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荻上チキ 女性専用車両と痴漢冤罪問題を語る

荻上チキ 日本相撲協会・池坊保子「モンゴル人は狩猟民族」発言を語る 荻上チキSession22
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荻上チキさんがTBSラジオ『Session-22』の中で女性専用車両に抗議する男性グループが車両に乗り込んだトラブルのニュースについてトーク。女性専用車両と痴漢冤罪問題などについて話していました。

(荻上チキ)さて、私たちいつも赤坂のスタジオで番組をやってるわけですけれども。南部さんは来る時は、どういう公共交通機関を使ってくるのか?

(南部広美)地下鉄です!

(荻上チキ)同じくです。赤坂まで?

(南部広美)千代田線 赤坂駅です。

(荻上チキ)そうですね。私もそうですよ。

(南部広美)お世話になっております。

(荻上チキ)ありがたいですね。あとは、たまに丸ノ内線で、赤坂見附から歩いてきたりもしますね。

(南部広美)うんうん。ああ、そのアクセス方法もね。

(荻上チキ)丸の内の赤坂見附からですと、だいたいこのスタジオまでは5分から7分くらいかな? TBSへ向かって歩いてくることはできるので。

(南部広美)おおーっ、私は10分見ますね。

(荻上チキ)10分ですか。そうか。僕の中では、曲が2曲分ぐらいですから。ヘッドホンで曲を聞きながら来ると。だいたい足の速さというか、スピード感によるのかもしれません。

(南部広美)急ぐと、それぐらいで来れるかな? でも10分かかるな。やっぱり。

(荻上チキ)なるほど。そんな私たちがお世話になってる千代田線なんですけれども、今日ちょっとしたトラブルが朝、あったみたいですね。

(南部広美)トラブル?

(荻上チキ)今日の朝、10分ちょっと電車が遅れたんですよ。で、「電車遅れる」っていうこと自体はそんなにトラブルの内にはもう含まれないんじゃないか? という気もするわけですけれども。遅れた理由というのが、女性専用車両に男性数人があえて乗車をしてトラブルになったっていうことのようなんですね。その詳細についてはいま、東京メトロの方は「詳細はこれから」っていうことらしいんですけれども。でも、この女性専用車両をめぐって、いろいろな意見の対立というものが、特にインターネット上なども含めて、起きてるんですよ。

(南部広美)ありますね。

(荻上チキ)女性専用車両というのは、歴史的に考えるとなぜできたのか? それはひとえに「痴漢対策」ということですよね。女性がどんどんどんどん社会進出していくような中で、電車を使う機会も増えくる。一方で、電車の混雑率はなかなか解決せず、またそのう痴漢というものも、「痴漢は犯罪だ」という啓発とかはいろいろとやってるんだけれども、後を絶たないような状況というのもある。痴漢というものはとても厄介なことに、常習性があって反復性があって。それからターゲットになると、たとえば同じ通学時間、同じ通勤時間に同じ人にターゲットにされてしまうという恐怖感があるわけですよ。と、なると、その時間に電車に乗れないであるとか、あるいはもう心配で電車に乗れなくなるであるとか、いろいろな影響というものが被害者に出てくるわけですね。

(南部広美)うん。

(荻上チキ)だから本来であれば、痴漢そのものというものをしっかりと、撲滅するために痴漢がしにくい環境を整えるつつ、しっかりと啓示的な動きというものを進めていくということも必要になる。けれども、ひとつの苦肉の策として、女性専用車両というのができているわけね。

(南部広美)はい。

女性専用車両はひとつの苦肉の策

(荻上チキ)ただ、混雑率が下がれば痴漢がいなくなるか? というと、そうでもないわけですよ。実際に女性の痴漢被害の話をいろいろと聞いたり、データで見たりしても、たとえばそれなに空いてる席で、誰にも助けてもらわなかったとか。あるいは電車の中でボックス席みたいな席の向かいの人が、自分の下腹部を露出していたであるとか、そうした話っていうのは結構多くあったりするわけですね。だから、「満員電車さえになくなれば、痴漢はなくなる」っていう理論は、別にそこまで妥当性が高いわけではない。いまよりも緩和される面はあるかもしれない。その混雑率を隠れ蓑にして行われてる痴漢についてはね。だから、それはそれで解消しなきゃいけないし、そもそもストレスフルだから。満員電車というものは是正した方がいいんですよ。

(南部広美)はい。ギュウギュウの状態というのは。

(荻上チキ)はい。でも、そうしたその問題を解決するっていうこととはまた別に、痴漢の話っていうのはあって。で、この痴漢の問題というのは男性……だけではないんですけれども、多くの人にとって、まあ女性よりは男性の方に多い恐怖としては、「痴漢をしていないのに間違われるんじゃないか?」というような、そうした議題として共有されてるんですね。

(南部広美)痴漢冤罪ね。はい。

(荻上チキ)はい。ここで利害が不一致が……表面的には生じてしまうわけですよ。不一致が。つまり女性の方は「痴漢に会いたくない」。だから痴漢被害から距離を取りたいという風に思っている。男性は「痴漢だと思われたくない」。だから冤罪というのが起きたら困る。そういった時に警察の仕事の仕方によっては、(警察が)より働くっていうことがむしろ痴漢冤罪を増やしてしまうことになりかねなかったりもするし。同時に、女性の専用車両っていうことを設けることが、むしろ「男性を潜在的な犯罪者だと見ているじゃないか!」みたいな。そうしたような言い分というものを、女性専用車両反対論者には与えているわけですね。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)もちろんこれは、「潜在的な犯罪者だ」として全てを見ているものではなくて、自分の被害リスクというものを減らすという過渡的なと言うか、刹那的な対策なわけですね。でも、そういった痴漢問題……冤罪反対、女性専用車両反対という意見っていうものはネット上で結構、一定の支持があって。それが、あの女性専用車両の利用女性にバッシングが向くっていうこともしばしばあるわけですよ。で、そのバッシングっていうのがどう向き方をするかと言うと、たとえば「女性専用車両の方が空いてるじゃないか。不公平だ!」というような格好だったり。あるいは、「女性専用車両に、とても痴漢にあうようなように思えない人が載るってるじゃないか」とかね。

(南部広美)ええっ?

(荻上チキ)「ええっ?」ですよ。「誰、それ? 痴漢にあわない人っているんですか?」って。

(南部広美)えっ……それは、「見た目で」とか、そういうことで言っているんですか?
(荻上チキ)ネット上でよくまとまっているものだと、「女性専用車両について賛成ですか? 反対ですか?」みたいな質問した、その映像のキャプチャーが紹介されていて。「あると、とても安心!」みたいなことを答えている人たちの写真と、「私はどちらでもいいです」っていう風に言っている女性の写真が並べられていて。(「どちらでもいい」と言っている)その女性がとてもかわいいということで、ネット上で話題になって。その前に引き合いに出されている女性というものが、「お前、自意識過剰だろう?」みたいな反応を引き起こすようなレイアウトで編集されてる。四コマ漫画のオチみたいな格好で使われていたりね。

(南部広美)うーん……。

(荻上チキ)たとえば「40代女性が女性専用車に乗っていて……」とか。でも、40代50代だろうが、痴漢にはあうわけですよ。これ、あってみないと全然想像できないのかもしれないですけど、データでもその通り出ているんですね。あったことがない人の方が少ないわけですよ。でも、そういった怒りっていうものが、実際のそういった女性専用車両を導入している企業ではなくて、乗っている女性の方への抗議に向かっていく。具体的な問題解決……たとえば「男性専用車両を作れ!」っていう風に言っていたりしていて。「別にそれは作りりたければ作ればいいんじゃないかな」と僕は思ったりしますけど。特に賛成はしません。それが根本的解決には繋がらないから。

(南部広美)うん。

(荻上チキ)なぜならば、冤罪にあった時に「じゃあなぜ、あなたは男性専用車両に乗ってなかったんですか?」という風により言われようになるから、痴漢冤罪対策という観点からすると男性専用車両というのは根本的な解決策にならないどころか、むしろ大雑把な捜査をする警察にひとつの言い訳を与えることになるので、僕はそのロジックからの導入には同意ができないですね。こういう女性専用車両に反対をするっていうロジックに対して、やっぱり気になる点が大きく二つある。ひとつは、それだけ冤罪の問題を気にするのであれば、他のあらゆる冤罪にも興味を持ってほしい。この痴漢の問題ばかり、女性専用車両の問題ばかり取り上げるというものが、自分が痴漢冤罪で加害者だという風に祭りたて上げられる可能性よりも、他の案件によって冤罪になる可能性とか、あるいは身近な人が冤罪になる可能性がより高かったりするわけですね。

(南部広美)うんうん。

(荻上チキ)そうしたことも含めて、ちゃんとフラットに司法の問題を見てほしい。でも、こうした論点ばっかりがピックアップリストされるのはなぜなのか? それはひとつには、女性差別の問題が、実は内面化されてるんじゃないかと思うんです。つまりミソジニー(女性嫌悪)というものですかね。なぜ、その時にその個別の女性の車両に堂々と乗り込んで、そこで抗議ををする。わざわざ写真を撮ってそれアップするっていうことを誇示するのか? これはどんな違和感がが僕にはあるのか? かつて、たとえば障害者の方々がバスとか公共交通機関に乗れないっていうようなことがあった時に、車椅子の当事者の方が、それでも乗っていく。「自分たちはここにいるんだ!」っていうことをアピールしていく。そうしたような運動というのが行われました。それと今回の運動の違いなんだろうか? それは、そうした車椅子の活動というものは、ある意味そのマイノリティーの側が自分たちが存在を見えるようにする。そのことによって、運営者側に改善を要求するというものだったわけですね。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)しかしながら、今回ものものというのは、性暴力の被害を恐れている女性たちのいるところに、バッと急に、様々なメッセージ性が強いような……「自分ちはここに乗る権利があるんだ!」というようなコンフリクトを生むことによって、そこにまた別の恐怖を生むということになるわけですね。しかも、そこの女性たちが決めた制度でもなんでもないわけですよ。で、もし訴える方法があるんだったら、やっぱりより権力の側。たとえばJRや地下鉄のメトロでもいいですよ。あるいは小池百合子さんの前でもいいじゃないですか。地下鉄なども含めた、ねえ。「満員電車ゼロ」って、(選挙の公約で)言ってるでしょ?

小池百合子都知事公約「満員電車ゼロ」

都知事公約「満員電車ゼロ」は、こう実現する | 通勤電車
――阿部さんといえば、総2階建て車両のアイデアで有名です。私のオリジナルではなく、東京大学の須田義大教授のアイデアです。東海道線などのグリーン車の2階建て車両は、両端が1階建てで車内の階段部分はデッド…

(南部広美)ああ、公約で。

(荻上チキ)そういった、「満員電車を撲滅する、絶滅させる」というようなことを小池さんが言っていて。一方で、僕は「冤罪をゼロにしたい」という風に思っていたりするわけだから、じゃあ同時に「冤罪ゼロ」って。。「満員電車ゼロ」みたいな、それぞれがそういったことを掲げればいいじゃないですか。そして「性暴力ゼロ」というものも掲げれば……これ、男性でも痴漢被害にあうわけですよ。僕だって電車の中であったことありますよ。そういうような様々な性被害というものをトータルでなくしていきましょう。だから、男性車両・女性車両とか、男女の問題なくて、これは加害と被害と、あるいは冤罪。冤罪というのも、これは加害です。国家や権力によって、誤った罰を与えられてしまうという加害なので。そうした加害をいかになくすことができるのか? という共通のプラットフォームに立てるはずなんですよ。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)ただ、「女性が優遇されている! その女性たちは自意識過剰だ! あんなところに乗るなんておかしい! あの見た目で? あの年齢で?」って……そういったような言論を放置していながら、そういうメッセージっていうものに正当性を持つかのようなアピールをするというのは、いろいろな矛盾を感じるんですね。女性専用車両のあり方に違和感を表明するということ自体は、ひとつ適切な問題意識だと思うが、議題設定のより細かなあり方や異議申し立ての仕方というものには、共感はできない。もっといろんな他の仕方があるだろう。少なくとも、被害を恐れている人たちの目の前に、別の暴力性を導入することが答えだとは思えない。だから様々な社会運動の歴史なんか学んだ上で、本気でそういったことをしたいのであれば、もっとゼロにすべき点は多々あると思いますけどね。

<書き起こしおわり>

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