R-指定さんが2020年1月7日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の日本語ラップ紹介コーナーの中でAKLO『RED PILL』について話していました。
(DJ松永)Rさんの日本語ラップ紹介コーナーにまいりましょう。
(R-指定)はい。今回紹介したいのはAKLOさんというラッパーです。
(DJ松永)AKLOさん! AKLOさんは初ですか?
(R-指定)初です。意外と、初なんですよ。
(DJ松永)マジですか。
(R-指定)AKLOさんはデビューアルバムが2011年かな?
(DJ松永)えっ、もう?
(R-指定)もう俺らからしたら結構最新の人じゃないですか。でも、もう結構ベテランの域なんですよ。というぐらい、AKLOさんが日本語ラップシーンに登場した時にものすごい衝撃が走ったんですよね。このAKLOさんというラッパーは活動はずっと昔からされていたんですけど、ちゃんとCDとしてリリースしたのは『THE PACKAGE』というアルバムが初めてでして。その前にフリーダウンロードとかリミックスとか。それでいろんな有名ラッパーの曲に自分のバースを書いて、サビだけ残して……っていうリミックスという手法で結構名を売った人です。ミックステープとかね。
(DJ松永)そうですね。当時、フリーダウンロードが流行っていたんですよ。自分の曲をネットに、Firestrageとかにアップして皆さんにフリーでダウンロードしてもらって聞いてもらうという。で、あとは『AKLOと空』とかね、やっていたよね。
(R-指定)やっていましたよね。で、AKLOさんがすごい衝撃的だったのは海外のラッパーのリミックスとかを日本語のラップでやっていた。それでエミネム、リル・ウェイン、ドレイク、カニエで全員でやっている『Forever』っていう曲があるんですけども。その全員のフロウを日本語で真似しながらやっていたりして。すげえテクニカルなことをやっているんですよ。
AKLO『Forever』
(DJ松永)すごいよな。
(R-指定)AKLOさんは何がすごかったかというと、「英語の響きのラップというものをうまいこと日本語に置き換えられないか?」っていうことを研究していくのと同時に、「日本語でラップする時の長い韻をちゃんと日本語と英語で踏んでいく」っていう。その両軸ですよね。韻を踏んでちゃんと意味を通すというラップと、響きもめっちゃ聞こえをよくするってういラップ。その両輪をすごい高水準で両立させたラッパーなんですよね。だからこれまで、結構AKLOさんのことは「バイリンガルラッパー」っていう風にくくられることがあるんですよ。英語もよく使うから。でも、全然バイリンガルラッパーというよりかは、俺からしたらもうど真ん中の日本語ラッパーなんですよ。
(DJ松永)そうだね。俺も正直、そういう認識。
(R-指定)韻の踏み方とか歌詞の面白さとか。で、結構ね、俺的にはZEEBRAさんが開拓した英語と日本語で踏むとか。そういうのをかなりさらにAKLOさんのフィルターを通してアップデートした感じで。で、このAKLOさんとタッグを組んでいるBACHLOGICさん。BL氏。この2人の相性は抜群でして。で、このデビュー曲で……それまでに「AKLO来るぞ。AKLOヤバいぞ」っていうのは2010年ぐらいから俺ら、日本語ラップヘッズの間ではワーワー盛り上がっていて。
で、さんざんハードルが上がりきった中でその『THE PACKAGE』っていうファーストアルバムを出したんですけども。その一発目に出したシングルのこの『RED PILL』という、これからお送りする曲が出た時にそのみんなのハードルをゆうに超える完成度とギラギラ、キラキラ具合で。もう鳴り物入りやし、当然めちゃくちゃ苦労人やからこそ、それまでにためてきたスキルもあるんですけども。
そんだけ上がりきったハードルをゆうに超えるようなスキルでデビューして、日本中のリスナーの耳をかっさらっていった。で、このAKLOさんがすごいのが、今もラップの上手さを最新にアップデートし続けているといところなんですよ。
(DJ松永)うんうん、そうだな!
(R-指定)今も新しいアルバムを聞いても嫌になる時がある。「また上手くなっている! また新しいフロウしている、AKLOさん!」って。
(DJ松永)上手すぎるんだよな。
(R-指定)いい加減にしてください!
(DJ松永)フハハハハハハハハッ!
(R-指定)じゃあ、聞いてみてください。AKLOで『RED PILL』。
AKLO『RED PILL』
(R-指定)これ、今聞いても最高ですね!
(DJ松永)クゥーッ! 聞いていた当時を思い出すわ。
(R-指定)しかもこの「待ち望んだ展開なんだろ?」って言えちゃうっていう。AKLOさんはスター性も含めて、あっちのラッパーのことを上手いこと消化している。で、当時衝撃的だったフロウはこの言葉を詰め込むフロウが今までの詰め込み方と違ったんですよ。ここの「全額Bet ラスベガス 満足なんてのはまだ早い Hungry Forever」っていうこの「E-A」っていう音をずっと続けるみたいな。「限界ないのさ Never 次のステージに手が」っていうこの詰め方がラップを書いていたヘッズからしたら「おおっ、こんな乗せ方があるのか!」っていう。そんな衝撃的な乗せ方を今も更新し続けているAKLOさん、ぜひチェックしてください。AKLOで『RED PILL』でした!
<書き起こしおわり>
ライムスター宇多丸 AKLOアルバム『THE PACKAGE』を絶賛する https://t.co/O0kiyqKI25
(宇多丸)久々にね、なんかヤな気分、これヤな気分っていうのは良すぎるんですよ。良すぎて、心底オチるアルバムみたいなの、結構久しぶりに来たなと。— みやーんZZ (@miyearnzz) January 8, 2020