高橋芳朗さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』で2018年のアメリカ音楽シーンを振り返り。欧米の音楽批評家たちのアワードランキングを集計したアルバム・オブ・ジ・イヤーというランキングの中からJanelle Monáe『Dirty Computer』を紹介していました。
(高橋芳朗)まず、最初の1枚目はジャネル・モネイの『Dirty Computer』っていうアルバムです。これはアルバム・オブ・ジ・イヤーの集計ランキングで1位。ニューヨーク・タイムズなど4つのメディアで1位に選ばれています。
(宇多丸)ジャネル・モネイさんはこの番組だと映画『ドリーム』とか『ムーンライト』とか、女優さんとしても活躍されていることで。
(高橋芳朗)いま、だから日本だと女優としての活動の方がよく知られているのかもしれないですね。
#Janelle_Monáe #MOONLIGHT
映画ムーンライトのテレサ役のジャネール・モネイ。
慈しみの象徴、自然な優しさが印象。 pic.twitter.com/ESj0bpRNn6— おくさん? (@oku3ma3) 2018年2月23日
(宇多丸)でも、前から曲もね。
(高橋芳朗)そうですね。もうこれで3枚目のアルバムですね。彼女はカンザス州出身のシンガーでいま33歳なんですけども。このアルバム、来年のグラミー賞の最優秀アルバム賞にもノミネートされています。
(宇多丸)才色兼備で困っちゃうよね。
(高橋芳朗)で、その『ムーンライト』とか『ドリーム』みたいな社会派メッセージを持ったエポックな映画に立て続けに出たせいもあるのかもしれないですけど、ここ数年で結構「#MeToo」とか「#TimesUp」時代のオピニオンリーダーとして完全にその地位を確立したみたいなところがあると思います。
(宇多丸)へー! なるほど。
(高橋芳朗)で、今回のアルバム発売前にはクィア(Queer)であることをカミングアウトしています。LGBTQの「Q」。だから、決まった性的志向を持たないっていうね。それをカミングアウトしています。これもなんか今っぽいなっていう感じがするんですけども。で、この『Dirty Computer』というアルバムもそういう期待に応えるすごいメッセージ性の強い内容で、人種問題からセクシャリティーにまつわるものまで様々なトピックを扱っているアルバムになっています。
(宇多丸)うん。
(高橋芳朗)で、音楽的にはね、プリンスの影響がすごい強くて。特にこれから紹介する曲はそれがストレートに出ていると思います。じゃあ、聞いてください。ジャネル・モネイで『Make Me Feel』です。
Janelle Monáe『Make Me Feel』
(高橋芳朗)ということで2018年の洋楽シーンのムードを知るための作品。1枚目にご紹介したのがジャネル・モネイのアルバム『Dirty Computer』から『Make Me Feel』でした。
(宇多丸)宇内さん、いかがですか?
(宇内梨沙)いや、声がセクシー。
(高橋芳朗)これはかなりセクシャルな内容の曲なんですけども。
(宇内梨沙)でも、リズムが独特なんですね。
(高橋芳朗)モロにこれ、プリンスなんですよ。
(宇内梨沙)なんていうジャンルになるんですか? こういう曲って。
(高橋芳朗)ファンクかな?
(宇多丸)ファンク。本当にプリンスの『Kiss』っていう曲とかにかなりテイストは近い。途中のある展開とか、さっきも話しながら「ちょっと引くぐらい近い」って(笑)。
(高橋芳朗)フフフ(笑)。これはもう豪速球なプリンスオマージュですね。
(宇多丸)てらいのないプリンスオマージュ。でも、アトランタ周りっていうか、そういうチームなんですよね。組んでいるのが。
(高橋芳朗)アトランタのヒップホップグループのアウトキャスト一派から出てきたアーティストですね。
(宇多丸)となると、やっぱりそういう変態ファンクというか、作り込みの感じっていうのは。
(高橋芳朗)そういう流れをくんでいるアーティストと考えてください。
(宇多丸)かっこよかったです。
<書き起こしおわり>