（中略）
（若林正恭）それで、着いて。そこで、夜中なんだよね。夜着いたから。
（春日俊彰）で、ロケーションは次の日から。
（若林正恭）そうそう。ホテルに夜、着いて。寝て。それで朝から丸一日、夜までロケして。で、すごいいいところだったな。なんか若い子も多くて。若い子の話を聞くたびに「インスタで見て来ました」なのね。
（春日俊彰）ああ、洒落たところが結構あるんだ。お店とか、景色とか。
（若林正恭）結構ある。あと、魚ももちろん美味いし。佐渡牛っていうのもあって、お肉も美味しいし。野菜も美味しいし。あと、コシヒカリがなんか、新潟の佐渡のコシヒカリっていうのもあって、米も美味いし。結構、なんかイメージと違うっていうか。明るい島っていう感じで。それで結局、あれよあれよと能舞台にさ、佐渡で一番古い能舞台に行ってさ。そこで思ったんだけど。足袋を履くっつって足袋を履いたら、俺は新富町の出身なんだけど。足袋の袋に「東京都中央区新富町」って足袋の会社が書いてあるのよ。で、足袋の会社って今、本当に少ないんだって。どんどんなくなって。「南原さん、これ、俺めっちゃ、道路1本挟んで後ろのぐらいのところですわ」つったら「若林。狂言、呼ばれてんな、お前は」って。
（春日俊彰）フフフ、出ました（笑）。
（若林正恭）「出ました、ご存知の」じゃないのよ。
（春日俊彰）一発ギャグぐらいの感じで（笑）。若林さん、そのぐらいの頻度で聞いてるから（笑）。
（若林正恭）でも、俺は佐渡に行ったら覚悟はしてたんだよ。その狂言をやらないで帰れるとは思わないっていうか。
（春日俊彰）まあでも南原さん、いろいろ偶然というかさ、重なって。
（若林正恭）俺にとっては狂言バトルロワイヤル的なところ、あったからね。やっぱり島から出れないっていう。狂言脱出島のところ、あったからね（笑）。
（春日俊彰）それはもう、腹をくくって行ったのね。それにしても、なんかいろいろ揃って来てたのね。やる条件が。
（若林正恭）それでさ、能舞台ってさ、春日さん、見に行ったからさ、わかると思うんだけども。能の舞台があってさ、向かって下手になるのか。そこにさ、橋掛かりっていう橋が……両袖があるんじゃなくて、橋掛かりっていう場所があるでしょう？
（春日俊彰）ああ、あれは橋なのね？ 廊下みたいなのでしょう？
（若林正恭）廊下みたいな。まあ、廊下じゃん。橋掛かり。
（春日俊彰）そうね。あそこもだから演技の途中なんですかね？
能舞台の橋掛かり
（若林正恭）そうそう。行ったりするじゃん？ なんかね、ずっと「日本っぽいな」とも思ってたし、謎だったの。能舞台で必ず向かって左手に橋掛かりっていうものがあるっていうのが……両方に左右対称じゃないじゃん？ 左手だけにあって。いや、その舞台の作り方って、不思議じゃない？
（春日俊彰）まあ、そうね。バランスは良くないよね。
（若林正恭）でしょう？ で、この左右非対称がさ、なんかさ、石庭とかもそうだけどさ。「この橋掛かりってこれ、なんなのかな？」ってずっと思ってたんだけど。足袋を履いて歩いてみたら、わかるね。
（春日俊彰）ほう。理由が。わかる？
（若林正恭）いや、これは自分の解釈だから。もちろん能とか狂言をやっている方に「それ、全然違うよ」と言われたらおしまいで。俺の解釈で言うとだよ？ 舞台の上っていうのは、あの世じゃん？ で、裏というか、バックヤードはこの世なわけじゃん？ で、そのこの世とあの世の淡いの部分を見せたりするじゃん？ 日本って。西洋はビシッと幕で、緞帳で仕切るけど。なんか、歩いている時にそういうのを感じたのよ。
でね、「たぶん寺に能舞台とかがあった時代とかだと、今よりも知ってる兄ちゃんとかが出てくるから、よりあの世感を出さなきゃいけなかったりしたとか、なんか理由があるんだろうな。この橋掛かりがあるということは……」って歩いてみて思った。
（春日俊彰）なるへそ。
（若林正恭）それで思い出したのが、『レッドカーペット』に出てた時に、ネタが終わるじゃん？ そしたら、ベルトコンベアーで流されていくじゃん？ 「ネタが終わって、ベルトコンベアーで流されて完全に袖まで消えてく時の顔、難しかったなー！」っていうのを思い出したのよ。
（春日俊彰）ああ、そうだよね。なるへそ。
（若林正恭）で、春日はキャラが入ってて。まだあの世の人で「バーイ！」ってやれるからいいんだけど。俺はもう「いい加減にしろ」って言っちゃってるから。「もういいよ」って言っちゃってるから。「ありがとうございました」って言っちゃってるから。そいつがみんなに急に「バイバイ！」って手を振ってるのも変だし。なんか、地元の友達に言われたことがあるの。あの頃、テレビに出たてだから。「お前のあの『レッドカーペット』で流されていく時の顔、なんなの？ かっこつけてるの？」って。「いや、あれはムズいんだよ。あの世とこの世の間だから」って。
だから俺、漫才も袖からスタンドマイクに出てくるところですら、気持ち悪くて。変な人なのに、センターマイクに立ってから言うことは。なんか走って元気よく、「よろしくお願いします！」って……「『よろしくお願いします』なんて思ってるわけないんだから」って思ってたの。ボケは。ツッコミはいいんだけども。だから、ゆっくり歩かせたのよ。そこからイカれているはずだから。だから俺、橋掛かりにすごいゆかりのある人間だったのよ。それでこれ、時間が飛ぶけど。終わってから、今と同じ話を南原さんに言ったら「呼ばれてるねー」って。
（春日俊彰）フハハハハハハハハッ！ 出ました！（笑）。
（若林正恭）いや、ギャグじゃないから。南原さんの（笑）。
（春日俊彰）もう面白くなっちゃってるじゃん（笑）。「呼ばれてるね」が。
（若林正恭）で、能の舞台でね、なにがあったかはオンエアーを見てもらって……だけども。「その後、お互いのロケを褒める会やろうよ」っつってさ。旅館に戻って、食事をしながらお互いを褒めるっていうのをして。「これがいいじゃん。楽しいじゃん」っつって。若手みたいにさ、「あそこでああですよね。あのロケの時、ああでしたよね」とかって。南原さん、いっぱい褒めてくれて。でも、俺が南原さんを褒めるっていうのもおこがましいすぎるから、結局俺は1回も褒めなかったんだけども（笑）。
（春日俊彰）いやいや、南原さんも褒めてほしかったんじゃない？
（若林正恭）で、ちょうどご飯も食べ終わり、温泉。大浴場が閉まるのももう迫ってたから、当然、お風呂で会うわけよ。温泉に、大浴場に俺と南原さん2人きり。で、南原さんが俺が入ったら南原さんがお湯に浸かるところから出てきて。「若林、サウナ行こうか」っつって。で、「ああ、すいません。僕、サウナ、あんまり好きじゃないんで」って断って（笑）。
（春日俊彰）行きなさいよ！ 普段入る、入らないは関係ないよ。その場合は。
（若林正恭）で、南原さんは「おおう……」って、なんかすごい寂しそうな顔をしてサウナ入っていって。で、俺は露天風呂にいたの。で、南原さんがサウナから出てきて、水風呂とか入って、また露天風呂に来て。で、露天風呂でも結構長話したんだけど。その時にサウナの話になって。血管の収縮と拡張が偏頭痛には一番よくないのよ。偏頭痛とサウナって、バリバリ相性が悪いの。でも、サウナをすすめてくるやつって最近、すげえ多いじゃん？ 「サウナ、一番疲れが取れるよ」「ラジオ、聞いてるけどさ、疲れてるじゃん？ サウナが一番だよ」って。「いや、偏頭痛だっつってんだよ！」といつも思って。
（春日俊彰）それはでも、わからんからね（笑）。
偏頭痛にサウナは相性が悪い
（若林正恭）そうそう。それを南原さんに言って。「ああ、なるほどな。若林はちょっと猫背気味で巻き肩だから、ちょっと偏頭痛になりやすいから。やっぱり姿勢だよ。狂言、偏頭痛にいいぞ」って言われて（笑）。
（春日俊彰）いいねえ（笑）。うん。呼ばれてるね！
（若林正恭）で、次の日、ロケなしで佐渡歴史伝説館に行ったんだけど。そこでも南原さん、迷ってたけどね（笑）。裏の従業員が行く控え室みたいなところに入ってっちゃって（笑）。
（春日俊彰）どんな迷い方よ、それ！（笑）。
佐渡ロケの映像は
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＜書き起こしおわり＞
