町山智浩『犯罪都市 THE ROUNDUP』を語る

町山智浩『犯罪都市 THE ROUNDUP』を語る たまむすび

町山智浩さんが2022年8月30日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』を紹介していました。

(町山智浩)で、もう1本の方は『犯罪都市 THE ROUNDUP』っていうタイトルの映画で。これは『犯罪都市』シリーズの第2作目なんですね。で、『犯罪都市』シリーズの1作目はたしか紹介したと思うんですが。これはマ・ドンソクさんというね、韓国のトップスターが主演の刑事シリーズです。これの『犯罪都市』の主人公の刑事もマ刑事って言うんで同じ苗字になってんですけど。このマ・ドンソクさんはとにかくね、腕が太いんです。

(山里亮太)はい。太い!

(町山智浩)なんか1本、見ました?

(山里亮太)『新感染』を。

(町山智浩)ああ、そうそう。『新感染 ファイナル・エクスプレス』で、とにかくゾンビをパンチでどんどんやっつけていくっていう筋肉男で。それで全世界の人を驚かせたのがマ・ドンソクさん。もうとにかくめちゃめちゃ強いっていうね。素手で。

(赤江珠緒)体格がいいですもんね。

(山里亮太)体が分厚いんだよね。

(町山智浩)すごいんですよ。この人、元はボディビルダーなんですけども。腕の太さは本当にファッションモデルのウエストぐらいあるんですね。すごい太さなんですよ。この人、スーツをどうやって着てるんだろう?っていつも不思議なんですよ。こんなの、売ってないだろう?って思うんですけど。特注としか思えない。しかも、ものすごいアクションをしても、破れないんですよ。どういうスーツなのか、知りたいっていう謎の人なんですけども。で、非常にアメリカでも注目されて。ハリウッドでマーベルの大作の『エターナルズ』ではアンジェリーナ・ジョリーと夫婦役でしたね。で、めちゃくちゃ強かったのに、もったいないことに途中で死んじゃうんで悲しかったですけど。

で、今はマさん、シルベスター・スタローンと共演して、彼が出た『悪人伝』のハリウッド版を製作中です。『悪人伝』というのは彼がものすごく悪いヤクザの親分で。それと、ものすごく悪い悪徳刑事と、ものすごく凶悪な殺人鬼が三つ巴になって戦うという、とんでもない映画だったんですけども。もうめちゃくちゃ悪いやつ3人で血まみれになってましたけどね。

(赤江珠緒)そうですね。どこに落ち着けばいいのか?っていうね(笑)。

町山智浩 マ・ドンソクの魅力を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で韓国の俳優マ・ドンソクの魅力をおすすめ作品を交えながらたっぷりと語っていました。 (町山智浩)今日はですね、僕がいま本当に夢中になっている映画俳優について話させてください。 (赤江珠緒)町山さん...

(町山智浩)そうなんですよ。それをね、スタローンと今、ハリウッドで撮ってますね。で、とにかくこの人はパンチ力がものすごいんで、なかなかピンチに陥らないんですね。映画の中で。監禁されたりしても、パンチで壁とかドアを破って出ちゃうんですよ。

(赤江珠緒)アハハハハハハハハッ! ポパイかっていう(笑)。

強すぎてなかなかピンチに陥らないマ・ドンソク

(町山智浩)で、相手が拳銃を持っていても、拳銃を持っている手をバーン!って払っちゃうんですよ。ものすごいスピードで。だからもう、拳銃も怖くない人なんで、とんでもないんですけど。で、今回はただね、敵がものすごい、刺しても殴っても全然平気な男が襲ってくるんで。マ・ドンソクさんもさすがにピンチになっていくんですが。で、『犯罪都市 THE ROUNDUP』、この「ラウンドアップ」っていうのは牛とかをカウボーイが1ヶ所に集めることなんですね。で、警察用語では「一網打尽、一斉逮捕、一斉検挙」という意味です。ラウンドアップっていうのはね。で、これが実話なんですよ。

(赤江珠緒)ええっ? 実話?

(町山智浩)これね、2015年ぐらいに韓国の観光客が次々と19件、フィリピンとかタイで行方不明になった事件があって。これは誘拐だったんですけれども。で、身代金を取られた後も人質が殺されて死体で発見されるっていう。で、同じグループが東南アジアを股にかけて大量にやってたんですね。で、それと戦う話なんですが。主人公はソウル郊外の警察官で。そこにマ刑事がいるんですが。「ずっと指名手配になってたやつが捕まったから、ベトナムに行って身元引受をしてくれ。韓国に護送してくれ」って言われて。それで彼がベトナムに行こうとすると、上司がついてくるんですよ。英語もできないのに、言葉もできないのにね。

で、ダメな上司が観光気分でついてくるんですよ。それで2人でベトナムに行って、ただそいつを連れてくればいいんだと思ったら、なにかがおかしいっていうことに気がつくんですよ。なんでベトナムにそいつが出頭したのか? それがわからないので追及して聞いてみると、その男から「実は誘拐グループにいたんだけれども、いろいろなことを知ってるから殺されそうになって怖くなったんで自首したんだ」って言われるんですね。

そこで何が起こってるか? それは韓国のものすごくお金持ちの企業の御曹司が誘拐されているという状態なんですね。で、身代金とか払ってるんすけど、実はもう既にその人質は殺されているんですよ。そのことが、出頭したやつから聞いてわかるんですけども。で、実はその殺された人質の父親っていうのは、ものすごいヤクザで。ヤクザから大企業になった人だったんで、報復で殺しに来るんですよ。殺しの軍団を連れて。韓国から10人ぐらいのヤクザ軍団を連れてその誘拐犯を殺しに来るんですよ。

っていうことで、警察官とヤクザと誘拐グループの三つ巴になるんです。で、ヤクザ8人相手にこの誘拐グループが2人でですね、ヤクザグループを返り討ちにするシーンがものすごいんですよ。中国の大きい肉を切る、大きい包丁あるでしょう?

(赤江珠緒)ああ、牛刀みたいなやつ?

(町山智浩)牛刀みたいなんだけど、ちょっと四角い感じの刀というか、包丁。あれでバッコンバッコン手足をもう切っていくんで、すさまじいんですけども。もう敵がすごい強い上に、なんていうか、痛みを感じないのかわかんないんですけど。いくら刺されても撃たれても、全然平気で襲ってくるやつなんですね。で、1回目はその2人とマ刑事が戦って、やっぱり1対2でね、ちょっと逃げられちゃうんですよ。それでどうなったのかと思うと、そのヤクザグループはしかも自分たちが払った身代金の分だけは回収するんですよ。お金を韓国に持って帰るんですね。そしたら「あの身代金、取り返されたら、また取り返しに行くぜ!」ってその誘拐グループが韓国まで乗り込んでくるというとんでもない展開になってくるんですよ。もう、めちゃくちゃなんですよ。

で、後半はもう大市街戦に突入していくんですけど。すごいんですよ。これ、マ刑事がバスの中で対決するシーンがあって。すると、拳銃とか全然使ってないんですけど、バスがほとんど全壊状態になります。この人が暴れるだけで。

(赤江珠緒)素手で暴れるだけで?

(町山智浩)だからもうほとんどね、スーパーヒーロー物に近いんですね。拳銃なんて、たぶん彼は持てないんじゃないかな? 指とか手とか、太すぎて。拳銃を持っているシーンがあるんですけど、腕が太すぎておもちゃを持っているみたいに見えるんですよ。この人が持つと。っていうね、とんでもない話で。両方とも実話っていうのもすごいんですけど。まあ最近、もう世界中の犯罪が凶悪化しててね。アメリカも大変なんですけどね。うちの近所もすごいことになっちゃっててね。景気がいい時は何でもなかったのにね、もうそこら中で銃撃戦が起きてる状態で。まあ、アメリカも今、怖いですよ。

(赤江珠緒)物価もすごい上がってるって言いますもんね。

(町山智浩)物価が上がっていて、それでもう治安がすっごく悪くなってて。大変なんですよ。まあ世界的な状況だと思いますけどね。でも、マ・ドンソクがいればね、何とかなるんですよ(笑)。

(山里亮太)ぶっとい腕でね、なぎ倒していって(笑)。

(町山智浩)本当にね。で、これがあまりにも韓国でヒットしたんで。『犯罪都市2』が。なので、もう既に『3』も撮影して『4』も製作が始まってるという(笑)。とんでもないことになっていますね。ということでね、今一番韓国でヒットしてるシリーズ『犯罪都市』をぜひご覧ください。

(赤江珠緒)『人質 韓国トップスター誘拐事件』は9月9日からシネマート新宿他、全国ロードショーです。そして『犯罪都市 THE ROUNDUP』は11月3日から全国ロードショーとなります。

(町山智浩)これね、マ刑事はね、とにかく腕力だけかと思うと、最後の最後でものすごい知能戦で犯人を仕留めていくので。そこもぜひね、ご覧ください。

『犯罪都市 THE ROUNDUP』予告

<書き起こしおわり>

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