星野源さんが2021年8月31日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でリスナーからのお悩み「自分の思いを上手く相手に伝えらず、時々爆発しそうになります。解消法があれば教えて下さい」に対して回答をしていました。
今夜の #星野源ANN では、9/4(土)に開催が迫った『リスナー大感謝パーティー』の新企画をさらに発表!
スペシャルゲストの佐久間宣行さんには、野木亜紀子さん脚本の星野ブロードウェイにもご出演いただきます!次回9/7(火)はゲストにオードリー・若林正恭さんが登場です!https://t.co/EiBD0SUyYU pic.twitter.com/jhRHfWUBxs
— 星野源 Gen Hoshino (@gen_senden) August 31, 2021
(星野源)どうも、こんばんは。星野源です。お悩み相談のコーナー。埼玉県の方。「嫌なことを言われたり、されたりするとその場ではヘラッと笑ってやり過ごしたり、なんともないふりをしてしまうのですが夜、1人になると途端にいろいろと思い出してしまい、悔しさで爆発しそうになります。相手に言い返したり、やり返す妄想をしてどうにか精神を保っていますが、いつまでも心にしこりとなって残り続けます。何かいい解消法をご存知でしたら、ぜひ教えてほしいです」という。
いつも、ビフォートークっていうね、YouTubeとInstagramでやっている、番組が始まる前に気づいてね的な感じでこの番組のYouTubeチャンネルでやったりとか、Instagramでも僕の目の前にいる作家の寺ちゃんを映しながら、ちょっとお悩み相談コーナーを5分ぐらいやるんですよ。毎週、生で。
で、今回はちょっと音声トラブルで、いつものねディレクター野上くんのパソコンが使えなくなってしまって。ちょっと急拠、違う方法でしゃべったんだけど、諸々ちょっと遅れちゃったりとかしたんで。音声のトラブルでバタバタしちゃって。で、相談メールを読めなかったので今、読んでみようかなっていう感じですね。
いやー、これはとてもね、僕は気持ちがわかりますよ。特に中高、20代はだいたいこんな感じでしたよ。僕も。僕は中学、高校となんて言えばいいんだろう? 今、こういう仕事をして、たとえばラジオで自分の言葉でしゃべれているじゃないですか。で、何かメッセージを言ったり、曲にメッセージを込めたり。自分の思いをしゃべったりとか。今はもうすごく、難なくできるようになりましたけれど、自分が思っていることを人に伝えるのが本当に苦手だったんですよ。
自分の思いを人に伝えるのが本当に苦手だった
(星野源)だからたとえば親に何か言いたいことがあったりとか。友達……すごい仲のいい友達とかに言いたいことがあっても、言えなくて。で、すごい仲いい人とか親とかがすることに対してストレスを感じていて、それを感じているんだけど、それが言えなくて。もう爆発するまで行って、急に爆発して。涙が止まらなくなって。で、「こうなんだ!」って泣きながら言うと「そんなことを思っていたの?」みたいな。なんか、そういう子供だったんですよ。
で、いわゆる学校とかさ、この方が何歳なのかはちょっとわかんないけど。僕は学校で友達はいたんですけど……何て言えばいいんだろう? 結構、情けないタイプの人間で。たとえば自分1人で自分の好きなことを突き詰めるとか、そのコミュニケーションが僕、苦手だったんで。こう、たくさん友達がいるタイプではなかったですよね。
でも、自分のビジョンっていうか、自分の世界をちゃんと持って。自分1人で楽しみますみたいな人間になりたかったんだけど、そこまでする勇気がなく。かといって、100パーセント自分を殺したりとか、あとは人にめちゃめちゃ合わせたりとか。あとはもう、たとえば人気者的なものが好きそうなものを勉強したりとか。それで話が合うように、そして話をちゃんと面白く話せるように考えてみたりとか。それをやりきれるタイプでもなかったの。
だから、自分の世界的なものを大事にしてみたり、なんかちょっとなんとなくその場の空気に合わせてヘラヘラしてみたり。で、「なんとなく今、友達になってるかな? 大丈夫かな?」みたいなことをすごく考えながら、でも何かの拍子に自分がその輪に入っていないことをすごく感じて、1人でトボトボ帰るみたいな、そういう中高時代をずっと過ごしてきて。で、その後に社会に出て、バイトだったりをする時に、たとえば急になんか傷つくようなことを言われても「ハハハッ……」みたいな感じでなんとなく、急にそれに対して「いや、それはおかしくない?」って言える人間じゃなかったですよ。
だからやっぱりそれを「ハハハッ、そうだね」とか言ったりとか。「ああ」とか「ええっ」とか。そういう中途半端なリアクションを返して。で、その場は別にそんなに気にならないだけど、だんだん家に帰ってきてとか、あとやっぱり一番それが爆発するのはシャワーを浴びてる時ね(笑)。シャワーを浴びてる時ってなんであんなにさ、心の中に止めてたものが出てくるんだろうね? すごい不思議なんだけど。
それでやっぱり、同じですよ。もう何か、爆発しそうになるの。で、それはさ、相手に対してもそうなんだけども、自分にも腹が立つっていうかさ。でもね、なんかいつの間にかそれ、ないんだよな。だから……でもなんというか、そういうのが僕は苦手で。その自分の本当に素の状態で自分の意見を言うとか、自分の思いをちゃんとその場でその人に伝えるとかっていうのが昔は苦手だったから、音楽をして詞を……詞を書くのもさ、時間がかかるわけじゃん? でも、その時間がかかる中で「ああ、俺が考えてるのってこういうことなんだ」ってことが時間がかかってわかってきたりとか。
あとは、お芝居をすることによって、自分が考えたセリフじゃないんだけど。人が考えたセリフだから、すごく無責任に明るい役だったら明るくなれたし。怒る役だったら普段は怒れない、その怒りパワーみたいなものがもうあり余っていたからめちゃめちゃ怒れたし。だからそういう、なんて言えばいいんだろう? 2種類の疑似体験を……自分の思いをちゃんと伝えようっていうことを詞とか音楽という感情が乗る表現に乗せて表現することができて。で、役者という自分が思ってることじゃないんだけどそ、の登場人物だったり役の感情に自分がなるとか、自分が近づくとか、役になるとか。そういう2種類のことで僕は人になれていったんだと思うんですよね。
で、あともう1個は僕はエッセイだったり文章が書けるようになりたくて。文章がとても下手だったんですよ。でも、なんか「いつか、本を出したい」みたいな欲望だけはあって。それに対してたとえば文章教室とかに通うのももちろんありなんだけど。その時はもうハタチを越えていて、SAKEROCKとかもやっていたし、役者の仕事も少しずつし始めていた頃だったんで。これはもう自分で練習を……自分が怠けタイプなので。自分1人でやっていたら練習しないだろうなと思ったから、「仕事をさせてください」っていろんな人に頼みに行こうと思って。
これ、いろんなところで話していますけども。「どんな少ない文字でもいいんで、エッセイでもコラムでも何でもいいんで、やらせてください」って頭を下げて。で、本当にその相談をしに行った人が快くというか、いい人で。やらせてもらえて。それをやることによって、もう強制的に文章をやらなきゃいけないんで。どうやったら伝わるかとか。で、編集者さんがいてさ、自分が書いたものに対してダメ出しをもらって。「ああ、そうか。これが伝わらないんだ」とか「これがおかしいんだ」とかっていうのをいろいろやる中で、元々ものすごいメールの文章が下手だったんだけど。自分の思いを伝えるのが。
たとえばトラブルがあって、「すごい腹が立つ! なに、これ? すごい腹が立つんだけど。この仕事の案件!」って。でも、腹が立っているんだけど、その腹が立っていることを文章にできないわけよ。腹が立っていからもう「腹が立っています!」みたいな文章しか書けないの。でも、それって建設的な話にならないじゃん? もう全然進まないわけ。それって。で、それが嫌で。で、文章が上手くなりたいから。エッセイも書けるようになりたいけど、日常生活もうまくなりたいと思って。それでやっぱり仕事にしていったらたくさん練習になって。まあ、荒療治ではあると思うんですけど。
でもやっぱり、とてもいろんな人の目に触れるというのは怖いことなので。失敗はいっぱいしてるんですけど。そうなるとちょっとずつ自分の思うことが伝えられるようになるんですよね。だからなんかね、それは僕にとってはその「悔しさで爆発しそうになります」というこの方の話はね、とても自然なことで。「わかる、わかる」っていうか。だから、僕はいろんな機会がね、自分の中で「これだ!」っていうのが何個かあって。たぶんこれを、どれか1個にしろって言われたらたぶんちょっとまたバランスが悪かったと思うんですけど。僕はいろいろとやりたかったんで。いろいろとやることによって、自分自身っていうものの想いみたいなもの。あと、自分がどういうことを考えてるのか?っていうのはね、ほとんどの人があんまりわかってない人も多いと思うんですよ。
ラジオをやってみることがおすすめ
(星野源)もちろん、わかっている人もいると思うけど、わかんない人っていうのも結構いると思うんで。だからたとえば文章を書いてみるとか。あとは本当に何回も言ってるけど、ラジオをやってみるのがね、いいですよ(笑)。この番組で何回も言っているけども、ラジオをやっていれば、解決はしないかもしれないけど。結構変わることもあるよっていう。だから、誰でもラジオができるアプリみたいなものも最近はあるし。なんかね、仕事として……まず最初はならないかもしれないけど。表現としてやってみるとか、仕事としてやってみるとかしてみるとね、ちょっと変わってくると思います。
で、やっぱりそう思うとね、その嫌なこと言われた相手への怒りで爆発っていうよりかは、やっぱり自分に対しての悔しさだったりするんだよね。その爆発っていうのは。だからそれが自分が素直に何かを吐き出せたり、ちょっと時間が経ってからでもいいから、それが吐き出せたりすると……またね、たぶんそれをSNSとかに反射的に吐き出しちゃうのとはまた違うと思うんだけども。なんか、そういう形でお仕事として何かを、人の顔を思い浮かべながら何かをやるとか。「これを受け取る人がいるんだ」って思いながら何かを表現するっていうのはいいことなのかもしれないと思います。はい。そんな感じで相談のコーナーなどを唐突にやってみましたがいかがだったでしょうか?
<書き起こしおわり>