星野源 最高の金沢一人旅を語る

星野源 最高の金沢一人旅を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2023年10月24日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でふと、思い立って金沢に一人旅に行った際の模様を話していました。

(星野源)それで、なんかあれですね。朝晩、寒い。昼、暑い。本当に、しんど……っていう感じですけど皆さん、大丈夫でしょうか? 私、この1週間、何をしていたかといいますと、ちょっとお話したいことがあるんですよ。実はこの間ね、金沢に行ってきたんですよ。金・土で金沢に行ってきたんです。で、最近ね、散歩とかいろいろしてるけれども、仕事半分、一人旅半分みたいな感じで金沢に行ってきました。

で、こんなお仕事をしてるので、割とね、何回も話してますけれども。自分の家の作業部屋だったり、作業部屋を別にもう1個、借りていて。そこの結構しっかり音を出せる作業部屋にこもりにこもって今年1年はね、ずっと曲を作っていたし。今もやっぱりね、制作はずっと続いてるわけです。なんだけども、「別に外に出てもできるんじゃね?」っていう風に思ったので。なんかいろいろと「どこか行きたいな」って思ったんですよ。で、ちょっと、とあるきっかけがあって金沢に行ってきました。

それで「行くぞ!」と思って前日にホテルを取り。インターネットで予約をし。で、やっぱり今、インバウンドでめちゃめちゃ混んでるという話も聞くので、インターネットで新幹線を予約をし。万全の体制で行ってまいりました。で、東京はすごい晴れていて、気持ちいい日だったの。「これは最高だな! 旅日和だぜ!」と思って新幹線に乗ったの。で、新幹線に乗って、駅弁を買いまして。「これはホクホクだな」と思いながら「ラジオを聞こう」と思って。で、いつも聞いてるラジオがあるんですけど。そのラジオ……まあポッドキャスト的なやつですよね。そんなラジオがあって、それを再生したんですよ。

そしたら、そのいつも聞いてるラジオが……なんにもコンテンツ、目次を見ないで再生したら「いや、実は金沢旅行に行ってきたんですよ」って話していて。「これは呼ばれてるな!」って思って。で、ちょっとそのね、ラジオの名前を別に言ってもいいんだけど、まあ言わなくてもいいかとも思って言わないんですけど。もし、それを毎週聞いてる人がいたら「ああ、あれだな」ってたぶん思うと思うんですけど。そこで結構、おすすめの場所とかを言っていたの。それで「これは!」と思ってとりあえずそれをメモって。そこにとりあえず行こうと思って。

で、「Corpus Minor #1」っていうところがあるんですけど。そこにとりあえず行こうとかね、メモして。「これはいいな!」って思って。で、車窓からの景色もいいわけですよ。で、ラジオを聞きながらお弁当を食べて。で、その車内でできる仕事とかをね、ちょこちょこやりながら、金沢に着いたんですよ。で、駅を出たんですよ。土砂降り(笑)。豪雨だったんですよ。いや、「なんか怪しいな」と思っていたんですよ。トンネルを抜けたあたりから「黒い雲、あるな」と思って。で、たぶん普通の人はたとえば旅行に行くんだったら、もうちょっと前から決めていて……みたいな人、多いと思うんですけど。僕はその前日に決めたので。

金沢に着いたら、土砂降り

(星野源)本当だったら天気予報とか見ればよかったんだけど、「いや、そういうのは見るべきじゃないぞ」と思ったの。むしろ。そういうことじゃないだろうと。天気が悪いとか、なにかマイナスなことが起きることを危惧して行かないとかはないなって思って。「調べちゃうと、もし万が一そういうのがあった時に『じゃあ、行かない』ってなっちゃうじゃないかと。そうすると結局私はいつまでも作業部屋の中の住人。井の中の蛙である」と思って。「見ないのだ!」と思って金沢駅に着いたらズブァーッ!ってなっていて(笑)。すごい後悔して。「ああ、天気予報を見てればよかった」って思って。

で、金沢に住んでる方とか、行ったことがある方はわかると思うんですが。フォーラスっていうところがあるんですけど。金沢駅を出てフォーラスにフォーラスに行くまでの間にバス停がバーッてあるじゃん? バス停にあれ、屋根があるんです。バス停のところだけ屋根があるんだけど、その屋根が意味ないぐらい横殴りの雨(笑)。「ああっ、全部服に!」って。で、そのフォーラスに行くまでの道すら、もうほぼ駅ビルなんだけども。その道すらも、走るぐらいの雨。で、そこで傘を買ったりとかして(笑)。

で、着いたのがね、たしか3時半とか4時ぐらいなんですよ。で、そこから本当は歩いてホテルまで行こうと思ったんだけども。何回か傘をさしてチャレンジしたんだけども、どうしても傘が持っていかれるんですよ。結構風が強くて。強くない時も全然あるんだけど、突風的なのが吹く時があって。「これはホテルまで行くまでもちょっと大変かもな。ここはちょっとタクシーに乗らせていただきます」ってタクシーに乗ってホテルに行って、チェックインして。

で、もうその時点で楽しいんですけど。「いや、これやっぱり出かけなきゃな。雨とはいえ」って。で、雨なのだが、本当は兼六園に行きたい。すごい素敵な広い広い庭園があります。で、一応そこを目指すんだけど、もうね、なんかちょうど僕が行ったぐらいの時から冬期営業みたいになってて。ちょうどね、閉まる時間が……(笑)。たしか5時とか、そのぐらいかな? 6時ぐらいかな? 5時ぐらいにたしかホテルに着いて、6時ぐらいに閉まっちゃうみたいな。だから、歩いていくとちょうど閉まる時間に着くぐらいの感じ。でも、とりあえず向かおうと思って。でも、なんていうか別にいいんですよ。もう、何でもいいわけ。行けても、行けなくてもいいんです。

なぜなら、綿密に計画した旅行じゃなくて。別に何ができなくて、終わって帰ってきてもいいわけ。それこそ「雨、降ってたな。なので、ホテルにずっといました」っていうのでも別にいいわけ。仕事だしね、基本。だから、それでいいんだけども……でも、とりあえず出てみようと。そしたらね、ちょっと雨が弱くなっていたんです。「ああ、これはいいな」と思って、傘をさしながら、金沢城公園に。金沢城、城下町ですから。金沢城の周りにでっかい公園があって。そこをね、雨は結構しとしと降ってるわけです。それでも。で、入った途端にもうすごい広い空間にね、誰もいないの! もうブワーッて全部がめっちゃ濡れていて。全体が。で、曇天ね。曇天からの、誰もいない金沢城公園が……それはね、なんか言葉にうまく表せないんだけど、めちゃくちゃ風情があってよかったんですよ。

で、「雨、めっちゃいいじゃん!」って思って。しかも人も、いないじゃない? だから、帽子もマスクもいらないわけ。だからもう1人雨に唄えば状態、Singing in the Rain状態だったんですよ。本当に。で、そこで歌っていた歌を後でかけるんですけど(笑)。それで歌を歌いながら金沢城公園を突っ切って。そこから兼六園の方に行く道があるんだけど、そこがなんか緑道みたいになっていて。それが、やっぱりあれですね。本当にアートの街でもあるじゃん? だから銅像とかがいろいろとある中に緑があって。遠くにはお城的な、お城があったような古い建物があったりとか。「めっちゃ綺麗じゃん!」と思って。きっと晴れだったら、また全然別の楽しさがあるんだと思うんだけど。人も少ないし。「逆に雨でよかったわ」って思いながら、とにかく道なりにただただ歩いて行ったんですよ。

そしたら、その突き当りというか、そこにあったのが21世紀美術館だったんです。これはもう本当に……いいですよね!って思って。「特に何も考えていないのに美術館に着いちゃうなんて、最高ですよ! 入ろう」と思って。「あっ、ちょっと待てよ? たぶん冬季営業だな……もしかしたら、早く閉まっちゃうかも?」と思って行ったら、デジタルアート展をやっていて。それがね、8時ぐらいまで。結構遅くまでやっていて。「ああ、全然入れる」と思って入ったら、もう人がめちゃめちゃいて。やっぱり週末だから、それこそやっぱり観光で来る人とかもいるし。それこそ、外国空から来たであろう観光客の人がもうめちゃめちゃいたんですよ。

でもなんかそれがね、なんかね、よかったんですよ。なんていうか、アートを見に来てるじゃない? アートを見に来てるから、なんていうんだろうな? なんとなくなんですけど……まあ、こういう仕事もしてるから。なんか、いっぱいの人がいるし、なんとなくシンパシーを感じるので。表現の方法として、アートとして。だから居心地がいいのと、あとみんな、やっぱり真剣に展示されてるもの見てるから、周りをあんまり見てないんですよね。それがすごい居心地良くて。で、タレルの部屋っていうのがあって。寺ちゃん、行ったことある? タレルの部屋っていうのがあるんですよ。

(寺坂直毅)水槽の?

(星野源)水槽、あるよね。水槽っていうか、プールの下に入れるみたいな(スイミング・プール)。でも、それは雨が降りすぎて。それは中止だったの(笑)。

(寺坂直毅)あれに行きたいのに(笑)。

(星野源)そう(笑)。でも俺はもうすごい前に、それこそSAKEROCKかなんかでツアーに行った時かな? その時にもう、そこは行っているんですよ。だから、それは別によかったの。で、本当にデジタルアートすごい面白かったのそれこそAIで作ったものとかもあったし。あと、あれですね。四葉のクローバーってあるじゃん? 四葉のクローバーをクローバー畑でAIで探すドローンっていう、なんかそういうのがあって。もうとにかく、クローバーがいっぱいある中でめちゃめちゃAIが四葉を探すっていうアートがあって、それがすごい面白いなと思ったりとか。すごい面白かったんだけども。

その常設のタレルの部屋っていうのがあって。そこは入ると、ちょっとだけピラミッドの中に入ったみたいな感じで。しかも天井が開いてるんですよ。で、入ったら、雨降ってるじゃん? だからその天井から雨が降ってるんだけど、下に水が溜まらないようになってるの。で、1センチぐらい、ちょっとだけ水が張っている床があって、その周り座れるところがあって。で、そこが、もうなんかね、ポツポツポツポツ、雨が落ちる音だけなの。そこが超気持ちよくて! そこに30分ぐらい1人で……「なんていい場所なんだ、ここは!」って思って。

金沢21世紀美術館・タレルの部屋

(星野源)これ、たぶん天気のいい日に来たらそれはそれでたぶん……完全に建物の中なのに、空が開いていて青空が見えるみたいな。それもたぶん気持ちいいんだと思うんだけど。雨のタレルの部屋がね、ちょっとなんかすごい厳かっていうか。めっちゃよくて。1回入って「よすぎる!」と思って。他の展示を全部見て、もう1回行くぐらい好きになっちゃって。「これはマジで雨の日に来てよかったわ!」と思って。しばらく、結構見たので。2時間弱ぐらいいたので「もう満足だ」と思って。それで回転寿司を食べて(笑)。お寿司、美味しいんでねえ! 金沢ってお寿司、美味しいんですね!

で、その魚が新鮮すぎて回転寿司もめちゃくちゃ美味しいという話だったので、回転寿司に並んで食べて(笑)。めっちゃ美味しくて、満足してホテルに帰り、仕事をして、寝て。で、次の日……まあ1泊2日だったんで、チェックアウトをして。荷物をホテルに預けて。「よし、行くぞ!」と。で、その日は目当てがあったんですよ。これが目当てだっていう。

で、そこに行く前になんか朝ご飯を……まあ昼ぐらいに出たんですけども。「ちょっとご飯を食べてから行きたいな」って思って。で、なんかいろいろ美味しいところ、あるじゃないですか。でもなんか、なんて言うんだろ? どこにしようかな?って思って。とりあえず行きたいのは、内村さんにその昔、すすめていただいた町中華があったんですよ。『LIFE』をやってる時に内村さんが「金沢に行くと必ずそこに行くんだよ」って言っていた中華屋さんがあって、そこは行こうと思ったんだけど。「昼から中華はちょっとだけ、今の胃には重いかもしれない」と思って。

そしたら、そこの途中に喫茶店というか、カフェがあったんですよ。で、女性が1人で準備をしている、本当にこのラジオのブースぐらいの広さの、カウンターに3席ぐらいのカフェがあって。そこがなんか、空いていそうだし。なんか自分が行っても目立たなそうだし。なんか美味しそうだったし。「ちょっと行こうかな」って思ったけど、一旦通りすぎて。で、「チェーン店とかにしようかな?」とか思う弱気な俺もいて。「いや、ここまで来てそれはないぜ。源ちゃん。いや、行くのだ。ここは全く評判もわからない、でもなんとなく気になったそこに行くのだ!」と思って、カランカランと入って。

で、そこはとりあえず食べ物を先に頼んで、お会計をして。で、「2階、あります」ってなっていて。1階は誰もいなかったし、お一人で準備もされてたんで。で、「2階、誰もいないのかな? じゃあ、2階に行こう」と思ってその品を持って2階に行ったら、ぎっちぎちに女性がいたんですよ(笑)。もうぎっちぎちに女性たちがいて。そこが割とすごいおしゃれなところだったんで。なんか、アート的なものもちょっと飾ってあって。もう本当にめっちゃ写真を撮ってる女性たちがブワーッてギチギチにいて。「ギャー! これは……座れそうなところもないな」と思って降りて、カウンターに座って。で、そこでモグモグとサンドイッチ的なものを食べていたんです。

そしたら、料理をされる男性の方がいたんですね。で、その方が結構話しかけてきてくれて。「旅行ですか?」「ああ、そうです」なんつって。で、食べてる時はマスクをやっぱりしてないから。帽子はかぶっているんだけど。「ああ、そうなんです」っつって。「初めてですか?」「いや、昔に来たことがあるんですけど、すごい久しぶりで」なんて話をしていて。「どこか行く予定、あるんですか?」「一応、行きたいと思ってるところがあって」って言ったら「おすすめがあるんですよ。鈴木大拙館っていうんですけどね」って言われて。「あっ! 僕はまさにそこが目的なんですよ」っていう話をして。鈴木大拙さんっていう哲学者の方がいらっしゃるんですけど。禅とか仏教に関する本をたくさん出されている方で。

アメリカとかヨーロッパとかに禅の文化を広めた人で。英語でたくさん本を出版されていて。スティーブ・ジョブズとかがその本を読んだりとか。外国の人が「禅」っていう言葉や理念を知っているのは、その人が広めたからだっていうことで。それでこの間、原宿の竹下通りを歩いてたら、Tシャツにでっかく「禅」って書いてある、おそらく観光客の外国の人がニコニコで歩いていたんだけども。たぶん、その人がそれを着ているのは、鈴木大拙さんが広めたからなんですよ。

で、金沢生まれの方だと思うんですけど。金沢と竹下通りとかを繋いでるのも鈴木大拙さんだし。その外国と日本文化みたいなのを繋いでいるのも大拙さんで。で、そこになぜ行ったかというと、土井善晴さんのお家に行った時に「鈴木大拙館、めっちゃええですよ」って言われて、招待券くれたんです。で、「招待券をもらった!」と思って。それでなんかピンと来て。「行ってみたいな」と思って。それが理由だったの。金沢に行った。

「まさにそこに僕、これから行くんですよ!」なんて話をして。で、「昨日、何食べました?」って聞いてくるから「回転寿司、食べました」「あっ、回転寿司、おすすめなんですよ。僕がおすすめするところ、全部行ってますね!」なんて言ってくれて(笑)。「いやー」なんて言っていたら、その僕がお店に入った時に対応してくれた、準備していた女性の方が、なんかアワアワしてるの(笑)。

(寺坂直毅)フハハハハハハハハッ!

(星野源)で、その男の人に「ねえねえ……」ってやっていて。で、たぶんそのスマホで文章を見せていて(笑)。それで「う、うん……(コクリ)」ってその男性の方もうなずいて。「あ、あの……」って俺に話しかけてきて。「あの……星野源さんに似てるって言われませんか?」って。「……星野源です!」って言って。

(寺坂直毅)おおーっ!

(星野源)いや、でもそこで「よく言われます」っていうのはちょっと、さすがに言えないなと思って。なんかそこでね、ちょっとかわすのもなんだし。なんていうのかな? 嫌な感じとかも全くなかったから。普通に話しかけてくれてたし。で、そのアワアワしてた女性の方もすごく、なんて言えばいいの? なんか「わあ!」っていうよりは「もしや……?」みたいな(笑)。で、ちゃんと丁寧な感じだったんで。「ああ、星野源です」って言って。「わあ! こんなこと、あるんだね」なんていう話をされてて。「いや、やっぱり帽子をかぶっていても、マスクしてないし、話していればわかりますよね?」って言ったら、その女性が「いや、わかりました。ほくろの位置が同じだったので」って。アハハハハハハハハッ!

口元を差しながら、「ほくろの位置が同じだったので」って。「ああ、俺の生体認証はほくろなんだな」って思って(笑)。俺、「ああ、なるほど」と思って(笑)。それ、すごい学んで。めっちゃ面白かった。「ああ、俺はほくろで見分けられるんだ。なるほど!」ってなって。「ああ、わかりました」なんつって。そこ、すごい美味しかったの。それで「ありがとうございます」なんつって、お店を出て。

で、一旦兼六園に行ったの。それで兼六園に行ったら、土砂降り(笑)。なんかね、通り雨みたいなのがすごいある日だったの。その日が。で、あと言うのを忘れていた。その前の日、着いた日が最高気温が24度とか。最低気温は10度ぐらいで、雨は降っていたけどあったかかったの。で、その2日目。最高気温10度ぐらいだったの。一気にとんでもなく寒い……一気にバッて冬になったみたいな。ただね、それがすごい嬉しかったんだけども。俺はね、そうなるんじゃないかなっていうのを何となく予感していて。「寒くなったら……」と思って、ヒートテック的なものを持って行ってたんですよ。

すごい、一番嬉しいのが一応、その持って行ったヒートテック&半袖or長袖。で、上にパーカーというか、ちょっとウインドブレーカーっぽいものを持っていって。で、そのいわゆる長袖&ウインドブレーカー&タイツ的なものがマックスあったかい服装だったの。それを着て2日目、外に出たんだけど、まさにぴったりだったの。その分自分が用意した服装の感じと、気温が。嬉しかったね。アハハハハハハハハッ! 今年、一番嬉しかったかもしれない(笑)。「こんなにぴったりくることって、ある? めっちゃ嬉しい!」って思って。

絶妙な服装で兼六園へ

(星野源)それで兼六園に行ったんだけども、ザーッと雨が降って。あと、めちゃくちゃ人がいたの。まあ、土曜日だったっていうのもあると思うんだけど。「これはちょっと、ゆっくり見れないな」と思って、もう鈴木大拙館に行こうと思ったの。で、すぐ隣なんですよ。なんだけど、結構道を回って、遠回りしないといけなかったんだけど、雨が結構降ってきちゃったから、とりあえず行けるかわかんないけど、裏側に……屋根があるところまで行こうと思って。それで行ったら、なんかね、緑道みたいなのがあったんです。「ああ、緑道があるな」と思って、そこを通っていったら、雨がちょっと止んだんです。

その緑道を歩いているうちに雨が降らなくなって。そしたら、そこが美術の小径っていうところだったんです。いい名前じゃん? で、なんかそこに行った時にめっちゃ綺麗で。階段で降りる感じなんだけど、その横に川っていうか。で、雨が降ってるから結構水の流れが激しいんだけど。で、その両側っていうか、上は全部木なわけ。で、葉っぱがあって。そこにポタポタ水が垂れていて。そこの美術の小径が、その水の音と鳥の声とちょっとした木漏れ日みたいな。そこが超一番よかったの! 金沢の中で一番いいぐらいの。なのでもし、これから行かれる方は美術の小径がおすすめなんですけど。で、たぶん「美術の小径に行こう」っていうので行ったら「なんにもないじゃん」ってなるようなところなんですけど。

(星野源)たまたま入っていって「うわっ、最高だな!」なんて思ってたら、その後に思い出したんだけども。「鈴木大拙館、裏から行くと最高ですよ」って言われたことを思い出したの。それは全然違う、うちのスタッフに「金沢、行こうかな。鈴木大拙館に行こうと思っているんだよね」って言ったら、「雨が降ってたりしたらあれですけど。裏側から行ったらいいですよ」って言われてたのを通ってる途中っていうか、終わりぐらいに思い出して。「ああ、ここじゃん!」って思って。そして裏から入って。

で、その鈴木大拙館に行ったんだけど、本当によくて。鈴木大拙さんの言葉とか、本とか、そういうのももちろんあるんですけど。柳宗悦さんっていう思想家の方との特集みたいなのをやってて。そこの本とかもすごいよくて。で、そこがね、土井さんも「すごくいいですよ。でも、なんにもないんですよ」って言っていたんですよ。「なんにもないってどういうことだろう?」って思って。でも、いわゆるその本が読める場所……勉強室っていうところがあって、そこが超良かったんだけど。鈴木大拙さんの本がいっぱいあって。それをただ読んだりして。で、そこがちょっとした庭が見えるんですけど。俺、そこにね、1時間半ぐらいいて、ずっと本読んでたの(笑)。

で、結構その外国の観光客の人も、若い人もめっちゃ来ていて。めっちゃ来るっていうか、人はそんなに多くないんだけど、流動的にずっと人が流れてくみたいな。で、そこの勉強室で本を読んでる時にめちゃくちゃ心地よかったのが、もうなんか周りがずっと流れてるんだけど、俺はずっとその中にいるみたいな。で、あと自分のことを誰も気にしてない感じみたいなのもすごい心地良くて、めちゃくちゃ良かったんですよ。

で、そこからなんか、ボーッとする場所みたいなのがあるんですよ。で、そこが外に外に面しているところみたいなので。結構広い場所に薄く水が張ってあるスペースがあって。その奥に山があって。鳥の声とかしているんですよ。で、そこに座れる場所があって、ボーッとできるんですよね。で、何分かに1回……たぶん30分とかに1回、水面の真ん中あたりがボコッていうんですよ。そうすると、そのボコッていったところから波紋がブワーッと広がって。で、その波紋がまた戻っていってみたいな、それだけの場所。そこがもうちょっと、気持ち良すぎて。「めっちゃジョン・ケージ!」と思って。その場にある全部が音楽みたいな。

で、雨の音がちょっと垂れる音も、風の木の音も、鳥の声も、全部が心地よくて。で、土井さんに「来ました」ってメールしたら、「ジョン・ケージやろ?」って返ってきたの(笑)。「まさに!」って返して。「なに、この気持ちいいやり取り?」と思って(笑)。そうそう。そういう、すごい素敵なきっかけをいただいて、そこに行って。で、帰りに町中華を食べて帰ってきたというだけの話なんですけど。すごい最高の……最高でしたね。マジで。「金沢は最高」っていろんな人が言っていたけど、意味がわかりました。

「金沢は最高」の意味がわかった

(星野源)本当に最高だったし、夜の街を前の日に歩いたんだけど。なんかさ、すごい面白いよね。なんか、メイド喫茶みたいなのがあって。本当に悪魔っぽい格好したメイドさんみたいな人がブワーッといる店があったりとか。そういうのもあるし、あとアートが街にいっぱいあるじゃん? 古い建物もいっぱいあるじゃん? 「小京都」って言われてるところで。だからなんか古いのもあるし、それこそ最先端のアートもあるし、昔ながら民芸のものもあるし。

あと、観光客がいろんな国の人がいるじゃん? で、若い人もいっぱい来るわけ。で、お年寄りの方もいっぱいいるわけ。だからもう昔と今と未来みたいなのが全部あったのよ。その金沢に。それが全部、循環してる感じがして。すごいいい循環をしてる感じがして。それこそ、夜の歓楽街はめっちゃ生だし。なんかそういうのも含めて、すごくグルグルグルグルちゃんと循環してる場所で。「ああ、これは魅力があるわ! また行きたいな」と思ったのでした。そして、1人Singing in the Rainで歌っていた曲もね、なんか曲調が非常に街に合っていて。その2日、ずっと聞いていた曲をお送りします。ハイ・ファイヴで『Never Should’ve Let You Go』。

Hi-Five『Never Should’ve Let You Go』

<書き起こしおわり>

星野源 土井善晴から『おんがくこうろん』ジョン・ケージ回の感想を聞いた話
星野源さんが2022年12月27日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で前週のゲスト、土井善晴さんにお礼の電話をした際に『星野源のおんがくこうろん』ジョン・ケージ回の土井さんの感想を聞いたことを紹介していました。
星野源 土井善晴宅でカセットコンロでゆっくり作るチャーハンを教わった話
星野源さんが2023年10月10日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で土井善晴さんのお家に遊びに行った際の模様を紹介。そこでカセットコンロでじっくり時間をかけて作るチャーハンの作り方を土井さんに教わったことを話していました。
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