宇多丸さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でカイさんのEP『ムーンライト・Tokyo』の中から『遊星よりアイをこめて』を紹介していました。
(宇多丸)ということで今夜も6月28日発売、BUBKA8月号の私の連載「マブ論」で扱った曲を聞いていきましょう。さっそく行きましょうか。
(宇多丸)今月はなにしろこの人のEPっていうことかな? ミニアルバム的な扱いなのかな?
(森田秀一)そうですね。EPですかね。
(宇多丸)カイという方なんですけども。この方は元BELLRING少女ハートというプログレ調というのかな? サイケデリックみたいなグループ、BELLRING少女ハート。で、それの名前が変わってThere There Theresっていうグループになって……という。そのグループのメンバーだった方なんですけども。そのカイさんがソロ展開をしていて。で、いま後ろでかかっている曲はカバーなんですよ。1982年に真鍋ちえみさんという、当時パンジーという女の子3人組。女の子版たのきんなんて言って売り出していましたけども。その真鍋ちえみさんのアルバムというのがテクノ歌謡というジャンルのクラシックとされていて。
(森田秀一)そうですね。いまだに聞かれている。
(宇多丸)で、その真鍋ちえみさん、再発されたんですよ。ちょうど2005年かなんかに。で、2005年、僕はこの連載で真鍋ちえみさんのアルバムが再発されたということで。
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(宇多丸)その時の原稿を読み返してみたらシーンに対する愚痴がただごとじゃなくて(笑)。
(森田秀一)フハハハハハハッ!
(宇多丸)「こういうコンセプトとか曲調を絞ったアルバムがもう出てくることはないかもしれないけど、こういうことをやっていかなきゃダメなんだよ!」みたいな。でも、いまはもう考えられない。アルバムからなにから、よりどりみどりだから。
(森田秀一)そうですね。その曲(『不思議・少女』)のカバーをいま、現行アイドルでやっているのが……。
(宇多丸)そう。このカイさんという方は高校時代からこの真鍋ちえみさんの楽曲が好きで、ソロになったら昭和歌謡やテクノ歌謡も歌ってみたいと思っていたということで。
(宇内梨沙)へー! いま、おいくつなんですか?
(宇多丸)いや、全然まだ……。
(森田秀一)きっかけが謎すぎますよね。世代が違いすぎる。
(宇多丸)下手すると、わかんないよ。その2005年の再発のタイミングで知って……とか。マブ論を読んでいたのかもしれないよ。で、とにかくカイさん、そんな感じなんですよ。なのでいま後ろで流れている『不思議・少女』のカバーはアレンジも原曲に忠実で。歌い方とかも。で、そんな感じでいろんなカバーもやっていて、そのカバーの曲のセンスもいいんですけど、私が今回ぶっとばされたのは2曲、オリジナル曲が入っているんですけども、その2曲のクオリティーがただごとじゃなくて。
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(宇多丸)今日、お聞きいただきたいのは先月、NegiccoのKaedeさんのソロ曲で『クラウドナイン』という曲のプロデューサーとしても名前を出しましたカメラ=万年筆というグループの佐藤優介さん。この方が手がけた曲で『遊星よりアイをこめて』という曲なんですけども。これがね、本当に80年代テクノ歌謡のうまみを全部すくいとって今風にアップデートしたみたいな感じで。「80年代の知られざるこんな名曲が実は埋もれていたんですよ! いまの技術でミックス・マスタリングして出し直しました」みたいな感じで、ちょっとこのクオリティーにぶっ飛びましたね。今月はこれがもう……。
(森田秀一)ぶっちぎりですね。
(宇多丸)ぶっちぎりという感じです。今年のベストソングの上位入り間違いなしという感じです。お聞きください。カイで『遊星よりアイをこめて』。
カイ『遊星よりアイをこめて』
アフター6ジャンクション(1)【カルチャートーク】など | TBSラジオ | 2019/06/27/木 18:00-19:00 https://t.co/GLJPq0kY8O #radiko
カイ『遊星よりアイをこめて』— みやーんZZ (@miyearnzz) 2019年6月28日
(宇多丸)はい。ということでカイさんの『遊星よりアイをこめて』をお聞きいただきました。鬼クオリティーですね。
(森田秀一)かっこいいですねー!
(宇多丸)こういう感じの曲ってもちろん、それ風の曲をやることはできるんだけど、なんか音色とかそういうのをちょっと間違うとやっぱりすごくダサくなっちゃう。だから意外とこれ級は狙ってできるものじゃないっていうか。やっぱりこの佐藤優介さん、恐るべしだと思いました。声質とかもカイさん、歌い方とか合っていて。本当に素晴らしい。あと、ミュージックビデオがまた昔風というか。
(森田秀一)そうですね。80年代後半の歌う天気予報みたいなもののパロディーをやっていて。
カイ『ムーンライト・Tokyo』
(宇多丸)これはだから感覚がヴェイパーウェイヴ時代というか。若い人が昔のレトロなものに触れてそれをフレッシュに感じていまの感性でそれを出してくれるっていうか。本当、ヴェイパーウェイヴな時代にふさわしい感じのセンスだなと思いました。めちゃめちゃ素晴らしいと思います!
<書き起こしおわり>