堀井雄二さん、坂口博信さん、鳥嶋和彦さんが2023年12月25日放送のJ-WAVE『ゆう坊とマシリトのKosoKoso放送局』の中でファイナルファンタジーについてトーク。鳥嶋さんが坂口さんとはじめて会った際、いきなりFF3のダメ出しをしてきた話などをしていました。
（鳥嶋和彦）堀井さんは、あれですか？ FFは最初から？
（堀井雄二）最初からやってると思う。結構遊んだと思うよ。
（鳥嶋和彦）どうですか？ 印象は。
（堀井雄二）主人公、その時にたぶんしゃべったんだよね。
（坂口博信）ああ、そうですね。
（堀井雄二）だから、それが違うなって。「これはこれでありかな」と思って。
（鳥嶋和彦）ドラクエはしゃべらないからね。
（堀井雄二）そう。しゃべらないから。あと、見せ方が結構凝っていたよね。ただ、思ったのは戦闘がつらかったなっていう記憶があって。小人とかカエルとか、いろいろとされて。結構しんどかった記憶がある。
（鳥嶋和彦）僕もね、遊んだ記憶はあるんだけどね。今、堀井さんが言うように戦闘が面倒くさくて投げた記憶があるんだよな。1は。で、その後、2は遊ばず、3も遊ばずに……（笑）。
（坂口博信）あれ？ でも3はやったんじゃないですか？
（鳥嶋和彦）ああ、やったわ。やったんだ。で、ダンジョンで投げたんだ。
（坂口博信）で、僕が鳥嶋さんに初めて会った時にね、会議室に呼び出されて、3の文句を散々言われて。「このオヤジ、なんなんだ？」って思いましたよ（笑）。「坂口くん、はじめまして。今からね、僕が3のダメなところを言っていくからね」「はあ？」みたいな。
（鳥嶋和彦）フハハハハハハハハッ！
はじめましてでいきなりダメ出し
（坂口博信）「たしか、はじめましてですよね？」みたいな。「ここがダメで、ここもダメで。本当にダメだよね。キャラクターも立っていないし。根本的に君はものづくりを間違っている」とか。
（鳥嶋和彦）言ってた？（笑）。
（坂口博信）言ってましたよ（笑）。
（鳥嶋和彦）そこまで言った？
（坂口博信）結構言っていましたよ（笑）。
（堀井雄二）これ、今だから言うけどね。FFもチートしていた（笑）。
（坂口博信）FFもチートって？ セーブデータを書き換え？
（堀井雄二）なんか、そういう機械があって。
（鳥嶋和彦）あったあった！
（坂口博信）それは使っちゃダメですよ（笑）。あれはこの世に存在しちゃダメなやつですよ？（笑）。
（鳥嶋和彦）ナントカライターっていうやつでね。
（坂口博信）ナントカライターは使っちゃダメ！
（堀井雄二）それに読ませてやると、いろいろと変わるんだよね。「ああ、いいじゃん」ってなって（笑）。
（鳥嶋和彦）それで3を遊んでいた？（笑）。
（堀井雄二）そう。すごい楽しかった（笑）。
「チートツールでFFを攻略した」（堀井雄二）
（坂口博信）僕はちゃんとやりましたよ。ドラクエを1、2、3ってやって。3が終わった時、明け方で。自分のアパートで。感動しましたよ。「おおっ、つながった！」って。こみ上げるものがありましたよ。僕はちゃんとやりましたよ？（笑）。
（鳥嶋和彦）やっぱりあの当時……そうそうそうそう。前回の収録に出てくれた『ダイの大冒険』の三条くんたちと「FF3とドラクエ3、どちらが優れてるか？」ってディスカッションをしてさ。僕は当然、ドラクエ派で。若手はやっぱりFFをね。
（坂口博信）まあ、学校の教室でそういう話題が出た頃ですよね。
（鳥嶋和彦）でね、やっぱり途中で投げてるから。もう1回、FFをやろうと思ってやって。それで最後まで行ったんだけど、やっぱりダンジョンはつらかったよね。
（坂口博信）ああ、あれはセーブポイントがね、3はないから。3はちょっと、失敗なんですよね。
（鳥嶋和彦）だから4で文句を言ったんだよね？（笑）。
（坂口博信）だから4は難易度もちょっと下がっているはずで。鳥嶋さんに言われたことで、最初は「あのクソオヤジ」って思ったけども。それを一通り入れて作ったのが4なので。非常に、鳥嶋イズムで一段上に行けたという。
（鳥嶋和彦）4のROMをジャンプで扱えないか？って坂口さん、編集部に持ってきて。映して遊んでいたらみんなが寄ってきて。「ドラクエ？」って。で、それが「違う」ってわかった瞬間にみんなザーッといなくなっちゃって。坂口さん、ものすごい傷ついたみたいだね。
（坂口博信）ああ、あの時に本当に「ジャンプ、殺す」って思いましたよね。「あいつら、こいつら、見てろよ！」って。
（鳥嶋和彦）フハハハハハハハハッ！
（堀井雄二）最初さ、氷かなんかのシーンで。ロボットに乗っているオープニングのやつ。あれは？
（坂口博信）ああ、あれは6ですかね。
（堀井雄二）ああ、6だ。「どんどん見せてきたな」って思って。
（坂口博信）6になるとね、もう容量もアップしたし。ちょっとね、仮の……3Dっぽいモードとかも使いこなせるようになって。
（堀井雄二）7はとにかく絵がきれいだったね。すごかった。
（坂口博信）そうですね。あの時、またいい子が入って。皆葉とか高橋っていう、今は『ゼノギアス』を作ったり。皆葉もサイゲームスの方で頑張ってますけども。彼らが凄腕でして。「ドットでこんな絵が書けるんだ」って。
（鳥嶋和彦）7はPSだよね？
（坂口博信）7はPSです。
（鳥嶋和彦）あの時も『クロノ・トリガー』の時と同じで「ジャンプに一報をくれ」っていうので、「スクウェアがPSのゲーム、FFを出す」っていう。それを坂口さんの決断するかどうかの電話を待って。で、「ソニーで出します」ってなって。それでジャンプがその一報を抜くっていうので。
（坂口博信）「一報を抜く」って……怖っ！（笑）。
（鳥嶋和彦）だからクロノの時とFF7の時ってよく覚えているんだよね。校了室をね。
（堀井雄二）7は人気あるよね。
（坂口博信）そうですね。まあ、せっかくCGだからってたぶん、ガラッとサイバーの方に振ったのが今にして思うとよかったんでしょうけどね。逆にCGでやるのにドファンタジーのは当時は作りづらかったですよね。金属っぽい方がCGっぽいじゃないですか。簡単にCG感を出せるかな？っていうのはあったんですよね。
主人公がしゃべらないドラクエと、しゃべるFF
（鳥嶋和彦）やっぱりあれだよね。堀井さんの「主人公はしゃべらさない。ドラクエは体験をさせていくゲームだ」っていうのに対してさ、坂口さんは最初からドラクエへの対抗だから。演出とか、動きとかで見せていくっていう方向の作り方じゃない？ それが自ずと、それぞれのいい意味で味になっていったね。だから、その議論が起きるっていうのは、いいことだよね。武蔵か小次郎かじゃないけどさ。こっちとこっちでファンがそれぞれにいてね。
（坂口博信）まあ、最初から、ドラクエ1を見ながら、対抗馬を作っていったというところはありますからね。「しゃべらないんだったら、こっちはしゃべろう」ぐらいの勢いですから。「しゃべらせたい」っていうよりは、「ああ、しゃべらないの？ じゃあ、しゃべろうよ」みたいな。意外とそういうところから。
（鳥嶋和彦）だってドラクエなんかはメカは出てこないのに、FFでは飛空艇とか出てくるんだからね。
（堀井雄二）あと、あれだよ。10でね、俺はFFは完成したなと思って。ボイスが入って。
（鳥嶋和彦）ああ、フルボイスになったのは、10か。
（坂口博信）まあ、ボイスも大きいですよね。
（堀井雄二）結構セリフが長かったんだけども、ボイスになっていい感じで整理されてね。やりやすかったですね。
（鳥嶋和彦）それまでは「セリフが多いな」って？
（堀井雄二）多い。ちょっと長いなって思って。
（鳥嶋和彦）やっぱり堀井さん、プレイしていて過剰なところとか、余分なところって結構厳しくチェックするよね。
（坂口博信）ああ、削いでいく感じですね。まあ、独特のリズムがありますもんね。メッセージもたぶん、次のウィンドウに切り替えるあたりも、改行みたいなことになるんでしょうけど。そこもたぶん考えられてますもんね。一種の間ですもんね。
（堀井雄二）元々、漫画の原作をやっていたからね。吹き出しだと思っているから。
（鳥嶋和彦）でもね、それはものすごく大きいよね。
（堀井雄二）セリフが長いとダルいなって思うからね。
（鳥嶋和彦）だいたい「7字×3行」ぐらいだもんね。ひとつのセリフがね。
（坂口博信）まあ「ぱふぱふ」が一番僕はショックを受けましたね。
（堀井雄二）元々は鳥山さんのね、『ドラゴンボール』のね。
（鳥嶋和彦）そう。亀仙人からね。
（坂口博信）「ぱふぱふ、ぱふぱふ」って、頭を殴られたような……。
（鳥嶋和彦）趣味に合っていた？（笑）。
（坂口博信）いや、すごいですね。
（鳥嶋和彦）それで、それぞれに競いながら出していて。それぞれのものを遊んでいて。それでね、ある時にクロノに至るんだけども。
＜書き起こしおわり＞
