松重豊 バイト仲間・甲本ヒロトの『劇映画 孤独のグルメ』主題歌提供の感慨深さを語る

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松重豊さんが2024年12月10日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で自身が監督を務めた『劇映画 孤独のグルメ』についてトーク。かつて、下北沢の珉亭で一緒にバイトをしていた仲間・甲本ヒロトさん率いるザ・クロマニヨンズが作った映画の主題歌『空腹と俺』をオンエアー。

かつて甲本さん主演、松重さん監督で自主映画を制作しようとしたものの、途中で頓挫した話や、それから約40年の時を経て自身の監督作品に甲本さんが主題歌を書いてくれたことの感慨深さを話していました。

(星野源)じゃあ、ここで1曲、選曲をお願いしたいんですけども。

(松重豊)この『劇映画 孤独のグルメ』の主題歌。僕の40年来の友人である、本当に昔、自主映画を撮っていた仲間でもある甲本ヒロトくんに「たのむ! 40年前、映画ができなくてごめんね。でも、作って」って言ってたのんだ『空腹と俺』という曲でございます。

ザ・クロマニヨンズ『空腹と俺』

(星野源)いろいろ質問など来てますので。さっきの曲について。新潟県の方。「源さん、松重さん、こんばんは。劇場映画『孤独のグルメ』、来年1月10日公開決定、おめでとうございます。主題歌、松重さんとアルバイトでご一緒されていた甲本ヒロトさんのクロマニヨンズが担当されるとのことで、アルバイト先だった下北沢の珉亭の前でアルバイト着の2人が笑っているとても素敵な写真を拝見しました。

当時松重さんは映画監督、甲本さんはバンドマンを夢見ていらっしゃったとのことですが、こんな素敵な未来が実現する予感はありましたでしょうか?」という。さっきもおっしゃってましたけど。「映画、できなくてごめんね」っておっしゃってましたけど。

(松重豊)未来はないですよ。絶望しかないですよ、あの頃は。

(星野源)下北沢の珉亭でね。

(松重豊)本当に8mm映画を撮っていた……今なら本当にスマホでできるようなことがやっぱり大変な労力が。お金もかかったし。バイトした金で8mmのフィルム買って、それで撮って、現像……現像費がないから、またバイトしてっていう、そういう感じで撮っていたから。そのうち、資金がショートして「ごめん、ヒロト。やっぱり映画、撮れなかった。俺、もう一生『映画監督やる』とか言わないから、ごめんね」って言って。本当にもう、未来は真っ暗でしたね。あの頃は。

(星野源)その頃って甲本さんはもうブルーハーツをやってる頃でした?

(松重豊)ブルーハーツをやる前だね。前のバンド。岡山から彼も出てきて。別のバンドをやりながら。でも、彼は本当にロックンロール、ロックをやるっていうこと決めてたし。だから、よくつるんでたから彼と一緒にライブ見に行ったりとか、そういうのはよくやってたんで。本当によく一緒に過ごしてたなっていう関係なんですよ。

で、彼はもうバイト中からブルーハーツを始めて、あれよあれよという間にもう頂点まで到達したんで。でもヒロトはそれからも、ことあるごとにちょこちょこ会ったりもしたんで。まあ本当にいつか、僕が監督になるなんて微塵も思わなかったんですけど。封印したと思っていたんで。たまたま今回、60過ぎてこういうチャンスが来て。「ああ、これでヒロトに許してもらおう」っていうのがあって……という感じですね。

(星野源)「許してもらおう」っていうのは、約束をしてたんですか?

(松重豊)約束っていうか、「ごめん。俺、本当にダメで。映画を作れなかった」っていうんで。

(星野源)でもそれって「俺は映画を作るんだ」って……なんか、たとえば「出てよ」とか「主題歌をやってよ」みたいな話があってから、でもできなくて。「ごめん」っていう?

(松重豊)その時、ヒロトが主役だったから。

(星野源)ああ、そういうことなんですね。主役で。

甲本ヒロト主演で福岡ロケまでやっていた

(松重豊)主役で、青春18切符で福岡まで行って、ロケまでやって。2人で電車に乗ってさ。それで、そこまでやったのに途中で頓挫しちゃったっていうのがやっぱり傷だよね。うん。だから「申し訳なかったな」っていうのをこんな形だけど、40年ぶりに一緒に仕事ができて。で、その記念で「一緒にバイト先でバイトの格好しようよ」って言ったら、本当にあいつ、バイト着を着たら、あの頃に全く戻ったのよ。それがものすごく気持ちよかった。60を超えたジジイ2人が肩を組んでさ。

(星野源)当時は20代で。

(松重豊)20代。19ぐらいからだから。

(星野源)それが一瞬で戻れたんですね。

一瞬で20代の2人に戻れた

(松重豊)一瞬で戻ったの。あのガリガリのヒロトに戻って。「ああ、ああ、なんかすごいね。この時空の飛び越え方」と思ったぐらいで。うん。

(星野源)いろんなことを経た2人が。

(松重豊)経たんだけどね。大したことなんかやってないなと思って。この40年で。

(星野源)お二人とも、ものすごいことをやってると思うんですけど。

(松重豊)「まだまだバイトのまんまだな」っていう感じで。

(星野源)なるほど。気持ち良かったんですね。タイムスリップが。

(松重豊)でもそうやって、そういう彼からこんな素敵な曲を送ってもらったっていうのは……これ、本当に撮影中に彼のデモが届いたんで。さすがに俺も、1人で泣きましたね。で、みんなに聞かせて。「こんなに素敵な曲をもらった」って言って。それは本当に良かったと思います。

まさか40年前に甲本さん主演、松重さん監督の自主映画を撮影していたとは……その制作が途中で頓挫してしまったものの、そこから40年後に初監督の映画を撮ることになり、そこで主題歌をオファーして快く引き受け、素晴らしい曲を書き上げる。松重さんと甲本さんのお二人の関係性、最高すぎますよね。

バイト先だった珉亭の前でバイト着を着て方を組んでいるお二人の写真も素晴らしすぎます! 久しぶりに珉亭でラーチャン食べたくなってきました。近々、食べに行かなくちゃ!(笑)。

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