高橋芳朗 NewJeans『ETA』のボルチモアクラブサウンドを語る

高橋芳朗 NewJeans『ETA』のボルチモアクラブサウンドを語る アフター6ジャンクション

高橋芳朗さんが2023年7月24日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』でNewJeansがリリースした新作EP『Get Up』のサウンドを解説。『ETA』のボルチモアクラブ感について話していました。

(高橋芳朗)それは本当にすごいと思います。で、このエリカ・ド・カシエールとフランキー・スコカが関与した曲は(『Super Shy』『Cool With You』以外に)もう1曲、あるんですけど。それはまた後ほど紹介するとして、続いて3番目に公開されたシングル『ETA』という曲を聞いてもらいたいと思います。これ、「Estimated Time of Arrival」の略で「到着予定時刻」の意味です。

これ、また別のプロデューサーが起用されていて、サウンドも異なってるんですけど。プロデュースを手がけてるのは『Ditto』のプロデュースも務めていた韓国出身の250。先日、来日していました。で、この曲はiPhone14のProを使って撮影したAppleとのコラボミュージックビデオが今、SNSとかYouTubeでめちゃくちゃスポットを打たれているので、目にした方も多いと思うんですけど。この『ETA』のサウンドは『Ditto』でも導入されてたボルチモアクラブです。

ボルチモアクラブも『Ditto』を紹介した時に解説しましたけど、さっきの『Super Shy』で触れた5つ打ちのジャージークラブのルーツにあたるダンスミュージックですね。1980年代後半から90年代前半頃にアメリカのボルチモアで生まれて。2000年代半ばに本格的に流行しました。

で、ボルチモアクラブの特徴としては、ファンクの名曲にしてヒップポップのサンプリングネタの定番ですね。ジェイムス・ブラウンファミリーのリン・コリンズの1972年の『Think (About It)』という曲のドラムブレークがひとつのシグニチャーというか、テンプレになってるんですね。で、このThink (About It)のビートをボルチモアクラブの代表曲がボルチモアクラブのドンと呼ばれてますDJロッド・リーの2005年の『Dance My Pain Away』。この曲も『Ditto』の時に紹介してるんですけど。改めてかけてもらえますか?

Rod Lee『Dance My Pain Away』

(高橋芳朗)この疾走感のあるビートがリン・コリンズの『Think (About It)』からの引用で。

(宇多丸)まあ、ヒップホップだったら数限りなくサンプリングされている曲で。

(高橋芳朗)何百曲と。ヒップホップ以外のダンスミュージックでも使われること、結構あるかな? で、2000年代半ばのボルチモアクラブの流行に大きな貢献を果たしたのが今ではダンスミュージック界の大物プロデューサーとして君臨しているディプロと、彼が主宰するレーベルのMad Decentなんですね。で、今度はその周辺の作品から、ボルチモアクラブの人気DJのスコッティ・Bが手がけたM.I.A.の『Paper Planes』のリミックスを聞いてもらいたいと。M.I.A.はロンドン出身のラッパーで、『Paper Planes』は全米チャート4位を記録した彼女の最大のヒット曲なんですが。そのリミックスバージョンですけども。

M.I.A.『Paper Planes Remix』

(高橋芳朗)こっちもビートが同じなのは、わかりますね? ロッド・リーの『Dance My Pain Away』と。加えて、ちょっとエアホーンが入っています。で、NewJeansの『ETA』はこういうディプロとかMad Decent周りのボルチモアクラブの影響が大きいんじゃないかなと思っていて。サウンド的には割とストレートなボルチモアクラブサウンドを踏襲してるんですけど、この曲で聞こえるみたいなちょっとイケイケ感のある、ちょっとヤンキー的な……(笑)。

(宇多丸)ウェイウェイ感のある。

(高橋芳朗)そうそう。エアホーンの使い方にちょっとMad Decentみを感じたりしました。

(宇垣美里)祭!っていう感じで。

(高橋芳朗)そうですね。祭感、あるかもしれない。じゃあ、行ってみましょう。NewJeans『ETA』です。

NewJeans『ETA』

(高橋芳朗)はい。NewJeans『ETA』を聞いていただいております。

(宇多丸)「ペーペー、ペーペー」ってね。

(宇垣美里)かっこいい!

(宇多丸)やっぱり祭の魂は万国共通で。

(宇垣美里)「上げていくぜ!」っていうね。

(高橋芳朗)だから結構Y2Kのハードなダンスミュージックとか、そういうマイアミベースとかボルチモアクラブとかみたいにちょっとお行儀悪めのダンスミュージック、物騒なダンスミュージックのソフィスティケート化というか、ベッドルームポップ化。それがNewJeansのスタイルとしてちょっと確立されてるのかなって。

(宇多丸)ああ、たしかに。でもこれはちょっと一番オラつきが出ていますね。

(宇垣美里)友達とドライブで遊びに行くみたいな時にこれをかけたら、まあ盛り上がりますね!

(高橋芳朗)で、来週の全米チャートでは今、紹介した3曲『Super Shy』『Cool With You』『ETA』の同時ランクインが期待されてるわけなんですけど。そうなってくると、今後アメリカでNewJeansが打ち出してるようなサウンド、2ステップが本格的に流行することもありえるかもなという気がしていてですね。その兆候ともいえる動きが既に出てきてるので、それを最後に紹介したいと思います。

<書き起こしおわり>

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