坂口博信と成田賢 Macintoshが『FF1』インターフェースに与えた影響を語る

坂口博信と成田賢 Macintoshが『FF1』インターフェースに与えた影響を語る TOKYO M.A.A.D SPIN

坂口博信さんと成田賢さんが2024年6月22日放送のJ-WAVE『ゆう坊とマシリトのKosoKoso放送局』の中で『ファイナルファンタジー1』開発についてトーク。当時としてはかなり洗練されたインターフェースにはMacでの開発が影響を与えていたと話していました。

(鳥嶋和彦)やっぱり、あれですか? FF1を作った時にドラクエって相当、意識していた? そうでもない?

(成田賢)いや、僕はわかんないっすね。ゲームデザイナーがどれぐらい意識したか。

(鳥嶋和彦)坂口さんは?

(坂口博信)僕は、もちろんしていますよね。ことあるごとに……石井とか渋谷さんとか、絵に関わる人にはもちろんしてると思います。っていうのは、僕はやっぱりドラクエのゴーレムとかを持ってきて。「相手はこれだよ? ダメじゃん、これ」とか。みたいなことは平気で言ってましたよね(笑)。

(鳥嶋和彦)そうか。鳥山さんの絵を持ってきて。

(坂口博信)やっぱり、なんだろう? 前にもちょっと言いましたけど。やっぱりキャッチーな物もほしかったし。まあ、ないものねだりでもあるんですけど。「やっぱりスライムはすごいな」と思っていたから。いまだにトラウマがありますね。やっぱり最初に出てくるモンスターをキャラクター化、グッズ化ができるっていう。あのスライムの強力さ。あれをやりたかったけど。その後もずっとやりたかったけど、一度もできたことはなくて。あの偉大さだよね。

(鳥嶋和彦)スライムはね、単なる偶然だけどね。

(坂口博信)だからそれが一番怖いですよね。

(堀井雄二)でもFFにはチョコボがあったよね。キャラクターとして。

(坂口博信)いや、鳥嶋さんに散々言われましたよ。「坂口くんさ、鳥はダメだね! 鳥は売れねえよ」とかって言われまくってましたもん(笑)。

(一同)フハハハハハハハハッ!

「坂口くん、鳥はダメだね!」(鳥嶋)

(坂口博信)「鳥はダメだよ?」とかって(笑)。

(Naz Chris)チョコボがかわいそう(笑)。やめてくださいよ、かわいいんだから(笑)。

(鳥嶋和彦)言ったかなー?(笑)。

(坂口博信)言いましたよ。「鳥は売りづらい」って(笑)。

(鳥嶋和彦)まあ、売りづらいよね(笑)。

(渋谷員子)FF1の時は私、最初は町から書き始めました。「とりあえず町から考えよう」と思って。ドラクエはお店に入ると、屋根がなかったので。

(鳥嶋和彦)ああ、屋根がなかったか。

(Naz Chris)上から見えるんですよね。

(渋谷員子)囲われた町に入ると屋根のない武器屋とか宿屋とかがあったので。私はもう少し、お家にしたいなって思って。最初に普通に屋根を……瓦屋根みたいのを書いて、ちゃんとお家として。「町に入ったらお家が建ってる」っていう絵面にしたいなと思って。

(鳥嶋和彦)そういう意味では、チームとしては結構、個人裁量に任せてやっていくって感じ?

(坂口博信)まあ、そうですね。容量制限がどうしてもあるので限界はあるんですけど。「ひたすらとにかくきれいな画を作ろうよ」っていうスローガンのもとに、みんなに創意工夫してもらうっていう。

(渋谷員子)そうですね。まあ若干、私が作った町は容量を食っちゃったんですけど。それでもちょっと押し通して(笑)。

(坂口博信)そうですね。一部、屋根が真っ白になったりとかね。

(渋谷員子)あとは周りを囲ってる塀をね、どうしても薄くしたかったので。

(坂口博信)容量削減も後からするんですけど。まあ最初から、それを考えてデザインしてもしょうがないので。

(渋谷員子)逆に私、ゲームをしていなかったことがそこで「ゲームだから」っていう意識にならずに、「自分が思ってる町は、これです」っていうのを描いた感じで(笑)。

(鳥嶋和彦)イメージがあって。ああ、なるほどね。

(渋谷員子)ゲームのこだわりがなかったから、ああいう町とかお家が描けたんじゃないかと思うんですよね。

(坂口博信)そうですね。FF1の前から、そんな感じはありましたよね。だから時々は切れてました。逆に。もう画面いっぱいに自由に描かれることとか、あるんですけども。「こんなもん、入るわけねえだろ?」っていう。容量のことをまるで考えないので。というようなこともありつつ、1の頃はね、だいぶこなれてきたから。渋谷さんも「ここまでやってもムダだよな」みたいなこともある程度、わかりつつっていうね。まあ、攻防があるんですよ。最後はやっぱり。容量の取り合いだもんね。

(鳥嶋和彦)結局、少ないからね。

(坂口博信)最後、本当に。「メモリーマップ」っていうのがあって。ROMカセットの。そこで、どこまでがプログラムが使って、どこまでがキャラクターが使ってっていう、そのラインの攻防戦が最後、領土分配みたいなのが始まって。はい。

(Naz Chris)FF1って、他のRPG作品がスーパーファミコンになってから実装するみたいな洗練されたインターフェースというか。結構、プログラムの方ですごく容量を使ってるようなイメージがあったというか。さっきの頻度の高いコマンドのショートカットとか、エンカウントのない乗り物とかっていう。そんなイメージが……。

(坂口博信)ああ、たしかにそうだね。結構、吟味してたよね。

(成田賢)あれはでも、Macが好きだったじゃないですか。

(坂口博信)そうだね。オブジェクト指向だったんだね。

(成田賢)Macintoshが好きだったので、そういうデザインの雰囲気が意外と移っているかなって思いますね。

Macintoshのデザインの雰囲気が反映されている

(坂口博信)もうどう考えてもね、開発はPCの方がいいし。ツールもPCなのに僕は無理やりMacで作らせてましたからね。「Macを使え」っつって。「これ、使い物にならないんですけど?」って。当時のはSad Macっつって、すぐ飛んじゃうんですよね。

(鳥嶋和彦)ああ、不安定だったわけだね。

(坂口博信)はい。だけど「Mac使って」って言って(笑)。

(成田賢)いつも、あれなんですよね。デザインの指標をポンと持ってくるんですよ。で、それを見ながら「ああ、そんな感じなんだ」っていう。微妙な構成とかも、作っていた方は。

(鳥嶋和彦)坂口くんの無理なこだわりが?

(坂口博信)Mac、あのマシンは素晴らしいですよ。本当に。

<書き起こしおわり>

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