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西寺郷太・宇多丸が語る 80年代洋楽 5つの特徴

西寺郷太・宇多丸が語る 80年代洋楽 5つの特徴 西寺郷太TAMAGO RADIO
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宇多丸さんが2013年12月にTBSラジオ『西寺郷太TAMAGO RADIO』に出演した際の模様です。お二人が大好きな80年代洋楽について、特徴的な5つの要素にもとづいて選曲し、紹介していました。

(西寺郷太)ここからは、『音楽教えて!カパチ先生』。毎週ゲストをお迎えして様々な角度から音楽の魅力を掘り下げていくコーナーです。今夜のゲストはライムスターの宇多丸さんです。よろしくお願いします。

(宇多丸)はい、よろしくお願いします。いやいやいや、ということで。

(西寺郷太)こんな、なんて言うのかな?ギャラリーも多いですしね。ジェーン・スーさんはじめ。

(宇多丸)そうなんですよ。トップ5終わりの連中がドヤドヤしててね。

(西寺郷太)(笑)。もうね、宇多丸ファミリーじゃないですか。これ。大きく言えば。

(宇多丸)いやいや、でもね、いつも僕がやっている第六スタジオ。ウィークエンドシャッフル、ここでやってるんですけど。それだけにやっぱりね・・・

(西寺郷太)ちょっとね、逆になってね。

(宇多丸)あとやっぱり郷太くんの番組出て。しかも、話題が話題でしょ?

(西寺郷太)これ、80’sですから。聖域ですよ。僕たちの。

(宇多丸)そうなんですよ!だからちょっとね、プレッシャーっていうか。みんなの期待の高さも感じるし。すんごいいま、心臓バクバクしてる。

(西寺郷太)僕もさっきから何度も噛んでるんですけど。なんて言うのかな?いつもイベント最中にそんなにしゃべらずに、イベントが終わった後、かなりみんなが出来上がった状態でファミレスかなんかに行って。

(宇多丸)80’s議論をね。

(西寺郷太)そこからの議論がいろいろあったじゃないですか。それで、それこそ高橋芳朗さんなんかも。TBSでよくラジオやられてますけど。一緒になって話して、もったいないねと。

(宇多丸)じゃあこれ、今度やろうよっていう話でここに来たんですよね。

(西寺郷太)来たんですけど、やっぱりいざやるとなると、僕もちょっと戦々恐々と。

(宇多丸)いや、だからちょっとやそっとのね、あれじゃ許されないと思って。もう、だから80’sセット。僕がもっている80’sセット、全部持ってきて。

(西寺郷太)いっぱい持ってきて。僕も持ってきてますから。ここに。弾薬をつめて来ましたよ(笑)。

(宇多丸)本当ですよ。だから俺、今日テーマ『さしすせそ』。おっしゃってたけど。これがいきなり『かきくけこ』になっても、『おう!やってやろーじゃねーか!いますぐ選曲しなおしてやる!』って。これ、できるぐらいね。

(西寺郷太)80’s大喜利。全部やりますよ。

(宇多丸)持って来ちゃってるんですから。やりましょうよ。これ。

(西寺郷太)じゃあこれ、行きますよ。タイトルだけ行きますけど。今夜のテーマは題して、『宇多丸が愛し愛された80’sさしすせそ』!

(宇多丸)あの、さっきから普通に『さしすせその件』みたいなの、すごいスルーしてますけど。みなさん、言っておきますよ。僕は初耳です。『80’sの肝がさしすせそ』だって。初耳です。

(西寺郷太)僕、先週発見したんです。ずっと考えてたんですけど。

(宇多丸)まあ、お料理ですよね。さしすせそってね。

(西寺郷太)砂糖とか醤油とかありますけど。80’sは、ちょっと申し訳ないですけど、さしすせそで出来ております。

(宇多丸)あ、説明できちゃう。全部。

(西寺郷太)出来ちゃう。もう全部。聞けば、なるほど!って。宇多丸さんの。じゃあ、僕はもう発見しましたから。宇多丸さんのさしすせそはどないやねん?と。

(宇多丸)そりゃいいけど(笑)。郷太くんのさしすせそは?先に聞かないと、納得できないよ。これ。

(西寺郷太)いや、そうなんですけども。なにか、いきなり80’sかけてくださいよって言ったら、やっぱり・・・

(宇多丸)しばりがなさすぎてもね。

(西寺郷太)頂上決戦とか言ってる人もいるのに。そんなもん、好きな80’sかけるだけ。いや、さしすせそで行きましょうよ!って言ってるので、まあ振ってるわけですけど。あんまり伝わってない状態で始まりますが。

(宇多丸)はい。また僕の解釈が正しいか、わかんないよね。これね。

(西寺郷太)ちょっとずつね、楽しんでいきたいなと思うんですが。これ、選ばれて。『さ』から順番に1曲ずつ。僕も考えますけど、基本的にはさっきも言いましたけど。いつも宇多丸さんはサタデーナイトラボとか、いろんなの。僕も光GENJI論とかV6論とか。マイケル・ジャクソンが亡くなる前からマイケル・ジャクソン小沢一郎ほぼ同一人物説とか。まあ、ここで話させていただきました。そん時やっぱり、聞きながらいろんなことを聞き出してくださいまして。あっちこっちってやってくれたのの、お礼といいますか。

(宇多丸)今日は接待なんですよね?

(西寺郷太)今日は完全に面白い、好きな80’sの話をしてもらおうっていうことなんです。

(宇多丸)たしかに!もう80’sの話をされるのが、いちばん俺、接待になるかもしれない。

(西寺郷太)意外とないんですよ。やっぱりそれまでやっていたキラ☆キラでも、ちょこちょこちょこっていうのはありましたけど。

(宇多丸)まとまってってなかなかないんでね。

(西寺郷太)じゃあ行きますよ。さっそく行きます。まずはさしすせその『さ』。『さ』はなにか?といいますと、『さわやか』!

(宇多丸)80’sは、さわやか?

(西寺郷太)はい。宇多丸が愛し愛された80’sさしすせその『さ』。さわやかは何でしょうか?ということなんですけど。

(宇多丸)ああ、これ、まず説明はいいの?80’sがなぜさわやかなのか?っていうことですよ。

(西寺郷太)これは80’sの曲を全部、ヒットした曲を5分割しまして。『さわやか』っていうのは、まだヤってない状態です。

(宇多丸)ヤってない。

(西寺郷太)そういう歌。片想いとか、まだ手もつないでない。

(宇多丸)あ、『ヤってない』ってそういうこと?そういうことね。

(西寺郷太)いきなりヤってないっていうのもあれでしたけど(笑)。

(宇多丸)わかりませんでしたよ、僕。指示語が。なるほどね。

(西寺郷太)まだ、相手に触れてない。なにも触れてない状態の、さわやかさ。その良さってあるじゃないですか。

(宇多丸)80’sのね。たしかに、キラキラした。キレイですよ。汗とかさ、汁のにおいがしない80’sってありますよね。

(西寺郷太)まあ、ほとんどするんですけど、しないのもある。それが僕、ヤってない状態っていう。さわやか。

(宇多丸)わかりました。これ、僕の選んできたの。これね、さわやか。もしくはその定義も入れてますし。ちょっと僕ね、今回ね、ただ『さしすせそ』に従うの、シャクだと思ったんで。さしすせその『さわやか』に、さらに『さ』をもう1個、重ねてきたんですよ。全部、さしすせそ、もう1個重なってます。ラッパーですから。ダブルですから。もう全部、頭韻踏んでますから!さしすせそ、『さわやか』な、『サクセス』!サクセス!

(西寺郷太)(笑)。もうその時点で、80’sっぽいですね!

(宇多丸)そうでしょ?さわやかだし、サクセスって80’sっぽいでしょ?上昇志向。

(西寺郷太)いいですねー。だからその、手もつないでない。そういう片想いの恋は、結果としてサクセスにしたいというところに・・・

(宇多丸)そういう若者が、将来を夢見てサクセスしようとする。これ、すごい80’sっぽいと思うんですよね。

(西寺郷太)聞いてみたい。宇多丸さんの『さ』。

(宇多丸)はい。行きますよー。じゃあ僕、発表していいんですか?私が選んだ、さわやかなサクセス曲はこちら!テリー・デサリオ『OVERNIGHT SUCCESS』。

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テリー・デサリオ『OVERNIGHT SUCCESS』

(西寺郷太)もうね、サクセスって聞いた瞬間に。あと、さっきちょっとテリー・デサリオの名前、調べに行ったでしょ?(笑)。

(宇多丸)(笑)。なにそれ?見てた?

(西寺郷太)見てました。これは、ソニーのあれですよね?

(宇多丸)ソニーのカセットの。

(西寺郷太)カセットのCM曲なんです。

(宇多丸)で、ちょっとご存知ない方に説明しておくと、そのCMがフラッシュダンスとか、フェイムとか。ああいう要するに、ミュージカルのオーディションを若者が受けているという設定のあれで。これ、いまでもネット上でちょいちょいね。なんか見られたりするかわからない。

(西寺郷太)あの頃は僕ら、80’sって洋楽で、世界中で流行っていると思い込んでたんですけど。この曲は日本の。

(宇多丸)そうなんです。日本オリジナル曲なんですよね。ジョーイ・カルボーンさんっていうね、J-POPでも最近まで。クリスタル・ケイの曲とか作ってますよ。とかが作った曲で。でもこれ、やっぱり80’sのツボ。このサビ!サビサビ!フー!サクセス!これですよ!みなさん、ご一緒に!

(西寺郷太)さわやか♪

(西寺・宇多丸)サクセス♪

(宇多丸)サクセス!これなんですよ!うん。

(西寺郷太)ここが流れたの。ちょうど15秒。

(宇多丸)ここでいろんな人のカットがボンボンボンボン、カットが変わって。踊っているところが映されて。素晴らしいCM。CMを見るだけで涙が出てくるような。で、なおかつ80’sを知る人の誰もに、あの映像が浮かぶじゃないですか。これはもう・・・

(西寺郷太)まさに80’s。これはいま、自分もテーマ。ライフワークにしてるんですけど、カセットテープのCM曲っていうのはやっぱり・・・いまでいうと、iPodとかiPhoneとかね。もう本当に、いちばんテレビでも見たし。

(宇多丸)いちばんその時にイケてる音楽ネタみたいな。やっぱりCM。カセットね。

(西寺郷太)あと、80年代のソニーから。なにからなにまで。マクセルから、パイオニアだ、なんだ。もう本当に日本の企業がむちゃくちゃ元気だった時の、その。アメリカに次ぐ音楽市場。だから、どんなことでもできるた。

(宇多丸)Wham!とかだって、やってますよ。

(西寺郷太)まさに。マクセルで。

(宇多丸)ピョーン!って飛び上がって。やってましたよ。

(西寺郷太)『Freedom』、『Bad Boys』。空から飛んできて。あれも全部、日本が強かった。ジャパン・アズ・ナンバーワンの、このさわやかにサクセス。

(宇多丸)しかもこれ、ソニーだからね。ということですよ。ちょっといきなり変化球ですけどね。で、郷太さんのさわやか。

(西寺郷太)僕ね、ちょっと宇多丸さんが何を選んでくるのか?っていうのをある程度読んだ上で、被せようという。おんなじ曲だったら面白いなと思って。これを選びました。これはちょっとだけなんですけど、聞いてください。スタイル・カウンシルで、『Have You Ever Had It So Blue』。

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スタイル・カウンシル『Have You Ever Had It So Blue』

(西寺郷太)好きでしょ?これ。

(宇多丸)いや、そりゃ最高ですよ。

(西寺郷太)リサーチ済ですから。

(宇多丸)これ、以前高橋芳朗くんのHAPPY SADの時に、それこそクリスマスの時か。出て、これの歌詞解説をして。これ、大好きなんですよ。

(西寺郷太)それを知ってましたから。今回、接待ですから。おんなじのを被せるっていう。ぐらいの気持ちで行ったんですが、OVERNIGHT SUCCESS。

(宇多丸)変化球、スポーンと行かせていただきました。

(西寺郷太)さわやかな感じしましたね。

(宇多丸)もちろん。スタイル・カウンシルとかね。

(西寺郷太)ちょっとね、いまから定義をむちゃくちゃにしますけど。スタイル・カウンシルは80’sさしすせそ、全部入っています。

(宇多丸)その、これから来る『し』だったり。『し』はたしかに、なー。なるほどな。

(西寺郷太)『し』もある。『そ』もある。スタイル・カウンシル、というかポール・ウェラーには。

(宇多丸)聞いている人、さしすせそ、残り知らないから、『なんのこっちゃ?』だからね。

(西寺郷太)じゃあ行きましょう。次。僕の80’sさしすせその『し』ですね。それでは、『し』はなにか?といいますと、『シリアス』。

(宇多丸)これですよ!

(西寺郷太)宇多丸が愛し愛された80’sさしすせその『し』、宇多丸のシリアスはなにか?っていうことなんですけども。これ、僕はシリアスっていうのは80’sに、政治的な怒りみたいなものが。特にポップスの中で、僕らみたいな日本人が聞いてると、楽しい歌だなっていろいろ思いながらも。さっきのスタイル・カウンシルの『Shout To The Top』なんかもそうですけど。なんか、政治に対してガンガンミュージシャンが言っているみたいな。そこがまあ、シリアスっていうのがひとつの切り口かな?って。

(宇多丸)それこそ、パンクからの流れで。曲自体はポップだけど、歌詞はそういうのって結構ありましたしね。あと、それこそチャリティーものも盛んだったりとか。政治と音楽が意外と接近した時期だったりもすると。

(西寺郷太)そうなんですよ。まさに。宇多丸さんのもう1個、重ねてきたという?

(宇多丸)ああ、僕が重ねてるのはですね、『シリアス』になおかつ、これももう1個、80’s的なキーワード。『シリアス』で『シニカル』。シニカルっていうのは僕、80’s的態度の代表的なものだと思うんですね。

(西寺郷太)いいですね。シリアスでシニカル。

(宇多丸)まあ、対象に対してちょっと洒落のめしたりとか、ちょっと斜に構えた感じ。『斜』も『し』ですね。斜に構えた感じで言うっていうね。この感じが80’sかなって。シリアスでシニカルな曲を選びました。これ、実はね、選んだものともう1個、悩んだやつがあるんですけどね。1個はね、僕、トーキング・ヘッズ。『Once In A Lifetime』をかけようかなって思ったんだけど。

(西寺郷太)思ったんだけど。

(宇多丸)やっぱりね、曲調とシリアスの差があった方が80’sっぽいかな?と思って、こちらを選んできました。私が選んだ80’sさしすせその『し』。シリアスかつシニカルな曲は、ドナルド・フェイゲン『The Nightfly』に入っております、『New Frontier』。

(宇多丸)あ、これじゃないな。

(西寺郷太)あ、これは俺の曲だ。

(宇多丸)はいはい、来ました。

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ドナルド・フェイゲン『New Frontier』

(西寺郷太)おんなじような感じの曲なんで、一瞬ドキッとしました。

(宇多丸)そしていま、いちばんドキッとしたのは、郷太くんの電話のバイブが鳴ったことですよ!

(西寺郷太)あの、ソニー・ミュージックの佐々木さんからかかって(笑)。佐々木さん、すいません。ラジオ、いまやってますから。

(宇多丸)ここに、いきなりひっくり返ってる。はい。ということで、これ。ドナルド・フェイゲン。もちろん、スティーリー・ダンというね。あ、曲、ちょっと聞こうか。なんでシリアスなのか?考えて聞いて。

(しばらく曲を聞く)

(宇多丸)はい。ということで、ドナルド・フェイゲン。82年の『The Nightfly』という、アルバムとしても名盤中の名盤ですけど。その中で、ミュージックビデオも非常に有名な『New Frontier』という曲をお聞きいただいてるんですけど。これ、たぶん曲だけね、いまいきなり聞いた方は、『おしゃれな、ノリノリな、洒落た曲で。どこがシリアスでシニカルなの?』って。これ、やっぱり歌詞が意地悪なんですよね。このアルバム全体のコンセプトがそうなんですけど。

(西寺郷太)そうですよね。

(宇多丸)New Frontierっていうのは要するに、ケネディ大統領がかつて立てた政策で。冷戦下の未来図なわけですよ。で、核シェルターとかを1950年代にお父さんたちが買ったと。で、お父さんが核シェルターの中で女の子とイチャつく話なんですよ。ビデオもそうなんですけど。つまり、かつて描いた未来っていうのがいかに絵に書いた餅であるか?っていう皮肉も効いてるし。なおかつ、これやっぱり80年代っていうのはいちばんやっぱり核戦争の恐怖っていうのが非常に切実なものとして歌の中でも歌われて。

(西寺郷太)映画の中でもね。ロッキーとかね。

(宇多丸)ソ連!ソビエト連邦があったわけですよ。で、アメリカと対峙しててですね。で、本当に核戦争がいつ起きてもおかしくない恐怖の中で生きているというリアリティー。これも入っているわけじゃないですか。ビデオもそう。すごく皮肉が効いていて。この感じ。この粋な政治メッセージっていうのが80’s。

(西寺郷太)シリアスだけど、シニカルでいってるよと。

(宇多丸)これ、直接的にね。オリャー!ってね。言いたいことも言えない世の中じゃ・・・

(西寺・宇多丸)ポイズン!

(宇多丸)これが90’sです。これが90’s的態度。

(西寺郷太)これはもう、まっすぐ行くんですね。

(宇多丸)そうなんです。あれは、ポイズンはないんです。

(西寺郷太)別に、言いたいこと言ってないんじゃない?ポイズンは別に(笑)。内容は別にないじゃないですか(笑)。あの歌自体は。『言いたいことが言えない』っていうことに『ポイズン』って言ってるだけで。なにが言いたいかはわからない。

(宇多丸)まあ、そうなんですけどね。まあ、アティチュードとして、そっちじゃない(笑)。

(西寺郷太)なるほどなるほど。僕は、1個選んでたんですよ。それは、ネルソン・マンデラ大統領、亡くなったってこともあって。まさにシリアスの、まっすぐ言いたいことを言うという。ひとつの形ですね。ひとつのグループでやったわけじゃないんですが、『SUN CITY』。

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『SUN CITY』

(宇多丸)やはり、これはね。

(西寺郷太)これですね。僕はこの『SUN CITY』の存在が、やっぱり85年の後半に会ったんですけど。その80’sをひとつ終わらせた、ひとつ起爆剤だったのかな?と。

(宇多丸)SUN CITYっていうのは要するに当時のアパルトヘイトの。

(西寺郷太)南アフリカで人種隔離政策をしてて。それに反抗する。

(宇多丸)反抗するミュージシャンたち。

(西寺郷太)SUN CITYという、なんというか・・・高級リゾート地で、お金さえ払えば白人であったりすると、そこで楽しめるよという。

(宇多丸)あれですよ。日本人が恥知らずにも『名誉白人』とか呼ばれてよろこんでいた時代ですよ。本当に。

(西寺郷太)そこに、いわゆるロックミュージシャンが巨額のお金を払われてプレイをして。儲けていた人がいたことに対して、『俺たちはSUN CITYでやんねーぞ!』って。

(宇多丸)『俺は!』だよね。『俺は!俺は!俺は!絶対にSUN CITYではプレイしないぜ!』っていう曲ですよね。

(西寺郷太)そう。まさにブルース・スプリングスティーンだったり、いろんなね。それこそこの前亡くなったルー・リードさんも含めて。どちらかと言うと、社会派なアーティストが呼ばれて。1985年っていうのは、1月に『WE ARE THE WORLD』の録音をしてるんです。で、1984年の終わりに『Do they Know it’s Christmas』。チャリティーの。

(宇多丸)みんなでやるチャリティーものね。ブームがあった。

(西寺郷太)あったんですけど、85年の後半にこのSUN CITYがあったことで。もう全体になんか水をかけられたというか。全ての80’s的お祭りムードに。86年からの80’sって、また違うんですよ。僕が思うに。

(宇多丸)これはたしかにそうですよ。この僕らの80’s定義がね。これ、やっぱり要するにHIPHOPとかクラブミュージックとかそういうのの台頭ともちょっと通じてくるんですけど。これ、SUN CITYはかなり、RUN DMCが参加したりね。HIPHOP的な。ビートもHIPHOPっぽいですし。HIPHOP的な、ストレートなアティチュードみたいなのが前に出てきて。

(西寺郷太)だから本当に90年代の芽が出たというか。

(宇多丸)90年代の芽なんですよ。これはむしろ。で、80年代の享楽的な消費社会。社会的メッセージもさっき言ったみたいに、ちょっと斜に構えてやるようなところじゃねーだろ!と。そういうことを言ってる場合じゃねーだろ!と。っていう時代にだんだんなってくる。この、まさに予兆がSUN CITY。で、これ名指しでさ、次々といろんなアーティストが批判されるじゃないですか。クイーンとかさ。

(西寺郷太)いや、まさにじゃあ、宇多丸さんの好きな80’sを。いわゆるHIPHOPのライムスターですけども。

(宇多丸)僕はね、立場としてはね、80’sナイトでよく言ってるんですよね。たとえ88年とか89年リリースであっても、HIPHOPとかクラブミュージックとか、あとグランジの匂いが入っているようなものは、80’sとは呼ばん!と。

(西寺郷太)(笑)。まあ、向こうも呼ばれたくない可能性はありますけどね(笑)。

(宇多丸)一種、HIPHOPとグランジが80’s的ポップ感覚を台無しにしたという立場というかね。

(西寺郷太)(笑)。日本でずーっとHIPHOPやっている宇多丸さんが言うから、なるほどと思って見てますけど(笑)。あんたが言うな!ぐらいの勢いですけど。

(宇多丸)そういう意味では、もうポップミュージックが昔みたいに能天気に通用しなくなってきている。で、逆にそこが僕らが80’sを愛している理由なんですよ。最後のポップミュージックなんですよ。

(西寺郷太)ああ、夢っていうか、ファンタジック。

(宇多丸)80’sが最後のポップミュージックと俺は一種定義しているぐらいで。そっから先はもう、一種ストリート・ミュージックであるとか。ハードコアがかっこいいの時代になっちゃうんですよ。もう、チャラチャラしてらんなくなったんですよ。俺らが大人になったら、もっとチャラチャラする予定だったじゃないですか。したらもう、パーカー着てやるしかなくなっちゃったから。っていうことなんですよ。

(西寺郷太)まあ、率先してやってましたけど(笑)。

(宇多丸)でも、そうだよ。俺っていうよりは、全体がそうならざるを得ない時代になってたってことだと思う。実際、それこそ冷戦も終わるし、終わり際にはチェルノブイリが。原発があるとかさ、まったくいまに連なる諸々がさ。

(西寺郷太)ソ連も崩壊してね。ベルリンの壁も崩壊して。

(宇多丸)僕らもいい加減、ヘラヘラしてらんなくなった。そうこうしているうちに景気も悪くなって。

(西寺郷太)そうですね。シリアスでシニカルな80’s。これもすごい。80’sとはここぞと。これ、『さ』と『し』までは大丈夫でしょ?

(宇多丸)あ、ぜんぜん乗ってますよ。

(西寺郷太)次、行きますよ!じゃあ、続いて『す』。『す』はなにかと言いますと、『スイート』。

(宇多丸)80’sのスイート。

(西寺郷太)80’sのスイートの心はですね、さっき、『さわやか』の時は手も触れてない、ヤってない。俺たち、ヤってないっていう状態を言いましたけど。1回から10回くらいまでヤっている。

(宇多丸)あ、ヤっているんですか!?

(西寺郷太)スイートは10回ぐらいの関係(笑)。

(宇多丸)僕、せめてペッティングぐらいとかそんぐらいのノリかと・・・

(西寺郷太)まあ、でも10回ですから。

(宇多丸)10回は結構・・・

(西寺郷太)まあ、でもスイート。イチャイチャしてるんだけども、でもそこまで慣れた状態じゃないっていうか。まだドキドキしてるっていうのが僕の中での・・・

(宇多丸)郷太くん、このセックスの段階のたとえは、みんなに伝わってるのかな?適切なのかな?これは。

(西寺郷太)(笑)。さしすせそですから。80’s。でも、スイートな音楽、あるじゃないですか。

(宇多丸)これはでも、ありますよ。まあ、恋人たちがさ、それこそこの季節(12月)になるとあちらこちらでイチャつきまくる。そういう文化が華やかな時代でした。

(西寺郷太)なんでそんな嫌そうなんですか?

(宇多丸)これはね、愛憎入り混じっております。私の中ではね。ということで、私?スイート、行きますか。私、当然『す』。重ねてきてますから。これはいいですよ。スイートも80’sなら、こっちの『す』も80’s。『スイート』な、『スクリッティ・ポリッティ(Scritti Politti)』。

(西寺郷太)スイートなスクリッティ・ポリッティ(笑)。

(宇多丸)スイートなスクリッティ・ポリッティ。これ、スクリッティ・ポリッティっていうグループについては後ほど言いますけど。80’sナイト、僕らDJイベントやった時に西寺くんと酔っ払ってもいましたけど、最後、僕らなんて言っていたか覚えてます?マイク通じて。『もう80’sはスクリッティ・ポリッティだけでいい!』って。一晩中スクリッティ・ポリッティをかけていれば、それでいいのだってことをね、言ってましたよ。

(西寺郷太)言ってました。僕もでも、これはもう本当にしゃべりたい。スクリッティ・ポリッティに関しては。

(宇多丸)で、スクリッティ・ポリッティってもちろんビートが効いた曲なんか、非常に有名だったりするんですけど。スクリッティ・ポリッティでスイートな、ちょっと甘い感じの曲といえばこれかな?って。名盤『キューピッド&サイケ85』からですね、1曲目。レゲエ調で。これ、ビデオも素晴らしいですから。お聞きいただきたいと思います。スクリッティ・ポリッティで、『The Word Girl』。

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スクリッティ・ポリッティ『The Word Girl』

(宇多丸)はい。ということで、スクリッティのね・・・

(西寺郷太)なんですか?このスクリッティ・ポリッティの、この良さは。

(宇多丸)良さはね、特に最後、サビが終わって、いままで出てこなかったベースの展開が出てきて、あのリフレインで終わるところの切ない感じ。あと、やっぱりダブ的なね、ミックスの上手さであるとか。いろいろ魅力あるんですけど。あと、グリーン・ガートサイドの声のやさしさ、清らかさと。歌詞が実はこの人たちって、いわゆるニューアカ的なワードね。『デリダがどうしたこうした』なんつって。ニューアカっていうのも80’sの重要な要素じゃないですか。

(西寺郷太)たしかに。

(宇多丸)80’sのある種、美点が全部入っている。HIPHOP要素も入ってるし。

(西寺郷太)もうね、いま聞いているだけでも感動してしまいました。何回聞いてるんですか、僕たち。

(宇多丸)本当ですよ。でもね、やっぱりスクリッティ・ポリッティ。『キューピッド&サイケ85』は飽きないんだよなー。

(西寺郷太)『キューピッド&サイケ85』。最高ですからね。

(宇多丸)ちなみに『The Word Girl』、ビデオがありまして。ミュージックビデオも僕、夢中になっちゃったんですけど。ちょっと8ミリで撮ったような荒い感じの映像で。そこに出てくる女の子が。いろんな女の子が出てきては、雨が降る夜の窓に『はーっ』って息を吹きかけて、女の子のマークを書くの。これが、もうね。特にAメロに入る手前でニコッと笑う女の子が・・・

(西寺郷太)(笑)

(宇多丸)みなさん、わかります?これが俺の当時付き合いたい彼女ナンバーワンでしたね。これね。

(西寺郷太)もうね、タイトルも。すべて、ミックスから曲作りから。本当にマイルス・デイヴィスもカヴァーしましたし。スクリッティ・ポリッティっていうのはいわゆる、ミュージシャンズ・ミュージシャンといいますか。いまでも、どんどんどんどんファンが増えてますから。本当にいつ聞いても・・・いや、これは絶対くると思ってましたよ。

(宇多丸)80’sの真髄をね、みなさんいまからなにか聞きたいんだったら、スクリッティ・ポリッティの『キューピッド&サイケ85』。これ、ぜひね。

(西寺郷太)まさかでもね、スイートでくるとは思いませんでした。

(宇多丸)あ、そうですか。ちょっとビートきいてたりしますからね。

(西寺郷太)はい。まとめますけども、宇多丸さんにはこの後も引き続きお付き合いいただきますが。あっ?僕のスイート、言わないと。ごめんなさい。僕のスイートはですね、これです。僕これね、かぶせてたんです。実は。カルチャークラブの『Time』。

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カルチャークラブ『Time』

(西寺郷太)あのね、ビタースイートっていう言葉、あるじゃないですか。ただのスイートじゃなくて。ただ甘いっていうんじゃなくて、なんか朝から夜にいく、紫色のような、ビターなスイート感。ここに、ボーダーラインか、カルチャークラブの『Time』を意外に。本当に甘いよりは、ピリッと甘い感じを持ってくるんじゃないかな?っていうことで。

(宇多丸)まあでも、『The Word Girl』もちょっとビタースイートの感覚、ありますよね。

(西寺郷太)ちょっと狙いはズレましたけども。僕も好きでした。

(宇多丸)僕らがもうDJの時は絶対にね。『カルチャークラブ、なにかける?』って言って、『Time!』って声があうという。ここでやっぱり同一人物説が浮上するわけです。

(西寺郷太)これは最高な歌なんでね。まあ、ぜひ。カルチャークラブもこれからまた特集していきたいんで。いま、ボーイ・ジョージさんがソロアルバムを海外でリリースされて。日本でも出るかも、みたいな話があるので。僕も関われるかもしれないので、ちょっと楽しみにしてるんですけども。はい。さっきのソニーの佐々木さんの電話はその電話だったみたいなね。話もありまして。カルチャークラブ、ちょっと注目しておいてくださいね。

(宇多丸)(笑)。リアルTime感だった。80’s、関係あったんだね。あの電話。

(西寺郷太)80’s、関係ある電話でしたね。はい。宇多丸さんにはこの後も引き続きお付き合いいただきますが、ここで一旦CMです。

(CM明け)

(西寺郷太)いやー、もうちょっと楽しく進んできましたけど。僕が言いました。80’sさしすせそ。全ての80’sはさしすせそに収まると、言うておりましたけど。

(宇多丸)いまのところ、収まってますね。

(西寺郷太)さわやか、サクセス、シリアス、シニカル。これはシニカル-シニカルで韻まで踏んでいるというね。さすがです。そして最後のスイート、スクリッティ・ポリッティ。

(宇多丸)スイートなスクリッティ・ポリッティ。

(西寺郷太)どうしてもね、入れたかった。いや、もう素敵な曲ばかり。僕も裏選曲として、僕の中では宇多丸さんがこれで来るんとちゃうかな?という予測も入れながらの・・・

(宇多丸)じゃあ先にあれだね。郷太くんの予測を聞いて、やりましょうか?これ。あ、でも潰されたらどうしよう?やべえ。

(西寺郷太)でも、可能性も。僕、まだ知らないので。ただ、次のは宇多丸さんがどう捉えるか?っていうよりは、自分主体で選んでます。

(宇多丸)『せ』ね。なんだろうな?

(西寺郷太)行っちゃっていいですか?では、行きますよ。80’sさしすせそ。『せ』はなにかと申しますと・・・『セックス』ということでね。

(宇多丸)さっきまで、やる・やらないで。さっき、スイートで。最初手も握らない、さわやかって言ってたじゃないですか。さっきスイートで10回やってるって言った。もうやってるだろ!もう。通り過ぎてるじゃん。『せ』!

(西寺郷太)モノにしてないんですよ。まだ。

(宇多丸)モノに!?

(西寺郷太)なんて言うか、セックスというものを・・・デカい声で言うのもなんですけど。

(宇多丸)80’sっていうより、西寺くんのセックス観の話にちょっと・・・

(西寺郷太)違うんです。もう、しょうがないんです。さしすせそなんで。そこは逃げたらやっぱり、僕は歌はダメだと思うんです。

(宇多丸)たしかにね、ちょっと僕の80’sとセックスの感じね。今日出たPOPEYEの中で、デート特集の歴史みたいな。僕、POPEYEマニアでもあるんで、やってるんですよ。それで改めて振り返ると、80年代のPOPEYEとかをそれ以外の時代と比べて振り返ると、やっぱり80年代ってセックスの価値が異常に高かったんだなって感じがするんです。なんでもかんでも、やっぱり最終的にはセックスを得るためにがんばるものであるというね。その、あれに貫かれてるんですよ。やっぱり。その時代は。本人たちは気づいてないんだけど。なのでね、80’sとセックスはちょっとね、避けられないところだと思います。

(西寺郷太)これね、もう逃げれないんです。やっぱり。やっぱりなんか、70年代、80年代。だんだんそれが、なんて言うんですか?単純に享楽的になっていくというか。

(宇多丸)だんだんその性の意識も、それこそ女の子の性の意識とかも、だんだん開けっぴろげになってきたり。70年代ぐらいはまだまだ、そんな言えたもんじゃないのが。

(西寺郷太)そうなんですよ。これ、僕からまず行ったほうがいいですか?

(宇多丸)じゃあちょっとお願いしますよ。

(西寺郷太)僕はもう、これ、そのまんまです。ジョージ・マイケル『I Want Your Sex』。

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ジョージ・マイケル『I Want Your Sex』

(西寺郷太)僕ね、この歌が出る前に嫌な予感してたんです。WHAM!が好きだったんですけど。中学校1年とか小学校6年とか。この間にジョージ・マイケルがどんどんヒゲ生やしはじめたんですよ。えっ!?っていう。

(宇多丸)なんか要は自分の趣味嗜好みたいなのを隠さなくなってきましたよね。

(西寺郷太)だんだんだんだん。で、僕もあの、その後すごいツルッとした状態のWHAM!が好きだったんですけど。半年、1年でどんどんヒゲ生やして。

(宇多丸)ヒゲ生やして、ポリスルックしちゃって。

(西寺郷太)で、ソロになって。なんか嫌な予感してたんです。親に頼みづらい名前なんじゃないかな?って。

(宇多丸)あ、ちょっとレコード買いに行くっていう時に。

(西寺郷太)その頃はまだ、自分で金稼いでいたわけじゃないんで。お小遣いもらって、『なに買ったんだ?』っていうのはやっぱり、ある程度共有している段階で、このタイトル。『I Want Your Sex』っていうタイトルが来た時に、『終わった・・・』と(笑)。

(宇多丸)終わった(笑)。なにが?

(西寺郷太)ネットもないですから。当時。やっぱり買うしか、聞けないでしょ?

(宇多丸)じゃあ、ジョージ・マイケルの新曲『I Want Your Sex』だって聞いて、『終わった・・・俺のWHAM!との関係も終わった・・・』って。

(西寺郷太)ほしいんですけど、買いづらっ!っていう。うちのオヤジ、英語の先生やったんですよ。まあ、そんなこと関係無いですけど。

(宇多丸)これは英語の先生なら『SEX』ってわかりますからね!バレてしまいますから。

(西寺郷太)これを中1とかが買うって言って、やっぱり嫌やろうな、中2とかがね。と、思ったことを覚えてるんで、80年代の『せ』はこれです。僕にとっては。

(宇多丸)でも当然僕も『せ』って聞いて、連想はしたんですけど。これね、私の『せ』に関しては、『せ』はまだ・・・『セークレット』です。

(西寺郷太)(笑)

(宇多丸)セークレット。セークレット。

(西寺郷太)そんな英語、ないですけど(笑)。さっき『自分はラッパーだから、かぶせる』言うてましたよね?

(宇多丸)あの、かぶせるんですけど。『セックスの切ない思い出』です。『切ない思い出』。ただ、曲名はまだセークレットです。

(西寺郷太)セークレット。言えない(笑)。

(宇多丸)先にエピソードを話そうと思うんです。先にこのエピソードを話そうと思うんですけどね。実は選曲的にはたぶんベッタベタです。ちょっと考えられないぐらいベタベタです。なんだけど、この季節ね。1980年代、みなさん思い起こしていただきたいんですけど。クリスマスはカップルが高級ホテルを予約して・・・

(西寺郷太)僕、子どもでしたけど、なんかだいぶ前から予約せなあかんとか、ありましたね。

(宇多丸)赤坂プリンスだ、なんだってね。

(西寺郷太)ホットドッグプレスとか雑誌がいろいろあって。

(宇多丸)その前にちゃんとおしゃれなところに連れて行って。プレゼントをあげて、ホテルに連れて行って。そしてようやくセックスっていう。そういう手順が良しとされていた時代。で、それができない人は寂しい人、ダサい人ってされかねない。そんな風潮だった時代ですよ。そんな時代に僕、ようやく大学生になりました。1988年のことです。88年。もうぜんぜんHIPHOP時代なんですけど。

(西寺郷太)はい。

(宇多丸)で、大学生になったし、やっぱりそんなお金あるわけじゃないけど、そういうようなことをやってみたい。高校生の時は夢のまた夢ですから。

(西寺郷太)男子校行っていて。

(宇多丸)で、一応早稲田に入りましたし。ブイブイいわさせてくれよと。ついに、夢のあの大人のクリスマスを過ごすんだ!と。クリスマス、私ね、当時付き合っていた彼女が割とそっち側に住んでいたということもあり、都内の高いホテルなんか当然とれませんからね。大宮の、ソニックシティ・・・

(西寺郷太)(笑)。行ったこともないんじゃないですか?

(宇多丸)大宮ソニックシティのホテル、あるんですよ。大宮のソニックシティを予約したんですよ(笑)。

(西寺郷太)(笑)。すごいですね。18でですか?

(宇多丸)はい。がんばってね。

(西寺郷太)ソニックしてますね。

(宇多丸)彼女がそっち側住んでいたんで。ソニックシティ、しかもできたばっかりですから。『ソニックシティとか、良くない?』みたいなこと言って。ソニックシティ、予約したんです。そんなじゃなかったんですよ。思ったよりも。で、ソニックシティ予約して、近くの、僕の考えるおしゃれなところでご飯食べて。で、彼女をそのホテルに連れて行って。で、まあ25年前の話ですからね。奥さん、聞いてたらすいませんね。

(西寺郷太)時効です。時効。

(宇多丸)で、まあそういう感じになるじゃないですか。そこでうっすらと、ラジオを流していたんですよ。

(西寺郷太)88年のクリスマスね。

(宇多丸)したら、ラジオから僕が次にかけようと思う曲が流れてきたんですけど。これ、先に僕のそん時の感情を言っておきます。ベタすぎて萎えたんですよ!わかります?

(西寺郷太)(爆笑)

(宇多丸)クリスマスの夜に、いま甘い雰囲気になって。さあ、やろう!っていう時にラジオからこれ!っていう。それは完璧なんだけど、『俺、なにやってんだ!?』っていう。思っちゃったんですよ。っていうことで、俺の中では強烈にね、セックスの切ない思い出として。25年前の出来事でございます。

(西寺郷太)セークレットを封印して。解き放つと。

(宇多丸)いきますよ。大宮ソニックシティ、深夜、彼女とさあいたそうっていう時に、こんな曲が流れてきました!

(曲のイントロが流れる)

(宇多丸)ああ・・・ちょっと完璧っちゃ完璧だけど・・・

(西寺郷太)重なっているというだけの(笑)。

(宇多丸)完璧っていうか、逆に恥ずかしいんだけど・・・っていう、ワム!の『Last Christmas』でございます。

(西寺郷太)(笑)

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ワム!『Last Christmas』

(宇多丸)はい。これからね、みなさんこのワム!の『Last Christmas』を聞く時はかならず大宮ソニックシティ。私の88年の思い出を思いだしていただきたい。

(西寺郷太)宇多丸さん、これ僕にとっては営業妨害です。

(宇多丸)(笑)

(西寺郷太)僕、これ毎年歌ってるんですから!NONA REEVESで。ヒッピークリスマスで。今年は12月20日ですけど。毎年、僕これを。まあ、真剣な思いと・・・

(宇多丸)大ネタだからね。

(西寺郷太)ちょっと、なんていうか節分とかそういうイベントとして。『郷太くんのラストクリスマス聞かないとクリスマス、1年たったと思えない』っていう人、いるんですよ。なのに、毎回ソニックシティのことを思いだしてしまうでしょ!やめてください!

(宇多丸)これ、下手するとヒッピークリスマスでこれをやろうとすると、プーッ!ってこう・・・吹き出す人が出るくらい。

(西寺郷太)何人かは笑ってしまうという。いや、これびっくりしました。セックスでジョージ・マイケルつながりじゃないですか。

(宇多丸)そう。一応ワム!。

(西寺郷太)ヒゲ前、ヒゲ後ですよ。

(宇多丸)しかもね、これラストクリスマスってこの歌詞の内容自体はさ、そんなにいいことじゃないじゃない。

(西寺郷太)去年、なんかいろいろあって、みたいな。

(宇多丸)っていうことじゃない。で、これ僕にとっては二重の意味があって。その次の年のクリスマスにはもうこの彼女と別れていたので。

(西寺郷太)まさに。なるほど。

(宇多丸)だからもう、ラストクリスマスは俺にとって二重の意味で。あの時のことっていうのは強烈にね、あるんですよ。

(西寺郷太)そうですね。ジョージ・マイケルとアンドリューっていうのはだいたい18ぐらいでデビューして、22ぐらいでワム!をやめてるんで。大学1年でデビューして、4年で終わったぐらいなグループなんですよ。だからもう本当に恋愛もむちゃくちゃいろいろあるし、いろいろ変わってっていうのが。毎年恋人変わるとか、そういう時代のまさに。

(宇多丸)青春時代だったら当然のことじゃないですか。そこも見越しているっていうことがすごいよね。これ。

(西寺郷太)ジョージ・マイケル、すごいっすね。セックス、これ2曲。2人が同時に、同じアーティストを。

(宇多丸)ジョージ・マイケルのまとうセックス感たるや!っていう。ここですよね。

(西寺郷太)オールラウンドにまとってますからね。

(宇多丸)まあ、そうだ。オールラウンドに。まさに本当ですよ。いやー、というね、『せ』。いってしまいましたね。80’s、だいぶ『さしすせ』・・・説得力、かなりあるんじゃないの?これ。

(西寺郷太)きましたね。結構。まあ、『そ』もすごいんですよ。これ。

(宇多丸)『そ』ね。

(西寺郷太)僕、全部があるって言いましたね?『さしすせそ』の中に、なにを言われても、全部返せる。

(宇多丸)入ってるもんね。爽やかだしね、シリアスもあるし、スイートもある。セックスもある。そして・・・

(西寺郷太)僕の80’sさしすせその『そ』。『そ』はなにか?と言いますと、その他!

(宇多丸)ずるーい。

(西寺郷太)(笑)。ぜんぶ『その他』に吸収しsてるっていうね。

(宇多丸)これをやったらどんなジャンルでも吸収できるわ!『その他』、オールマイティーカードすぎるでしょ!あれですよ。UNOで最後、このカードであがっちゃいけないやつですよ。

(西寺郷太)ワイルド。ワイルド。ただし、このその他にも僕なりの、後付けですけど、やっぱり意味があるんですよ。なんかね、その他としか言いようがない曲っていうのがあって。

(宇多丸)ほう。というと?

(西寺郷太)ラブソングでもない、メッセージソングでもない、なんかなんにも言ってないんだけど、すごいみたいな。先に僕の・・・

(宇多丸)あー。俺、ちょっとヤバいな。俺、先に。郷太くん、割とヤラれる気がする!よし、じゃあいってください!

(西寺郷太)でも、これはヤラれないです。たぶん。なぜならば、ここがスクリッティ・ポリッティ『Hypnotize』だからです。

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スクリッティ・ポリッティ『Hypnotize』

(宇多丸)ああー、なるほど!さっきのね、『キューピッド&サイケ85』に入ってます。

(西寺郷太)こういうかぶせ方だったんですけど。Hypnotize、占星術といいますか。Hypnotizeの、僕はこれは美しい建築だと思ってるんです。ドラムとベースとキーボード、ギター、全てを使った純粋な、何ひとつ汚れのない。

(宇多丸)無駄がない。

(西寺郷太)建築!建築のような曲。

(宇多丸)自分で曲も作っている郷太くんから見てそう思う。

(西寺郷太)思いますね。ただ、なにを言ってるのか?とか、別にセックスでもスイートでも、メッセージもただ単に美しい建築物としての音楽を作るという意思だけがあるという。だからその他に。

(宇多丸)これ、ミュージックビデオもたしかグリーンと、あとコーラスを歌っていると思われる女の人がソファーに座ってずーっと画面を見ながら。で、画面がゆっくり動いていくっていうだけのビデオなんだけど、むちゃくちゃこれと合っていてかっこいいんですよ、これ。

(西寺郷太)グリーン・ガートサイド。やっぱりここで、かぶさって。僕、の他でスクリッティ・ポリッティが来るかな?って僕も読んでいたところもあったんで。

(宇多丸)うん。わかる気もしますね。ジャンル的にも横断的なところ、ありますからね。スクリッティ・ポリッティはね。

(西寺郷太)さっきも話しましたけど。では、宇多丸さんのその他。

(宇多丸)私のその他。もう1個重ねてね。『そ』を重ねてきましたけど。言わせてください。私の『そ』は『その他』の『それもまた80’s』。だから言わんとしていることは一緒ですよ。80’sっていうのは、たとえばゲートリヴァーヴがかかったビートね。ターン!っていうビートであるとか。

(西寺郷太)DX-7とか。

(宇多丸)シンセの音とか。80’sを象徴するようなサウンドってあるじゃないですか。でも、80’sってみなさん思いだしていただきたいんですけど。いわゆるそういう新しい音だけが80’s感じゃないんですね。80’sっていうのは、たとえば50’sブームでもあるんですよ。っていうかね、トータルでのレトロ感みたいなものは80’sのブームdでもあったわけです。だから80’sなんだけど、曲調は昔風なんだけど、それが80’sみたいな。そういうぐるぐる構造のある曲がありまして。それを選んできました。じゃあ、いいですか?私の、その他の、それもまた80’s曲は、デイビッド・リー・ロスの『Just A Gigolo I Ain’t Go Nobody』。

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デイビッド・リー・ロス『Just A Gigolo I Ain’t Go Nobody』

(宇多丸)はい。デイビッド・リー・ロス。ハードロックバンド、ヴァン・ヘイレンのヴォーカルとして有名だけど、そのソロ活動のアルバムの『Skyscraper』っていう中に入っている。これ、元の曲は1920年代のジャズ・スタンダードなんですけど。結構、50年代とかになるまでジャズ・ミュージシャンに歌われていて。ルイ・プリマっていう人がこれと同じ、『Just A Gigolo』と『I Ain’t Go Nobody』って別の曲なんですけど、まったく同じメドレーで。ルイ・プリマ的なもののリバイバルとしてデイビッド・リー・ロスがやってるんですよ。

(西寺郷太)なるほど。

(宇多丸)っていうことで、1920年代、30、40、50年代と80’s感がミックスされている。これが80’s感っていうか。

(西寺郷太)20年代っていうのは1929の大恐慌で潰れる前はものすごい、もう・・・

(宇多丸)まさに。華麗なるギャツビーの世界ですよ。だからいちばん享楽的な快楽主義で。だから、すごく通じる。

(西寺郷太)なるほど。80年代のあのバブルに行こう!とする。ドーン!というね。

(宇多丸)『俺なんかどうせただのジゴロで、誰からも気にかけられない存在さ、ハハハ!』って、この感じ。これ、やっぱり80’sの、うそぶき感というか。『SUN CITY』の方々には怒られるタイプの(笑)。

(西寺郷太)(笑)。たしかに。

(宇多丸)そこはやっぱり僕らの愛する80’sでもあるっていうことですかね。

(西寺郷太)宇多丸さんとやっぱりDJのイベントやる時なんか、三宿のWEBなんかでやりますけど。『Just A Gigolo』、いい時間の最後の方で。ズドン!と。

(宇多丸)これはラストにドーン!っつって。みんなで合唱するみたいなね。そのイメージですかね。

(西寺郷太)いやいや、本当にその他、それもまた80’sということで。これ、でも『さしすせそ』でまたいろんな種類を考えて。みんなも考えてみてください。楽しいんじゃないですかね?

(宇多丸)あと、無理やり『あいうえお』とかで考えてみて。で、結論として、『なんでもできるじゃねーか!』っていう(笑)。

(西寺郷太)『かきくけこ』とか(笑)。全部できる。

(宇多丸)50音いけるっていう。あるかもしれないですけど。

(西寺郷太)たしかに。それはいいですね。

(宇多丸)面白い。でもこのしばり、面白かったですよ。

(西寺郷太)ありがとうございます。よかったー。でも意外に『せ』でジョージ・マイケル、ヒゲ後、ヒゲ前で合ってみたりとか。まあスクリッティ・ポリッティは両方、ちょっと違う角度で入っていたり。

(宇多丸)両方入っていたね。やっぱり同一人物だけのことはあるな!

(西寺郷太)教えないでやって、今日は楽しかったですね。

(宇多丸)ねえ。郷太くんは大宮ソニックシティにあたる思い出とかは、ないの?

(西寺郷太)(笑)。あー、いまパッと・・・あるっちゃ・・・

(宇多丸)(笑)。それはいずれドーン!と。

(西寺郷太)さっきね、ツイートで『さしすせその「そ」はもう、ソニックシティでいいんじゃねーか?』っていう。

(宇多丸)なんで『そ』に入ってくるんだよ!ここだけ聞いたら大宮の人、なんでソニックシティの話をしてんだよ!?って。

(西寺郷太)大宮に最初から住んでいる人がソニックシティに行くのはいいですよ。だけど宇多丸さんみたいにわざわざ遠出するのが、面白いですよね。

(宇多丸)そうですね。だからそれが妥協ポイントだったんです。

(西寺郷太)いやー、面白いなーって思ったんですけど。また別の機会に、違う『さしすせそ』。まあ、『あいうえお』でも『かきくけこ』でもやりましょうよ。

(宇多丸)お願いしますよ。

(西寺郷太)むちゃくちゃ楽しかった。

<書き起こしおわり>

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