高橋芳朗さんが2023年7月24日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』でNewJeansがリリースした新作EP『Get Up』のサウンドを解説。『Cool With You』について話していました。
(高橋芳朗)はい。じゃあ、今度は『Super Shy』の次に公開されたシングル曲の『Cool With You』に行ってみたいと思います。こちらはですね、2部構成からなるミュージックビデオも話題になっていて。ドラマの『イカゲーム』でブレークしたチョン・ホヨンと、あとは『インファナル・アフェア』シリーズのトニー・レオンが出演しています。
(宇垣美里)ええっ!
(高橋芳朗)素晴らしいミュージックビデオなので、ぜひ後で見てほしいんですけど。で、この『Cool With You』は『Super Shy』に比べてよりストレートな2ステップです。こっちも曲を聞いてもらう前にソングライティングとプロデュース、制作に携わっているエリカ・ド・カシエールとフランキー・スコカの関連曲を聞いてみたいと思うんですけど。
最初はエリカ・ド・カシエールがイギリスのダンスミュージッククリエイターのMURA MASAとコラボした2022年の『e-motions』っていう曲を聞いてもらいたいと思います。この曲は3月のピンクパンサレスの特集の時に2ステップのサンプルとして紹介はしてるんですけど。改めてビートに注意して1分ほど聞いてみてください。MURA MASAとエリカ・ド・カシエールで『e-motions』です。
Mura Masa, Erika de Casier『e-motions』
(高橋芳朗)はい。MURA MASAとエリカ・ド・カシエールで『e-motions』を聞いていただいております。これもさっき宇多丸さんが言った通りベッドルームポップ感覚の2ステップですね。
(宇多丸)もう今、こうやって並べて聞いたら皆さん、完全に流れがね。
(高橋芳朗)そうですね。続いてフランキー・スコカがプロジェクトを手がけたニューヨーク在住のシンガーソングライター、レイ・ブラウンの2022年の作品の『Solar』を聞いてもらいたいと思います。これを聞けば、2ステップのつんのめるようなビート感覚がつかめると思います。こちらも1分ほど聞いてください。
rei brown『Solar』
(高橋芳朗)はい。フランキー・スコカがプロデュースを手がけたレイ・ブラウンの『Solar』を聞いていただいております。
(宇多丸)ねえ。これも男性ボーカルだけど、なんていうか……。
(高橋芳朗)優しい感じで。
(宇垣美里)ちょっとラフなというか。優しい、爽やかな……。
(高橋芳朗)おしゃれですね。かっこいい。じゃあ、この2曲を踏まえてNewJeansの『Cool With You』を聞いてみたいと思うんですけど。並べて聞くと、そのエリカ・ド・カシエールとフランキー・スコカの貢献の大きさがうかがえると思います。では、NewJeansで『Cool With You』です。
NewJeans『Cool With You』
(高橋芳朗)はい。NewJeans『Cool With You』でした。
(宇多丸)めっちゃかっこいいです。
(宇垣美里)かっこいい!
(宇多丸)なんかさっきまでヨシくんが言ってくれた要素に加えて、やっぱり90年代ハウス……シカゴなのかわかんないけど。もっと細かいあれで言うと、今のこのベースの感じとかさ、4つ打ち的に入ってくるし。それも入ってるから。だからいろいろトレンドの要素がパートによっていっぱい出てきて。それでまた変わったりとか。この展開の多さが旧来のダンスミュージックと違う凝縮感というかさ。まあ、言ってしまえばアイドルポップ的な、振り付けがどんどん展開していったりするのにも合ってるし。でもスーパークールって感じっていうか。
(高橋芳朗)だからエリカ・ド・カシエールとかフランキー・スコカが携わった曲はあるひとつのダンスビート1本で行っているんだけど、NewJeansは2つ、3つ、入っているんですね。
(宇多丸)そうだよね。それがなんかすごいお得感もあるし。でも、やっぱりかっこいいんんだよ。文句なしに。だから、まずいいところを見つけてくるね。いいプロデューサーを見つけてきて。だからそのディレクションの出し方っていうかね。
(高橋芳朗)それは本当にすごいと思います。で、このエリカ・ド・カシエールとフランキー・スコカが関与した曲はもう1曲、あるんですけど。それはまた後ほど紹介するとして、続いて3番目に公開されたシングル『ETA』という曲を聞いてもらいたいと思います。これ、「Estimated Time of Arrival」の略で「到着予定時刻」の意味です。
<書き起こしおわり>