星野源 The Beatles『Abbey Road』アナログB面後半楽曲の魅力を語る

星野源 The Beatles『Abbey Road』アナログB面後半楽曲の魅力を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2023年11月14日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でThe Beatles『Abbey Road』アナログB面後半楽曲の魅力についてトーク。番組中2実際に楽曲をレコードで流していました。

(星野源)先週ちょっとやりきれなかったことがあるんですよ。ビートルズの新曲が出て。ビートルズの話をしたんですよ。で、やっぱり新曲が出たっていうことで、世界中の人がやってるであろう旧譜っていうか、その昔のアルバムとかを聞き倒すっていうようなことを僕もしていて。僕は先々週はちょっと、お休みしちゃったんですけど。体調不良で。それは風邪とかじゃなくて、めまいとかの方だったんですけど。でも音楽は聞けるっていうことで、音楽を聞いていたんです。ただただ楽しく音楽を聞いたんですけど。

その中でザ・ビートルズのアルバム『Abbey Road』の話をしたんですね。『Abbey Road』の話を散々して、『Abbey Road』の曲はかけなかったですよ。なぜかというと、緊急事態。阪神タイガースが優勝、日本一になりまして。ここでオマリーをかけないわけにはいかない。『オマリーの六甲おろし』はやっぱりかけたいんで、かけさしてもらって。星野源といえばもう、『オマリーの六甲おろし』っていう(笑)。僕がたぶん最初に聞いたのはコサキンのコサキンソングだったと思うんで。コサキンソングとしてね。僕、ラジオを中・高の時に聞いてたんですけど。それの中でかかって、電車ん中で足が震えるほど笑うというね(笑)。

面白くて、かつ、聞けば聞くほど味がするというか。2番は英語なんですけど。その英語の方が独特であるっていう、そういうちょっといろいろね、深みがあるんですね。『オマリーの六甲おろし』には。で、やっぱりかけなきゃいけないということで、ビートルズの話をしたにもかかわらず、ちょっとオマリーをかけちゃったんですけど。

星野源 ビートルズ新曲『Now And Then』を聞いてやってみたことを語る
星野源さんが2023年11月7日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でビートルズの新曲『Now And Then』についてトーク。楽曲を聞いてビートルズの過去曲を聞き返す中で思い立ってやってみたことを話していました。
星野源 阪神タイガース日本一を『オマリーの六甲おろし』で祝福する
星野源さんが2023年11月7日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で日本シリーズを制覇して日本一になった阪神タイガースを祝福。『オマリーの六甲おろし』を選曲していました。

(星野源)なので今日は、ビートルズをかけたい。で、どんな話をしたかといいますと、『Abbey Road』っていうビートルズの皆さんが解散をする前に、最後に録音したアルバム。でもアルバムリリース順としては『Let It Be』の方が後なんですけども。実際には製作は『Abbey Road』の方が最後で。で、メンバーの方も「もうこれで終わりだ。解散だ」というような気持ちで作られた部分もあるそうで。そういうアルバムとして、自分の中でもなんていうんですかね? 「最後のアルバム」っていうようなイメージがやっぱり強いんですけど。

なんか単純に曲がすごく好きで。初めて聞いたのが、先週もお話したんですけど、中学生ぐらいの時に、それまでずっとジャズばっかりかけてた親がですね、唐突にロックだったり、海外のポップスっていうものを聞かせてくれた時があって。その中に、ジャニス・ジョプリンとかピンク・フロイドの『原子心母』とかと一緒に、このビートルズの『Abbey Road』を聞かせてくれたの。で、それのB面……当時、親父はレコードマニアというか、大好きだったんで。で、ジャズピアノもやっていて、ジャズレコードとかも親父が集めていたのでね、レコードで聞かせてくれたんですよ。埼玉県川口市のちっちゃいマンションの一室で。ちっちゃい音でね。大きい音は出せないから、ちっちゃい音で聞いたんだけども。もうその最後、B面のお尻のですね、メドレーのようになってる、曲が短いものがたくさん連なるところがあるんですけど。そこがかっこよすぎて。

で、なんかね、それをすごく思い出して、改めて聞いたんですよ。で、その具合が良くなった後に自分の作業場に行って、そこだとでっかい音で聞けるじゃないですか。作業場で、普段曲を作って、大きい音でプレイバックしたりもするんで。でっかい音でステレオで聞いたらもう、ちょっと体が痺れまくりまして。「いいぜ!」ってなったんですよ。で、それをかけたいって思っていたんです。なので今日、この後にかけます。で、そのメドレー部分というか。実際にはB面の3曲目から10曲目……『You Never Give Me Your Money』から『Sun King』『Mean Mr. Mustard』『Polythene Pam』『She Came In Through The Bathroom Window』『Golden Slumbers』『Carry That Weight』『The End』までをノンストップでかけます。これはやっぱりノンストップじゃないとね。

で、もう1曲、『Her Majesty』があるんですけども。これは、今日はかけないでおきます。これ、気になった方はね、自分でぜひ買ったりとか。今もサブスクにいっぱいありますから。いろんなバージョンありますから。ミックスし直したやつとかもありますし。そうそう。だからそれをぜひご自身の耳でね、買ったりして聞いていただきたいんです。

で、なにをかけるの?って話なんですよ。いっぱい、いろいろねバージョンもありますし。マスタリングし直したのもあるし。ミックスをし直したのもあるし。いろいろあるんですけど。本当は、レコードかけれたらいいなと思っていたんですよ。で、ニッポン放送ってレコード室というか、CD室があるんで。結構、歴史的なぐらい、レコードとかCDがあるんですよ。ニッポン放送って。なんで、「レコード、もしかしたらあるかも?」と思って、スタッフも含めたグループLINEで「今日、ちょっと『Abbey Road』をかけたいんだけど」って言って。

僕ね、アナログは持ってなかったんで。「アナログ、レコード室にあるかな?」って聞いたら、岩田さんが「調べます」って言って調べに行ってくれて。「すいません。ちょっとレコードはありませんでした。CDならあります」って言って。「2009年版のリマスタリング盤、ありますか?」「ありました!」みたいになって。「じゃあ、そっちをかけよう」ってなったの。まあ、アナログはないけど、全然いいじゃん。しょうがないってなったんだけれども。

そしたら、当番組を卒業した大沢さんから……ちなみに卒業したけど、大沢さんはグループLINEを退会してないんですよ(笑)。その大沢さんから唐突に連絡がくるっていう(笑)。でも大沢さん、これは「退会してほしい」ということじゃないからね? でも普通、退会するじゃん? 普通、関わりが一応なくなったら退会するんだけども、大沢さんは退会しなかったっていう(笑)。当番組のミキサーをずっと、もう番組の立ち上げがやってくれていた大沢さんが部署異動で卒業しちゃったんですけどね。そしたら大沢さんからLINEがあって。あっ、大沢さんだ! ありがとうね、大沢さん(笑)。大沢さんからLINEがあって。「ありました」っていう写真とともに。『Abbey Road』の。それで「あるじゃん!」と思って。現ミキサーの松岡さん一緒にレコード室に行って。「見つけました」みたいになって。「ああ、あるんだ! じゃあ、なんでさっき、なかったんだろう?」ってなって。

ああいうのってさ、ちゃんと調べて。たとえば「ビートルズ Abbey Road」とか入れると、ちゃんと出てくるようになっているんだよね。そのパソコンっていうか、調べる機械で。あと、紙とかで調べればわかるんだけど。なんかそれが、あるけどないみたいな感じだったらしくて。そしたら大沢さんがその後に「床に落ちてました」って言っていて(笑)。「いや、ちょっと! どういう保管状況なのよ?」と思って。しかもこれ、だから結局、アナログはあるんですよ。なので、アナログでかけますね。久しぶりに当番組、アナログでかけます。一応、日本盤ではあるんですけど、当時のオリジナルです。そのやつでかけます。

だから、なぜそれを床に?(笑)。そう思ったら、いろいろ話を聞いたら、別の番組がなんか、ストックみたいなのがあるらしくて。「この曲、このアルバムをかけるかも」みたいな感じで置いておく場所みたいなのがあるらしくて。そこに置きっぱなしだったらしいんですよ。その置きっぱなしっていうか……そこが床なの? そのストックの場所って、床なの?(笑)。それ、どういう……それもちょっとどういうこと?って思うけど。とある番組が……でもね、アナログってなかなかかけないじゃん? 結構前に置いておいたってことなのかね? どうなんだろうね? えっ? 30枚ぐらいストックが置いてあるの?(笑)。確保されてるんだ。でも、じゃあ調べて。「ああ、この棚にあるな」ってなっても、なかったりするんだ? これはちょっと由々しき問題ですよね。ニッポン放送。これ、よくないよね?(笑)。「あれ、探しに行かなきゃ!」ってなった時に「ない」って可能性もあるもんね。

でも、そんな大沢さんと松岡さんの捜索の甲斐あって。そして岩田さんの捜索の甲斐あって、アナログでかけれるということで、非常に嬉しい。なのでこの後、16分あります(笑)。なんで16分、みんなで聞こうじゃないの。いいよー。で、俺も今、ちょっと冒頭だけテストで聞いたけども、すごいいいんだけども。なんせ古いレコードです。しかもレコード室にあるってことは、さんざんかけられてるってことです。当時から含めて。何十年もかけられ続けて。まあ、CDが出るまでは、もうずっとかけられてるレコードなので、音は良いとは言えないと思います。

だけども、やっぱりちょっと、なんていうのかな? 当時のそのビートルズの皆さんが込めた曲感とか思いみたいなものはそのまんま残ってると思うので。ぜひ、じっくり聞きましょうよ。じゃあ、この3曲目から……でも、あれよ。メドレーの始まりの説も人によって違ったりするでしょう? ねえ。でも一応、この『You Never Give Me Your Money』からにします。いろいろたぶん人によって、違う解釈がいろいろあるとは思うんですけども。

で、本当に詳しい人がめちゃくちゃ多いし。だから、聞きながらでもいいし、聞いた後でもいいし、ぜひご自身のあの目でいろいろ調べてみてください。もう『Abbey Road』とか入れるだけで、いろんな人がいろんな文章を書いてるんで。あとメドレーとか言うと……あとメンバーがメドレーに対してどう思っていたとか、いろいろあるんで。なんか、そういうのも超面白いと思うんでぜひ、これをきっかけに。はい。じゃあ、僕が中学生の時にね、親父が聞かせてくれた……この『The End』っていう、最後の曲があるんですけど。それのね、ギターソロがあるんですよ。ちょっと、順番は忘れちゃったけど。ジョージ、ジョン、ポール、みんなギターソロしてるところがあるんですけど。親父が「ここのギターソロがいいんだよ!」って言いながら聞かせてくれたところまでぜひ、聞いていただければと思います。

よし、じゃあレコードを。これ、久しぶりだ。レコード。これ、ちゃんとこの3曲目からかけたいですよね。行きます。よいしょ。ああー、これ、難しい(笑)。ちょっと見えねえな。ちょっと待って? スマホのライトで照らしますね。ああ、ありがとう。照らせる? ああ、いいですね。よいしょ、どうぞ。

『You Never Give Me Your Money (Remastered 2009)』

『Sun King (Remastered 2009)』

『Mean Mr. Mustard (Remastered 2009)』

『Polythene Pam (Remastered 2009)』

『She Came In Through The Bathroom Window (Remastered 2009)』

『Golden Slumbers(Remastered 2009)』

『Carry That Weight(Remastered 2009)』

『The End(Remastered 2009)』

(星野源)はい。お送りしましたのはザ・ビートルズで『You Never Give Me Your Money』から『Sun King』『Mean Mr. Mustard』『Polythene Pam』『She Came In Through The Bathroom Window』『Golden Slumbers』『Carry That Weight』『The End』でした。いやー、最高でしたね! 最高! ちょっと久々にアナログで聞きました。ねえ、皆さん、いかがだったでしょうか?

いわゆるAMの、アナログっていうか。電波で聞いてる人はモノラルに……今、AMってモノラルだっけ? FMの方はステレオだけど、まだAMはモノラルだよね? 「おそらく」(笑)。ごめんね。誰も今、理解してないけども。たぶん車とかで聞くAMって結構、なんていうんだろう? 「かなり音、悪いな」っていう印象の時とかあるので、それで聞いてた方はかなり……雰囲気があったのではないでしょうか(笑)。あとFMでもね、この番組は聞けますから。FM、そしてRadikoで聞いてる人はね、アナログの質感みたいなのがよりリアルに出たんではないでしょうか?

でね、思ったんだけど。Spotifyで聞いてる人は、やっぱり曲は聞けないんですよ。ポッドキャストで聞いてる人は。だからぜひ、Spotifyの中にこの曲がありますから。なんで僕がSpotifyでね、「ポッドキャストをやりませんか?」って言われてなんでやろうと思ったかっていうと、この番組って曲をフルで流すんですよ。基本的に。あまりに押しているとかがない限りは、僕が選曲した曲は基本的にフルでかけるんです。で、あんまり僕がそんなに……やっぱりAMではあんまりないことだったんですけど。自分は音楽をお仕事してるし、好きなので、フルで聞きたいっていう思いがいつもあったんで、フルでかけてるんですけど。

Spotifyならば、たとえばポッドキャストで僕が曲振りをして。そして、その曲に行って、その曲を聞いて、またポッドキャストに帰ってくればそのアーティストにお金が行くんすよ。そうすると、僕もポッドキャストを聞いてもらえて嬉しいし、僕が選曲した曲でそのアーティストにお金が入るのが嬉しいんです。なので、僕はそのSpotifyで、そのポッドキャストそのものには曲は入らないんだけど。聞いている人が自分で動けば、その曲は聞けるので。なので僕は「やりたい」と思ったのです。なのでぜひ、聞いてください。

で、「有料会員じゃねえんだよ」とか言う人は、有料会員になってください(笑)。「有料会員じゃないから、聞きたい曲をすぐには聞けないんだよ」っていう人は、なってください。音楽にお金を払ってください。はい。よろしくお願いします。まあでもね、いろんな聞き方があるんで。YouTubeでも聞けたりはするんで。いろんなやり方があると思いますから、ぜひ曲を聞いて帰ってくるっていうのをやってくれると嬉しいし。やっぱこういう風に、ラジオっていう電波を通して音楽を聞くっていうのはまたちょっと、かけがえのない時間ですよね。

しかもこういう風に16分ぐらいになると、なおさら。「これ、みんなマジで同時に聞いてんだよな」みたいな感じがあって、よかったっすね。ありがとうございました。熊本県24歳の方。「初めてレコードでの楽曲を聞いて、思わずメールしてしまいました。率直な感想はまず、耳が気持ちいいと感じました。音楽、全然詳しくないんですが、音が柔らかいような、温かいような、とても浮遊感を感じました。またプツプツと聞こえるノイズのようなものもレコードならではなのかなと思いました。レコードに興味がわいたので、いろいろあさってみようと思いました」。ぜひ!

東京都の方。「まさにレコードノイズ。20年くらい前に友人宅で聞いたことをふと思い出しました。オールナイトニッポンで聞けるなんて最高です。大沢さん、見つけてきてくださってありがとうございます」。ありがとうございます。そうなんですよね。やっぱりね、アナログの質感っていうのはまた、ちょっと違うものですよね。で、思ったのは、ビートルズってモノラルからステレオに変わった頃の、ちょうどその狭間のアーティストで。いわゆるステレオの振り方みたいなのが、今聞くと独特だったりするよね。ドラムが完全に右に行ってたりとか。

でも、こうやってアナログで聞くと、全体をレコードノイズが包んでるんで、自然なんですよね。なんていうか、隙間が空いてないっていうか。全部、レコードノイズだったりアナログの空気感で、離れてる楽器も埋まる感じがして、僕はすごく好きですね。でも今、配信とかでもあるリマスタリングだったり……特にでもリマスターの方がやっぱり空気感みたいなのはオリジナルにやっぱり近いとは思うんで。ミックスし直したのはやっぱり音が超きれいなんですけど。またちょっと違う、新しい音の楽しみ方みたいなことだと思うんで。なんかね、この感じ、やっぱり改めて好きだなと、アナログを聞いて思いました。

で、これを今、見ていて「おおっ!」って思ったんだけど。アナログプレーヤーね。これ、結構ボロボロなんすよ。で、シールっていうか、紙がセロハンテープで貼ってあるんですけど。もうね、セロハンテープがガビガビでもう剥がれまくってるんですけど、メモが貼ってあるんすよ。このメモには「このプレーヤーは檜原の私物です」って書いてあるの(笑)。ニッポン放送の現社長です(笑)。「でも使用可です」って書いてあるの。「誰でも使ってね」みたいな。私物なんだけど。

ニッポン放送・檜原社長の私物レコードプレーヤー

現在ニッポン放送の社長となっている檜原さんが職員時代のレコードプレーヤーでした。檜原さん、ありがとう。それをみんな、使っているという。「みんな」っていうか、アナログをかける人自体があんまりいないとは思うんですけどね。あれ? 山田くんがやったりしてんだっけ? たしか。なんだっけ? なんか、そんな話を聞いたことがあるな。クロスの方でね。たしか。いや、いいですよね。アナログって。やっぱり、こうやってか自分でかけるってなると、緊張感がやっぱりありますよね。ラジオでかけるとなると。非常に楽しかったです。ありがとうございました。

(中略)

(星野源)冒頭、ビートルズを16分間、流したんですけれども。静岡県の26歳の方。「父方の実家でラジオを聞いています。曾祖母が亡くなり明日、最後のお別れをします。幼少期によく父の実家に行っていた私。私が音楽が好きであることを見抜いたのか、初めてビートルズを教えてくれたのが曾祖母でした。レコードプレーヤーの原体験も今にして思えば曾祖母。ビートルズの音楽を聞くと郷愁をくすぐられるとともに曾祖母との思い出が蘇ります。そんな曾祖母の葬儀を目前にしたこのタイミングで源さんの紹介で流れてきたビートルズ。勝手ながら寄り添っていただけたような感覚になりました。ありがとうございます。明日、しっかりと悔いのない時間を過ごしたいと思います。源さん、ありがとう」という。

そうですか。いやー、なんかビートルズを教えてくれる曾祖母さん、素敵ですね。いや、そういう風に音楽って受け継がれていきますよね。うん。なんか、そういうの、いいですね。自分も教えてもらったの、父親だったしね。そういう風に繋がっていけたらいいなと思います。それでは、星野源でした。また来週。

<書き起こしおわり>

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