東野幸治『ドキュメント シン・仮面ライダー』の庵野秀明を語る

宇多丸とコンバットREC『ドキュメント シン・仮面ライダー』の庵野秀明を語る 東野幸治のホンモノラジオ

東野幸治さんが2023年4月21日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中でNHKで放送されたドキュメンタリー『ドキュメント「シン・仮面ライダー」』について話していました。

(東野幸治)で、見ましたか? 庵野さんのドキュメンタリー。

(渡辺あつむ)ああ、まだなんです。

(東野幸治)いや、もうめちゃくちゃ面白かった。俺、こんなこと言ったら絶対失礼……庵野さん、怒ると思うし、悲しむと思うねんけど。『シン・仮面ライダー』より面白かった。

(渡辺あつむ)へー!

(東野幸治)『シン・仮面ライダー』の裏側で庵野さんと、アクション監督と、池松くんっていう役者さん。その3人をフィーチャーした、過酷な映画撮影。ほんで「これ、これ! これが俺の好きな庵野さん!」っていう。で、言うたら、なんとなく俺がディレクターやったら、もうよだれ垂らすぐらいの。現場の空気もすごく悪いのよ。で、初日に「よろしくお願いします」みたいにやんねんけど。アクション監督もね、もちろんやる気満々でやんねん。殺陣もいろいろ決めて、ああだこうだって言われて。庵野さんからアイディア出されたら、ああだこうだって全部やって。

ほんで、そのアクション監督の下のアクションの人たち、スタッフもみんなで作り上げていくってなって。それを全部、ちゃぶ台返ししていくねん。

(渡辺あつむ)あいやー……。

全部ちゃぶ台返しする東野幸治

(東野幸治)全部ちゃぶ台返しをしていくたびに、そのコロナ禍で撮っていたんでしょうね。どんどんアクション監督のマスクから、鼻が出てくるんですよ。どんどん鼻が出てきて。ほんで、それでも耐え忍ぶみたいな、ディレクターの編集になってるんですよ。で、その中で上手に池松くんが両方に、なんとなくちょっと間に入るような編集になってるんですよ。で、最終的に庵野さんが求めるのはもっと人間くさいもの。型にはまった感じじゃなくて、もっと人間対人間。仮面ライダーというのは、架空の特撮物、ヒーロー物やけども、実際に存在していないからこそ、最後はもう言うたら、人と人がぶつかり合うようなアクションを求めたい。

だから、もうおのずと「えっ、これアクションいらん。監督いらんやん。殺陣いらんやん」っていう話になって。ご本人曰く、もうスタッフもチーム含めて全員、本を置いて帰ろうかっていうぐらいまでの状況になったっていう。それをなんか一部始終、できる範囲やと思うけど。それが収められてる番組で、まあ面白かったし。で、最終的にはなんか庵野さんも全部が終わった時に、ちゃんとアクション監督にも謝ってくれたみたいな言葉もあったりもするんで。見てる方からするとこんなハラハラドキドキ……全く関係ないから楽しいけど。これ、現場におったら地獄やろうなっていう感じ。

(渡辺あつむ)そのちゃぶ台返しはつらすぎますよ。

(東野幸治)いや、そのちゃぶ台返しも毎回ですから。なんだったら、ちょっとリアルな殺陣の方がいいっていうことで、急に10分ぐらいで、もうこの殺陣を急に無茶ぶりされて。アクション監督が困って。「どうしよう? どうしよう?」ってやる。で、役者もそれでせなあかん。でも、怪我させたら絶対あかんから、そういう葛藤もある。ほんで本番。いきなり本番。普通じゃありえないって言ってやんねんけど、ちょっと殺陣も覚えてなくて、ミスったりするのよ。で、「はい、OK!」って言って。「えっ、OKなの?」みたいな感じで。

で、アクション監督は「きっとこれ、使わねえよ」みたいな感じで思っていたけど。実は庵野さんはそのシーンが一番のお気に入りやってん。だから、そんなリアルな感じが求められてるっていう。「そんなんやったら俺、いらんやん」みたいな。なんかもういろんなところで、そういう風な顔が……鼻が出てた(笑)。ヌッて。「これ、OKなの?」みたいなのがやっぱりめちゃくちゃ面白くって。ぜひ見てない方がいたら、見てほしいなとは思いますけれども。

<書き起こしおわり>

宇多丸とコンバットREC『ドキュメント シン・仮面ライダー』の庵野秀明を語る
宇多丸さんとコンバットRECさんが2023年4月7日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でNHKで放送されたドキュメンタリー『ドキュメント「シン・仮面ライダー」』について話していました。
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