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宇多丸 DJ OASISのトランスジェンダーへの問題発言を語る

宇多丸 野外フェス『波物語2021』問題を語る アフター6ジャンクション
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宇多丸さんが2021年9月27日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でDJ OASISさんがTwitterで発したトランスジェンダーに対する問題発言について、話していました。

(宇多丸)はい。ということでね、ちょっとここから先は片方の鼻に(鼻血止めのために)ティッシュを入れて頭に酸素が行ききらない状態で話すのはなかなか厄介な話なんだけども。ちょっとデリケートな面もあるような話なんだけども。ちょっと、いろいろと考えて今日、話さないといけないと思ってお話させていただきますが。まずはメールをご紹介します。「こんにちは。KGDR(キングギドラ)のDJ OASISさんがTwitter上でトランス差別発言を発信し、批判が高まっています。しかし『いいね』も200件以上ついており、ネット上で過激さを増すトランス差別を助長しかねません。

宇多丸さんが『俺は学級委員じゃねえぞ』と言っておられるのは聞いていましたが、同年代の日本人ヒップホップアーティストでトランス差別を公に批判している方は私の知る限り、宇多丸さんだけです。私も自分のアカウントから反論ツイートを行いましたが、日本語ラップの世界に長く身を置く方から『トランス差別は許さない』という言葉が聞きたいです。日本語ラップリスナーにもトランスはいます。私の友人もそうです。宇多丸さんのメッセージを発してください。お願いします」というメールをいただきました。

そうなんですよね。この件、僕も知るのが……僕はTwitterとかをやっていないので、知るのがちょっと遅くなってしまったんですけども。大前提として、まずトランス……トランスジェンダーですね。要するに、生まれた時の生物学的な性別とは違う性別で生きることをチョイスされている皆さんというか。もしくはチョイスをしつつある、もしくはチョイスをしようとしている。そのことによって真に自分の人生を生きようとされている。切実にですよ。そんな皆さんの話です。

で、僕もトランスジェンダーの皆さんに関して、たとえばどういったことが痛みとしてあるのか。どういう言葉、表現に傷ついてきたのか。抑圧を感じてきたのか。あるいはどういう暴力にさらされてきたのかとかは正直、最近になるまで全然わかっていなかったです。それはね。いろんな方から……たとえば鈴木みのりさんにいろいろと教わって、ようやく知ったということなので。僕も人に「お前、まだ変わってないのか!」ってそんな偉そうに言えるという立場ではないという前提で。

自分自身も最近までわかっていなかった

ただ、この番組ではやっぱり、その学ぶことによっていろんな人の視点を知り、今は世界の最先端のエンターテイメントというものは確実にそういう方向、そういう人たちのいろんな痛みとか、いろんな見方に対して開かれていく。それによってより豊かになっていこうじゃないかっていう方向に進んでいるわけで。それは素晴らしいことじゃないですか。で、当然、この番組はカルチャーキュレーション番組、文化の番組ですけども。だからこそ、そういうところの勉強は怠らない。それはもちろん今後も、たとえばジェンダーのこと、たとえばセクシズム的なこと、性差別に関しても私は昭和のシス男性で……シスジェンダーというのはつまり、自分の性自認と生物学的な性別が一致しているということですけども。

まあ、多数派にして男性ということで、この社会の中でははっきりと抑圧をするような立場であって。我々は……図らずもですよ? 自分がそう意図をしていなくても、社会の構造として。というので、とにかく謙虚に耳を傾け、勉強していくことは必須であろうと。それはこの番組の姿勢として、この番組を聞いていらっしゃる方にもね、「たしかにそういう番組だ」という風に伝わっていればいいなと思うんですが。もし、それが伝わっていなければ、それは私の力が及ばずというところだけれども。

その中で、こういう発言があった。細かく言うと、彼自身も「トランス差別をしている」という意識とか意図はないと思うんですよ。彼の言っていることはいわゆる「セルフID危険視論」っていうのがあって。要するに自分で性自認を決められるということにあると、たとえば……これはその方々の主張ですよ? たとえば、そういう女性に限定されるような空間……たとえば公共浴場であるとか、そういうところに「私は女です」と勝手に自ら言っている男が入ってきて、性暴力とかそういったことが起きてしまうではないかっていうようなことを言っているんですが。

でも、この論理自体もパッと聞いて「あれ?」って思う人、いると思うんですけども。「あれ? その性暴力をしているのは『男』なのでは?」っていう。「トランスジェンダー女性」には何の責任もないことですよね。女性に嫌がらせをしたいとか、性的に何かをしたいっていう意図で性別移行をする人って、いないと思うんですけども。だから、それをやるのは明らかに「男性」ですよね。おそらく、それは「シス男性」ですよね? なので、ちょっとそれは問題の論点が違うだろうと。

もちろん、たとえばそういう危険性をどう防ぐのか?っていう個別の議論はあってしかるべきでしょうし。女性が安心していろんなところに行けるっていうのは当然、あれでしょうけども。そのことをトランスジェンダーという人々に対して責を負わせるというのは完全に筋違いですし。という風にこれ、パッと聞いて思われる方、多いと思うんですが。まあ、このセルフID論みたいなことは結構流布されているみたいなので、きちんとした反論が……この番組は基本的にはウヒャウヒャやって。「『パニック・フライト』見た? ウヒャヒャ!」なんて言っている番組なので。ちゃんとした、それこそ『Session』的な場で取り上げられて検証されてしかるべき論かと思いますが。

まあとにかく、DJ OASISさんという人はキングギドラのメンバーにして、僕自身もDJ OASISさんと三部作で曲を作っているぐらい一緒にやってきた仲間なんです。だいぶ最近は連絡を取っていないですし、あれですけども。仲間だと思っていますよ。なので、ちょっと責任があると思ってこのような発言をしています。オアシスの発言は本人の意図を……人間が悪い人だとはもちろん思っていないですから。彼なりのいろんなことを考えての正義感の現れだとしても、それは間違っているし。その発言が人を直接的に傷つけうる発言をしている。で、いろんなそういうことに加担をしてしまっているというのは間違いないと思うし。

僕はそこに関しては「完全に間違っているよ、オアシス」とは言いたいと思います。でね、これに関して僕ももちろん、直接的に彼の発言に僕が責任を負うわけではないけども。やっぱり仲間として、一緒に曲を作っているぐらいで。僕もRHYMESTER宇多丸のソロ名義だと結構代表曲の数々だったりするから。だし、キングギドラもね、RHYMESTERのライバルにして盟友ですから。今後も仕事というか、同じステージに立って何かをするとかっていうことはありうる仲間なので。

でも、要するに「このままだとできないな」って思ったんですよ。こういう考え……特に考え方の違いがあるのは500歩譲って……5億歩譲って、トランプ支持であるとか。Qアノンとかどうかと思うけど。まあ、だからそこはじゃあ、考え方の違いがあって同席をすることはあったとしても、やっぱり人権に関することは、直接的に存在する人間、目の前の人の人権を侵害しているんだっていう。本人の意図はどうあれ。ということはやっぱり見過ごせないというか。で、メンバーとも相談して。「ちょっと僕はこう思って、こうやって発言をしていこうと思うんだけど」って。当然、RHYMESTERのメンバーも「そうだよ。やっていかなきゃいけない」っていうことで。

だから、その線引きをするという意味で、実は直接あれをするのもな……って思って。すいませんね。こういう時に一番ちゃんと話しやすいZEEBRAに連絡したんです。で、「ちょっと、どうなっているのかな?」って。で、ジブさんも正直、ちゃんとこの件をわかっていたわけではなくて。で、ジブさんの中でこの発言のどこが問題なのか?っていうこともジブさんなりに「えっ、これはこうなの?」「いや、違うんだよ。それはこうこうこうで……」っていうようなことを説明して。ジブさんは「そうだよね」ってわかってくれて。

ZEEBRAと連絡を取る

(宇多丸)あるいは、「彼が言っていることの中で『女性男性である事が本来の姿』って……これはもう明白に女性男性、全ての人に対して抑圧的に働く言葉だよね」「それは俺もそう思う」っていう風にジブさんも同意してもらって。で、これも詳細は、ここから先、どうなっていくか次第なんですけども。ジブさんはオアシスに連絡を取って話をしてくれて。今、議論をしてくれて。なおかつ、僕がこれ、元は鈴木みのりさんに教わったものですけども。「とりあえず入門編として。僕もついこの間まで不勉強だった人間だから。僕もこれを見て『あっ!』って思ったんだから。Netflixで『トランスジェンダーとハリウッド』という作品を」って。

これは入門編にはうってつけ。要するに僕らの周り、身近にトランスジェンダーの人がいないから、メディアとかを参照するしかなくていろんな偏見とかが醸成されるっていうのがあるから。とりあえずメディアの中でどういう風にそれが表象されてきて、それが当事者にどう受け取られてきたのか? そしてそれが今、どこまで進歩しているのか?っていうことはすごく大事だから「入門編」って言っているんだけども。「この作品を見てみてよ」って言って。

そしたらジブさんも「見る」って言ってくれて。なおかつ、オアさんも一緒に見て。今度、その2人で見て、その先にまた議論をしてみようっていうことにもなっているみたいなんです。すごく僕、今あけっぴろげに言っちゃってますけども。

(熊崎風斗)そういう流れだったんですね。

(宇多丸)だからちょっと、わかりません。ここから先は。どういう風に、オアシスさんがどの程度考えを改めてくれるとか……それは彼の問題でもあるので。あるいは、ちゃんと訂正をして謝罪をしてくれるところまで行くのかはわかりません。僕としてはそこまで行かないとこの件は決着がつかないと思うけど。で、これを今、放送上で言っていることでちょっと刺激しちゃっているところもあるかもしれないけど。でも僕は、話ができる仲間だと信じたいというか。ヒップホップシーンの自浄の力を信じたいというか。進歩する力を信じたいというか。僕らの世代のヒップホップをやっている人間であってもね。ここんところ、評判が悪かったから。

俺たち世代だって……僕だって変わったんだから。で、ジブさんも変わった。やっぱり話していて。たとえばかつての同性愛嫌悪と取られるような発言に関して、すごい反省をしていたし。「今は考え方は違う。実際にそういう知人もできて考え方も変わったんだ」って言っていて。すごく俺はそれを感動したし。なんというか……わからないよ? だからこれ、ちょっとそんなに楽観もしていないし。これを言ったことでひょっとしたら……っていう懸念もあったけど。ただ、僕はなんというか、こういう場を持っていて「今日は言わないでおこう」みたいにできなくて。すいません。あと、鼻がつまっていてちょっと思考力が鈍っていて。そういうのもあってね。

だからここから先、どうなるかはわかりませんけど。好転していくことを僕は願っているし、そのために最大限の努力はする。その上で決着がこうなったっていうところでなあなあには絶対にしませんので。たとえばこの発言を聞いている当事者の方。あるいは彼のツイート、もしくはそのツイートを巡る周りの動きで傷ついたり。なんなら、これからの生活というものに驚異を感じられた方がいたとしたら、僕らサイドでできることはするつもりで努力をしますということを放送上で言いたかったかなという感じですね。

そんなこともあって、鼻血が出たのかな?っていう気もしますけどね。鼻血のせいにされても困るとは思うんだけども。でもね、そうそう。そんなこんなです。ちょっとこの件についてはそんな感じでよろしいでしょうか? すいませんね。

<書き起こしおわり>

翌日の宇多丸さんの補足トーク

宇多丸 DJ OASISのトランスジェンダー発言への提言と反応を語る
宇多丸さんが2021年9月28日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で、前日DJ OASISさんがTwitterで発したトランスジェンダーに対する問題発言について話したトークを振り返り。DJ OASISさんやZEEBRAさんのその後の反応などについて話していました。
宇多丸『トランスジェンダーとハリウッド』『POSE/ポーズ』を語る
宇多丸さんが2021年3月16日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でNetflixで配信中のドキュメンタリー『トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そして』とドラマ『POSE/ポーズ』について話していました。

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