ジェーン・スー 高橋芳朗 フリーランスのギャラ問題を語り合う

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TBSラジオ『ジェーン・スー相談は踊る』で音楽評論家の高橋芳朗さんとジェーン・スーさんがフリーランスの仕事をしているリスナーからのギャラの価格の未提示や未払いなどで困っているという相談に回答。フリーのギャラ問題について話していました。

言い出しにくいお金の交渉

(高橋芳朗)(リスナーの相談メールを読む)『(相談前半部省略)ジェーンさん、芳朗さん、言い出しにくいお金の交渉をどういう風にすればいいのでしょうか?おふたりとも、そういう機会があると思うのですが、どうされていますか?』。俺も相談したい!(笑)。

(ジェーン・スー)俺も!?俺も相談したいって。これはなかなか厳しいところだよねー。

(高橋芳朗)リスナーさん、わかるー!っていう感じです。

(ジェーン・スー)ヨシくん、フリーになって何年?

(高橋芳朗)もう、そうですねー。15年、たってないぐらいかな?

(ジェーン・スー)よくでもそれで野垂れ死んでないよね。

(高橋芳朗)(笑)

(ジェーン・スー)いやいやいや、本当、すごいでしょ!

(高橋芳朗)がんばっております!

(ジェーン・スー)その前はサラリーマンだったじゃない?

(高橋芳朗)そうですね。雑誌の編集部で働いておりました。

(ジェーン・スー)その時は発注する側だったわけでしょ?フリーの人に。

(高橋芳朗)そうですね。

(ジェーン・スー)で、今度は自分が発注される側になって。どうよ?

(高橋芳朗)いやー、やっぱねー、もう本当にリスナーさんがおっしゃる通りですね。ちょっと業界は違いますけど。事前にギャラを提示してくれる方っていうのは、まあほぼいないですね。

(ジェーン・スー)ほぼいないね。うん。

(高橋芳朗)どうですか?

(ジェーン・スー)いないです。あのね、たくさん説明はしてくれるんだけど。だから心意気はわかるんだけど、ギャラが書いてないんだよね(笑)。

(高橋芳朗)(笑)。あと逆にさ、あなたレコード会社で働いていた時、あるじゃないですか。僕もさっき言った通り編集部で働いていたことありますけど。先にギャラ提示したこと、ありますか?

(ジェーン・スー)そりゃ結構ありますよ。

(高橋芳朗)あ、あるか。そっか。

(ジェーン・スー)いや、でもね、これね・・・人の名前は言わないですけど、いろいろいるんだよ。いろんな人が。

(高橋芳朗)どういうことですか?

(ジェーン・スー)だからさ、相場のギャラってあるじゃん。で、一応さ、洋楽とか特にそうだけど、ライターズクラブみたいなのがあって、一応相場はこれぐらいですって決まってるじゃないですか。で、そこにプラスオンするかしないかっていうところで、最低限は決っていると思うんですけど。まあ、有名どころの人もいるわけじゃないですか。で、そこに色付けが足りなかったりすると、ね。聞いたことないと思うけど、ここで言いますけど、『ゼロが1個足りないよ』って言われたことがありますよ。

(高橋芳朗)おおう!

(ジェーン・スー)すごくない?『すいませんでした!』って言って。

(高橋芳朗)それはじゃあ、当然プラスしたんですか?

(ジェーン・スー)まあ、せざるを得ない状況だったんで、しましたけどね。

(高橋芳朗)そうだよね。でもたしかにね、なんとなくの相場があるから、『まあ、このぐらいはもらえるだろう』っていう感覚でやっているところはありますかね。

(ジェーン・スー)でもさ、このリスナーさんはさ、『やった後に払い込んでもらえないことがある』っていうのがあるじゃない?これとかはちょっと、避けたいよね。若いとやっぱり、『どうせいま、チャンスでしょ?』とか。あと、あれね。さっきヨシくんが言っていた、『プロモーションのためになりますから』って。

(高橋芳朗)(笑)。『シーンのために、がんばってください!』って。

(ジェーン・スー)そうそう。『シーンのために、がんばってください!』っていう話を、前にちょっとしたことがあったけどね。『シーンってなに?』みたいな。

(高橋芳朗)(笑)。だから僕は音楽雑誌をやっていた時ね、HIPHOPの雑誌だったんですけど、『HIPHOPシーンのために、ここは一肌脱いでください!』みたいな。多々ありましたよ。

(ジェーン・スー)最初から『タダなんですけど。ギャラはお支払いできませんけど、いいですか?』っていう話だったらいいんですけど。このリスナーさんみたいに、最初はお金の話が出てこない。いつか出てくるんだろう。出てきたら安すぎた。でももう取り掛かっちゃってる。いくら催促しても払ってくれない。これ、どうなんですか?でも最初から、『じゃあギャラいくらですか?』って聞くのって、結構ハードル高いっちゃ高いですよね。

(高橋芳朗)そうですねー。特に駆け出しの方はね、ちょっとね。これを聞くことによってこの仕事を失ってしまうんじゃないか?みたいな。そういう怖さもあるじゃないですか。

(ジェーン・スー)そういう時はどうしてたんですか?

(高橋芳朗)いや、でも僕は幸いですね、編集部で働いていた期間が長かったから、あんまり下積みっぽい期間がなかったんですよね。

(ジェーン・スー)特にナメられることもなく?

(高橋芳朗)なく、来てますね。だから僕がたとえば、役者のオファーとか万が一あったら時には・・・

(ジェーン・スー)出た出た!フックアップ。

(高橋芳朗)これは困りますよ。いくらぐらいもらえんのかな?(笑)。

(ジェーン・スー)『これ、エキストラなんで1万円ですけど・・・』みたいな。今後のためにって。

(高橋芳朗)でも、出たいんですけどね・・・これ、ギャラを聞いたら断られるかもしれないっていうね。これ、どうすりゃいいんだろうな?

(ジェーン・スー)自分の値段っていうのは、たしかに自分で決めることじゃないですよ。人が決めることではあるんですけど。ただ、『受けない』っていうこともできるはずじゃないですか。ただね、これ残念な話、ヨシくんも経験あると思うんですけど、実績がついてくると自然に上がってくるんだよね。

(高橋芳朗)そうですね。

(ジェーン・スー)なぜなら、ぼんやりしたもので、この人はいくらっていう相場が載っているわけではないし、別に代理店の間でね、CMのギャラがこれぐらい・・・っていうのが載っているわけでもないじゃないですか。私たちみたいな木っ端は。

(高橋芳朗)(笑)

(ジェーン・スー)そうなると、なんとなくふんわり、『あ、あのくらいの仕事やっているんだったらこれぐらい出さなきゃダメかな?』みたいな感じで、よっぽどじゃない限り上がってくるじゃないですか。実績が作れれば。だからね・・・やりたい仕事で全力を傾けられると思ったら、『少しこれはいつもより安いな』と思っても受けるけど。私のオススメとしては、思っていた値段の7割ぐらいまでだったら受けるかな?

(高橋芳朗)うんうんうん。

(ジェーン・スー)『あ、これ3万円かと思ったら2万円か・・・』みたいな。ぐらいだったら、まあ受けるけど。それより安かったら、やらなくていいんじゃないか?って思うんですけどね。だってね、すごい嫌な話ですけど、ギャラをちゃんと払わなかったりとか、最初からギャラを聞いても提示してこなかったりとか、払い込まれないような作品で、後々あなたの名前を上げるような仕事は、ない!

(高橋芳朗)うんうんうん。そっかー。

(ジェーン・スー)なんでちょっと言い淀んでんの?

(高橋芳朗)いや、これ本当に深刻な問題だなって。

(ジェーン・スー)いやいやいや、もう15年やってんのに。

(高橋芳朗)いやね、フリーでやっている時はいいんですよ。独身で働いていた頃。結婚した後とかね・・・

(ジェーン・スー)子どももいるしね。

(高橋芳朗)そうそう。で、嫁にさ、『この仕事っていくらぐらいもらえんの?』って言われて、『わかんねーんだよ』ってさ、言うとさ、『あんた、そんなしょうもない業界で働いてんの!?』みたいなことを言われるわけですよ。

(ジェーン・スー)うん。そうですよね。

(高橋芳朗)ここをなんとかしたいですよね。これはね。

(ジェーン・スー)これね、業界の慣習として良くないんですけど。ただ、聞いた方がいいと思います。で、あまりにも安すぎるんだったら、やめてもいいと思う。で、いくら催促しても払ってくれないところは、もう二度と仕事しない方がいいと思うし、キチンと自分の評価をつけてくれるところを見つけるんですよね。まあ、がんばってサラリーマンから脚本家になったっていうところで駆け出しでがんばっていると思うんですけど。まあね、実家に寄生してて、自分に最低限のお金が必要なんだけど金勘定に甘いんじゃないか?っていう心配もあるみたいだけど。だと思うんだったら、自分で基準値を決めるしかないね。自動的に。

(高橋芳朗)そうだね。

(ジェーン・スー)7割で、やりたいものだったら受ける。あと、タダでも自分の名前が上がると思ったら受ける。ただ、人情だったりとか、あとは『なんか今月仕事が無いから、すっごい安いけど手を動かしていた方がいいんじゃないか?』みたいなことだったらやらないとか。

(高橋芳朗)まあでも、やりがい搾取とか言われちゃうかもしれないけど、ちょっと自分の夢があるんだったら、最初のうちはしゃーねーかな?っていう気もしますけどね。

(ジェーン・スー)どれぐらい?

(高橋芳朗)・・・どのぐらいかなー?難しいですね。でも、実家とかに住んでるんだったら、ちょっと安くても、まあ・・・やるかな?うん。トレーニングにもなるし。

(ジェーン・スー)あともう1個。最後に長くなっちゃうけど。この時にどうしてこういうことになるか?っていうと、インカムソースが1個しかないからなんですよ。で、やっぱりインカムソースをいくつも増やしておくことによって余裕で断れるようになるんで。決して本業に集中できないからとかいうことじゃなくて、脚本なんだったらいろんな人の日常を知っておくことはすごく大事だから、たとえばコンビニでバイトでもなんでもいいから、週に何時間かバイトをすると。で、インカムソースがそこであるから、コンビニと比べてこうだとか、これぐらい今月は入るから大丈夫。だからこれで断れるとかいうような基準を自分で作っておくのもいいと思いますし。それによって新しい脚本のアイデアも絶対生まれてくると思うので。インカムソースを複数持つっていうのは、このご時世、必要かな?とも思います。



(曲終わり)

(宇多丸)ヨシくん、ダメだって!『しょうがない』みたいなことをさっき言ってたけど、マジそれダメだからね!

(ジェーン・スー)ちょっとちょっとちょっと!まだ出番、早いんじゃないですか?

(宇多丸)ちょっと、1時間半かもっと早いけど。

(ジェーン・スー)なぜかですね、タマフルの宇多丸さんがスタジオに乱入ということで。

(宇多丸)すいません、お邪魔して。いやいや、あのね、違うんですよ。生放送の盛り上がっている空気を吸って、ちょっとムービーウォッチメンのね、コーナーの準備をしていたんですよ。で、ちょっと帰ろうと思ったら聞き捨てならない言葉がね、耳に入ってきて。

(ジェーン・スー)『タダでもやれ』みたいなことを言ってますよ。

(宇多丸)ええ。あっちでね、その古川耕さんね。放送作家古川耕さん。音楽業界長いですから。僕もね、わかるんですよ。おっしゃっていた話は。あそこでね、でもね、あなたいま、業界トップじゃないですか。

(ジェーン・スー)ヨシくん、顔がもう青ざめて、汗だくになってる!

(宇多丸)なにシリアスな顔になってんの?で、ヨシくんがそれを言ったらダメですよ!っていうのをね、いまね、ワーッ!って。ひな壇芸人のようにワーッ!って。

(ジェーン・スー)(笑)

(高橋芳朗)違うんです!違うんです。聞いてください。最初の仕事でホームランを打てばいんですよ。

(ジェーン・スー)そんな無茶言うなよー。

(宇多丸)ホームランってなに?内容的なってこと?したら、タダでホームラン打ったんだから、もっとどんどん・・・

(高橋芳朗)いや、その分は後で取り返していけばいいんですよ。

(宇多丸)そうなの?なんかでも・・・

(高橋芳朗)でも、駆け出しだとしょうがない時もありますから。あなたもあるでしょ?

(宇多丸)弱気に出ちゃうね。その仕事、次もらえるんだったらなんでもいいや、みたいなね。

(高橋芳朗)あなたもあるでしょ?無料でヴァース入れたことが。

(宇多丸)無いよ!無い無い無い!無いことになってるよ!

(ジェーン・スー)(笑)

(宇多丸)それはだからダメなんだよ。そんなことを言っちゃさ。そうするとほら、いまあなたそういうことを言うと、『なに?宇多丸さん、タダでも入れてくれんの?』っていうことになっちゃうじゃない。絶対ダメなんだよ!

(ジェーン・スー)だからヨシくん、絶対くるよ。『この人、タダでやってくれるんだ』って。絶対、明日から殺到だよ。

(宇多丸)元々なんか気弱な感じするから、『おう、たのんじゃおう!』なんて。

(高橋芳朗)『元々気弱な感じするから』って、どさくさに紛れて酷いこと言ってるな!

(ジェーン・スー)ヨシくん、顔が赤いんだか青いんだかわかんないけど。

(宇多丸)急にね、乱入したから。すいませんね。

(中略)

(宇多丸)ちなみにいま、ただの佐々木士郎ですから。宇多丸というね、仮のペルソナじゃなくてですね、いまサングラスすらしていない状態で。単にスタジオに盛り上がっている空気を吸いに来ただけのおじさんなんでね。

(ジェーン・スー)UFCの帽子も被ってTシャツも着て。やる気満々で。

(宇多丸)ただね、聞き捨てならん!っていうね。これは捨て置けん!っていうことで。

(高橋芳朗)ありがとうございます。

(ジェーン・スー)リスナーさん、いいですか?ダメですよ!

(宇多丸・高橋芳朗)(爆笑)

(高橋芳朗)リスナーさん、ごめんなさい。

(中略)

(高橋芳朗)メールいただいております。さっきのフリーランスのギャランティーについて。ちょっと耳が痛そうな内容だったら嫌だな。(リスナーからのメールを読む)『私はカメラマンやスタイリスト、ヘアメイクなどのマネジメントをしている業界でも弱小のプロダクションで働いています。表題の件、業界は違えど、みなさん同じ悩みを抱えてらっしゃるようで、興味深く拝聴しておりました。結論から申し上げますと、依頼があった際にざっくりとでもギャラを聞くべきです。それを聞くことは失礼なことではなく、それによって仕事を失うことはありません。その場合、気をつけなければいけないことは、ギャラが安いから仕事を断るということを相手に悟られないようにすることです。お金が安くても、魅力的な仕事はたくさんありますが、そんな依頼が来なくなってしまうのです。ではどうすればいいのか?というと、まずは先方に納期を聞いて、「実はちょうどそのタイミングで仕事があって・・・」と、スケジュールがたまたま厳しい旨を伝えます。その後に、「ぜひやりたいので調整させてください。ちなみに、予算ってどんな感じですかね?」と聞くのです。もし希望のギャラでなければ、翌日などに電話して「すいません。スケジュール調整できませんでした。とてもやりたかったので、またぜひ声をかけてください」と伝えてください。きっとまた声をかけてくれるはずです。メールではなく、電話する方がより効果的です』と。

(ジェーン・スー)天才の答えが来た!(拍手)

(高橋芳朗)天才現る!(拍手)

(ジェーン・スー)リスナーさん、正解をありがとうございます!

(高橋芳朗)ありがとうございます。

(ジェーン・スー)天才だね。

(高橋芳朗)これね、やっぱり聞くのがいちばんなんですかね?

(ジェーン・スー)『うわー、すごいやりたいんですけど、ちなみに納期、いつですか?』って聞いて、『いつ頃です』『あー、その時ね、実は2個あるんですよ。どうしよう?調整できるかやってみたいんでちょっと待ってほしいんですけど。あっ、ちなみにギャラって・・・規模感、どれぐらいですか?』みたいな(笑)。

(高橋芳朗)(笑)

(ジェーン・スー)よくわかんない『感』をつけるっていう。

(高橋芳朗)規模感(笑)。

(ジェーン・スー)『ギャラ感、どんな感じですか?』みたいな。よくわかんないこと言うじゃん。『ギャラ感、どんな感じですか?』。

(高橋芳朗)曖昧にしすぎですよ。

<書き起こしおわり>

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