星野源『ヘアスプレー』とジョン・ウォーターズ作品を語る

空気階段『ヘアスプレー』でミュージカルの面白さに目覚めた話 星野源のオールナイトニッポン

(星野源)で、ジョン・ウォーターズってどんな人か?っていうと、本がいっぱい出てて。『ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク』っていう、これも素晴らしいんですけど。66歳でアメリカ横断のヒッチハイクをやるっていう話で、すごいんですけど。

あと、美術学校で講演した時のメッセージが本当に素晴らしく。それを本にしたのが最近出たりとか。それも買いましたけれども。

(星野源)あとね、Webでインタビューがあって。これ、i-Dっていうサイトだと思うんですけども。「ジョン・ウォーターズ監督が語る、ゴキブリ柄のドレス、70歳でのLSD体験、ジャクソン・ポロック」っていう。このインタビューが超素晴らしいんですけど。で、ゴキブリ柄のドレスっていうのはトレイシーっていうね、『ヘアスプレー』の主人公の女の子がですね、とある場面で着るんですよ。ゴキブリ柄のドレスを。で、それはミュージカルにはないんですよね。ミュージカルを元にした映画の方にもたしかなかったと思うんですけども。

もうね、「ゴキブリ柄のドレス?」って、それだけ聞くとなると思うんですけども。見ると「イエーイ! トレイシー、最高だぜ!」ってなるっていう。それはぜひ、見ていただきたいなっていうのと。あと、このインタビューの中ですごい素敵な、これまた全然違う本を出した時のインタビューだと思うんですけど。

「今回の本の中で一番大切なメッセージは何でしょう?」と聞かれたインタビューでジョン・ウォーターズが「愛してるとささやくのは、相手が眠っている時だけにすること」って答えたんですよ。その後に「彼らは無意識でその言葉を聞くが、それは返事を求めるものじゃない。答えを求めなければ、がっかりすることもない。強制力もない」っていう。これは僕がずっと「愛してる」って言葉に感じてる……これは前も話しましたけど。違和感みたいなものをジョン・ウォーターズはこんな素敵な答え言っていて。

「愛している」という言葉に感じる違和感

(星野源)で、僕は「愛してる」って言葉が変なんじゃないか?って思ってた時期がずっとあって。で、それを言わないようにしてたんですけど。でも、そうじゃなくて。「愛してるというのは、その返事を求めるものじゃない」っていうのは俺も同じこと思ってんだけど。「寝てる時に『愛している』と言う」って、なんて素敵なことなんだろう!って。「素敵すぎるぜ!」って思って。もう、本当に「好き!」って改めてなりました。

i-D
A global platform for emerging talent, i-D celebrates fashion, culture, individuality and youth.

(星野源)で、ジョン・ウォーターズの映画はいろいろあるけど、『クライ・ベイビー』は本当に見やすい映画だと思います。なので、ぜひ見ていただきたい。あとは超有名なんですけども。『ピンク・フラミンゴ』ね。素晴らしいラブストーリーだと思います。ぜひカップルで見ていただきたいなと思います。あとは『セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ』っていう、すごい素敵なファミリー映画なのでね。これはファミリーでぜひ、見ていただきたいなと思っております。

ピンク・フラミンゴ [DVD]
ワーナーホームビデオ

(中略)

(星野源)メールが来ております。「現さんの話を聞いていて、中学生の頃に吹奏楽部で『ヘアスプレー』の楽曲を演奏したことを思い出しました。当時、お芝居やミュージカルに興味がなく、曲を演奏するというのに全く作品を見ていなかったので、これを機に映画を見てみようと思います」。ぜひぜひ! たしかね、ミュージカルの方の『ヘアスプレー』も配信、やってないんだよね。HBOとかしかやってなかった気がする。だからDVDを借りるとか、買うとかして見てください。『ヘアスプレー』もね、まだ買えると思う。ジョン・ウォーターズ版の『ヘアスプレー』のDVD、まだ買えると思うんで、ぜひ。

ヘアスプレー [DVD]
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

(星野源)兵庫県の方。「『ヘアスプレー』、いいですよね。泣けるシーンも笑えるシーンもガッツポーズしたくなるシーンもいろいろ詰まってる素敵な映画ですよね」。そうですね。いや、そうなんですよね。これね、どっちも共通する部分なんですけど。なんか、人種差別みたいなテーマがすごく大きくあるんですけど。その中でね、なんていうか、ジョン・ウォーターズ版の方はもっと、ちょっと描き方がエグいというか、なんというか。

人種差別をする人をめちゃめちゃこき下ろしてます。なんか、そのこき下ろし方がちょっとすごすぎて笑っちゃうっていうか。なんか、そこらへんのバランスがすごいなっていうのはすごく思います。なんかもう、本当に人種差別する人をバカにする、そのバカに仕方がすごいっていうか。そこですごいすごいパワーを感じるんですけど。そうですね。なんか、そういうパワーみたいなものはミュージカルの方はもう歌の中に全部こもっていて。

なんかすごく、いい意味でハッピーな気持ちにバーン!ってなって帰れるみたいな。なんかそういうものをいろいろと生み出す作品だなというのはすごい思いますね。神奈川県の方。「源さん、『クライ・ベイビー』を映画館に見に行きました」。マジ? すごい! 「映画館に見に行きました。周りはジョニー・デップファンでしたが、私はウィレム・デフォーを……」。えっ? ちょっとしか出てなくない? たしか警官役だよね? すごいちょっとだけだったと思うんだけども。でも、すごいね。

「高校生の頃はたくさん映画を見に行ったり、ビデオを見て、気になったサントラを聞いて、そこからいいなと思った音楽のCDを買ったりしていました」。いや、そうですね。僕も高校生もそうだし、卒業してからかな? なんか近所のレンタルビデオ屋さんにはなかったのよ。『ピンク・フラミンゴ』とかが。ないから、たしか新宿のTSUTAYAにあったんだと思うんだよね。新宿のTSUTAYAって、ちょっとマニアックなものもあったりとか。あと、演劇のビデオも結構充実してたんですよ。そうそうそう。マシュマロウェーブとかがあったりとか。だからなんか、結構行ってましたね。バイトも新宿だったし(笑)。バイトの帰り、ほぼ毎回TSUTAYAに行ってレンタルして、みたいな感じでしたね。

三重県の方。「まさか今、『クライ・ベイビー』の話を聞くとは思ってなかったです。源さん、私も『クライ・ベイビー』大好きです。なぜか予防接種から始まる冒頭が大好きです」。そうそう。超面白いんだよ。それもね、なんかいいんだよ。なんか学生たちが予防接種で並んでるんだけど。みんな、不良の子たちとかは「オラッ!」っていきがっているんだけども。でも注射を刺されると泣くっていう(笑)。本当にかわいらしいところから。

で、そのジョニー・デップもね、泣くんだけど。すごいかっこいいわけ。なんだろう? いろんな人が予防接種して、いろんな人間模様があって。最後にもうなんか、暴れて強制的に連れてこられたみたいな感じで。もう大トリみたいな感じでジョニー・デップが予防接種しに来るんだけど。もう、超かっこいいわけ。俺、だってこの間、見返しながらリアルに(口笛を吹いて)「ヒューッ」ってやっちゃったもん。それぐらい、かっこいいんだもん(笑)。

かっこよすぎるジョニー・デップ

(星野源)で、その予防接種で注射を刺された途端にバーン!ってジョニー・デップのアップになるんだけど。それで泣いているんだけど、すごいとろみのある涙なんですよ(笑)。全然落ちていかないみたいな。それを横で見ていた、お嬢様の女の子がもう「はっ、はあっ!」ってなって。一瞬で恋に落ちるところから始まるっていう。最高です、本当に。なんかその、不良たちがね、もう本当に……『クライ・ベイビー』は不良たちと優等生の戦いなんだけども。

優等生の描きかたが本当にアホで(笑)。もう超悪いやつとして描くんですよ。でも、その超悪いやつとしての描き方が度を越しているので、面白くなって見えるっていう。で、なんか……あ、話しすぎね? ちょっとぜひ見てほしいな。

<書き起こしおわり>

空気階段『ヘアスプレー』でミュージカルの面白さに目覚めた話
空気階段のお二人が2022年9月26日放送のTBSラジオ『空気階段の踊り場』の中で渡辺直美さん主演のミュージカル『ヘアスプレー』を見に行ったことを紹介。初めて見たミュージカルでその面白さに目覚めたと話していました。
タイトルとURLをコピーしました