高橋芳朗 BTS『Dynamite』大ヒット後のK-POP勢の動きを語る

高橋芳朗 BTS『Dynamite』大ヒット後のK-POP勢の動きを語る アフター6ジャンクション

高橋芳朗さんが2020年11月23日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でBTS『Dynamite』大ヒット後のK-POP勢の動きについてトーク。次の全米ナンバーワンヒットを狙うグループや、BTS新作アルバム『BE』などについて話していました。

(高橋芳朗)では第二部のK-POP編に行ってみたいと思います。

(BTS『Dynamite』が流れる)

(高橋芳朗)先月に引き続き、今月もチャートにちなんだK-POPの話題をお話してみたいと思うんですけども。先週末、11月20日には今、後ろでかかっています『Dynamite』をフィーチャーしましたBTSのニューアルバム『BE』がリリースされました。熊崎くんは?

(熊崎風斗)私、かなりヘビロテしております。

(高橋芳朗)「韓国ドラマにハマっている」なんていうお話はよくしていますけども。K-POPも聞かれているという?

(熊崎風斗)それこそ、韓流スターたちが若かりし頃、実はこのドラマに出ていたとか。BTSだとVくんっていうメンバーがいるんですが。彼なんかが僕がちょっと前に見ていた『花郎(ファラン)』っていうドラマに出ていて。まだその時にはそこまで上の役じゃなかったんですけど、そこから数年して今、こういう輝きになってるから。そこの今のBTSを見て、昔のVくんがどうだったんだろう?って思ってドラマを見たりとか。

(高橋芳朗)じゃあ、ちょっと感慨深いものもある?

(熊崎風斗)結構、そうなんですよ。「あのVくんが……」って。しかもその役柄もナヨナヨしているというか、柔らかい物腰の好青年役で。それが今、あれだけ売れてキレッキレの動きをしているのを見ると感慨深いですね。

(高橋芳朗)で、BLACKPINKもバリバリ聞いているんでしょう?

(熊崎風斗)BLACKPINKは車の中でバリバリ聞いてますし。NiziUとかTWICEとか、そのへんもありますし。結構聞いてますね。

(高橋芳朗)日比麻音子さんもBLACKPINKは自分を鼓舞するための曲だって言ってましたしね。

(宇多丸)うんうん。でもこの熊崎くんの探求力はすごいな!

(高橋芳朗)だからBTSのニューアルバム『BE』もたぶん、来週の全米アルバムチャートで1位になるのはほぼ確実だろうなって思うんですけども。で、ここ数ヶ月、全米アルバムチャートのK-POP勢の躍進がちょっとすごくて。9月には男性ボーカルグループのSuperM。ご存知でしょうか?

(熊崎風斗)いろんなグループが集まったオールスターみたいな。

(高橋芳朗)そうそう。SuperMの『Super One』っていうアルバムが2位にランクインしているんですね。で、10月に入ってからは今、話に出たBLACKPINKのアルバムが同じく2位。さらに、NCTはご存知ですか?

(熊崎風斗)名前だけは。

(高橋芳朗)結構大所帯なんですけども。日本人メンバーとかもいたりする男性グループなんですけども。NCTの『NCT2020:RESONANCE Pt.1』が6位にランクインしていて。それで今度、BTSの新作もたぶん1位になるだろうっていう。

(宇多丸)へー! それらっていうのは英語詞とかでもなく?

(高橋芳朗)そうですね。英語詞の曲ももちろんあるんですけど。基本的な英語と韓国語のミックスですね。

(宇多丸)『Dynamite』みたいなオール英語詞っていうわけでもなく? いよいよ、すごいね。なんだ! だから本当にさ、ブリティッシュ・インヴェイジョンならぬ……。

(高橋芳朗)そう! 今日はその話をしようと思ったんですよ。まさにそうなんです。で、これはアルバムチャートの話なんですけど、こういうチャートアクションが当たり前になってきたら、どうしたって第2の『Dynamite』っていうか。全米シングルチャートを席巻する新たなK-POPの……。

(宇多丸)もう狙いすましたボムが。

(高橋芳朗)そう。ヒット曲の登場を期待したくなるじゃないですか。

(宇多丸)今、虎視眈々と仕込んでいるんじゃないの?

(高橋芳朗)それでもちろん、あれはBTSだからなし得た偉業でもあるわけですよ。強力なファンダムを抱えていますから。でも今後は、どのアーティストもさすがにそのへんは意識はしてくるだろうなっていう風に思いますね。

(宇多丸)BTSもちゃんとモードを合わせてきてのそういうことですからね。

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(高橋芳朗)だからたぶんアルバムの音づくりだったり、プロデューサーの人選とか微妙に今後、変わってくるんじゃないかなという風に思うし。

(宇多丸)ただ、全く同じ手もきかないだろうから……とかね。いろいろとね。

(高橋芳朗)そう。だから来年にかけてはK-POPの人気アーティストのアルバムとかをそういう視点で聞いていくと結構面白いなと思うんですよね。だからアメリカのポップシーンとかマーケットにどういうスタンスで臨んでくるか?っていうところですよね。

(宇多丸)勝負の仕方を見るのも楽しいと。

(高橋芳朗)それでこれからいくつか、そんな未来が垣間見れる曲を紹介していきたいと思うんですけども。まず、ちょっとさっき熊崎くんも聞いていると言っていたガールズグループのTWICEですね。彼女たちが10月26日にリリースしたニューアルバム『Eyes wide open』の第一弾シングル『I CAN’T STOP ME』という曲なんですが。この曲が、まさに熊崎くんがいた時ですね。今年の3月にこのコーナーで取り上げたデュア・リパ。覚えてますか?

(熊崎風斗)覚えています、覚えています。

(高橋芳朗)デュア・リパの『Future Nostalgia』に参加していた制作陣が手がけてるんですけども。これがそのデュア・リパのちょっと笑いを誘ったあの『Physical』をモロになぞったサウンドになっているんですね。ちょっと『Physical』をかけてもらえますか?

(宇多丸)80年代MTV映画と言われたような……『フラッシュダンス』とか。あのメインじゃない、劇中の途中でかかる曲。そんなタイプの曲っていうか。

(高橋芳朗)でも、今年レディ・ガガとかアリアナ・グランデもアルバムを出してますけど。存在感と影響力では結構デュア・リパが勝っていた気がしましたね。

(宇多丸)デュア・リパもこれ、勝負をかけたアルバムだからね。

(高橋芳朗)じゃあ、これを踏まえてそのTWICEの『I CAN’T STOP ME』を聞いてもらいたいんですけども。プロデュースとソングライティングはそのデュア・リパの新作に参加している制作陣で、作詞はJ.Y. Parkさんです。歌詞は韓国語と英語のミックスになっています。では聞いてください。TWICEで『I CAN’T STOP ME』です。

TWICE『I CAN’T STOP ME』

(高橋芳朗)はい。TWICEで『I CAN’T STOP ME』を聞いていただいております。

(宇多丸)出だしからジョルジオ・モロダーかっていうね。

(高橋芳朗)熊崎くん、どうですか? 今までのTWICEと比べて?

(熊崎風斗)TWICE、もうちょっとガーリーっていうか、女の子っぽい感じのかわいらしいイメージだったんですけども。このプロモーションビデオを見ていても雰囲気が違いますよね。

(高橋芳朗)ちょっとハードめですよね。

(宇多丸)でもはっきりと、そのデュア・リパの『Physical』のスタッフでやってるんだから。もう狙いはそういう……同じ部分ですよね。

(高橋芳朗)アルバムの別の曲だけではデュア・リパがソングライターとして参加している曲もあるんですよ。

(宇多丸)へー!

(高橋芳朗)これは、だからデュア・リパとか、あとはザ・ウィークエンドとかがやっているトレンドの80’s路線。だから今、アメリカとか世界に照準を合わせて曲を作る時は割と正攻法かなと言えると思うんですけども。それで実際にこの曲はビルボードのワールドデジタルソングセールスで1位を取ってるんですよね。他にはこういうアプローチもありますっていうことを紹介したいのが、BTSと同じビッグヒットエンターテイメントという事務所から去年デビューした5人組男性グループのTOMORROW X TOGETHERという……熊崎くん、ご存知ですか? 「TXT」と書くんですけども……。

(熊崎風斗)名前だけは知っていたんですけども。この名前、字面はわかるんですけども、全然まだ曲とかは聞いたことがなくて。

(高橋芳朗)彼らが10月26日にリリースしたEPで『minisode1 : Blue Hour』っていうのがあるんですけども。これも全米アルバムチャートで初登場25位に入っていて。これもまた大した成績なんですけども。このタイトル曲がもうBTSの『Dynamite』をフォローするような爽やかなディスコソングで。非常にヒットポテンシャルの高い仕上がりなんですよね。これ、BTSと同じ事務所っていうのがまた面白いと思うんですけど。でもこの歌詞は韓国語と英語のミックスになっています。じゃあ、聞いてください。TOMORROW X TOGETHERで『Blue Hour』です。

TOMORROW X TOGETHER『Blue Hour』

(高橋芳朗)はい。TOMORROW X TOGETHERで『Blue Hour』を聞いていただいております。

(宇多丸)まあ、本当にいいディスコですね。

(高橋芳朗)爽やかな耳ざわりのいいディスコソングですけどもの。まあこういう、さっきのTWICEといい、TXTといい、こういうアプローチがうまいことをかみ合ってきて……そんなに簡単にはいかないかもしれないけど。アメリカのシングルチャートにK-POP勢がガンガンランクインしていくようなことになっいったら、もうさっきまさに宇多丸さんが仰っていた1960年代のブリティッシュ・インヴェイジョンっていうムーブメント。

ビートルズの成功を皮切りにイギリスのアーティストが大挙してアメリカのチャートを席巻していったっていう、そういう現象がK-POPでも起こりかねない。今、もう半分起こっていると言ってもいいと思うんですけど。これ来年、ひょっとしたらひょっとするかもっていう気がしますね。

(宇多丸)60年代とか。まあ80年代もね。

(高橋芳朗)デュラン・デュランとかカルチャー・クラブとかね。

(宇多丸)まあ、そういう感じで……でも、それが非英語圏で。やっぱり、その半分韓国語の曲が普通にっていうところにむしろ。

(高橋芳朗)ただやっぱりね、ラジオのエアプレイは圧倒的に弱いんですよ。で、BTSの『Dynamite』は英語詞だからかかったけど。やっぱり韓国語と英語をミックスしている曲はどうしてもラジオではかかりにくいという、そういう背景はあるみたいですね。

(宇多丸)そうか。じゃあファンががっちりそこは……逆に言えばファンの力だけでここまで?

(高橋芳朗)BTSはもうファンダムが、アーミーの皆さん、すごい団結力が強いから。

(宇多丸)でも、逆に言えばそこだけでここまで持っていけるっていう。それだけでTXTとかも25位までは持ってこれるっていうことだ。

(高橋芳朗)K-POPはそこですね。ファンダムの強さ。

(宇多丸)でも、だからあとはもうその起爆……まさにダイナマイト。

(高橋芳朗)そう。導火線に火がバーッとつくような英語詞の曲を作って、レコード会社がそれなりのプロモーション体制を組めば、バババッと行く可能性はありますっていうね。だから文字通り、BTSが21世紀のビートルズになるかもしれないっていうね。で、その肝心のBTSのニューアルバム『BE』なんですけど。これが『Dynamite』の大ヒットを受けて欧米のポップミュージックにどういうスタンスを取ってくるか?っていうのは結構楽しみにしてたんですけど。これがかなりね、独自路線で。プロデューサーの人選がめちゃくちゃフレッシュで。このコーナーと非常に相性がいいです。

(宇多丸)ほうほう。

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