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矢野利裕と宇多丸 嵐の音楽的魅力を語る

矢野利裕と宇多丸 嵐の音楽的魅力を語る アフター6ジャンクション
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矢野利裕さんが2020年12月23日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。嵐の音楽的魅力について、宇多丸さん、日比麻音子さんと話していました。

(宇多丸)ということで、駆け足だけどギュッと凝縮してジャニーさんのイズムを解説していただきました。

矢野利裕と宇多丸 ジャニー喜多川を語る
矢野利裕さんが2020年12月23日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。嵐の音楽的魅力を語る中で、その前提条件としてのジャニー喜多川さんについて、宇多丸さん、日比麻音子さんと話していました。 (日比麻音子)こ...

(日比麻音子)では、ここからは嵐の楽曲的な魅力について解説していただきましょう。矢野さん、お願いします。

(矢野利裕)はい。1999年、ハワイの洋上で嵐爆誕!

(宇多丸)ということで、先ほど、初代ジャニーズから始まってジャニーさん、いろんなグループを送り出してきた。フォーリーブスなんかもいたしね。たのきんトリオがいて、シブがき隊がいて、少年隊、光GENJI、SMAP、TOKIO、KinKi Kids……いろいろとデビューをさせてきた。そういう流れの中で、嵐がデビューをするということで。

(矢野利裕)そうですね。嵐がデビューしたのは1999年9月15日。ハワイのホノルル沖のクルーズ客船でデビュー記者会見を行なったという。これは結構印象的でした。

(日比麻音子)クルーズ船でやるっていうのも、これはやっぱりジャニーさんの演出なんですかね?

(矢野利裕)そうでしょうね。あれもすごくやっぱり印象的でしたけど。僕自身はその嵐の二宮さんとか松本さんと同い年で。1983年生まれなんですね。なので、さっきもちょっと言ったんですけども。その時々のアメリカの音楽とかショーアップされた音楽を、たとえば70年代後半だったらディスコになるし。もうちょっと前だったらモータウン調になるしとかっていう中で、じゃあその1999年は何だったか?

れは自分自身の記憶と共に考えると、やっぱりヒップホップがすごく台頭してきた時期で。同時期にDA PUMPさんがいたり、Dragon Ashの活躍があったり。ZEEBRAさんがメディアにすごく登場したり。そういう時代背景の中で、ラップが入った曲として嵐が『A・RA・SHI』という曲でデビューするっていうところだったんですね。

(宇多丸)あと、それこそさっきのアメリカ人としてのジャニーさんということで言うと、「ハワイ・ホノルル沖で」っていうのはさ、要するにそこで日本の嵐……ザ・日本な名前のついたグループをデビューさせるっていうところに一種、すごく因縁な場所なわけじゃないですか。パールハーバーなんかもあって。だから、そこであえて平和的なメッセージとしての自分のエンターテイメントを「ここでひと区切り」じゃないけど。ここぞっていう感じで出したっていうところもあるんじゃないかな?

(矢野利裕)そういう風にも思っちゃいますよね。ハワイって聞くと。

(宇多丸)まあ、僕は99年は『リスペクト』っていうアルバムを出している時で。まあゴリゴリなんですけども、そのゴリゴリ時代にでも、やっぱりそういう日本のポップミュージックもすごい好きだったし。この頃はそろそろ僕の中で『申し訳ないと』的な……要するに日本語物をDJ的にミックスするイベントみたいなことをやりたいなって。

まだ当時はミッツィーさん……あ、DJ OFFICE LOVEさんね。嵐三郎さんね。彼と出会う前だったんだけど、なんとなくそういうアイデアが僕、生まれ始めていた頃でもあって。そういう中で、ラップ専任というか、ラップが得意だという子がいるグループもそれは出てくるよなっていう。まあ、DA PUMPがそもそも相当なクオリティーだったんだけども。「ああ、ジャニーズからもこういうのが出てくる時代だよな」っていうのがあって。

ただ、嵐にガーン!ってハマるのはもうちょっと後なんだけども。まずはそういう感じで。あと、櫻井翔くんがこの頃だったかどうかは忘れたけども。普通にVERBALとかジブさんとか、いろんなつながりとかもあったりして。みんな知ってるみたいのもあったみたいで。

(日比麻音子)なるほど。

(宇多丸)で、これデビュー曲が『A・RA・SHI』なわけだけど。これ、曲に関してどうですか、矢野さん?

(矢野利裕)もう本当に当時の印象は僕もラップとかヒップホップがすごい好きになって。でも、そういう音楽がかかるっていうこともまだまだ珍しいっていうか。ラジオでヒップホップがかかったら「あっ、ヒップホップだ!」みたいな、そういうところがあって。

(宇多丸)まだこなれきっていないしね。

(矢野利裕)それで、一緒にしゃべれる人もいないなっていうぐらいの時に、ジャニーズど真ん中でラップがめちゃめちゃ入ってきてるみたいなことが1個、すごく印象的でしたね。

(宇多丸)今でこそさ、ラップメンバーみたいなのがいるけどさ。本当にその走りだよね。K-POPとかだってそうだけどさ。

(日比麻音子)そうですよね。

(矢野利裕)で、サウンド自体はかなりファンキーな感じで。なんかすごく、いわゆるゴリゴリみたいな感じじゃないけども、すごいノリのいいダンスミュージックが出たな、みたいな。そういう感じです。で、それはジャニーズって基本的にその直前の先輩の楽曲の音楽性を引き継ぎながら更新して。それで自分たちのカラーを定めていくみたいな傾向がずっとあって。嵐で言うとそれはやっぱりSMAPをちょっと意識しながら。SMAP路線をやりながら、そこからどうして行こかな、みたいな。振り返るとそういう時期みたいな感じがします。

で、じゃあ、そのSMAPの音楽路線って何か?って言ったら、さっき僕も高橋芳朗さんのコーナーを聞きながら来たんですけど。まさにフリーソウル。それでなぜ、SMAPがフリーソウルかっていうのはいろいろあって、ここではなかなか短い時間で言うのは難しいんですけども。でも、やっぱりクラブミュージック以降の感覚を持った生音の感覚というのがSMAPの1個、大きな点としてあるんですね。で、嵐は特に2000年代前半というのはそういうフリーソウル的なSMAP路線の曲でも結構いい曲があったなと思います。

(日比麻音子)なるほど。では、そのSMAP路線の嵐さんの楽曲をひとつ。矢野さん、なんでしょうか?

(矢野利裕)はい。『愛してると言えない』という曲です。では、お聞きください。嵐で『愛してると言えない』。

嵐『愛してると言えない』

(宇多丸)嵐『愛してると言えない』。2002年発売の2枚目のアルバム『HERE WE GO!』に収録されている曲です。たぶんさ、SMAPの……もちろん楽曲もそうだし、まだこの頃はコーラスがバラけているというか。それがSMAPの良さなんだけども、凸凹した感じというか。そこにちょっと通じるのかなって。やっぱりすごい、テイストとしては近いよね。

(矢野利裕)そうですね。まあ、生音のあるホーンが入ったりとか。あと、これともうひとつ、同じアルバムの『眠らないカラダ』とどっちにしようかなって今日、ずっと考えながら来たんですけども。『眠らないカラダ』の方は結構フォーキーソウルっていうか、まさに本当、フリーソウルで再評価されたようなフォーキーな感じとかもあって。生音なんだけどもイモっぽくないというか。ダンスミュージック以降の感覚で聞けるっていう、そういうところでめっちゃいい曲がやっぱりこのへんはありますよね。

(宇多丸)なにしろ2002年は僕はあの『a Day in Our Life』が出てた年なんで。僕はここでもう完全に……まあ『木更津キャッツアイ』もすごい好きだったし。「ヤバくない、これ?」って。もうDJもこの頃、始めてたんで。もうキラーチューンっていうか。

(矢野利裕)『a Day in Our Life』はサビもラップだったっていう。全然メロディーに頼らない時代になってきたんだなっていうのも当時、思いましたね。

(宇多丸)で、当然櫻井くんのラップもどんどん良くなっているし。で、あとやっぱりその少年隊の『ABC』っていうこの名曲中の名曲を回転数を遅くして……要するに、カニエ・ウェストがやるよりも早いっていうか。回転数を変えて、そして歌が流れている上に重ねてしまうっていう。世界的にもこれ、早い試みで。「マジでヤバいぜ!」っていまだに本当、好き。今、後ろで流れているだけで鳥肌!っていう感じだけども。うん。

(宇多丸)はい。ということで出だしは模索をして。らしさを探している時期っていう感じですかね。

(日比麻音子)では、次のパートに行きましょう。

(矢野利裕)はい。嵐が国民的グループになるまで。

(宇多丸)はい。どのあたりからかな?って考えるけども。前回、『ウィークエンド・シャッフル』で2008年に「音楽ファンに捧ぐ 食わず嫌いのための嵐特集」というまさに、嵐の音楽的なところにフォーカスした特集をオギー申し訳Jr.というちょっと変な人なんですけども。彼の詳細な解説でやったんだけど。で、その時点では……たぶんその2008年ってまあ『Step and Go』が僕らのキラーチューンで出ていたりして。音楽的にも乗っていたし。

(宇多丸)あとは、やっぱり『花より男子』だよね。『花男』でなんか1個……。

(日比麻音子)ちょっと塗り替えた感じがしましたよね。

(宇多丸)存在感が上がったかなっていう感じが……。

(矢野利裕)なんか、櫻井さんも自分で「やっぱり『花男』だったんじゃないか」っていうことを仰っていたぐらいで。やっぱりそのへんがすごく存在感が大きくなっていった時期だと思います。同時期は、それこそ櫻井さんが『news zero』を始めたりとか。

(宇多丸)そうだよね。そんな時からやっているんだね。あの人! すごいな!

(矢野利裕)あとは二宮さんが映画で活躍されたりとか。個々に活躍の場を広げていって。まあ、それが2005、6、7年っていう時期ですね。

(日比麻音子)全てのジャンルで嵐の皆さんがもうド級に活躍していた年ですね。

(矢野利裕)で、続編にあたる『花より男子2(リターンズ)』。その主題歌が『Love so sweet』で。これがものすごいヒットして。で、後々CMで使われたりして。結構やっぱり代表曲のひとつかなって思います。

(日比麻音子)国民ソングですよ!

(宇多丸)ここで国民的感が出てきたという。で、この時期、嵐は楽曲的にはどうだったんでしょうか?

(矢野利裕)これは結構「こう」と言えないところがあって。本当にSMAP的な路線もやりつつ、もっともっといい意味で間口を広くしていこうっていう風に試行錯誤していた時期っていうのが僕の印象ですね。

(宇多丸)それこそ、さっきの嵐三郎さんも言ってたけど。たぶん国民的グループにしていくっていう時に、ちょっと曲をフラットにしたっていうか。ものすごくダンサブルとか、俺たちがギャーギャー言うような曲じゃなくて。なんかフラットに入れる曲にあえてしていたんじゃないかっていう。そういうのもあるんじゃないかなって。

(矢野利裕)そうですね。まあ、普通に考えてカラオケで歌いやすいとか。みんなで騒げるとか。そういうことを意識して。で、世界のトレンド自体もすごい多様化してきたということもあるので。本当に一言で言い表すのは難しいんですけども。そういういい感じのフリーソウルだったりディスコ的なところも残しつつ、それを最大限、いかに広めていくかっていう、そういう時期という風に考えています。

(宇多丸)はい。でも、そんな中でもそれこそ『Step and Go』とかさ、もうダンスフロアでもキラーチューンみたいなのが全然出てるから。やっぱりさすが、クオリティーが1回も落ちたことがないっていうね、すごいよね。

(日比麻音子)どんどん上げていくばかり。

(矢野利裕)その中で、僕自身も結構ブラックミュージックだったりとかが好きなところもあるので。そういう曲もいいなと思いつつも、でも普通にポップスとしていいなっていう……なんか自分の中ではその感じを折衷した『きっと大丈夫』をこの後にかけたいと思うんですけども。まあ、2006年なんですね。で、本当にもうある意味こなれていて。あ、もうかかっていますね。

嵐『きっと大丈夫』

(矢野利裕)で、『きっと大丈夫』は僕が感じるすごい嵐っぽさというか。「これだ!」っていう。

(宇多丸)たしかに。完成した感じ、するね。

(矢野利裕)すごくみんな前向きだし、すごく楽しそうに歌ってるし。で、サウンドはよく聞くとすごいめっちゃかっこいいし。でも、みんなでも歌えるし、とか。なんかすごくこれが、うん。もしかしたら一番好きかもしれないですね。

(宇多丸)ある種、嵐らしさの完成系がここでバンとできたっていう。しかも、ラップから入るしね。

(矢野利裕)そうなんですよ。

(宇多丸)ということで、櫻井くんのラップっていうところもフィーチャーしていきたいんですけど。矢野さんから見て、どうでしょう?

(矢野利裕)そうですね。櫻井さんは「サクラップ」なんて親しまれていますけども。本当にそういう意味では同世代っていう感じがあるので。ラップはなんか普通に好きになるし、普通にやってみたいし、みたいな。やっぱり自分の感覚としてもすごくあって。そういう中でアイドルをしている人って印象がすごいあるんですね。

で、櫻井さんは『Anti-Anti』っていう曲とかでは「アイドルがラップするなんて」みたいなこと、自虐的なところをイントロで使いながら、「じゃあ見せてやるよ」みたいな感じでやったりしていて。あと、今背後でかかっている『COOL & SOUL』っていう曲なんかでもすごくクオリティーの高い感じがあるんですね。

櫻井翔『COOL & SOUL』

それで、次にかける曲を先に言っちゃうんですけども。『Hip Pop Boogie』をかけたいんですね。で、結構これは今回、個人的な思い入れもあるんですけども。世界の中でヒップホップとかラップミュージックみたいなものがもうすごい流行って。まあ今だったらBlack Lives Matterみたいな話もあって。その中で、自分がヒップホップを聞くことの意味とか、そういうことを好きになっていくことの意味っていうのはやっぱり自分もすごい考えたところがあるし。

(宇多丸)櫻井くんだってめちゃめちゃ、そのいろんな構造とか状況を分かった上でやってるわけだからね。

(矢野利裕)そうですよね。で、櫻井さんも……これ、勝手に言ってますけども。なんか同じようなことをね、特に好きであればあるほど、自分の立場……「嵐」っていう立場でラップをするっていうことへの自問自答はするんじゃないかな?っていう気持ちをすごい感じていて。そこに対して1個、『Hip Pop Boogie』は回答を示したようなところがあって。で、ちょっとご本人を前にしてこんなお話をするのもすごい恐縮なんですけども。自分の本の中ではRHYMESTERの『ザ・グレート・アマチュアリズム』とこの『Hip Pop Boogie』がセットというか。同じようなところがあって。

(宇多丸)ありがとうございます。

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