターネットで無料で入手できるんですよ。で、『Best I Ever Had』という曲が全米チャートで2位まで上がるような大ヒットになった。

(宇多丸)無料で手に入れられる曲が!

(高橋芳朗)そう!

(渡辺志保)売ってないのに。

(宇多丸)要するに、配信のみですよね。

(渡辺志保)配信もタダで聞けるという。

(高橋芳朗)だからCD屋さん、タワーレコードとかに行って「すいません。ドレイクの『Best I Ever Had』ください」って言ったら、ないんですよ!

(宇多丸)だから、なんていうの? 「チャートってなんだ?」っていうか。

(高橋芳朗)そうそう。

(渡辺志保)だからラジオのエアプレイとかで数を稼いで。アメリカのチャートはすごい複合的ですから、そういったところでポイントを稼いでチャート上位に上がったという。

(宇多丸)だから売上チャートだったら全く……。

(渡辺志保)ゼロです。はい。

(宇多丸)恐ろしいキャリアの。

(高橋芳朗)衝撃です(笑)。

(渡辺志保)本当に衝撃的でした。

(宇多丸)でもそんぐらい……でも、タダで音楽をやっている人なんかいくらでもいるのに、そんぐらいのものだったっていうことですよね?

(高橋芳朗)そうですね。

(DJ YANATAKE)アメリカのニュースサイトみたいなのを見ていたら、出た瞬間にすごいバーッて話題になったんだけど。まだ、日本ではそういうミックステープみたいなのの盛り上がり方がいまいちわからないぐらいの時だったと思うんだけど……KREVAがね、すっごい出た瞬間に激押ししていたんですよ。

(高橋芳朗)ブログでね、上げていた。

(宇多丸)実はね、KREVAっていう男は本当にすごい男で。まあ、バトルをやらせれば(『B BOY PARK』で)三連覇。普通にポップグループとして売れてしまう。そして、オートチューン混じりのほぼほぼ歌のヒップホップチューン、内省的な……彼ははっきり言ってカニエよりも早くやってますけど?っていうことでもあったりして。まあ、恐ろしい男KREVA。『KREVA三昧』も楽しみにしていただきたい。あと、1人武道館とか完全にどうかしているとしか思えないことをやるなど、大変な男です。1000円くれないかといまだに思っていますけどもね。

(DJ YANATAKE)フフフ(笑)。

(高橋芳朗)で、まさにドレイクは歌とラップの両刀遣いというか、境界線を行き交うようなスタイルで。

(DJ YANATAKE)ひょっとしたら今日、日本語ラップしか聞いてないとかいう人はすごい洋楽の聞きやすい入り口になるかもしれないですね。

(渡辺志保)これ以前は、先ほども言っていたような50セントだったりリック・ロスだったり、結構マッチョで悪そうなラッパーというのが第一線だったんですけど。

(宇多丸)結局ね、それが主流だったんだよね。

(渡辺志保)でも彼の登場とか、カニエ・ウェストのブレイクによって、そういう悪そうなやつでなくてもいいんだ、みたいな。それこそPSG、PUNPEEくんとかが出てきたような感じで、アメリカも同じような転換期にあったんじゃないかと。

(宇多丸)デ・ラ・ソウルの時の開放感みたいなのがまた再び、そういうことがあるということですかね。

(高橋芳朗)しかも、この曲は女の子に優しいんだよね。

(宇多丸)『Best I Ever Had』。

(渡辺志保)そうなんですよ。めっちゃ優しいんですよ。これも本当にア↑コガレの世界ですよ。本当に。

(高橋芳朗)フハハハハッ!

(宇多丸)あ、女性としては?

(渡辺志保)はい。ア↑コガレの世界。

(高橋芳朗)だって「髪を結んですっぴんにスウェットパンツでリラックスしている普段の君こそがいちばんかわいい(weatpants, hair tied, chillin’ with no make-up on
That’s when you’re the prettiest)」とか。

(渡辺志保)そうなんですよ。あと、「君の家に行くから、もし家を空けていたら鍵はドアマットの下に入れておいてくれ(Put the key under the mat and you know I be over there)」みたいな。

(高橋芳朗)甘酸っぺー!

(渡辺志保)甘酸っぺー! 鍵、入れたい! みたいな(笑)。

(宇多丸・高橋)フハハハハッ!

(高橋芳朗)だからやっぱり、ヒップホップって女性蔑視みたいなそういうのもあったじゃないですか。

(渡辺志保)そうそう。やっぱりハードコアでナンボ、みたいなのがあったんですけど。

(宇多丸)すいません。時刻はもう午後8時44分なんで。これまでのヒップホップの女性のノリを8時44分なんで、NHK FMらしからぬ感じで言うとね、「おい、しゃぶれ!」みたいな。この感じだったわけです。いままでは。

(渡辺志保)まあ、そうですね。

(宇多丸)それが……。

(高橋芳朗)「すっぴんの君が素敵だよ」。

(宇多丸)「鍵、入れておいて」。

(渡辺志保)そう。だからやっぱり、ドレイクは見る人が見たらすごい甘いマスクなので。

(高橋芳朗)フハハハハッ!

(宇多丸)なんで微妙な言い方するの?(笑)。

(渡辺志保)いやいや、彼をイケメンとするか、しないかは結構……(笑)。

(宇多丸)論争があるわけね。

(高橋芳朗)眉毛がね。

(渡辺志保)そうそう。眉毛がセクシーだったりするので。またそういうところの票もバーッと獲得してポップヒットにつながるっていうのは、やっぱりそれこそいまにつながるような流れですけども。ドレイクはそこでは先駆者であったかなと。

(宇多丸)売れ方もそうだけど、内容もそうだしっていうことですよね。じゃあ、ちゃんと聞きましょうか。

(高橋芳朗)ドレイクで『Best I Ever Had』です。

Drake『Best I Ever Had』

(宇多丸)はい。ドレイクで『Best I Ever Had』。

(渡辺志保)聞いていただきました。ア↑コガレ甘酸っぱチューン。ちなみにドレイクはちゃんと音楽的バックボーンもあって。お母さんはトロント出身で、お父さんはメンフィスの出身。かつ、おじさんがあのラリー・グラハムなんですよね。

(宇多丸)あ、マジで!?

(渡辺志保)なので、彼、CDのクレジットとかを見ると載っているんですけど、本名はグラハムさんなんですね。名字が。なので、そういったところで。

(宇多丸)じゃあ、結構サラブレッドではあるんだ。

(渡辺志保)そうなんです、そうなんです。なるべくしてなったという感じがするし。結構この時代、リル・ウェイン率いるヤング・マネーというレーベルが台頭していったんですけど。リル・ウェインも結構自分と同じ毛色のラッパーを集めるのではなくて、こういうドレイクとか、あとニッキー・ミナージュとかね。自分とは全く逆のタイプのMCをバーッと引き入れてヤング・マネー帝国を作ったという。

(高橋芳朗)そうだね。言われみれば。だってリル・ウェインはニューオリンズでドレイクはカナダで、ニッキー・ミナージュはニューヨークで。バラバラなんだよね。

(宇多丸)ねえ。この番組の最初のあたりの雰囲気を思い出していただくと、やっぱりインターネットなのか知らないけど、ヒップホップというのがもう地域性からも解き放たれて。いろんなものからどんどんと……。

(高橋芳朗)ドラフトでいろんなところから優れたラッパーをピックアップしていくみたいな、そんな感じだよね。

(渡辺志保)クロスオーバー化していくっていう感じがすごくしますね。

(宇多丸)そしてインターネットを通じた様々なものが盛り上がっていくんですね。

(高橋芳朗)そうですね。インターネットのミックステープシーンからもう続々とスターが誕生して。タイラー・ザ・クリエイター。2009年の『Bastard』っていうミックステープが出て。

(宇多丸)2009年になるんだ。

(高橋芳朗)あとウィズ・カリファ。2010年の『Kush and OJ』。エイサップ・ロッキー。2011年の『Live. Love. ASAP』。まあ、ちょっとR&Bですけどフランク・オーシャン。2011年の『Nostalgia, Ultra』。

(宇多丸)フランク・オーシャンは後ほど話しますけど、デカいですね。フランク・オーシャンもね。非常に大きい話です。

(高橋芳朗)で、この頃、疑問だったのがこの人たち、タダでミックステープをバンバン出していて、食っていけるのかな?って。

(宇多丸)本当ですよ。「1000円くれ」とか言いながらね……。

(高橋芳朗)フハハハハッ!

(宇多丸)そういう私のような生活の立て方をしているのか?

(高橋芳朗)で、もちろんお金を得ることも大事なんだけど、この頃のジェネレーションの人たちになると、売れることも大事なんだけど、100%のクリエイティブ・コントロールが自分たちにあることの方が大事だったりね。

(宇多丸)必要以上のお金なんかあってもしょうがないぐらいの感じかな? ひょっとしたらね。

(渡辺志保)かつ、自分たちでプロモーションがネットを媒介にすれば瞬時にできますから。

(宇多丸)要は音源で、著作権料でナントカっていうよりは、ライブとかマーチャンダイズとかトータルで設けられるというか。そういう算段がつくような感じになっているのかな?

(高橋芳朗)だからタイラー・ザ・クリエイター率いるオッド・フューチャーなんかは結構マーチャンダイズとかで。

(渡辺志保)ねえ、当時ね。まあ、いまでも人気ですけどね。うんうん。

(高橋芳朗)その収益で十分にやっていけたんじゃないか。そういう収入があったんじゃないかなと思いますね。

(宇多丸)っていうかいまの音楽家というか、音楽を生業にする人の収入サイクルみたいなのはほぼほぼそういうようなことですよ。やっぱり。音源というよりは……っていうね。

(渡辺志保)まあね。ツアーでグッズを売って……とかね。

(宇多丸)そうそう。という感じだと思うけどね。

(高橋芳朗)あと、さっき言ったウィズ・カリファなんかは1回、ワーナー・ブラザースと契約してシングルを出すんだけど、売れなくてドロップ、落とされちゃうんですよ。その後に、さっき言った『Kush and OJ』っていうミックステープを出して、それで話題になってまたアトランティックと再契約をして、いきなり全米ナンバーワンヒットを出すという。

(宇多丸)はー!

(高橋芳朗)その時になんか、僕はすごいインパクトがあったのが、なんかの音楽誌だかでウィズ・カリファの成り上がりっぷりを「From Zero To Hero」って書いていたんですよ。

(宇多丸)「From Zero To Hero」。

(高橋芳朗)だからインターネットが主戦場になったことによって、誰にでも公平にチャンスが開かれているような印象を受けるようになった。実際はなんか政治が働いているのかもしれないけど、受け取る側としては、もう誰でもスターになれるんじゃないかと。

(宇多丸)でも少なくとも、中身がよくないとそんな成功は絶対にできるわけがないんだから。もちろんそれは実力ですよね。いや、すごいですね。ウィズ・カリファ、そうかそうか。っていうかさ、再成功組が意外とヒップホップ、多くない? 実は。別にこの時代に限らず。まあ、インターネット普及の前だってさ、ウータン・クランのリーダーのRZAだってさ、一度プリンス・ラキームとして苦いデビューを果たしたわけだし。

(高橋芳朗)GZAもそうですね。

(宇多丸)50セントだってそうだしさ。

(高橋芳朗)DMXも。

(宇多丸)そうそう。だから割と……。

(渡辺志保)ねえ。だからそういうチャンスをいくらでも掴み取れる状況に持っていきやすいと言うと、あれですけどね。

(宇多丸)再チャンス組に優しいヒップホップということもあるかもしれない。まあ、かっこよければいいんだってことだからね。

(高橋芳朗)あと、ミックステープから出てきたのだとエイサップ・ロッキーですね。ニューヨーク、ハーレムの人なんだけど、南部ラップのマナー……スクリューとかをね、バンバンに取り入れて。

(宇多丸)サウスって先ほどから出ているけど、要はニューヨークという非常に都会的な洗練された、アーバンの感じからいきなり南部のドロッと、陽気な連中がチキチキしたあれで。

(渡辺志保)チキチキしたあれで方言丸出しで。

(宇多丸)もしくはコデインかなんか飲んでね……。

(高橋芳朗)フハハハハッ!

(渡辺志保)わかんないけどね(笑)。

(宇多丸)そういう感じなのを、ニューヨーク流に昇華したというか。

(渡辺志保)で、結構私が衝撃的だったのは、これまでニューヨークのラッパーがニューヨーク以外のエリアのサウンドを真似るってタブーっていうか……。

(宇多丸)まあ、あえて言えばジェイ・Zが上手くそのへんのをやっていたぐらいで。

(渡辺志保)そうそう。ジェイ・Zぐらいだったら選べる立場にいるけど、若い子がサウスのネタをニューヨークまで引っ張ってきて。それでブレイクするっていうのはすごく当時、衝撃的でしたね。いまはすごく普通ですけどね。

(高橋芳朗)たしかになー。

(宇多丸)だからここで、歴史が……でもやっぱり同時に、ニューヨークのラッパーがやるとこんなにかっこいいものになるのかっていう気もちょっとしましたけどね。じゃあ、エイサップ・ロッキー。これはブレイク作なのかな?

(渡辺志保)じゃあ、聞いてください。エイサップ・ロッキーで『Peso』。

A$AP Rocky『Peso』

(宇多丸)はい。エイサップ・ロッキー『Peso』。2011年の曲です。渡辺志保さん、『Peso』。これは何のことを歌っているんですか?

(渡辺志保)そうですね。『Peso』も金の単位が「ペソ」でして……。

(宇多丸)アハハハハッ! また金か!

(渡辺志保)結局カネ。でも、エイサップ・ロッキーはここの冒頭でもかかってまして、クリーンバージョンなんで「ん?」ってなっていましたけど、「俺はプリティー・マザーファッカーだ」っていう風に言っているんですよ。結構これ、カニエが打ち立てたものでもあるんですけど、あんまり男の人のラッパーが自分のことを「プリティー」とか、あと彼は『Pretty Flacko』っていう曲もあるんですけど。「Flack」ってスペイン語で「痩せた男」っていう意味なんですよ。なので「俺はイケてる痩せた男だぜ」とか、そういう言ったら女々しい感じで自分のことを表しているんですね。

(宇多丸)うんうん。

(渡辺志保)で、さっきも繰り返したように、ヒップホップって本当にガチムチ一派というか、そういうのが正義とされていたんですけども、だんだんドレイクが出てきて、エイサップ・ロッキーが出てきて。もうダボダボの服とかも誰も着なくなっちゃって。タイトな服で、リック・オウエンスとかね、結構ハイブランドの服も着るという。だんだん、この頃からまたより一段とトランスフォーム化が進んでいった印象がすごくありますね。

(高橋芳朗)エイサップ・ロッキーなんて普通に『GQ』とかでね、取り上げられるぐらいおしゃれだからね。

(渡辺志保)そうなんですよ。で、彼女も超一流のモデルちゃんだったりもするので。

(宇多丸)だからイケてる像の改革もありましたね。

(高橋芳朗)うんうん。

(宇多丸)なので、みんなが思っている「ヒップホップってこういうのがかっこいいと思っているんでしょ?」っていう像もすでにとっくに変化しているということですよね。はい。エイサップ・ロッキー『Peso』をお聞きいただきました。さあ、どんどん行きましょう。

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