渡辺志保 Juice WRLD『Death Race For Love』を語る

渡辺志保 Juice WRLD『Death Race For Love』を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でJuice WRLDのアルバム『Death Race For Love』を紹介していました。

Death Race For Love

(渡辺志保)4時台後半は最近、聞いてグッときたヒップホップアルバムについてお話ししたいと思います。今回紹介させていただきますのはジュース・ワールド(Juice WRLD)のニューアルバム『Death Race for Love』という作品ですね。

このアルバムをなんですけれども、発売されたのが3月8日。発売されたばかりなんですが、現在ビルボードの総合アルバムチャートであるトップ200というチャートがあるんですけれども、そこで2週連続1位を記録しているヒップホップアルバムなんですね。で、ジュース・ワールドといえばですね、1998年生まれということで、めちゃめちゃ若いシカゴ出身の新鋭のラッパーなんですけども。去年『Lucid Dreams』という曲がめちゃめちゃ大当たりしまして。

この曲は『Shape Of My Heart』というすごく有名な曲をサンプリングしておりまして、それで一気に火がついたという感じなんですが。

彼、いまアメリカのヒップホップシーンでひとつ流行っているジャンルのような、トレンドがありまして。エモ・ラップという風に呼ばれることも多いんですけれども。どんな内容かと言いますと、ちょっと内省的で、「もう自分はちょっと気分が沈んでしまって、このままこの世からいなくなってしまいたい」とか、「あの子に振り向いてもらえなくて、もうこの先どうすればいいのか分からない」とかね、ちょっとそういうメンタルヘルスって言われますけども。ちょっと心の葛藤というか問題ですよね。ちょっとそういったことを歌ったりとか、鬱々とした内容を歌うような。かつ、すごくメロディアスな曲調である、そういったエモ・ラップというジャンルが非常に流行っている。

で、彼らはやっぱり若いので、いろんなジャンルを非常に貪欲に取り入れているんですよね。なので影響を受けたアーティストも「ブリンク 182を聞いてました」とか「マリリン・マンソンが実は大好きなんです」とか普通に若い頃……いまも若いんだけど、子供の頃ロックミュージックも聞きながら、それと並行してラップも聞いて、いま自分はこういう音楽をやっていますという、そういうスタイルのラッパーが非常にいま増えております。

で、このエモ・ラップなんですけれども、これまで牽引してきた同じ若いラッパーにXXX・テンタシオンとかリル・ピープという名前のは若きラッパーたちがいたんですけれども。本当に悲しいかな、みなさん若くしてもうすでに命を落としてしまっているんですね。昨年、一昨年と訃報が相次ぐようなことがありまして。なので、たとえばXXX・テンタシオンをこれから牽引して、どんどん音楽的にも成長していくことが期待されていた若いラッパーの1人だったんですけども、昨年銃殺されてしまいまして。

で、個人的にはこのジュース・ワールドがさらにそのシーンであるとか、エモ・ラップというジャンルを飛び越えて、本当に世界的なトップMCとして、これからどんどん活躍していくんじゃないかなという風に思っております。というわけでこのジュース・ワールドの最新アルバム、彼にとってのセカンドアルバムとなります『Death Race For Love』からまずは1曲、お届けしたいと思います。ジュース・ワールドで『Empty』。

Juice WRLD『Empty』

いま、お届けしておりますのはジュース・ワールドの最新アルバム『Death Race For Love』から『Empty』です。「僕はどうしたってこの虚無感を感じてしまうんだ」という曲になっております。本当にね、ジュース・ワールドの雰囲気というか彼の持ち味がね、十分に反映されているアルバムになってるかと思うんですけれども。私が読んだ彼のインタビューによりますと、この『Death Race For Love』というアルバムは1曲だけ昔に作っていたそうなんですけども、全22曲中の21曲をなんと72時間で作り上げたということで。

まあ、実質3日間でスタジオに寝泊まりしながら21曲を作ったということで、すごい集中力だし、これが若さなのかなという風にも思ってしまいした。で、たとえばビートメイカー、プロデューサーにもこれまでにジェイ・Zとかカニエ・ウェストとか数々の大物ラッパーを手がけできたNo I.D.が参加していたりとか。ドレイクとのタッグでおなじみのボーイ・ワンダを起用していたりとか。音楽的にもいろんなチャレンジをしている様子もすごくありありと感じることができまして。

アルバム22曲も入っていて、決して短い内容ではないんですけれども。1枚を通して本当にジュース・ワールドの新たな才能とか、「ああ、彼はこういう表現もできるんだな」という風に新しく気づかされた点も非常に多いアルバムでしたね。そしてここでまた、彼のアルバム『Death Race For Love』からもう1曲、みなさんに聞いていただきたいんですけれども。次にお届けする楽曲は『Make Believe』という曲です。このアルバムのいちばん最後、22曲目に収録されている楽曲です。

で、先ほども名前が出ましたボーイ・ワンダという敏腕プロデューサーが手がけている楽曲なんですけれども。なんとこれ、ヒップホップのある名曲をサンプリングしてるんですよね。で、それが1995年にあのファーサイドが放った名曲『Runnin’』という、結構これは「このトラック、聞いたことがある!」という風にピンと来る方も多いんじゃないかと思うんですけれども。

かのJ・ディラというもう伝説的なプロデューサーが手がけたファーサイドの『Runnin’』という曲をサンプリングして、そこにジュース・ワールドがラップをしておりますので、ぜひぜひここでお届けしたいと思います。それでは聞いてください。ジュース・ワールドで『Make Believe』。

Juice WRLD『Make Believe』

<書き起こしおわり>

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