安住紳一郎さんが2021年1月3日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で過去の番組の放送を振り返り。2009年2月8日に放送したリスナーへの醤油プレゼントと当選した「口の堅い男」について話していました。
(安住紳一郎)さて、いつもは「お出かけリサーチ」。TBSラジオキャスターの中継コーナーですが、今日はお休みということです。『日曜天国』、放送が2005年からスタートしまして今年で17年目を迎えるということなんですけれども。この16年、いろいろ昨日録音を振り返りまして。いろんな歴史があるなと思ったんですが。最近は私の「醤油が好き」というプロフィールも随分たくさんの人が知ってくれることになりまして。日本でただ1人のしょうゆ大使を拝命いたしまして日本醤油協会の方からコマーシャルなども出稿していただきまして本当に番組も助かってるですけれども。
(安住紳一郎)そんな醤油好きを皆さんに披露した一番最初のきっかけになったんじゃないかなという放送がありまして。それが今から11年前、2009年2月ですね。熊本のお醤油で美味しいのを見つけたんだという話をしたらですね、熊本の醤油メーカーの社長さんが私宛に大量に醤油を送ってくださいまして。ただ、自分1人で使い切れないもんですから、ラジオをお聞きの皆さんにお福分けということになったんですけども。
熊本の醤油メーカーの社長には知られたくない
お福分けするとね、結構たくさんの人が「安住が醤油を配っている」みたいなことになって。それはそれで立場がまずいんだということで。「俺から醤油をもらった」っていうことはあんまり言わない人に醤油をプレゼントしたいという、ちょっと私が天の邪鬼プレゼント企画がスタートしたんですね。その時の録音がありましたので、お聞きいただきましょう。「口の堅い男」。
<音源スタート>
(安住紳一郎)「私、醤油を趣味にしているんです」ということをお話しました。それが全ての始まりなんですが。九州のある醤油メーカーの社長さんがその放送をポッドキャストでお聞きいただいたようで。大変に私にエールを送ってくださいまして。『頑張ってください。手前どもの作っている醤油です。ご賞味ください』という風に、なんと番組に送ってくださったんですよね。
(中澤有美子)ありがたいですよね。
(安住紳一郎)本当に嬉しかったですね。熊本っていうのは贈り物をする際っていうのは相手が困るくらいの量を送るのが礼儀らしいですよ。正直、ちょっと私も独身ですし、スタッフも限られているので、ちょっと私たちだけでは使い切れないなという状況に陥ったわけですよね。そこで『日曜天国』をお聞きの皆さんにその熊本からいただきました醤油、少し余っておりますので。『少し』と言いましても醤油4箱あるんです。で、これをどなたかにお譲りしたいなということを先週お話しした。でも、私はその九州の醤油メーカーの社長さんからいただいたじゃないですか。
それで、それを私は意気に感じて。自分で本当は使い切りたかったんですよね。でも、使い切れないので皆さんにお譲りする。でも、その結果を熊本の醤油メーカーの社長さんには知られたくないんですね。「これは安住くんにあげたんだから」っていう気持ちを人として守りきりたいところがあるんですよ。ということで、九州の醤油に抵抗なくシフトできる人はもちろん。さらには使い切れるっていう条件もクリアして、さらに口が堅いっていう。
(中澤有美子)そうそう。そうです、そうです。
(安住紳一郎)ノークレームノーリターンノーしゃべり。これが条件でございました。300通余りの中から今回は厳選な抽選ではなく、私が個人的に『この人だったらたぶん大丈夫じゃないかな? 九州の醤油に抵抗なくスイッチできて、しかも使い切ってくださって、さらに口が堅い。この3つの条件をクリアしている方』ということで。一応、私は最終的にこの方に決めました。かけてみます。
(電話をかける)
(イシヅカ妻)はい。イシヅカです。
(安住紳一郎)あ、朝早くに恐れ入ります。TBSラジオを担当しています安住と申しますけれども。ご主人様いらっしゃいますでしょうか?
(イシヅカ妻)少々お待ちくださいませ。
(イシヅカ夫)はい。イシヅカです。
(安住紳一郎)突然お電話、申し訳ございません。TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』を担当していますアナウンサーの安住と申しますが。
(イシヅカ夫)ああ、どうも。
(安住紳一郎)イシヅカさんは先週、番組宛てに『熊本の醤油がほしい』というようなファックスをお送りになりましたか?
(イシヅカ夫)いいえ、送りませんが。
(中澤有美子)フフフ(笑)。
(安住紳一郎)本当に送ってないですか?
(イシヅカ夫)ええ。
(安住紳一郎)記憶にない?
(イシヅカ夫)記憶にないですね。送ってないですよ。
(安住紳一郎)知らない? ああ、そうですか。いや、手前どものところにイシヅカさんからいただいた『熊本の醤油がほしい。私は口はめっぽう堅いイシヅカで通っているんです』というようなファックスが届いているんですけれども。知らないですか?
(イシヅカ夫)ええ。記憶にないですね。
「記憶にないですね」
(安住紳一郎)ああ、ねそうですか。今、先ほど出られたのは奥様でいらっしゃいますか?
(イシヅカ夫)はい。家内です。
(安住紳一郎)ちょっと変わっていただけますか?
(イシヅカ夫)はい、すいません。ちょっと待ってください。
(中澤有美子)フフフ(笑)。
(イシヅカ妻)あ、もしもし。お電話かわりました。
(安住紳一郎)突然、すいません。ちょっとご主人と仕事のお話がありまして。あの、奥さん先週、ご主人が熊本の醤油がどうたらとかいう話、家族でされてませんでした?
(イシヅカ妻)いいえ。全然、はい。聞いておりませんけれども。何かのお間違いじゃあ?
(中澤有美子)す、すごい!(笑)。
(安住紳一郎)なるほど。
(イシヅカ妻)どういうことでしょうか?(笑)。
(中澤有美子)本物だ……(笑)。
(安住紳一郎)奥さん、今、笑いませんでした?(笑)。そうですか。全くご主人からそんな話は聞いていない?
(イシヅカ妻)はい。聞いていないんですけども。
(安住紳一郎)「熊本の醤油に応募したんだ」なんて話、聞いてないですか?
(イシヅカ妻)はい。聞いておりませんけども。なにか応募、しました?(笑)。
(安住紳一郎)ええ(笑)。ご主人にかわってください。
(イシヅカ妻)少々お待ちくださいませ。
(イシヅカ夫)はい。たびたびすいません。
(安住紳一郎)すいません。お手間を取らせまして。じゃあ、イシヅカさんは本当に応募をしてないということですね?
(イシヅカ夫)はい。
(安住紳一郎)いいんですね、それで?
(イシヅカ夫)はい。それで結構でございます。
(安住紳一郎)わかりました。じゃあ、すいません。なんかこちらの手違いでございました。すいません。じゃあ、失礼いたします。
(イシヅカ夫)はい。頑張ってください。
(安住紳一郎)失礼します。
(イシヅカ夫)はい。どうも。失礼いたします。
(電話を切る)
(安住紳一郎)うん、この人で決まりだな!
(中澤有美子)そうですね!(笑)。間違いないですね!
(安住紳一郎)大したもんだな! 大した口の堅さだよ!
(中澤有美子)すごい、本当に!
(安住紳一郎)でも、奥さんはちょっと笑っていたよね?(笑)。
(中澤有美子)そうでしたね(笑)。素晴らしい!
(安住紳一郎)いや、すごい。うん。素晴らしい。
(中澤有美子)間違いない(笑)。
(安住紳一郎)間違いない。うん。よし、この人だったら間違いない。間違いない、この人だ。いたもんだね。
(中澤有美子)本当に堅いんだ(笑)。
(電話をかける)
(イシヅカ妻)はい。イシヅカです。
(安住紳一郎)たびたび申し訳ありません。先ほど、お電話いたしました安住ですが。
(イシヅカ妻)ああ、はい。
(安住紳一郎)すいません。なんどもお手間を取らせまして。ご主人、いらっしゃいますか?
(イシヅカ妻)少々お待ちくださいませ。
(安住紳一郎)恐れ入ります。
(イシヅカ夫)はいはい。
(安住紳一郎)イシヅカさん。結果が出ました。イシヅカさんにします。
(イシヅカ夫)なにを?
(中澤有美子)フハハハハハハハハッ! 素敵!(笑)。
(イシヅカ夫)えっ? なんの話ですかね?
(安住紳一郎)そうですよね。あの、近々、よい知らせが届くと思います。
(イシヅカ夫)ああ、そうですか? ボトンと?
(安住紳一郎)ええ、ボトンと。ありがとうございます。では、失礼いたします。
(イシヅカ夫)はい、どうも。ご苦労さま。
(中澤有美子)失礼いたします。
(電話を切る)
(安住紳一郎)見事だね?
見事な口の堅さ
(中澤有美子)素晴らしいですね!(笑)。ここで「やった!」とは……。
(安住紳一郎)言わないんですよ。「なんのことでしょう?」っていう。素晴らしいですね。
(中澤有美子)いやー、粋な方ですね。
(安住紳一郎)この人の口の堅さならば大丈夫だと私は思います。
(中澤有美子)はい!
<音源おわり>
(安住紳一郎)どう? 最高でしょう? ラジオ・テレビのバラエティっていうのはだいたいパターンが出切っているんだけども、これは見たことも聞いたこともないもんね。だって1回目の電話で「あなた、応募しましたよね?」って言って「いいえ、応募してません」って言ったらそこで自分のプレゼントの応募がね、反故になるんじゃないかって普通はね、もうちょっと怖くて怖くて仕方がないはずなんですけど。
そこでも「いいえ?」って。少し食い気味に来てますからね。奥さんも「いいえ?」みたいな(笑)。で、もう1回電話しても決して「自分が応募した」って言わないですよね。イシヅカさん。その後もね、ずっと今でもお便りをくださっていますけども。あの時の醤油の話はその後感想を一切述べませんからね(笑)。こんなこと、ありますか? 最高ですよね! たくさんの優秀なリスナーに支えられているというのも私たちの番組の自慢です(笑)。
<書き起こしおわり>