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荻上チキ 日馬富士引退報道で感じた違和感を語る

荻上チキ 日馬富士引退報道で感じた違和感を語る 荻上チキSession22
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荻上チキさんがTBSラジオ『Session-22』の中で、ワイドショーなどの横綱・日馬富士引退報道を見て感じた違和感について話していました。

(荻上チキ)もう朝から晩まで相撲の話題ばっかりで、そんなにみんな相撲、見ていたっけ?っていう格好ですが。

(南部広美)まあ中毒度はすごく高かったところにつけて、今日は特にでしょうね。

(荻上チキ)そうですね。日馬富士が引退ということになったわけですよね。

(南部広美)私は驚きは驚きでしたけど。

(荻上チキ)まあ、早いなと。いろいろと対応、動きが急だなっていう格好があって。その前にいろいろと検証とかも終わっていない中で、そういうことになるのか……というような動きもあるけども。まあ、ここで、相撲界隈については何も知らないので。

(南部広美)詳しいわけではないですもんね。

(荻上チキ)もうただの暴行事件、疑惑として見ているものなので。もう、いろんな要素をいろんな人が盛るじゃないですか。

(南部広美)しかも次から次に出てきますからね。今回の件に関しては。日にちを重ねるごとに「こんな写真が……」とか「こんなことを聞いた」というようなことがどんどんどんどん出てきて。その情報に「うわーっ!」って右往左往っていう状態でしたけど。

(荻上チキ)そうですね。それを、新しいものは全然ないのに数十分ぐらいテレビで延々でどのチャンネルも議論しているでしょう? 議論というか、「どうなんでしょうね?」しかほぼ言っていないというような格好になっていて。「いや、『どうなんでしょう?』じゃないよ!」っていう。だから、ワールドニュースとかをフリッピングする方に変えていって。「いま、こんな災害がこの地域では……」とか、いろいろとある中でずっと相撲一色だから。「ああ、そんなにか……」っていう風に思いましたけども。

(南部広美)はい。

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ニュースの見方の角度が重要

(荻上チキ)まあでも、今日思ったのは、ニュースの見方の角度って重要だなと思ったんですよ。たとえば、熊本市議会議員の方が赤ちゃんを連れて議会に出席しようとしたという話、ありましたよね?

(南部広美)はい。この番組では緒方議員にチキさんが直接。

荻上チキ 赤ちゃんと議場入りした緒方夕佳・熊本市議インタビュー
荻上チキさんがTBSラジオ『Session-22』の中で、熊本市議会に生後7ヶ月の赤ちゃんを連れて議場入りした市議会議員の緒方夕佳さんにインタビュー。その経緯や、浮き彫りになった問題点などについて話していました。

(荻上チキ)当日にインタビューをして、いま音声でも(その模様を)配信していますけどもね。で、その時に思うのは、「なぜ彼女、あの議員は赤ちゃんを連れてきたのか?」っていうことを考えるのではなくて、「なぜこの議会に、他に1人も赤ちゃんを連れてきている人がいないのか?」っていうことを考えるべきだなと思うんですよ。要は後ろにズラリといた男性の政治家たち。その中には子育てをした経験のある人たちがたくさんいると思うんですよ。「でも、いままで連れてきていないのはなぜなのか?」っていうことも思うわけですよ。

(南部広美)うん。

(荻上チキ)連れてこなくていいっていうんだったら別に無理して連れてくる必要はないけれども、連れてくる理由があるんだったら、もうすでにそのルールは変わっていたはずだろう。でも、そうはならなかったということは、男性と女性とで「育児で担うべき」っていう社会的規範が違うことや、そうした職場なども含めて、いろいろと「子供と移動するということもあり得る」という……それこそが推奨されるということじゃないですよ。ただ、一手段としてそういった「ケース」を想定することは必要じゃないか? という。

(南部広美)そこですよね。これまでは想定されていなかったという。

(荻上チキ)というような問が必要で。ということは、「なぜ、あの人だけが赤子を?」と注目するんじゃなくて、他の議員全員に「なぜ、みんなは連れてこなかったんだろうか?」っていうことを自問自答してもらいながら、「じゃあルールはこれから変えていく必要があるよね」みたいな、そういった議論も求められていると思うんですね。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)あるいは、今回日馬富士の暴行事件ということで、非常に話題になった。その時に、「いやー、もうそんな時代じゃないんですね。昔とは違うんです。かわいがりの時代じゃないんです」みたいな感じのコメントが聞こえるんですよ。……その時代でも、絶対に僕は嫌だったね。絶対に自分は力士のようにはならなかったと思いますけども。

(南部広美)それはその、「先輩・後輩」っていう規範の中で……みたいなことですか?

(荻上チキ)とか、「かわいがりはいいこと」っていう。理不尽な指導をされる……「お前のためを思って(あえて理不尽な指導をする)」みたいな。

(南部広美)それをそう呼んでいるっていう感じの受け取り方もできますけども。

(荻上チキ)そうですね。だから、そこではなぜ、そういった言い訳がいまでも使われるんだろうか? 周りから「品格」や「マナー」だとか、「国技として……」みたいな。なんか妙な論法がそこにはまだまだ混じってしまうっていう。だから、事件そのものについては全然新しい情報が更新されなくても、ワイドショーは延々と続いていましたけども。そこで登場するボキャブラリーのパターンに結構辟易として。

(南部広美)一方で、その中、その社会しか知らない。最初から「そういうものだ」っていうことに違和感すらも問いを立てないままずっと過ごしてきてしまうという人もいるわけじゃないですか。

(荻上チキ)います、います。だからそれには外の風が必要なんですけど、それについてコメントをする際に、その世界に詳しければ詳しいほど、その世界の内在的なというか、内輪の論理をもって、「やっぱり横綱だからね」「国技として」「いや、これはいけない」みたいなことで。「いや、誰だっていけないよ!」みたいなことの論理がなぜか、妙な特殊な論理に入れ替わってしまうところも含めて、なぜこれを語る人々はここを特殊な語り方にしてしまうんだろう? その語り方が変な権力関係というか、上下関係を残してしまうんじゃないか?っていうようなことを思ったりするので。「なぜ、あの殴る事件が起こったのか?」ということ自体はそんなに不思議ではないんですよ。それ自体としては。容疑の段階ということにしますけども。

(南部広美)うん、うん。

(荻上チキ)ただ、そこに至るまでの周りの語り方も含めて、今回の一連の騒動で、「やっぱり責任を取って引退で」とか「引退すべきだ」とか、そういった大きな「べき」論がはびこるような状態だと、それは過剰な叱咤とか、そういったことも正当化されるような空気が生まれるんだなっていうことを思ったりして。

(南部広美)うん。表に出ないままだったら、果たしてどうだったんだろうか?っていうことも同時に考えます。

(荻上チキ)そうですね。だからなぜ、その議論にならざるをえないのか? みたいな。「なにが日馬富士にあったのか?」「あの密室でなにがあったのか?」ではなくて、その「なにがあったのか?」を語る人たちのその語り方がなぜ、いまでもこうなのか? みたいなことに違和感を抱きながら……基本的にすぐに変えるんですけどね。

(南部広美)まあ、外から見ている側にはわからない。けど、不思議に映る論理とか理屈とかルールっていうものなわけですよね。だからこう、変えちゃうわけですよね。

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外から見ると不思議に映る論理や理屈

(荻上チキ)そうですね。不思議ですよ。それこそ「専門家」という人がその分野で適切なコメントをしているか?っていうと、なんの専門家なのか? にもよるじゃないですか。「角界に詳しい」とか「相撲ファン」とか。でも、相撲ファンが暴行事件の容疑について的確なコメントができるか?っていうと、それは全くの別問題ですよね?

(南部広美)ですね(笑)。

(荻上チキ)「こういう場合はだいたい先輩がこうするんですよ」みたいなものじゃないじゃないですか。

(南部広美)ファン目線っていうのはまたそういうものじゃないですもんね。

(荻上チキ)うん。でも、なにか相撲ファンなら語る資格があるかのようにコメンテーターとしてそこに並ぶでしょう?

(南部広美)うん、うん……わかんない。本当は出てもらいたかった人に断られちゃってとか、そういう事情があるのかな?っていうことも。

(荻上チキ)ああ、そういうの、ありますね。メディアでは。

(南部広美)勝手にそう妄想しちゃったりもしますけども。私なんかは。

(荻上チキ)はいはい。わかります。

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/45957

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