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武田砂鉄 Creepy Nutsの卑屈で素直な魅力を語る

武田砂鉄 Creepy Nutsの卑屈で素直な魅力を語る Creepy Nutsのオールナイトニッポン0
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武田砂鉄さんが2020年8月26日放送のTBSラジオ『ACTION』の中でCreepy Nutsについてトーク。DJ松永さんとR-指定さんの卑屈で素直な魅力について話していました。
(武田砂鉄)プレミアムウェンズデーですので。今日は水曜担当のDJ松永さんがお休みで。今日はですね、Creepy Nutsのミニアルバム、『かつて天才だった俺たちへ』のリリース日で忙しいという理由で。松永さんがお休みの日にはR-指定さんがいらっしゃることがが多かったんですけども。2人が休みの時にはまあ砂鉄でいいだろうということで。連絡網的には三番手っていうことになっていますけどね。

(幸坂理加)そんなことないですけどね(笑)。

(武田砂鉄)昨年の10月にR-指定さんが代打で出た時に、僕がゲストで出させてもらいまして。そこで僕がCreepy Nutsのことをいろいろ調べて。「僕は松永派かR-指定派かを選ぼうと思ったんだけども、調べれば調べるほど松永さんがR-指定派で、R-指定さんが松永派だということに気付きました」って……まあ、いいこと言ったなと思ってね。後で振り返ったんですけど。

(幸坂理加)フフフ(笑)。

(武田砂鉄)今日、発売の最新ミニアルバム『かつて天才だった俺たちへ』の音源、早速聞きまして。この販売用のプレスリリースっていうのも手に入れたんですけれども。それぞれのプロフィール文っていうのが載ってまして。R-指定さんが12行なのに対してDJ松永さんは5行と。で、残りの7行のところにTwitterとInstagramのQRコードが載っているっていうのがいかにも松永さんっぽいですけども。

(幸坂理加)そうですね(笑)。

(武田砂鉄)それでR-指定さんのプロフィールには「MCバトルの戦歴からは想像できないほど内向的で卑屈。ヒップホップとはあまりにもかけ離れたバックボーンとパーソナリティーゆえに生まれた強烈な劣等感を創作・表現活動の源としている」と。「内向的で卑屈」「強烈な劣等感」ってなかなかないプロフィールですよ。これはね。

(幸坂理加)うんうん。

(武田砂鉄)でも実際にお目にかかると非常に外交的で素直で強烈な肯定感を感じる方ですけども。でも、この「卑屈と素直」っていうのは共存できるんだということが分かって。そのCreepy Nutsの存在感の強烈さってのは僕、そこにあるんじゃないかなっていう分析をしまして。僕、最近ですね、卑屈でいるっていうことはとても素直な状態なんじゃないか?っていう風によく考えるようになってですね。

よく、生きてるとですね、「こういう風になっているんだから、こういう風にしておきましょうよ」っていうことが増えていきますよね。それを体に合わせることが素直っていうことになりますけど。たとえば「お前、この先輩の言うことなんだから絶対に『はい』と言えよ」っていうのって、すごくそれって強制されてるんだけど。「はい」と言いたくないのに「はい」って言う風になっちゃうじゃないですか。

(幸坂理加)そうですよ。

(武田砂鉄)そうすると、どうしてこんなやつに「はい」って言わなきゃいけないんだ?っていう風に最初は思っていたとしても、そういう風に思い続けてる方がなぜか卑屈な人間になってくるんですけど。でも、冷静に考えるとですね、「思い続けてる」っていうのはこれは「卑屈」ではなくて「素直」なんじゃないかっていうことを思ってですね。

それで今、松永さんが『文學界』で「ミックス・テープ」っていう連載をしてまして。これがなかなか読ませる自伝的な内容でですね。松永さんが中学時代にサッカー部の控え部員で、ベンチ入りすら果たせなかったっていう話。まあこのラジオでもされてますけど。その話を書いてらしたんですけどね。

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(武田砂鉄)僕もサッカー部の控えゴールキーパーをやっておりまして。中学3年間、それで過ごしたんで気持ちはよく分かるんですよ。僕の時は松原くんという正ゴールキーパーがいて。ある試合でその彼が片腕を怪我したんですよね。そしたらみんな、ピッチにいる人間が僕の方を見てですね、すごい僕は不安そうな顔してたから、その松原くんは片腕でプレーし続けたんですよね。変えずに。

僕、すごく安心したんだけど……安心したんだけど、後で考えてみたら「片腕を使えない松原くんより下なのか」っていうことで落ち込んだんですけど。で、松永さんはね、結局そのスタメンはおろか、ユニホームももらえなかった。3年最後の試合にも体操着に身を包んで、新入生と保護者とともにメガホンで声を枯らしたという。それでもですね、中学の卒業文集にはサッカーのことを書いた。

これ、エッセイのミックス・テープにこう書いてあるんですね。「卒業文集には自分がレギュラーか補欠かに一切言及せず、ただただ責任感と当事者感が溢れる文章を書くことによって、読む人にレギュラーで最後の大会を戦い抜いたと錯覚させるようにした。未来でどんな人に渡るか分からないからごまかせるものは今のうちにごまかしておこうと思った」という。まあ、非常に卑屈なんだけれども、とっても素直だなと。自分の気持ちには嘘ついてないわけですよね。

で、この中学の体育会系の部活でうまくいかないと、次の高校をどうするか?っていう問題があって。選択肢は3つあるんですね。ひとつは、それでも同じスポーツをやる。2つ目は違うスポーツなら何とかなるんじゃないかと思って別のスポーツをやる。3つ目はもうスポーツをやらない。僕はやっぱり「2」を選んだんですね。

(幸坂理加)違うスポーツを?

(武田砂鉄)サッカーがダメだったからバレーボールをやったんですよ。で、バレーってまあ、人数も少なかったし。僕は背が高いから一応レギュラーにはなれたんですけど。でもどこかで「サッカーを諦めた」っていう感じの意識がずっとあり続けていたんですね。

(幸坂理加)引きずっていたんですね。

(武田砂鉄)引きずっていた。松永さんはどうしたかというと、高校に入るにあたって、「それでも同じスポーツで頑張る。サッカーをやる」っていう道を選んだんですね。これ、かっこいいじゃないですか。かっこいいと思ったんだけど、理由がクソダサいんですよね。エッセイにこう書いてあります。「高校でサッカーはもうやらないつもりだった。もう惨めな思いはしたくないし、プロを目指せない人間が部活を全力で頑張った先に何があるのかわからなかった。けれど人数も少なく、半分くらいが初心者で構成されている弱小部と知った瞬間、すぐにサッカー部に入ることを決めた」っていう。素直ですよね。

(幸坂理加)フフフ(笑)。

(武田砂鉄)卒業文集でやっぱり責任感と当事者感が溢れる文章を書いてたことが早速生きている。で、最初は調子に乗って辛辣な言葉を吐いていたという。だけども、半年後ぐらいにやっぱり実力不足っていうことに気づいて。スタメンじゃなくてベンチに入った。でも、大口を叩いていたのにベンチっていうことで、なかなか一緒に帰ってくれる人もいなくなったということで、小学校から続けてきたサッカーをやめたそうなんですけど。で、その部活をやめて高校2年生の時にDJセットを買った。そして夢中になって高校を中退する。それで今のキャリアがあるということなんですけど。

これ、考えると結果から言えばですね、もし松永さんが高校に入る時に同じサッカー部じゃなくて別の部活を妥協的に選んで3年間プレーをしてたら、これは今の世界一のDJっていうのは生まれてないわけですよね。たとえばサッカー部でスタメンになって、ヒップホップに出会ってなければ、これは今の松永さんなかったわけです。ということは、この中学の卒業文集でごまかして、弱小っぽいからサッカー部に入るっていうこの選択をした。これはとても卑屈なんだけど、すごく素直な判断なんですよね。で、今回のアルバムタイトル、幸坂さんはもちろんご存知ですよね?

(幸坂理加)知ってます!

(武田砂鉄)なんでしょう?

(幸坂理加)『かつて天才だった俺たちへ』。

(武田砂鉄)さすがですね。さっきちょっと間違えてましたけれども。

(幸坂理加)フフフ(笑)。そんなことない!

武田」この今回のアルバムのタイトル、『かつて天才だった俺たちへ』っていうこのタイトル曲が帝京平成大学のテレビCMソングになっていて。歌詞にこうあるんですね。「苦手だとか怖いとか気づかなければ俺だってボールと友達になれた」「神童だったあなたへ 似たような形に整えられて見る影もない」という。これ、歌詞はRさんによるものですけども。どうしても松永さんが立ち上がってくるところがありまして。

ものすごいアンチテーゼですよ。サッカープレーヤーのすごいプレーヤーに「神童」っていう言葉はよく使われますけど。こうやってずっと卑屈で、まだ卑屈で、卑屈を保つ。それで素直でたくましいっていうのはね、非常にかっこいいことなんだなって僕はこの2人に教えてもらった気がしますね。まあ自分とこの2人はね、やってる仕事も違いますし。この卑屈を溜め込んだ後にぶつける先っていうのも全然違うんですけど。

こうやってずっと卑屈でずっと素直っていうのはね、素晴らしいことなんだと。これは結構な勇気にもなると思うんでね。ラジオで松永さんの話を聞いてると、世界一なんだけど、いまだに目線がその中3の試合でベンチを外されて、観客席から見てるような視点でいつもしゃべってるでしょう?

(幸坂理加)そうですね。

「卑屈」を長年飼い続けている

(武田砂鉄)それってでも、それを保つって僕はすごいと思うんですよね。もっとね、調子に乗っちゃうと思うんですよ。本当は。それができるのは、やっぱり卑屈っていうのをね、長年飼い続けている、飼いならしているからっていう感じが僕はいつもしてるんですよね。まあ、こういう風にね、違う曜日のパーソナリティーをやっていてもなかなか会うことはないんですけれども。こういう風に横並びでやらせてもらってることっていうのが嬉しいですしね。何より、こうして人の尻拭いの形で代打ができるっていうのは非常に光栄なことだと思っております。

(幸坂理加)月曜から金曜日まで、みんな卑屈で素直なパーソナリティーでお送りしてますね。『ACTION』ね。

(武田砂鉄)もう気づいたでしょう? 1年半やっていて。卑屈で素直って素晴らしいことだなって思いましたよね。

(幸坂理加)いつも素晴らしい方とやらせていただいてる『ACTION』でございます。皆さん、聞いていらっしゃるでしょうか?(笑)。

(武田砂鉄)「聞いてらっしゃるでしょうか」って(笑)。まあ、これぐらいCreepy Nutsを持ち上げればいいですよね?

(幸坂理加)いいです、いいです(笑)。

(武田砂鉄)じゃあ、始めましょう。武田砂鉄がお送りする『ACTION』、この後5時半まで生放送です。


<書き起こしおわり>

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