堀井雄二 ゲームの遊びやすさ、親しみやすさの作り方を語る

堀井雄二・坂口博信・鳥嶋和彦『ウィザードリィ』の衝撃を語る TOKYO M.A.A.D SPIN

堀井雄二さんが2023年12月25日放送のJ-WAVE『ゆう坊とマシリトのKosoKoso放送局』の中でゲームの遊びやすさ、親しみやすさを生み出し方について、話していました。

(鳥嶋和彦)堀井さん、今、一緒にゲーム作る若手の人とか見てて、どうですか?

(堀井雄二)まあ、頑張っているやつは頑張ってると思うよ。多少、間違っていてもそこは僕が見て、ちゃんと直したりとかしてるから。ただ、見るものが多すぎてね、結構あれなんだけども。

(鳥嶋和彦)まあ10何本もチェックされるんですよね。で、僕は堀井さんにこの前、お話を聞いていて。「なんでそんなにたくさんチェックしなきゃいけないの?」って言ったら、結局間口のところでどう、遊びやすさとか親しみやすさとか。それを堀井さん以外の人がやれないんだっていう話をしたじゃないですか。それは、なんでやれないんですか?

(堀井雄二)わからない。これは俺の才能みたいで。俺が直すと、なんか知らないけどやりやすさが上がるの。

(鳥嶋和彦)それは堀井さんと一緒にやっていて、堀井さんの脇で見てても学べない?

(堀井雄二)言うと、わかる。「ああ、そうですね」ってわかる。すごい理解をするんだけど、次にやるとまた間違っちゃうっていうか。

(鳥嶋和彦)ということは、わかってないってことだよね? 「わかった、わかった」って言っていても。

(堀井雄二)難しいな。なんて言うんだろうな?

(鳥嶋和彦)その時のその事例では形としてはわかるけれども、「遊びやすさ」っていうことが自分の中で、要するに言語化され、抽象化されて、チェックポイントとしてないっていうことだね。

(堀井雄二)なんか、作り手になると作り手の目になっちゃうみたいで。そこが俺はいくつ作ったとしても、全然ユーザーの目でずっと見れるっていうので。わかんないものはわかんないって思っちゃうんだよね。

ずっとユーザー目線でゲームを見ることができる

(鳥嶋和彦)それ、堀井さんが言うことはすごくわかって。漫画もね、読者の目で、読者の視点で見ればこれはダメだっていうのはわかるはずなのに、わかんないで、そのままスルーしちゃうんだよね。

(堀井雄二)ゲームってさ、なんか面白い・つまらないっていうよりも、とりあえず何をどうすればいいかがわかっちゃえば、それは遊んじゃうんだね。最近、みんながスイカゲームで遊んでるようなもんで。なんか、やっちゃうのがあって。何をやればいいかわかれば。で、それがわかっていて、「次にこれをやると、どうなるんだろう?」と思えれば、どんどんはまっていっちゃうんだよね。そこを忘れているゲームが結構多くて。

(鳥嶋和彦)ということは、ゲームの形は作ってるけど、「ゲームを遊ぶことって何なのか?」。それと「ゲームを遊ぶ面白さは何なのか?」を知らないでゲームを作っているってこと?

(堀井雄二)何となく作っていて。自分はたぶんわかっているんだよ。でも、それが僕は普通にわからない。「これ、何をすればいいの? どこを面白がればいいの?」みたいな。

(鳥嶋和彦)ゲーム会社で過ごしても、それは学べないこと? 坂口さん。

(坂口博信)うーん……。

(堀井雄二)感覚だよね。

(坂口博信)なんか、人間だけがあれらしいじゃないですか。発明っていうか、問題解決をすると、ドーパミンが出るらしいんですね。p猿さんとか、他の動物は一切出ないらしいんですよ。「俺が解決した」っていうのでものすごい頭の中でバーッとドーパミン、喜びの物質が出るらしくて。で、たぶんゲームってその積み重ねでできていて。たぶん、その最初のドーパミンを出すタイミングが取れてないっていう話ですよね。だからなんか、解決させてあげなきゃいけないんだけど。片一方で見ると意地悪をして、作り手からすると「ハードルを作らなきゃいけない」みたいな。

(堀井雄二)ああ、その逆のね。

(坂口博信)だからそのハードル感覚で行っちゃうと、ドーパミンが出るとこまでいかないんで。一旦、着地点を作ってあげるっていうところがたぶん、堀井さんがやってるところなんじゃないですかね? おもてなしを合間合間に入れていくっていう。

(鳥嶋和彦)だから、やった結果をちゃんと返してあげるということね。

(坂口博信)解決したふりでもよくて。本当は本人が解決してなくてもいいんだけど。「お前が解決したんだぜ」みたいな。

(堀井雄二)そう。その気にさせりゃいいんですよ。

(坂口博信)その達成感なんでしょうね。

(鳥嶋和彦)おもてなしがないわけね?

(坂口博信)それもでも、たぶん演出ですよね。堀井さんの……だって、舞台演出とかもそうじゃないですか。上手い人はなぜか舞台演出がうまいわけで。その達成感を与える堀井さんの演出がたぶん、堀井さんの方がうまいっていう話ですよね。

(堀井雄二)ただね、その面倒くさいシステムを作ると、チュートリアルをやたら親切に作っちゃうことが多いのね。でも、それは逆にめんどくさいの。全部わからせようとしなくていい。わからせなくていいんですよ。

(鳥嶋和彦)遊んでいるうちに覚えればいいっていう。

わかった気にさせればい

(堀井雄二)わかった気にさせればいい。わかった気にさせてやっているうちに「ああ、これもあったんだ!」っていう風に、どんどんわかっていって。

(鳥嶋和彦)逆にそれが発見になるわけね。

(坂口博信)チュートリアルは難しいっすね。

(堀井雄二)やっぱり新しいゲームを始める時って、敷居が高いじゃん? ルールを覚えるとか。

(坂口博信)キーの配置も違ったりしますからね。

(堀井雄二)そうそう。そこだよね。

(坂口博信)ファミコンの最初ってよかったと思うんですよ。あのA、Bと十字だけの。どうやってそれだけなんで、覚える必要がないっていう。あれは美しかったと思いますね。

(堀井雄二)やっぱりこれで慣れているもんね。

(坂口博信)「この段階でええと、Yボタンはなんですか?」みたいな……。

(鳥嶋和彦)わかるわかる。今、こんな風にやらないといけないからさ。手が痛くなっちゃうもんな。

(坂口博信)「そもそも✕で決定ってどういうことなんだ?」っていうね(笑)。「ふざけんなよ?」って思いますよ(笑)。

(鳥嶋和彦)そういうの、あるね(笑)。決定は「◯」だよね?(笑)。

(坂口博信)ですよね?(笑)。

(鳥嶋和彦)ありえないよね(笑)。すごくよくわかる。そうなんだよな。

(坂口博信)でも、ねえ。ファミコンはすごかったですね。まあ、ムダなマイクとか、ついてましたけど。

(堀井雄二)マイクね、あったね(笑)。

(坂口博信)何を言っても変わらないっていう。「バンゲリングベイ!」とか叫んでましたけどもね。本当は「フー」でよかったっていうね(笑)。

(鳥嶋和彦)結局あの頃、PCしかなかった時にファミコンが出てきて、本当に百花繚乱でいろんなゲームが……クソゲーもあったけど。いろいろ出てきて。いろんなメーカーが出てきて。で、割とそれなりのサイクルで変わっていってね。で、楽しかったよね。

(坂口博信)楽しかったですよね。

(鳥嶋和彦)業界もね。

(堀井雄二)新しいゲームが出るの、すげえ楽しみだったもんね。「次、どんなのが出るかな?」って。

(坂口博信)くだらないのはくだらないので楽しかったですよね(笑)。ああいうのはああいうので楽しかったですよね(笑)。

(鳥嶋和彦)今ではありえないのがね(笑)。だから、やっぱりビジネスとして大きくなって、複雑になって。その結果、面白さが失われていってね。だから、もう1回なんかあの頃の、僕らが遊んでた頃の熱気とかワクワク感がね。

(坂口博信)もはや巨大ビジネスですからね。だから、本当はね、スマホとかでもっと文化的に気軽に……そういうカジュアルゲームに行けばいいんだけど。やっぱりちょっとガチャに席巻されちゃって。そっちはそっちで別の色合いになっちゃってね。それがまたビッグビジネスになっちゃって。

(堀井雄二)でも俺、今『モンハンNow』をやっているんだけども。あれはガチャがないんだよ。ガチャがなくて。このやり方はありだなって。

(鳥嶋和彦)あれ、スマホのゲームなんだ。

(堀井雄二)まあ『ドラクエウォーク』とバッティングしているんだけども。強くしたいんで、やたらと育てていて。

(鳥嶋和彦)堀井さん、その新しいゲームを遊んでみようっていうのは、そのきっかけとか、知るきっかけとかは?

(堀井雄二)なんだろうね? なんとなくだよ(笑)。

(鳥嶋和彦)だって今、いろいろあるじゃないですか。

(堀井雄二)結構見ているよね。いろいろね。

(鳥嶋和彦)だから、それはどういう基準で?

(堀井雄二)それはネットが好きだからね。そこでいろいろと入ってくるよ。スイカゲームだったりとかさ。

<書き起こしおわり>

坂口博信 直近2年間の3分の1をFF14内で過ごし、老眼が治った話
坂口博信さんが2023年12月25日放送のJ-WAVE『ゆう坊とマシリトのKosoKoso放送局』の中でファイナルファンタジー14についてトーク。直近2年間のプレイ時間を計算したところ、その期間の3分の1の時間をFF14内で過ごしていたという話や、FF14をウルトラワイドディスプレイでプレイした結果、老眼が改善した話などをしていました。
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