宇多丸とコンバットREC『ドキュメント シン・仮面ライダー』の庵野秀明を語る

宇多丸とコンバットREC『ドキュメント シン・仮面ライダー』の庵野秀明を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんとコンバットRECさんが2023年4月7日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でNHKで放送されたドキュメンタリー『ドキュメント「シン・仮面ライダー」』について話していました。

(コンバットREC)いや、本当にやっぱり田中邦衛の言うことは聞くもんだね。

(宇多丸)誰?

(コンバットREC)田中邦衛。「食べる前に飲む」って。やっぱりあれだけ何百回も言われてさ。やっておくべきだね。

(宇多丸)パンシロンだっけ?

(コンバットREC)大正漢方胃腸薬。(昨晩、お酒を飲みすぎて)今日、起きた時にもう胃腸が本当に調子悪くて。でも、食べた後でもやっぱり効くね。その後、飲んでみたらだいぶ復活したんでね。

(宇多丸)それは、なにも入れないよりはね。

(コンバットREC)やっぱり田中邦衛、すげえなって。

(宇多丸)でもさ、とにかくスタジオに入ってくるなりものすごい不機嫌で。「ううう……」って座って。「なんだ、こいつ? 昨日、あんだけ楽しく特集をしたのに。どういうことなんだ?」って呆れ返ったんですけども。

(コンバットREC)そんなことないですよ。今日も元気いっぱいですよ。

(宇多丸)無理しないでくださいね。いい歳しているんですからね。でも、話したいことがあるんでしょう? 昨日、さんざんその話、したんでしょう? どうせ。『シン・仮面ライダー』。

(コンバットREC)ちょっとしたかな?

(宇多丸)「ちょっと」? 言いたい話があるんでしょう?

(コンバットREC)「言いたい」っていうか、まずさ、リスナーの皆さん、どのぐらいご覧になったんですかね?

(宇多丸)ああ、NHKのね。

(コンバットREC)『ドキュメント「シン・仮面ライダー」』。あれはぜひ皆さん、U-NEXTで220円で見れますから。

(宇多丸)NHKパックに入っている人は、それで見れますね。

(コンバットREC)で、4月15日に再放送が一応あるんですけど。まあちょっとね、時間も空いちゃうんで。なるべく皆さん、あれを見ていただきたい。ひどい……本当にひどいものを見たっていう。

(宇多丸)まあまあ、そうだね。だからRECさんとメッセージのやり取りをしてて。で、「『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』がすごいよかった。なにがよかったって、やっぱり『シン・仮面ライダー』とドキュメンタリーの後だから、もうアクションを見るだけで涙が出てきたよ」っていう。

(コンバットREC)「ベストの順番で見たね」っていうね。

(宇多丸)本当に。「もう最高!」って思いながら見ていたんですけども。

(コンバットREC)まず、監督が何をやりたいか、わからないっていうね。

(宇多丸)あのさ、探ること自体が悪いとは言わないけど。ただ、その段階で言うことじゃないみたいなことがね。

(コンバットREC)胸を張って言うことでもないっていうね。「僕は何がやりたいか、わかんないんで。みんなの方で考えて」って言っていて。

(山本匠晃)ああ、本当にそんなことを?

(コンバットREC)みたいな感じなのよ。

監督自身が何をやりたいのか、わからない

(宇多丸)もちろんね、その共同作業から思わぬアイディアでマジックが起こることは、それはあるとは思いますが。ただ、それを現場で言わないで……って。特に、クランクインしたんだったら。

(コンバットREC)クランクイン前に決めておくべきだよね。

(宇多丸)クランクインした後で、いろいろ準備した後に言わないで……みたいな。

(コンバットREC)言うタイミングが。まあもちろんね、事前に完璧に決め込んだようなのが現場で「やっぱり違った」っていうこともあるとは思うけども。

(宇多丸)もちろん、もちろん。

(コンバットREC)でもどうも、あのドキュメントを見ている感じだと、そうじゃないんだよね。

(宇多丸)ノープランでね。いや、だからこういうクリエイトの話ってさ、たとえばキューブリックがね、3000万かけて作ったモノリスの模型が作られてきて。「はい、ダメ」ってやったみたいな。そういうのが伝説化されがちじゃない? それはさ、もう潤沢に……キューブリックだって首の皮1枚だったと思うけど。潤沢に予算があって。なおかつ、出来上がったら『2001年宇宙の旅』ならば、それはしょうがないということかもしれないけれども。

(コンバットREC)まあ、スタッフも報われますよね。苦労したけど、いいものができたってね。

(宇多丸)問題はやっぱり、できたのがこれでは……って。しかも、言っていたことがこれで、出来上がったのがこれとなると、いよいよ……っていう感じがちょっとね。

(コンバットREC)たとえば寿司屋でね、自分が客だとして。客として行って、「僕は何が食べたいのか、わからないから。僕が喜びそうなものをおまかせで」って大将に言って。で、握ってもらったやつを全部「違う、違う、違う」って言い続ける客って、どうなんだ? みたいな話じゃないですか。

(宇多丸)そのたとえが合っているのかどうか、わからないが(笑)。

(コンバットREC)で、しまいには「そもそも寿司を握る必要なんか、ないんですよ。魚を生で出してくださいよ」とか言い出す、みたいなね。「お前、帰れよ! 寿司、食いに来るなよ!」っていう話じゃん? そんな客さ、ありえなくない? みたいなドキュメントになっていて。

(山本匠晃)へー!

(宇多丸)ただ、何を不満に感じていたのかも、なんとなくはわかるけどね。わかるけど……でも、ここで言うことじゃないっていう。

(コンバットREC)俺はでも、庵野さんのことを相変わらず好きですけども。いや、庵野さん、これはダメだよって思って。

(宇多丸)RECがね、これはなかなかすごいよ。だってだいたいもうね、庵野さんのやることは「それでいいんだよ」みたいに言っているのに。

(コンバットREC)まあ、庵野さんのことが好きっていうのは変わらないんですよ。だから「『シン・仮面ライダー』、俺は全然面白いとは思わなかったな。好き!」だし。「庵野さん、好き。庵野さん、失敗したな。好き!」っていう。で、今回は「庵野さん、みんなに謝った方がいいよ、好き!」っていう感じなんだけど。俺はね、アクション監督以外のスタッフ全員に謝るべきだと思いましたね。

(宇多丸)アクション監督にはちょっと謝ってっていうのがありましたけどね。

(コンバットREC)「全スタッフに謝らないとダメじゃないの、庵野さん」と思いましたね。

(宇多丸)目に見えるレベルであの感じだから、さらに末端ではどれだけしわ寄せが行っているのかな?って考えると、なかなかぞっとするものが……。

(コンバットREC)池松くんはなんて大人なんだろうって思って。

(山本匠晃)対応の仕方が?

(コンバットREC)いや、彼は本物のヒーローだよ。

本物のヒーロー、池松壮亮

(宇多丸)メインキャスト3人は頑張った。だからその3人で振り付けを考えて。森山未來さんの責任感も……。

(コンバットREC)森山未來さん、よく切れなかったなって。

(宇多丸)いや、半分切れていたと思います。あの最初の打ち合わせの時点でもう完全に「ダメだ、こりゃ」っていう感じがあったと思いますけどもね。まあ、ぜひ皆さんね。

(コンバットREC)「本読みとか、普通やるもんだけど。今日は何をやる会なんですか?」っていう顔をみんながしてる感じとかも。「えっ、普通やんない?」みたいな感じなのに(笑)。

(宇多丸)ねえ。その演技のレベルを合わせておかなきゃいけないっていうのに。

(コンバットREC)「普通はやるけどね」っていうことを提案しただけで、「なんじゃ、それは?」っていう。

(宇多丸)で、みんな黙りこくっちゃって。要するに、その主体がいないから。で、しばらくしたら森山さんが「あのさ、これ、俺たちが決めることなの? 違うよね?」みたいな感じで。そしたら庵野さんが「いや、自分は何も言ったりしないから」みたいな。

(コンバットREC)「そっちで気づいてください」みたいな。

(宇多丸)そしたら「あ、ああ……」みたいな感じになり。

(コンバットREC)いや、あれはダメですよ。

(山本匠晃)決めずに行ったことがたくさんあったっていう?

(宇多丸)いや、それは準備段階だから……5億歩譲って、準備段階で模索するのはまだね。

(コンバットREC)最初の頃はね、和やかな番組だったんですよ。前田さんと山下さんとかがデザインを持ち寄って選んでる時とか「うわっ、楽しいぞ、この番組!」って思って見ていたんだけども。どんどんどんどん、現場に入っていくとね、「これは大変なことになったぞ」っていうね。

(山本匠晃)結構むき出しに映してるんですね。

(コンバットREC)あれはなんなんだろう? 誰が注意すればいいんですかね? 宮崎さんかな?

(宇多丸)どうですかね?

(コンバットREC)宮崎駿さんがあのドキュメンタリーを見て、庵野さんに注意するとかすれば、聞きそうな……でも、意外と宮崎さん、「庵野、それでいいんだ」って言いそうなおそれもあるからね。

(宇多丸)だって、好きだから。間違いなく、好きだから。すげえ好きだから(笑)。

(コンバットREC)あの人も「庵野さん、好き!」だから(笑)。

(宇多丸)あとさ、その宮崎さんの横にはさ、そういうお構いなしでさ、作り続けた男、高畑勲さんがいるから。でも、それで出来上がったのがさ、『かぐや姫の物語』だから。それはもう、文句なしっていうか。それはもう、しょうがないっていう。

(コンバットREC)まあ、会社は潰れたけどね。

(宇多丸)でもまあ、できたからよしっていうのはあったりするだろうけどさ。

(コンバットREC)まあ本当に……せめて、いいものができていればまだ救いはあったんだけどっていう。まあもちろんね、お好きな方はごめんなさいね。僕はちょっと、あんまりいいとは思わなかったっていう話なんですけども。

(宇多丸)RECさんがほら、もう言いたいことは全部言い尽くしたということで。今日は特に飲む必要なしというね(笑)。

(コンバットREC)何を言っているんですか(笑)。

(宇多丸)もう、これ以上はこれの同じ場所を違う制度で言うだけだからね(笑)。

(山本匠晃)場所が変わるだけっていう(笑)。

(コンバットREC)でも、ちゃんと大正漢方を飲んでますんで。今日は田中邦衛の言うことを守ってるんで。

(宇多丸)田中邦衛さん(笑)。「食べる前に、飲む!」って(笑)。

<書き起こしおわり>

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