高橋芳朗 テイラー・スウィフトが社会現象化したきっかけを語る

高橋芳朗 テイラー・スウィフトが社会現象化したきっかけを語る TOKYO FM

高橋芳朗さんが2024年4月23日放送のTOKYO FM『Blue Ocean』に出演。テイラー・スウィフトが現在のような社会現象化したきっかけとなった出来事について、話していました。

(住吉美紀)先週の金曜日にテイラー・スウィフトのニューアルバムがリリースされたばかりのこの機会にですね、私が今めちゃくちゃハマっているテイラー・スウィフトを勝手に大特集! 今日は『Blue Ocean』で組んでおります。9時台も熱くお伝えしてきましたが、10時台はプロをお迎えしました。音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんです。おはようございます。

(高橋芳朗)よろしくお願いいたします。

(住吉美紀)いつも月曜日の『Blue Ocean』プラスコーナーでお話を伺っていて。ありがとうございます。

(高橋芳朗)いつもね、リモートだったんで。直接、お会いできて。

(住吉美紀)久しぶりのスタジオで。嬉しいです。で、今日はテイラー・スウィフト勝手に大特集で。高橋さんもテイラーはいろんな角度で取り上げられていて、すごく好きだと伺っておりまして。どんな感じで、いつ頃から注目してましたか?

(高橋芳朗)やっぱり社会的・政治的なアクティビストとしての活動が表面化するようになってきてから、より彼女に注目するようになってきたところはあるかもしれないですね。

(住吉美紀)人間の成長を見ているような感じ、ありますよね。ただね、ちょっと9時台にも言っていたんですけど。私、はまっちゃったんで。すごい今、私のInstagramをオープンすると、もうテイラーの情報が勝手に私に与えられるように。もう全部、AIが私に与えてくれる情報の量にもびっくりしてまして。アメリカ中が……もういろんな人が。この間、『サタデー・ナイト・ライブ』でライアン・ゴズリングとエミリー・ブラントが2人で『All Too Well』を10分ぐらい熱唱していたりして。テイラーの話をしてるっていう(笑)。

(住吉美紀)だからここの、猫も杓子もテイラーってなっているアメリカのこの状況はなぜ?っていうのをぜひ、芳朗さんに伺いたかったんですけど。

(高橋芳朗)まあ、いろいろな見解はあると思うんですけど。僕が考えるにはですね、人気とかセールスに関して言えばもう2008年の『Fearless』あたりから既に突出してたと思うんですね。で、2012年アルバムの『Red』ではもうスーパースターっていうステータスも確立してたと思うんですけど。そういう今に至る社会現象化の契機になったのは2018年11月のアメリカの中間選挙に際しての民主党支持の表明が大きかったんじゃないかなと思っていて。要はこの時に初めて、テイラーは政治的スタンスを明らかにしたんですけど。ここが彼女のターニングポイントになってるのかなっていう気はしますかね。

(住吉美紀)ドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』でフィーチャーされているシーンでしたね。

2018年のアメリカ中間選挙で初めて自身の政治的スタンスを表明する

(高橋芳朗)Netflixドキュメンタリーの。当時のテイラーの状況を知っていただくには、まさに『ミス・アメリカーナ』をご覧になっていただくのが一番かと思うんですけど。2015年頃を契機にして、アメリカが激動の時代に突入していくじゃないですか。ドナルド・トランプの台頭だったり、#MeToo運動とか、LGBTQの社会運動、Black Lives Matter。そしてコロナウイルスのパンデミックもありましたよね。そういう中で、テイラーは従来からのグッドガール的なイメージを脱ぎ捨てて、1人の人間として。そして1人のアーティストとして成長していく姿を見せていった。それが今の彼女の存在の強度を高めてるんじゃないかなとは思うんですよね。

(住吉美紀)その「成長を見守ってきた」っていうのもひとつ、やっぱり貢献しているんですね。この社会現象化にね。

(高橋芳朗)それはあると思うんですよ。で、やっぱり決定的だったのは2020年だと思うんですね。パンデミックでほとんどのアーティストが活動停止を余儀なくされてる中で、彼女は完全リモート体制でアルバムを2枚、作ってるんですよ。7月の『Folklore』と 12月の『evermore』っていう。これが従来の作品と大きく印象が異なる非常にアート性の高い内容で。コロナ渦の世の中の気分に寄り添うような内容でもあったと思うんですけど。これまで、テイラーをそんなに評価してこなかったようなうるさ型の評価筋からも絶賛されて。だから社会が大きく変動していく中で、それに応じて自分の音楽性を変えていったのも絶妙だったのかなっていう気はしますかね。

(住吉美紀)意図的というより、本当に成長してきたからなのかもしれないし。あとコラボレーターがいつも、本当にちょっと優秀でセンスのいい方々と一緒に音楽をね。

(高橋芳朗)そうですね。『Lover』あたりを契機にして今に至るまで、ジャック・アントノフとのコラボレーションがすごい密になっていて。今は完全に彼がテイラーのプロダクションパートナーになってると思うんですけど。彼の存在がこういう今のハイペースな作品のリリースとかにも繋がってるところあるんじゃないかなと思いますけどね。

(住吉美紀)そして、この『The Eras Tour』、世界中ですごい盛り上がりで。まだ続いてますけれども。なるほどね! そうか。しかもそのコロナ渦で「テイラー、すごい!」と思っても会えなかったのが『The Eras Tour』でみんな、会いに行けて。それでより燃えたという。

コロナパンデミックの中で存在感を高める

(高橋芳朗)そう。だからそのパンデミックの中で自分の存在感みたいのをどんどん高めていって。『The Eras Tour』完全にそのとどめといいますか。ちょうどそこで彼女のキャリアの集大成をね、あのツアーで見せつけたというところですね。

(住吉美紀)なるほど! すごい今、腹落ちしました。ありがとうございます。それで1曲、お届けした後にニューアルバムの話も一緒にしていきたいんですけど。ここで1曲、なにか選曲していただいてもいいですか?

(高橋芳朗)2020年の『Only The Young』という曲を紹介したいと思います。これ、まさにNetflixドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』のために書き下ろした、実質的なドキュメンタリーの主題歌と言っていいと思うんですけど。テイラーのキャリアで最も政治色の強い曲ですね。

(住吉美紀)「若い人にしかできない」っていうタイトルですもんね。

(高橋芳朗)そうですね。2018年のアメリカの中間選挙でテイラーは民主党議員への投票を呼びかけたんですけど……あえなく、その議員は当選がかなわなかったんですよね。その屈辱をバネにして作った曲で。そういう背景もあるから2020年のアメリカ大統領選の時には民主党のキャンペーンCMに使われた曲なんですよね。

(住吉美紀)へー! そうなんだ。では、曲紹介をお願いします。

(高橋芳朗)じゃあ、聞いてください。テイラー・スウィフトで『Only The Young』です。

Taylor Swift『Only The Young』

<書き起こしおわり>

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