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宇多丸とDJ松永 日本語ラップアーティストの世代分類を語る

宇多丸とDJ松永 日本語ラップアーティストの世代分類を語る アフター6ジャンクション
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宇多丸さんが2020年9月23日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で日本語ラップのアーティストを「お笑い第7世代」のように世代ごとに分類していました。

(宇多丸)で、だからこんな話をしたいわけじゃないんですよ。松永、引っ越した。おめでとうございます。

(DJ松永)ありがとうございます!

(宇多丸)それはいいんですけど。『ACTION』で言い忘れてた話っていうのは、まあどうでもいい話なんだけどね。テレビを見ていてさ、「お笑い第7世代」的な皆さんと絡むことがCreepy Nuts、多いじゃん?

(DJ松永)ありますね。

(宇多丸)まあお互い、世代も近いし。向こうも知っているし。リスペクトもあって……ということで。

(日比麻音子)まさに『霜降りミキXIT』に出てらっしゃいましたよね?

(宇多丸)そうそう。それで、すごいしっくり来るわけ。正直、見ていて。で、見ながら、「いやー、もうCreepy Nutsの第7世代感、半端ねえな」とか言いながら見てるわけですよ。でもそこで、実際にCreepy Nutsって日本のヒップポップシーンだと第何世代になるのかな?って思って。

(DJ松永)ああーっ、それね!

(宇多丸)俺なりにその歴史を整理してみたんですよ。その話、している?

(DJ松永)もう、めっちゃしますよ。Rと……そういう話をするの、最高ですよね。俺、めちゃくちゃ好き(笑)。

(宇多丸)あ、なになに? この話題に喜んでいる? 大好物? ああ、そう? ちょっとさ、俺の分類、先に聞いてもらっていい? ちょっとRとどういう話をしているのかわからないけど。あ、先にそっちを聞こうか。どんな話?

(DJ松永)俺らは「第何世代」というよりは、「芸人さんで言うとポジション的に何だろうな?」みたいな話をしているんですよ。

(宇多丸)好きだよね。前もね、アダルトビデオ女優にラッパーを置き換えると……みたいな。「誰が得するだよ、その置き換えは?」っていうのを。

(DJ松永)でもそれこそ、本当にウタさんとかジブさんとかタモリさん、さんまさんだったり松本さんだったり。そういう大御所芸人に置き換えていたんですけど。そこで俺とRが唯一、声がユニゾンしたのがあって。「Creepy Nuts=霜降り明星」っていうので(笑)。本当に2人で「おお、気持ちいいね、これね!」とか言って。ワーッとなったりして。それで遊びましたね。

(宇多丸)うんうん。それはめちゃめちゃ納得感あるじゃない? でね、一応結論から言いますと、ヒップホップ史をちゃんと細かく……これはちゃんと学術的なものだと思ってください。僕はそのヒップホップ史をちゃんと生きているから。

(DJ松永)本物の人が解説をする。ヤベえ、聞きたい!

(宇多丸)そう。ガチの当事者だから俺の分析はそんじょそこらの評論家とかは……まあ、というか、一致するしなきゃおかしいぐらい。細かいところでは異論もあるだろうけども。で、結論から言うとCreepy Nutsはなんと、日本のヒップホップ史においても第7世代でした。

(DJ松永)えっ、嘘?

(宇多丸)ということになりました。私のカウントだと。

(DJ松永)ちなみに第1からカウントしていくと、どうなるんですか?

(宇多丸)じゃあ、第1から順に行きますか?

(DJ松永)うわ、めっちゃ聞きたい! なに、これ? 楽しい!(笑)。今、休み時間?(笑)。ヤベえ!

日本のヒップホップ第1世代

(宇多丸)これ、松永接待です。ええと、まず第1世代が言わずもがな、いとうせいこうさん、タイニーパンクス。あと、別の場所にはいたけどCRAZY-Aさんとかそういうあたりだということにしてください。DJ YUTAKAさんとか近田春夫さんとか。それを第1として。で、そこに影響を受けて……だから85年からこれ、ここはすごく短くて。87年ぐらいまでがこの第1で。87年ぐらいから始まる、そこの活動に影響を受けて始めた……つまり、ここから先は要するにヒップホップからキャリアを始めた人たち。だからその第2世代なんだけど、第2世代の始まりを告げるのがECDだと思ってください。

(DJ松永)そうか。第2世代の頭か。

(宇多丸)で、ECD、スチャダラパー、それからRHYMESTERも完全にここの第2世代っていうことですね。EAST END、YOU THE ROCK★、MUROくんとTWIGYというあたりが第2世代。で、だから要するにその最初のファーストインパクトに影響を受けて始めた純ラッパー、純ヒップホップグループが第2世代。

(DJ松永)それが第2世代なんですね。

(宇多丸)で、第3世代の登場……要するに第2と第3の間。「ここで変わる!」っていうのが、僕は何度も言っていますがMICROPHONE PAGER。第2世代だったMUROくんとTWIGYが始めたペイジャーが第3世代を呼ぶんですね。

(DJ松永)へー!

(宇多丸)だから雷とかは第3世代。

(DJ松永)そうか。雷は第3か。

(宇多丸)で、年齢とかで言うと同じぐらいなんだけど、キングギドラ、BUDDHA BRANDは僕のこのカテゴライズで言うと第3世代に入ります。

(DJ松永)あ、ギドラが第3っすか?

(宇多丸)MELLOW YELLOW、SHAKKAZOMBIEもこの第3の結構早い方に入る。RIPSLYMEも第3。要するに、90年代半ばのそのいわゆる「さんぴん世代」の盛り上がりの若手としてワーッと盛り上がってる人もこの世代。だからラッパ我リヤとかもここに一応入るという。

(DJ松永)ああ、我リヤも第3。はいはい。

(宇多丸)それで、ここはちょっと難しいんだけども。THA BLUE HERB、TOKONA-X。このラインは世代的にはこのラインなんだけど、頭角を現しだすのは第4の時代かもしれない。で、第4。これは2000年を境ぐらいに思ってください。2000年を境にさらにその雷とかの下の世代。NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDとか。KICK THE CAN CREWとか。妄走族とか。あと、ダメレコ(Da.Me.Records)の面々……TARO SOULとかKEN THE 390とか。これも第4。

(DJ松永)THA BLUE HERBも?

(宇多丸)世代としては第3なんだけども、第4の時代に要するに地方のラッパーたちがガーッと出てくるっていう。あとは走馬党のBACKGAMMONとか、ああいうメンツも第4世代。SPHEREとかも第4。

(DJ松永)うんうん。

(宇多丸)そして第5世代。ここでいわゆるHOME BREWERSチームというか。MSCとか韻踏合組合とかロマンクルーとかICE BAHNとか。そういう世代が出てくる。

(DJ松永)なるほど。2000年代中盤ぐらいに。

(宇多丸)これが第5世代。だからBBOY PARKのMCバトルで頭角を現してきたようなチーム。これは第5世代。で、第6は……第6の一番象徴的なのはSEEDAがやっている『CONCRETE GREEN』っていうコンピ。ああいう流れから出てきた……だからSCARSとかSD JUNKSTAとか。あとSUMMITもこの世代。PUNPEEとかSIMI LABもこの世代。

(DJ松永)なるほどね! 第6だ。

(宇多丸)SALUとかAKLOもこのへんに入れていいかもしれない。ちょっとああいう英語的なフロウみたいなものが主流化した時代という見方をしてもいいかもしれない。これが第6世代。そして、高校生ラップ選手権やフリースタイルダンジョンのムーブメントの流れ。世代的にはその流れから来ている、たとえばBAD HOPとかCreepy Nutsは第7世代。KOHHもまあ第7っていう感じかな。

(DJ松永)なるほど!

(宇多丸)そして今はそこに影響を受けた人たちがブワーッと出てきているから、これが第8ですね。

(DJ松永)そうか。今の新世代は第8だ。なるほどね! うわっ、最高! すごい! これはまとめられるの、ウタさんしかいないだろうな!

(宇多丸)これ、細かいことを言うといろいろとある。

(DJ松永)えっ、ちょっと……紙ほしい。紙、ほしいな! 持ち帰ってRとそれで遊びたい!(笑)。

(宇多丸)遊べるよね(笑)。そうなんですよ。この話をしたかったんですよね。

(DJ松永)うわっ、楽しい!

(宇多丸)ただちょっと『ACTION』ではね、ちょっと足りないね。

(DJ松永)それは一晩でやるやつです(笑)。一晩かけてやりたいやつ(笑)。

(宇多丸)でも、どうですか? 松永さんから見て、納得度というのは?

(DJ松永)いや、めちゃめちゃ納得しましたし。そうか。第1世代は他の別のジャンルをやっていて、感度の高い人たちがラップを取り入れて。

(宇多丸)そう。RUN DMCとか……特にラップを始めるっていうことではRUN DMC色が大きかったんだけども。それで始めた。で、メディアで力を持っていた人たちだからそれを見て、「ああ、俺たちでもできる」って始めたのが第2。ここからが純粋なラッパーとかラップグループが増えてくる。で、その第一号といえば、石田さん。ECDかなっていう感じ。

(DJ松永)なるほど。第2世代の一番早いのがECDさんだ。

(宇多丸)そう。でも石田さんは歳はだいぶ上だけど、やっぱりそこの影響を受けて、たとえばコンテストとかがいっぱい開かれてるのに一緒に……まあ石田さんは審査員席側にいたりもしたけど。「認識としては同世代だよね」っていう話をよくしていましたね。

(DJ松永)なるほど。俺はちなみに原体験、リアルタイムで言うと第5世代でしたね。でも、結局一番最初に聞いていたのは第2、第3なんですよ。年代的には第5の世代なんですが。なんだろう? たまたま本当にRHYMESTERとかギドラとかから入ったので。第2、第3を見て入ったんですが、俺以外のやつはみんな第5を聞いてたんですよ。MSCとか。

(宇多丸)おっしゃる通り。だからまさにたとえば2004年、2005年ぐらいはやっぱりこのへんだよね。MSCとか。

(DJ松永)でも本当にそれこそアングラ化がすごい進んでいた時代じゃないですか。

(宇多丸)そうだね。だから実はその第5から先は、メジャーディールっていうのがそんなに価値を持たなくなってきて……っていう時代でもあって。昔みたいな、まあ音楽業界全体の変化もあって。割とみんなインディペンデントで回していくっていうスタンスが主流になったのが第5、第6。なんだけど、やっぱりフリースタイルダンジョンという一大、もうビッグメディアで。やっぱりあれが大きかったから、第7はちょっとやっぱり華やかになってきてますね。

(DJ松永)そうですね。だって本当に、ヒップホップがメジャーだなんて想像がつかなくて。それで昔の音源を掘っていくと「あれ? さんぴん世代の人ってみんなメジャーから出してるんだ。ええっ? 時代が……?」みたいな。

(宇多丸)まあ第2世代、お笑いビッグスリーにあたる世代。RHYMESTER、いまだにメジャーディール。きっちりとね。ありがとうございます、ありがとうございます。ビクター予約分も全部完売いたしました。ありがとうございます。

(DJ松永)イエーッ! かっこいい!

(宇多丸)ただ! あなた方とはまあ、「0」が2つほど違う……。

(DJ松永)いや、どこが……「0」が2つって俺らどんだけ売れていると思っているんですか(笑)。そんなわけない……米津と間違えてますよ?(笑)。

(宇多丸)「米津」(笑)。まださ、呼び捨てする距離感みたいな(笑)。テレビで見た芸能人の話をする距離感な(笑)。

(DJ松永)そう。「さんま」とか「たけし」みたいな感じで(笑)。

(宇多丸)お前、でもさ、菅田将暉くんともうツーカーでやっているわけじゃない? それはあなた、俺から見たら「米津、菅田」ですから。「米津、菅田、松永」っていう。

(DJ松永)フハハハハハハハハッ! どこが?(笑)。

(宇多丸)いや、「米津、菅田、松永」のビッグスリーだよ。上方ビッグスリーだよ。

「米津、菅田、松永」のビッグスリー

(DJ松永)もうめっちゃいじってるじゃないですか(笑)。「菅田、俺、米津」のビッグスリーってめっちゃいじってるじゃないですか(笑)。

(宇多丸)ただ、私もね、やっぱり第2世代の余裕……この話はね、メンバーにもしてたわけ。この間さ、延々とサイン書きを何百枚もして。退屈だから人のゴシップとかさ。「○○が失敗した話」とか「○○が解雇された話」とかね。

(DJ松永)楽しいな(笑)。

(宇多丸)楽しいじゃん? そういうのをしていて。で、その中で「ああ、そういえば第7世代論っていうのがあってさ……」っていう話をして。そしたらやっぱりJINが「えっ? 俺ら第2世代っていうことは、お笑いビッグスリー?」って言い出して(笑)。

(日比麻音子)JINさん、かわいい(笑)。

(宇多丸)って言ってるんだけど、でもさ、そうじゃん? 日本のヒップホップ史、事実上そうじゃね?っていう。

(DJ松永)そう。俺とRで芸人さんをヒップホップに置き換えたりとかした時はもう完全にRHYMESTER、そうでしたし。でもJINさんって実は世代は……?

(宇多丸)年齢はね。だから入ってきたのは……でも、第2中だな。第2のケツの方ではもう入ってるから。実はこれ、実年齢とこの区分は意外とズレてたりするところがあって。

(DJ松永)頭角を現したタイミングでカウントするっていう感じですもんね。

(宇多丸)そうそう。だって、それこそTOKONAなんかはさ、最初はILLMARIACHIでさ。

(DJ松永)そうですよね。さんぴんとかにも出ていたわけですから。

(宇多丸)第3世代的なところから出てきてはいるんだけども。でも、やっぱり名古屋でTOKONA-Xとしてガーン!って出てきたのは第4だろうし。THA BLUE HERBもやっぱり、その第3世代の盛り上がりを横目に見つつ、力を……だってほら、『HIPHOP NIGHT FLIGHT』にデモテープを……デモトピアでかけたりしているんだから。そんぐらいの世代感って考えるとやっぱり3からタネをまいて4でゴン!ってなったみたいな。

(DJ松永)でも本当に着実に芽吹いているんだな。先輩たちがまいたタネが。

<書き起こしおわり>

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