スチャダラパーがNHK FM『サウンドクリエイターズ・ファイル』に出演。清水ミチコさんをゲストに迎え、ミュージシャンの世代ごとの傾向や、昔の歌謡曲の歌詞の魅力について語り合っていました。
(清水ミチコ)うん。なんか、ミュージシャン、あんたたちの年代って他に誰がいる?
(BOSE)世代ですか?
(清水ミチコ)有名どころで。みんなが知ってる。
(BOSE)(笑)。有名じゃないやつばっかりみたいな言い方、やめてください!
(清水ミチコ)(笑)
(ANI)電気グルーヴ。真心ブラザーズ・・・
(SHINCO)Cornelius。
(清水ミチコ)ケンカに弱い人ばっかりじゃん。もっと・・・
(ANI)LUNA SEA?
(BOSE)LUNA SEAも同世代ですか。
(ANI)くらいじゃない?
(BOSE)ミスチルとか。
(ANI)でも、あんま残ってないみたいな。
(清水ミチコ)やっぱりなんか文化系が多いような気がするね。
(BOSE)なんか世代的にそうだったのかな?民生さんとかは、ちょっと上ですね。
(ANI)ちょっと上だね。
(清水ミチコ)やっぱりどんどん、なんか体力が落ちてるような気がする。
(ANI)CHARAとか。
(BOSE)同世代。同じデビューか。
(清水ミチコ)じゃあ、あんたたちの世代で、『おう、一人で鹿児島の麓でやったるわい!』って人はいないの?
(BOSE)やったるわい!(笑)。そのタイプが少ないかもしれない・・・
(清水ミチコ)そうかもね。
(ANI)それを受けての・・・みたいな感じがあるんじゃないですか?(笑)。
(清水ミチコ)受けての・・・じゃないよ!
(BOSE)『ちょっとあれ、なくない?』って。
(ANI)っていうので。『あれをやっても・・・』みたいな。でも、バンドブームでしたけどね。バンドブームっていったら、ジュンスカとかだ。そのへんですよ。だから、ユニコーン・・・
(清水ミチコ)そうなんだ。ユニコーンとか上に見える。
(BOSE)だから、みなさんソロになったりしてね。やってるかな?ずっとやっている人はね・・・
(ANI)あんま・・・でも、バンドブームなんですよ。バンドは大量にいたんですよ。
(清水ミチコ)あ、いちばん切磋琢磨な時なんだ。たまとか?
(ANI)たまとかもそうです。
(BOSE)割と近いかな。
(清水ミチコ)そうなんだ。それで、ええと、バンド天国的なものには出ず?
(BOSE)僕ら、出てないですね。
(清水ミチコ)そうだよね。
(SHINCO)『ケッ!』と思ってましたよ。
(ANI)毎週見てたけどね。毎週見てて思う(笑)。
(BOSE)いいなっていうね(笑)。
(清水ミチコ)(笑)。思っても口にするな!(笑)。
(BOSE)ちょっと上のね、ANIより1個上か、2つ上ぐらいの人が、たとえば斉藤和義くんとか。
(ANI)そう。田島(貴男)さんとか。
(清水ミチコ)ああ、そっかそっか。やっぱりなんか、強く感じる。
(SHINCO)あ、スカパラとか。
(清水ミチコ)ああ、なんか強い感じする。
(BOSE)ちょっと強いのはそのへんですかね。
(清水ミチコ)なんかあるのかな?人類の進化。少し後輩になると、もっとケンカ弱い?
(BOSE)なんか、Corneliusみたいなのとか。
(清水ミチコ)あ、弱い弱い弱い。
(BOSE)弱い弱い(笑)。
(清水ミチコ)『弱い弱い』って言うな!(笑)。
(BOSE)まりんとか。
(清水ミチコ)フリッパーとかね。まりん、弱い弱い弱い(笑)。
(ANI)弱いのと仲がいいっていう。
(清水ミチコ)ケンカで感じるな、人を(笑)。でも、どんどん文化系寄りになっている気もするね。
(BOSE)そうですね。
(ANI)ソウル・フラワー(・ユニオン)とかは、でもそう?まあ、同じぐらい?
(清水ミチコ)あれ?SOUL SETは?
(BOSE)SOUL SETとかもほぼ同じ。そっか。もうちょっと骨太感がある人が、あんま同世代に・・・
(清水ミチコ)あと、ずっと上になるとさ、なんつーの?閉じこもり派みたいなのがあんまり感じられないけど。
(BOSE)ああ、僕らの世代から完全にマニアックな人が多いっていうか。
(清水ミチコ)扉をちょっと閉めまっせっていう。
(BOSE)閉めまっせ(笑)。部屋で作る感じの。
(清水ミチコ)ああ、そうそうそう。そうだね。
(BOSE)だからフェスとか言われてさ、野外でやるようになって、『あっ、野外に連れ出してもらった』みたいな感じっていうか。『あっ、野外っていいんだ』みたいな。
(清水ミチコ)ふーん。あ、そうなんだ。
(BOSE)まったく野外やる感じ、なかったから。
(ANI)なかった。フェス、なかったんだよね。デビューして10年くらいたって、フェスが流行りだして。
(清水ミチコ)あっ、本当?
(BOSE)外っていいんだ!ってなんか、連れ出してもらえた感じ。
(清水ミチコ)普通の子じゃん(笑)。引きこもりから・・・
(BOSE)外でやると楽しいね!みたいな(笑)。
(清水ミチコ)そうだったんだ。そんな違いがあるんだね。
(SHINCO)苗場は空気、美味いなあみたいなね。
(BOSE)ねー。
(清水ミチコ)私、なんか自分のね、ものまねメドレーみたいなことをやって。ほぼ半世紀メドレーっつってさ、60年代、70年代、80年代、90年代。で、2000年代って歌っていくじゃん。で、それをまあ、似てるも似てないも、歌を感じていくとさ、すごい60年代って、はっきり言ってアホみたいなの。
(BOSE)ああ、歌が。
(清水ミチコ)歌が。なんて言うの?女の人をこう、一方的にこういうもんだ!っていう歌があったりとか。いまは本当にメッセージ持っていてさ。こう、夢もあるのよ!とかいろいろ言って・・・
(BOSE)ややこしいよね。いま。
(清水ミチコ)いまの方がややこしい。繊細だしね。でも、昔の方がこう、一方的で。ちょっと乱暴(笑)。なんてこっちゃ!っていう。
(BOSE)簡単な事を言っている。たしかに。
(清水ミチコ)いまだとモメるような。
(ANI)昔の曲、でもやっぱ好きなのは、なんかちょっと自分を恨んでいるみたいなのとか。たとえば・・・
(清水ミチコ)北原ミレイとか?『ざんげの値打ちもない』。
(BOSE)いや、なんか、『あの過ちが・・・』みたいな(笑)。
(清水ミチコ)面白いよね。たまに聞くと。
(ANI)『あの過ちが・・・』とかさ。『飲ませてください もう少し』とか。
(清水ミチコ)(笑)
(ANI)『雨雨ふれふれ もっとふれ』とか(笑)。
(BOSE)なんかサーカスみたいなね。僕ら、完全にベストテン世代なんで。小学校の時。ザ・ベストテン大好きだったんで。なんかあそこに出てたものは、なんか有り・・・
(清水ミチコ)あそこに出てたものでも、でも、大人が歌ってるのってさ、ちょっと自虐的なものがすっごい多いんだよね。
(BOSE)多い。
(SHINCO)あと、不倫の歌が多いですよね。
(清水ミチコ)不倫。好きだねー!
(SHINCO)愛人とか。
(清水ミチコ)『いつまでも いつまでも あなたを想っている』みたいなの、多い。いま、ないよね。
(ANI)いま、あんまないですよ。
(清水ミチコ)ラ・マンの歌がないよね。
(ANI)『不倫を悔やんでる』的な(笑)。
(BOSE)あ、ないね。あれば面白いのかな?
(ANI)でも、演歌とかは、まだあるんですかね?
(SHINCO)まだある。まだある。
(ANI)増位山の『そんな女のひとりごと』とかさ、すごいじゃん。なんか。
(BOSE)どんなんだっけ?増位山のやつ。
(清水ミチコ)なんか、店に来るんだよね。
(ANI)『真樹さんの紹介で・・・』みたいな。『遊び慣れている人みたいで・・・』みたいな(笑)。
(清水ミチコ)そうそう。その、歌っている本人は、紹介でここの店に勤め始めたんだけど、あなたのことをちょっと好きになっちゃったんだけど、なんか遊び慣れているんだな・・・って。
(ANI)遊び慣れている人みたいな(笑)。
(清水ミチコ)なんで2人で歌ってんだよ!(笑)。
(BOSE)『そんな女のひとりごと』。
(ANI)『そんな女のひとりごと』。
(清水ミチコ)ひとりごとじゃなくて、仕事しろよ!
(SHINCO)面白いな、それ(笑)。すごいなー!
(一同)(笑)。
(清水ミチコ)面白いよね。
(ANI)面白い。なんか、小話みたいになってるから。
(清水ミチコ)そう。小話みたいで。そう。展開が面白いの。
(BOSE)たしかにな。『ホテルで会って ホテルで別れ』みたいな。
(ANI)で、4番ぐらいまであって、1番に1話みたいな。
(清水ミチコ)そうそうそう。『木綿のハンカチーフ』じゃないけど。『ああ、なるほど。こういう構成ね』みたいなね。私、阿木耀子さんの作詞集が1冊の本になっていて。それも若い頃から、何回読んでも面白いんだよね。
(BOSE)ああ、お話がね。
(ANI)やっぱ、お話がすごい。
(BOSE)だってね、百恵ちゃんの歌っていま聞いてもね、そのストーリーがね、なんかトリッキーで面白いの。
(清水ミチコ)そうそうそう。『横須賀ストーリー』とかね。
(ANI)タランティーノ的なね(笑)。
(清水ミチコ)そうそうそう。これ、こうだったんだ!っつって。
(BOSE)そうなんだよな(笑)。『それは夕べのあなたの台詞』。
(清水ミチコ)そう。『思い出してたのね』っつってね。車の中で。
(BOSE)歌詞でそういうことをやる。あれ、好きで僕ら、真似したりするよね。なんか構造が面白いみたいな。
(清水ミチコ)面白い。阿木耀子さんってジュディ・オングのさ、『魅せられて』でもそうなんだけど。なんか好きな人の腕の中にいるんだけど、違う人のことを考えてまっせってさ。そういう女のズルさを出すっていうのがさ、すごい新しかったよね。
(BOSE)あの歌、衝撃的だった(笑)。
(清水ミチコ)衝撃的。また、あのキレイな顔で歌うから、ええっ?そうなの!?って。
(ANI)あの衣装も込みで(笑)。
(清水ミチコ)衣装も込みで(笑)。
(BOSE)怖ーい!って思うよね。
(清水ミチコ)そして広げるの!?みたいな(笑)。
(一同)(笑)
(BOSE)これ、若い人に伝わるのかな?っていう(笑)。
(清水ミチコ)伝わってほしいけどなー。そう。私、だからそういうことをすごく伝えたいから、紅白みたいなのをものすごく応援したいの。みんなで、まずこういう基本があって、していこうよねって。
(BOSE)本当、でもよく言うけどさ、紅白何年も前からさ、見ても、『これ、今年のヒット曲なんだ』っていうのがわかんないのがちょっと増えてきたでしょ?
(清水ミチコ)そうなんだよね。ヒット曲の、なんかあってないようなね。
(BOSE)昔だったら全員が歌える曲がいっぱいあったけど。ベタにそういうのがあんまりなくて。
(ANI)今年のではなくなってきたもんね。
(BOSE)おんなじ曲を何回もやらされたりとかね。
(清水ミチコ)そう。だから昔だとさ、寅さんのモノマネしたり、美空ひばりさんのモノマネするだけで、一人のレパートリーで芸人って一生食べていけたのに、いま、『今年誰ですか?新ネタ誰ですか?』って。軽く聞くなよ!
(BOSE)本当だよね(笑)。サカナクションとか真似しなくちゃいけなくなってくる(笑)。
(清水ミチコ)大変ですよー。
(BOSE)セカオワの真似とか、難しいよね。
(清水ミチコ)でも、セカオワ風みたいなのはやってるよね。
(BOSE)あ、そうですか。あれね。
(清水ミチコ)そういう、詞の世界観とかさ。サウンドの世界観とか。
(ANI)そういうのは、そうか。
(BOSE)なんかね。いや、だからね、僕らも次の曲、そんな曲、あるんですけど。スチャダラパーの『ザ・ベスト』という曲を聞いてください。
(BOSE)聞いていただいたのは、スチャダラパーで『ザ・ベスト』。これがね、まさになんか、ついね、『いや、あの頃はね、よかったね』みたいなことをね、もう年代的にあの頃のヒップホップをよく聞いたねとか。なりがちなんですけど。
(清水ミチコ)そのうち健康になってくるんだよね。
(BOSE)健康の話とかになるんですけど、でも、とはいえ、なんやかんや言って、まあね、いまが最高!みたいな歌詞なんですけど。『ザ・ベスト』って。なんか結局、いましかないじゃないですか。みたいなことを言わないと、と思ってね。で、若い小学生にとってはさ、もうセカオワがいまが最高!なわけで。
(ANI)まあね。
(清水ミチコ)そうだね。
(BOSE)『この古いミスチルっていう人は誰なんだ?』とか言ってるわけでさ。
(ANI)そこはまあ、しょうがないところですよね。
(清水ミチコ)しょうがない。
(BOSE)だからね、『ザ・ベスト』。いまが最高なんじゃないか?ということでね、やっておりますけども。
(清水ミチコ)はい。
(BOSE)なんか清水さんとね、こういう雑談をさせていただくの、まあいつも楽しいんですけど。なんか、デジャヴ感すらあるっていう(笑)。
(一同)(笑)
(清水ミチコ)前もこの話、してたかもしれないっていう(笑)。
(BOSE)よくこんな話するっていう(笑)。どこで会ってもこういう話をしているっていう感じもありますけども。いや、でもね、20何年間、僕らも清水さんにお世話になりっぱなしというかね。
(清水ミチコ)そうだね。私、今日まあ、新たに思ったのは、その、外に出たのが楽しい!って昔から思ってなかったんだって。
(BOSE)うん。だから、あんまりそういう経験がなかったんですね。あんまり人と絡む機会もね、少なかったですよ。昔は。
(清水ミチコ)そうだね。昔の方が内向的だよね。
(BOSE)限られた、本当にジメジメした人ばっかりと友達になったりするんだけど。
(ANI)しっとりと。
(清水ミチコ)しっとりとじゃねーよ!(笑)。
(BOSE)割とこう、開けたっていうかね。
(清水ミチコ)発展途上国だね。まだね。
(BOSE)まあ、今日は本当、ありがとうございました。
(清水ミチコ)こちらこそ。ありがとうございました。
<書き起こしおわり>